2020.09.16

低用量ピルと併用禁止の薬について、医師が解説します。

低用量ピルには一緒に服用することができない薬がいくつか存在しています。低用量ピルの併用禁止薬についてここで詳しく解説していきます。

低用量ピルと併用禁止の薬って?

低用量ピルとの併用が禁止されているお薬は、オムビタスビル水和物、パリタプレビル水和物・リトナビル配合剤といい、ヴィキラックス配合錠という名前で流通しているお薬で、C型肝炎の治療薬となっています。このお薬を服用している方が低用量ピルを服用すると肝機能が上昇するという事例が高頻度でみられています。そのため、このお薬を服用されている方で、低用量ピルの服用を希望される方は、このお薬の服用終了してから2週間経過していれば服用することができます。

併用禁止ではないが、相互作用が起こるものは?

低用量ピルとの併用を禁止してはいないものの、相互作用が出現する可能性のあるお薬はたくさんありますので、ここでは、服用によって何が起こるかというカテゴリーで、併用禁止ではないものの注意していただきたいお薬をご紹介します。

まず、低用量ピルと一緒に服用したお薬の作用が増強してしまうものです。これには、副腎皮質ホルモン剤、プレドニゾロン、三環系抗うつ剤、イミプラミン、セレギリン塩酸塩、シクロスポリン、テオフィリン 、オメプラゾールが該当します。低用量ピルはこれらのお薬の代謝を抑制してしまうため作用が増強してしまったり、血中のお薬の濃度が高くなってしまうため、併用注意としています。なお、副腎皮質ホルモン剤については飲み薬の併用は注意となっていますが、塗り薬や花粉症の時に使う点鼻薬については、問題ないとしています。

次に低用量ピルの効果が弱くなってしまうお薬です。これには、リファンピシン、バルビツール酸誘導体、フェノバルビタール、ヒダントイン系抗てんかん剤、フェニトインナトリウム、カルバマゼピン、ボセンタン、モダフィニル、トピラマート、テトラサイクリン系抗生物質、ペニシリン系抗生物質、アンピシリン水和物、リトナビル、ダルナビル、ネルフィナビルメシル酸塩、ネピラビン、ホスアンプレナビル、エファピレンツ、アスナプレピルが該当します。

これらのお薬には、薬物代謝酵素を誘導することで、低用量ピルの代謝を早めたり、腸内の環境を変化させて腸管でのお薬の再吸収を抑制することによって低用量ピルの押下を弱くする可能性があります。特に、抗生物質は風邪や感染症にかかった際に処方されることがありますので、医師に低用量ピルを服用している旨を必ず伝えるようにしましょうまた、これらのお薬は低用量ピルの副作用である不正出血が起こる可能性を高くしてしまいます。

さらに、服用することでそのお薬の効果を弱くしてしまうお薬には、子宮内膜症の治療でも使われるGn−RH誘導体、酢酸ブセレリン、糖尿病の治療で使われる血糖降下剤、インスリン製剤、スルホニルウレア系薬剤、スルホンアミド系薬剤 、ビグアナイド系製剤があります。また、解熱鎮痛剤のひとつであるアセトアミノフェンと併用しても、アセトアミノフェンの効果を弱くしてしまいます。

最後に、低用量ピルの血液中の濃度を上昇させてしまうことで、低用量ピルの効果が増強する可能性のあるお薬です。これにはフルコナゾール、イトラコナゾール、ボリコナゾールが該当します。

ここに載っているお薬を服用されている方は、低用量ピルを服用する前に必ずこれらのお薬を処方されている医師へ低用量ピルの服用をしたい旨をご相談ください。また、市販薬を購入する際や、風邪などを引き普段行かない病院へ行かれた際にも、低用量ピルを服用していることを必ず伝え、これらの成分が含まれているお薬を避けるようにしましょう。

低用量ピルを水以外と一緒に飲んだらどうなる?

お薬は基本的に水で服用することが推奨されています。ですが、手持ちに水がなかった、水以外の飲み物なら持っているという場合に、水以外の飲み物で服用したらどうなるのかを解説していきます。

まず水以外の飲み物で絶対に一緒に服用してはいけないのがアルコールです。アルコールは薬と同じ肝臓で分解されるため、低用量ピルとアルコールを一緒に摂ると、低用量ピルの分解が遅れてしまうため、低用量ピルの血中濃度が高くなってしまい、作用が強く出てきてしまうことがあります。

次に一緒に服用することがおすすめできないのが炭酸水です。炭酸水に含まれる炭酸には、気泡性があるため薬の吸収に影響を及ぼすとしているため、一緒に服用することをおすすめできません。

そしてもうひとつ一緒に服用をおすすめできないのがグレープフルーツジュースです。グレープフルーツジュースには、フラノクマリンという成分が含まれており、小腸の上皮細胞に存在する代謝酵素を阻害して、薬の血中濃度を増加させ、効果をつよく出してしまう可能性があります。低用量ピル自体は、併用することに対して禁忌としていませんが、確実に効果を得たいという方は一緒に服用することをおすすめしません。また、グレープフルーツジュース以外にもはっさくやあま夏みかんにも含まれているため、これらのジュースにも注意しましょう。また、全ての柑橘系の飲み物にフラノクマリンが含まれているということではありませんし、100%ジュースでなければこの効果も薄いと考えられています。

ほかにもカフェインが薬の吸収や作用に対して影響を及ぼすとしています。低用量ピルに直接的に影響する可能性は低いのですが、念のため一緒に服用をしないようにしましょう。

またこれ以外の飲み物であれば良いというわけでもありません。例えば、私たちの身近な飲み物である緑茶ではカフェインが含まれており、このカフェインは薬の種類によっては作用を増強させたり、減弱させたりします。低用量ピルに対してこの作用があるかどうかについては、報告されていないものの、やはり念のためカフェインの含まれている飲み物でも薬を飲まないことがおすすめです。

また、水で服用したとしても水が少量ですと、胃の中で十分に溶けないという可能性があります。十分に溶けないと必要な成分がきちんと溶解されてこないので効果が出ないことがあります。たまにお薬を水なしで飲まれる方もいらっしゃいますが、低用量ピルは水なしで溶けるタイプのお薬ではないため、少量の水で服用したときと同じように胃の中でお薬が十分に溶けずに効果をきちんと得られないことがありますので、コップ1杯分のお水やぬるま湯で服用するようにしましょう。

併用禁止のお薬を正しく理解して、正しく服用することで、最大限の効果を得ることができますので、これらについては、きちんと守っていきましょう。

公開日:9月15日

監修:クリニックフォアグループ医師

参考文献

https://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/drugdic/prd/25/254910CF2021.html

https://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/drugdic/prd/62/6250108F1020.html

添付文書 https://pharma-navi.bayer.jp/omr/online/product_material/170105_TRQ_D4_tenbun.pdf

公益社団法人日本薬学会 https://www.pharm.or.jp/dictionary/wiki.cgi?%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%BB%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%82%BA%E3%83%BB%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%83%88

東邦大学医療センター https://www.lab.toho-u.ac.jp/med/ohashi/yakuzai/patient/tjoimi000000161m-att/tjoimi0000001fp5.pdf

製薬協 http://www.jpma.or.jp/medicine/med_qa/info_qa55/q26.html

千葉市薬剤師会 http://www.chibashiyaku.or.jp/pdf/story/story_4_2.pdf