2020.11.18

新型コロナウイルスのワクチンとして期待される、ファイザーの「9割」ワクチンについて医師が解説します。

新型コロナウイルスが全世界におけるパンデミックが始まってから早くも1年近くが経とうとしています。感染者が減っては自粛ムードが解け、自粛ムードが解けては感染者が増えて自粛ムードが強まる、といったいたちごっこがここ半年間繰り返されてきて、誰もが多かれ少なかれ影響を受けてしまっていると思います。

そんなコロナ禍において、コロナウイルスに対する特効薬やワクチンは全人類が待ち望んでいるものであり、政府や大学施設、製薬会社などが競って開発に取り組んでいるのですが、11月9日、アメリカのファイザーという大手製薬会社が、治験(ワクチンの臨床試験)において9割もの有効性が確認されたというワクチンのデータを発表したというニュースが飛び込んできました。

もしこれが本当だったらCOVID-19との長い戦いの終わりが見えてきたということにもなり得ますが、果たして実力はどうなのか、また、そのワクチンはどのようなものなのか、他にどんな研究が進んでいるのかについて解説していきたいと思います。

ファイザーのワクチンの実力は?

ではまず、この「9割」ワクチンの実力はどうなのでしょうか。

まず先ほど述べた「9割もの有効性」というのは、10人がそのワクチンを接種することで9人は何らかの予防効果が得られたということが証明されたということです。

具体的には、約44000人のうち、約39000人には今回のワクチンを、残りの約5000人にはそれと区別のつかない効果のない偽薬を接種し、その二つのグループの感染率を比較することで今回の効果が示されたようです。ただし現在研究途中で、まだ1ヶ月間の予防効果が示されたに過ぎません。今後研究が進んでいくうちに、この「9割」という数字は上がることもあれば下がることもあるでしょう。引き続きワクチンに対する情報のアップデートを待ちましょう。

mRNAワクチンとは?

ここでこのファイザーのワクチンのもう少し詳しい説明をします。

ワクチンはmRNAワクチンという種類のワクチンです。

mRNAとはDNAからタンパク質を作り出す際に働く一つの物質なのですが、説明するには専門用語が多く出てきてしまってわかりにくいと思うので、ここでは宗教に例えてみましょう。

宗教では教祖や教祖が書いた教典の教えを、教祖に近しい宣教師が人々に広めて信者を増やす、といったことを行います。この教祖→宣教師→民衆という流れに、DNA→mRNA→タンパク質という生体内で起きている反応を例えたものをセントラルドグマというので、興味がある方は調べてみてください。

コロナウイルスに限らずウイルスはヒトの細胞に入り込んでこのセントラルドグマの流れをのっとり増殖するという特徴を持っていて、本ワクチンは新型コロナウイルスの名札のようなものを持ったmRNAを取り入れることにより、乗っ取られた細胞がすぐに免疫反応を起こすことができる、というものです。

抗体カクテルや抗体医薬の研究は進んでいる?

では他の治療薬はどのようなものがあるのでしょうか。

米のトランプ大統領が抗体カクテルにより回復したとする記事や、詳しい方なら抗体医薬品というものを聞いたことがあるかもしれません。

しかし、大統領の件は未承認のものを特例的に用いたものに過ぎません。まだまだ副作用の確認が十分でなかったり、設備がまだ十分でないために生産能力が足りていないといった問題があります。

これらが日本の患者の手元に届くにはもうしばらく時間が必要かもしれません。

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監修:クリニックフォアグループ医師

公開日:11月18日

参考文献

ファイザーとBioNTech、COVID-19に対するmRNAワクチン候補の日本における第1/2相試験開始を発表 https://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2020/2020_10_20.html 

COVID-19の打倒を目指す新たなmRNAワクチンのご紹介|CAS https://www.cas.org/ja/blog/covid-mrna-vaccine