インフルエンザウイルスとは?基礎知識について、医師が解説します。

インフルエンザを発症させる原因ウイルスである、インフルエンザウイルス。インフルエンザウイルスはそもそもどんなウイルスなのかを詳しく解説していきます。

インフルエンザウイルスってなに?

インフルエンザウイルスとは、直径:約1万分の1mmの大きさのウイルスで、ウイルスとしては大きさは中型です。

インフルエンザウイルスの表面は2種類のトゲ状の構造をしています。1つは、ヘマグルチニン(HA)という糖タンパクで、のどや気管支の細胞にウイルスが結合し、細胞の中に取り込まれて感染を成立させます。もう1つはノイラミニダーゼ(NA)という糖タンパクで、感染した細胞とHAの結合を切って、複製されたウイルスを細胞から放出させる役割があります。このHAやNAの種類によって、ウイルスの種類が分類されます。

インフルエンザウイルスは3種類のある?

インフルエンザウイルスにはA型、B型、C型の3種類があります。

インフルエンザA型

インフルエンザA型とは数年から数十年ごとに世界的な大流行が見せるインフルエンザの原因ウイルスです。インフルエンザA型のウイルスのHAにはH1~H16までの16種類、そしてNAにはN1~N9種類があります。この組み合わせによって、A型インフルエンザウイルスにはH1N1~H16N9のトータル144種類の亜型が存在するとされています。毎年流行するインフルエンザとしては、Aソ連型と呼ばれる亜型H1N1型、A香港型と呼ばれる亜型H3N2型などが有名です。

インフルエンザA型はインフルエンザウイルスの中でもヒト以外にも感染をするウイルスで、ブタ、ウマなどの哺乳類や、カモ、ニワトリなどの鳥類に感染することもあります。特に鳥類にインフルエンザウイルスが感染する鳥インフルエンザにおいては、流行地域によって亜型が異なるという特徴があります。この鳥インフルエンザの方がさらに変異して人間の間で大流行したものが、新型インフルエンザと呼ばれたりすることがあります。

インフルエンザB型

インフルエンザB型とは人にのみ感染するインフルエンザで、A型同様に冬場に周期的に流行をみせます。型がH1N1型のみという特徴があります。症状はA型インフルエンザウイルスとほぼ変わりません。

インフルエンザC型

インフルエンザC型は症状が非常に軽く、軽い風邪と判断されて治癒することがほとんどで、感染者は乳幼児が多くなります。インフルエンザC型はNAがないという特徴があります。

インフルエンザウイルスの潜伏期間と症状は?

インフルエンザウイルスに感染するとインフルエンザウイルスの感染を受けてから1~3日間ほどの潜伏期間を経て、症状が出現します。

インフルエンザの症状は、38度以上の高熱、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛・関節痛などが急激に現われ、咳、鼻汁などの上気道炎症状がこれに続いて見られることが特徴です。重症化しなければ、約1週間の経過で改善していきます。重症化すると肺炎や、小児ではインフルエンザによる急性脳症が見られることがあります。

A型とB型のインフルエンザウイルスに関しては症状も潜伏期間もほとんど同じです。C型に関しては、潜伏期間は不明であり、症状も鼻水程度とされています。そのため、風邪として判断されておわることが多いようです。

インフルエンザウイルスの感染予防にはワクチンが効果的?

インフルエンザウイルスはワクチンを接種することで、感染およびに重症化を予防する効果が期待できます。感染性をなくし、不活化させたインフルエンザウイルスを不活化ワクチンとして接種することで体内で免疫ができ、インフルエンザの感染もしくは重症化を予防する効果が期待されています。免疫を獲得できた場合、その期間は約5ヶ月とされているため、流行シーズンを鑑みて、遅くても12月上旬までの接種が推奨されています。ワクチン接種により健康な65歳以下の方のインフルエンザの発病割合を70〜90%減少させることができたほか、65歳以上の健康な高齢者がインフルエンザにかかり、肺炎などとなって重症化して入院する割合を30〜70%減少させたり、65歳以上の高齢者福祉施設に入所している高齢者については34~55%の発病を阻止し、82%の死亡を阻止する効果があったとされています。そのため、とくに重症化リスクの高い高齢者でワクチン接種は励行されています。

インフルエンザワクチンは、そのシーズンに予測される種類のインフルエンザに対するワクチンが毎年開発されて、流通されています。日本で現在流通しているインフルエンザワクチンは、4価ワクチンといい、インフルエンザウイルスA型株(H1N1株とH3N2株の2種類)とB型株(山形系統株とビクトリア系統株の2種類)のそれぞれを培養して製造しており、その年に感染すると思われる型をターゲットとしています。

クリニックフォアグループでもインフルエンザワクチンを毎年準備しております。その年によって国からの供給量も異なるため、ワクチンの量が異なりますがなるべく多くの方に予防接種を受けていただけるようにワクチンを確保してまいります。

インフルエンザのワクチンの予防接種について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

抗インフルエンザ薬の予防内服とは?

抗インフルエンザ薬の予防内服についてご存知でしょうか。予防内服とは、実際の治療に使われる薬を、感染予防目的で使用することです。例えば、受験や大事な会議など、ご自身やご家族に、どうしても休めない用事がある時、また、ご家族や会社の同僚など周囲の方がインフルエンザに感染された時、抗インフルエンザ薬を服用することで、インフルエンザの感染を予防することができます。(自費での処方となります)

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監修:クリニックフォアグループ医師

参考文献

大正製薬 https://www.seirogan.co.jp/fun/infection-control/influenza/influenza.html

大塚製薬 https://www.otsuka.co.jp/health-and-illness/quick-tests-for-infectious-diseases/influenza/symptoms/

国立感染症研究所 https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/219-about-flu.html

東北感染症危機管理ネットワークhttp://www.tohoku-icnet.ac/news/files/basic_lecture09_yamada.pdf

東京医科歯科大学 http://www.tmd.ac.jp/mri/koushimi/shimin/shiryou012.pdf