2020.09.09

性行為(セックス)・挿入時の痛みはなぜ起こる?女性の性交痛と治療について医師が解説します。

性行為の挿入時に痛みがあり、性行為を楽しめない、苦痛に感じてしまうという女性もいらっしゃるのではないでしょうか。

性行為の時の痛みはなぜ起こるのか、この原因と治療について詳しく解説していきます。

性交痛はなぜ起こるの?みんな起こるもの?

性交痛とは男性の性器を女性の膣に挿入した際に女性が感じる痛みのことを言い、女性の8~22%が生涯の中で経験する痛みであるといわれています。性交痛が起こる原因には病気によるものから生理現象までさまざまなものがあります。

病気ではない場合の原因として考えられるのが「濡れる」という言葉で表現されることが多い膣内の潤い不足です。この濡れるという現象ですが、女性は性的な興奮が高まってくると、下半身に血液が流れ込むようになります。下半身に血流が増えてくると、腟壁周辺に張り巡らされている毛細血管が拡張するようになります。そうすると、血管壁を押し開くため、その隙間から潤滑液がしみでてくることで、濡れるという現象が起こるのです。

十分に潤滑液が分泌されていない状態で挿入をすると、膣内で性器と膣がすれて痛みを伴うようになります。

潤滑液の分泌が不十分な原因にもさまざまな理由がありますが、大きく分けると、心理的な原因と女性のホルモンサイクルによる原因があります。

心理的な原因としては、ストレスや緊張、前戯不十分なことが挙げられます。先ほどもご紹介したように女性の膣から分泌液を出すためには性的な興奮を高めて下半身の血流が増えるということが必要です。そのため、性的興奮を感じることなくいきなり挿入をした場合などに性交痛をつよく感じます。また、初めて性行為をする場合や過去に性行為に対していい印象をもてなかったという場合には、緊張やストレスによって前戯をたっぷり行ったとしても濡れてこないということがあります。

女性ホルモンのサイクルによる原因には更年期、出産が挙げられます。

更年期に入ると女性ホルモンの一種であるエストロゲンの分泌量が低下します。そうすると腟やその周辺部分の皮膚のハリや弾力が失われていきます。それに加えて皮膚や粘膜も薄くなったり、潤滑液が充分に分泌されなくなるため、性交痛を感じるようになります。更年期の方だけでなく閉経を迎えた方も同様に潤滑液の分泌量が減ってしまうため、性交痛を感じやすくなります。

また、出産後は月経サイクルが安定してくるまでホルモンバランスが出産前とは異なります。それに加えて出産時の会陰裂傷や会陰切開の痕のひきつれによって裂けてしまったらどうしようと緊張や不安を感じ、筋肉がこわばってしまうため痛みを誘発するようになります。

次に、病気による性交痛には3つの原因が考えられます。

1つ目は動脈硬化です。動脈硬化によって血管の壁が硬くなっていると性的な興奮があったとしても血管の壁が開かなくなるため、潤滑液の分泌が不十分もしくは、分泌されたとしても量が少なく痛みを感じるようになります。

2つ目は性感染症です。性感染症によって膣に炎症が起こっていたり子宮や卵巣などの女性器に炎症が起こっていた場合に性交痛が起こります。

3つ目は、婦人科系の病気です。子宮筋腫、慢性骨盤内炎症性疾患、子宮内膜症などは、それぞれの病気の症状に性交痛があり、病気が原因で性交痛が起こる最たる原因ともいえます。

他にも外陰部に病的な原因がある場合や、生まれた時から性器の形が他の方と異なるという先天的奇形があるという場合には性行為によって痛みが伴うこともあります。

性交痛は治療で治せるの?

性交痛は健康な方でもなる可能性のある痛みであり、性交痛のみで病気によるものかそうでないものかを見極めることは難しいとしています。また、性交痛が起こる疾患もすぐに治療をしなければ命にかかわるというものが少なく、性交痛以外に性器出血が見られることはありますがその他に性交時以外の症状がないため、忘れられてしまい治療が後回しにされることも多々あります。

心理的な原因の場合は医薬品等を使用した治療がありません。そのため、話し合ってパートナーと関係性を築いたり、市販されている潤滑剤を使用するというのが最も手軽に行えて、性交痛を緩和できる方法といえます。心理的な不安が強い場合には抗不安薬の投与やカウンセリングを受けるという方法もあります。

閉経や更年期などホルモンバランスによるものの場合は、ホルモン補充療法といいお薬を使って不足しているホルモンを補うことで改善することができます。また、漢方薬を使用するということもあります。

病気が原因という場合には基本的に病気の治療を行わなければ性交痛が改善することはありません。性交痛が続く、その他の原因を除外したのに性交痛が改善されないという場合には医療機関に相談し、検査や治療を受けることが必要です。

性交痛が続く、改善しないという場合には、一度医療機関を受診して何か病気が隠れていないかを調べてみましょう。

公開日:9月9日

監修:クリニックフォアグループ医師

参考文献

一般社団法人日本家族計画協会 https://www.jfpa.or.jp/luve-jelly/coital-pain/

今日の臨床サポート https://clinicalsup.jp/contentlist/1707.html