新型コロナウイルス「オミクロン株」について、2021年12月3日現在わかっていることをご説明いたします

2021年12月2日現在の日本では、新型コロナウイルス感染者数は、世界的にも非常に少ない数で推移しており、コロナ禍以前の生活に近い生活の様子になってきています。しかし、一方で新たな変異株である「オミクロン株」が南アフリカを中心として感染拡大しているということが報告されています。今回は、この「オミクロン株」についてご説明いたします。

「オミクロン株」は、いつ頃、どこで見つかった変異株ですか?

オミクロン株の最初の報告は、2021年11月24日、南アフリカからの報告でした。

2021年11月7日からボツワナに滞在中の外交官4名が11月11日に帰国のための検査を受けたところ、新型コロナウイルス陽性となりました。そしてこの検体がゲノム解析により変異株であることが判明し、南アフリカのチームから国際社会に B. 1. 1. 529変異株 として報告されました。

その後2021年11月26日にWHOが緊急会議を開催し、このB. 1. 1. 529変異株を、「懸念すべき変異株(VOC:variant of concern)」と認定し、「オミクロン(o)」と名付けました。

「オミクロン株」は、どれくらい広がっているの?

オミクロン株が拡大しているとされている南アフリカは、2021年夏にデルタ株による新型コロナウイルス感染拡大の第3波を乗り越えたところでした。しかし2021年11月上旬から再度感染者数の増加を認め、第4波が始まったかというところでした。この感染拡大の中、11月12日から20日に南アフリカハウテン州で採取された77検体全てがオミクロン株であったため、南アフリカでのオミクロン株の広がり、オミクロン株の感染力の強さが示唆されました。

その後、ヨーロッパ各国、アメリカを含む北米、日本・韓国・香港といったアジア地域、オーストラリアなど各国でオミクロン株が確認され、世界への拡散が認められました。

「オミクロン株」は、どんな変異をもっているの?

オミクロン株は、50もの変異を持っていて、変異の数が多いためウイルスの特徴が大きく変化しているのではないかと懸念されています。また、そのうち30はスパイクタンパク質というウイルス表面にあるトゲのような部分に関わる変異です。このスパイクタンパク質は、人の細胞への侵入のしやすさや、人の免疫から逃れる能力などにかかわるため、感染性や広がりやすさが従来のコロナウイルスよりも強いのではないかと懸念されています。

多くのワクチンもこのスパイクタンパク質の情報をもとに作られているため、ワクチンの効果も低下する可能性が懸念されています。

「オミクロン株」は、これまでの検査で診断できるの?

国立感染症研究所の見解では、日本国内で使用されている新型コロナウイルス診断キットで、オミクロン株の検出は可能とされています。PCR検査、抗原検査ともに、オミクロン株での変異が起きたとしても、これまで同様に検出が可能であるということが報告をされています。

クリニックフォアグループにおける、RT-PCR検査および、迅速PCR検査、抗原検査でも、当然、診断可能です。

「オミクロン株」には、これまでのワクチンで効果あるの?

まだはっきりわかっていないこともありますが、少なくとも、「全く効果がないということは無い(ある程度の有効性が期待できる)」と考えられています。

オミクロン株は、ワクチンを作成するときの情報として重要なスパイクタンパク質に多くの変異を持つため、ワクチンの効果が低下するのではないかという大きな懸念があります。

新型コロナワクチンを製造する米モデルナ社のCEOが、「感染を予防するには新たなワクチンが必要になる可能性もあるだろう」とコメントした一方で、英オックスフォード大学(英アストラゼネカ社とワクチンを開発)は、既存のワクチンでオミクロン株に対する防御にならないとするエビデンスはまだないとコメントしています。

また重症化予防の観点では、ファイザー社とともにワクチンを開発した独ビオンテック社のCEOは、既存ワクチンでも重症化を防ぐ効果はおそらくあるだろう、と述べています。

特に、ファイザー/ビオンテックのワクチンのほうが、ワクチンの設計上、オミクロン株には有効性が高い可能性があります。エビデンスがはっきりしてきましたら、再度ご共有いたします。

ワクチンについては、感染予防と重症化予防の効果があり、それぞれ既存のワクチンでオミクロン株にどのような効果を示すかは、今後の検証が必要です。

「オミクロン株」の病原性は?

オミクロン株が拡大しているだろう南アフリカでは、感染者数は急激に増加していますが、入院患者数は増加しているものの、それほど急激な増加ではないようです。またヨーロッパで確認されたオミクロン株の感染者も重症者はまだ確認されていません。そのためオミクロン株の病原性はそれほど強くない可能性が示唆されています。

しかし、これまで確認されている感染者は若くて、合併症のない方が中心のため、病原性に関して判断するのは、時期尚早とも考えられています。エビデンスが出揃うまで、もうしばらく時間がかかるでしょう。

正しく病原性を判断するには、これから数週間程度必要とされています。

今後もオミクロン株について、情報の更新がありましたら、こちらのページでお知らせして参ります。

参考資料

https://www.niid.go.jp/niid/ja/2019-ncov/2551-cepr/10792-cepr-b11529-2.html

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-12-01/R3FW6NDWX2PT01

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-11-30/R3EK2VDWLU6901

https://www.ecdc.europa.eu/sites/default/files/documents/threat-assessment-covid-19-emergence-sars-cov-2-variant-omicron-december-2021.pdf?fbclid=IwAR1a6XMYxcC9h70T3k_9ETTvAqQ072HXsC0ScC5Rzki7X-CHdAxKMXHwPdk

公開日:2021年12月4日

作成:クリニックフォアグループ 医師 渥美義大

※本記事は、上記公開日時点での状況・情報・エビデンスをもとに記載しています。新型コロナウイルス感染症については、日々状況が変化し、また新しくわかることも多々ありますので、最新の情報は、直近の記事や情報をご参照くださいますようお願いいたします。