皮膚科のオンライン診療で水虫は治療できる?検査・治療法や注意点も詳しく解説

インターネット環境があれば、自宅などにいながら医師の診察が受けられる「オンライン診療」。便利なだけでなく、直接の受診に抵抗や恥ずかしさを感じるような症状があるときにも、心理的なハードルが低い受診方法と言えるでしょう。

では、水虫はオンライン診療で治療できるのでしょうか?その答えと、水虫の症状・検査・治療法の詳細、受診の目安、市販薬の注意点などについて詳しく解説します。

水虫はオンライン診療で治療できる?

水虫は、オンライン診療では基本的に治療できません。診断のために患部をしっかり検査する必要があるためです。

まれに、初診からオンライン診療ができる医療機関もありますが、主流ではありません。特に爪の水虫は、原因菌の検査が非常に重要なので、初診からオンライン診療ができる医療機関は基本的にありません。

オンライン診療が可能な場合は、すでに水虫の診断が確定している方や再診の方が対象となることが多いです。

そもそも水虫はどんな病気?

水虫は、白癬菌というカビの一種が皮膚に感染して生じる病気です。足にできることが多いですが、体や手、股、頭部にできることもあります。

足の水虫のタイプと症状

足の水虫には、趾間型、小水疱型、角質増殖型の3つのタイプがあり、さらに爪に水虫が生じることもあります。かゆみがないタイプもあるため、「かゆくないから水虫ではない」とは言い切れません。

ここでは、水虫のタイプ別の特徴や症状を見ていきましょう。

趾間型

足の指の間の皮膚が白くふやけ、皮がむけたりジュクジュクしたりするタイプです。皮膚が赤くなったり、皮膚のはがれが生じたりすることもありますが、症状はあくまで足の指の間にとどまります。

小水疱型

菌が足の裏の方に広がると、小水疱型に移行します。強いかゆみを伴う水ぶくれなどの症状が現れ、水ぶくれが大きくなることもあります。また、しばらくすると赤くなり、皮がむけることが多いです。

なお、趾間型から小水疱型に移行した時期は白癬疹が生じやすいです。白癬疹とは、感染に対するアレルギー反応による湿疹で、最初に感染したのとは別の場所に生じるものをいいます。

角質増殖型

足の裏全体が乾燥・角化し(硬く厚くなる)、ひび割れが生じるもので、炎症は軽いことが一般的です。痛みやかゆみなどの症状もありません。

爪白癬

爪白癬(爪水虫)は、爪に白癬菌が感染している状態のことです。爪が白く濁る、厚くなる、変形する、くずれやすくなるといった症状が現れることが一般的で、痛みやかゆみなどの症状はありません。

ただ、放置すると、爪が厚くなることによって靴を履いたときに痛みが生じたり、歩きにくくなったりすることがあります。

水虫の検査法

水虫に似た症状が現れる病気もあるため、水虫と診断するためには、患部に白癬菌がいるか調べる必要があります。検査は、患部の一部をピンセットなどで採取し、顕微鏡で観察することや抗原キットを用いて行います。

水虫の治療法

水虫の治療には、原因となる白癬菌(真菌)の成長や増殖を阻害する抗真菌薬を使用します。基本的には塗り薬を使いますが、塗り薬で効果が出ない場合や、爪水虫の場合は飲み薬を使うこともあります。

水虫の治療のポイント・注意点

水虫をしっかり治すためには、以下のような点に注意しましょう。

お薬は入浴後に塗る

入浴後は清潔な状態になっており、さらに、皮膚が柔らかくなっているため、お薬の

成分が浸透しやすいです。

また、入浴後に塗ると決めることで、塗り忘れも防ぎやすくなります。

お薬は両足の全体に塗る

塗り薬を使う場合、症状がある場所にだけ塗ればよいと思うかもしれませんが、これでは不十分です。症状がない場所にも菌が存在することがあるため、足全体に塗りましょう。片足にしか症状がない場合でも、両足全体に塗ります。

また、足裏全体はもちろん、指の間、足の側面、アキレス腱のまわりまでしっかり塗りましょう。

自己判断でお薬をやめない

症状がなくなっても、白癬菌はまだ潜んでいることがあります。しっかりと白癬菌をなくすために、症状がなくなってからもしばらくは治療を続けましょう。治療の止め時は医師の指示に従ってください。

なお、涼しい時期には白癬菌が少なくなり、症状がなくなることがあります。ただ、暑くなるとまた白癬菌が増殖して症状が現れるため、症状がない=治った、ではないことを理解しておきましょう。

水虫の市販薬を使ってもよい?

水虫のお薬は市販もされており、適切に使えば症状の改善が望めます。しかし、市販薬の使用にはデメリットも存在するため、理解した上で市販薬の検討をしましょう。

医療用医薬品ほどの効果が期待できないことがある

市販薬は、医療機関で処方される医療用医薬品よりも有効成分の濃度が低いことが多いです。ただ、適切に使えば水虫の改善が望めるため、選択肢の一つにはなります。

爪白癬には効果が期待できない

爪白癬は爪の奥に浸透する塗り薬や、飲み薬を使う必要があります。このようなお薬は市販薬にはないため、爪白癬のような症状がある場合はまず医療機関を受診しましょう。

また、原因が白癬菌ではない似たような病気も複数あるため、診断を受けるためにも医療機関を受診することが大事です。

お薬でかぶれることがある

医療用医薬品は、1つのお薬に対して1種類の有効成分が配合されていることが多いです。一方、市販薬には、メインの成分以外にもさまざまな成分が配合されていることが多いです。

水虫の市販薬にも、水虫治療薬のメインである抗真菌成分以外の成分が配合されていることがあります。中でも代表的な成分がかゆみを抑える成分です。ただ、このような成分はかぶれの原因になることもあるため注意しましょう。

費用が高くなる傾向がある

市販薬には保険が適用されないため、保険適用の医療用医薬品よりも費用が高くなりがちです。

前述の通り、しっかりと治療するにはお薬を広範囲に使う必要があるため、想像以上にお薬の使用量は多くなります。「市販薬は高いから少しずつ使おう」といった気持ちで中途半端に使うとなかなか治らず、ダラダラと治療を続けてしまい、より費用がかかる原因にもなります。

水虫の診断を受けてから使用したほうがよい

水虫に見た目の似た病気もあります。水虫だと自己判断して市販薬を使っても、水虫でなければお薬の効果が期待できないばかりか、悪化してしまうこともあります。

そのため、特に初めて症状が出た場合は、まずは皮膚科で診察を受けたほうがよいでしょう。

予防・再発予防には有用

上記のことをふまえると、市販薬が有効なシーンとしては、発症・再発予防目的で使うことが考えられます。

なお、医療用医薬品を水虫予防の目的で使いたい場合は、保険が適用できません。

水虫で医療機関を受診する目安

以下のようなケースでは医療機関を受診したほうがよいでしょう。なお、水虫の治療を行う主な診療科は皮膚科です。

  • 初めて水虫のような症状が現れた
  • 爪水虫のような症状がある
  • 市販薬を使ってもなかなか治らない
  • 市販薬を使ったら症状が悪化した
    など

水虫ができたときのセルフケア

水虫かな?と思ったら、早めに皮膚科を受診して適切な治療を受けましょう。また、治療だけでなく、以下のようなセルフケアも大事です。

患部をいじらない

かきむしったり水ぶくれを破いたり、皮をむいたりするのはやめましょう。ただれや化膿など、症状悪化につながることがあります。

清潔にし、乾燥状態を保つ

白癬菌は乾燥に弱く、湿気のある環境を好みます。そのため、ムレは水虫の悪化につながります。

靴下や靴は通気性のよいものを選び、靴下をこまめに交換するなど、乾燥と清潔を心がけましょう。足は、指の間までしっかり洗って清潔を保つことが大事です。

他者に感染させないように注意する

水虫は他者に感染させることもあります。スリッパ、バスマットなどの共用は避けましょう。室内では素足を避け、靴下やスリッパなどをはくことをおすすめします。

水虫の治療はクリニックフォアへ

クリニックフォアでは、保険診療で皮膚科のオンライン診療を行っています。ただ、爪水虫の場合や、触診・検査などが必要な場合は、対面診療をご案内させていただく場合がありますのでご了承ください。

※医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。
※効果・効能・副作用の現れ方は個人差がございます。医師の診察をうけ、診断された適切な治療方法をお守りください。 

参考文献

  1. 日本皮膚科学会ガイドライン -日本皮膚科学会皮膚真菌症診療ガイドライン 2019-
  2. 公共財団法人 日本皮膚科学会 -皮膚科Q&A-