EDとは?インポテンツとは別物?その意味・原因・対処法を徹底解説!

EDとは、勃起不全や勃起障害のことであり、勃起ができない、または勃起状態が続かないといったことがたびたびある状態のことです。加齢や精神的なものなどさまざまな事柄が関与しますが、治療は主にED治療薬を使うことが一般的です。 この記事では、EDの原因や分類、対処法のほか、インポテンツや早漏などの違いについても詳しく解説します。

ED(勃起不全・勃起障害)・インポテンツとは

ED(Erectile Dysfunction)は英語で「勃起機能の低下」のことであり、日本語では勃起不全や勃起障害と呼ばれるものです。医学的には「満足な性行為を行うのに十分な勃起が得られないか、または維持できない状態が持続または再発すること」と定義されています。

具体的には、以下のような場合はEDの可能性があると言えます。

  • 勃起が起こらない
  • 勃起状態の維持ができない
  • 勃起時の硬さが不十分 など

また、自分が勃起に満足できない場合もEDとして治療の対象となることがあります。たまに勃起しない、また勃起しないのではとの不安がある、といった場合は受診を検討してみましょう。場合によっては、彼女や妻に対してだけEDになることもあります。

インポテンツとは違う?

勃起できないことをインポテンツ(インポ)と言うことがあります。ドイツ語ではインポテンツ、英語ではインポテンスと発音しますが、どちらも意味は「性的不能」です。

意味はEDとほぼ同じですが、以前はEDという言葉が知られておらず、EDのことをインポテンツと言うことがありました。しかし、現在では医療業界で「インポテンツ」と言うことはなく、代わりに「ED」が使われています。

インポテンツは差別用語(役立たず、能力が低いといった意味)にあたるともされ、使われることが少なくなっているのです。1995年には「日本インポテンス学会」が「日本性機能学会」に改名するという出来事もありました。

早漏との違い

性行為に満足できない要因の一つとして、早漏(射精に至るまでの時間が極端に早い)も挙げられます。

原因は、性行為への不安や経験不足、包茎などの器質的な問題で亀頭への刺激に敏感になっている、神経の病気、前立腺の炎症、甲状腺の異常など多岐にわたります。

早漏はEDとは異なりますが、射精障害に分類され、治療薬もあるため気になる場合は病院で相談しましょう。

遅漏との違い

遅漏とは、挿入から射精までに時間がかかったり、挿入しても射精できなかったりすることを指します。こちらもEDとは異なりますが、早漏と同じく射精障害に分類されます。遅漏がストレスとなり、性行為を避けてしまったり、EDを発症してしまったりすることもあります。

また、遅漏によって膣内で射精できない状態(膣内射精障害)になると、不妊にもつながるため、治療をしたほうがよいでしょう。

EDの患者数

日本におけるED患者数は1,130万人と推定されており、40代以上の3人に1人がEDだと考えられています。1998年の調査では、40代では5人に1人、50代では2.5人に1人、60代では1.7人に1人が中等症以上のEDというデータが出ています。

しかし、これだけ多くの人が悩んでいるものの、実際に治療を受けている人は少ないとされています。

EDの原因

EDの原因として、加齢、生活習慣病(肥満や糖尿病、高血圧など)、心血管疾患、神経疾患、慢性腎臓病、睡眠時無呼吸症候群、外傷や手術、生活習慣(運動不足、喫煙など)、心理的要因、薬の副作用などが挙げられます。これらは、原因ごとに器質性ED、心因性ED、混合型ED、薬剤性EDに分類できます。それぞれについて詳しく見ていきましょう。

器質性ED

主に、血管や神経の障害が原因となるEDのことで、50~60代がなりやすいとされています。

代表的な原因は動脈硬化です。血管が硬くなると血流が悪くなり、陰茎にも血流が集まりづらくなってEDにつながるのです。動脈硬化は、加齢、生活習慣病(高血圧、糖尿病、脂質異常症など)が原因となります。

また、神経に障害があると、性的興奮が十分に陰茎に伝わらなくなり、EDにつながります。脳腫瘍やアルツハイマー病、パーキンソン病、脳などの外傷、手術の後遺症などが原因となりえます。そのほかにも、泌尿器系の病気がEDの原因となることがあります。

心因性ED

精神的なストレスが原因となるEDのことです。日常生活のストレス、パートナーとの関係におけるストレス、性交に関するトラウマなどが原因となりえます。

このようなストレスがあると、性的刺激を脳に伝達する神経に支障が生じることがあり、結果としてEDにつながるのです。この場合はまず、ストレス解消や規則正しい生活を心がける必要があります。また、医療機関を受診すると、心理療法が行われることもあります。

混合型ED

器質性EDに心因性EDが加わっている状態です。EDの中では最も多いタイプだとされています。

40代以降の男性は、動脈硬化や高血圧などで血管がダメージを受けやすく、ホルモン分泌の低下によってストレスの影響も受けやすくなるため、体と心の両面の影響がEDにつながるのです。

さらに、一度でも勃起できなかったり性行為が上手くいかなかったりすると、それが不安やトラウマとなり、心因性EDが強まることがあります。原因が複雑なので、治療も難しいとされています。

薬剤性ED

薬の副作用が原因となるEDです。中枢神経、末梢神経、循環器系、消化管などに作用する薬が原因となることがあり、たとえば以下のような薬に注意が必要です。

分類薬剤の例使用する病気、症状、目的の例補足情報
抗うつ薬・アモキサピン(アモキサン)
・パロキセチン塩酸塩水和物(パキシル)
・デュロキセチン塩酸塩(サインバルタ)
うつ症状
抗精神病薬・リスペリドン(リスパダール)
・パリペリドン(インヴェガ)
・オランザピン(ジプレキサ)
統合失調症
睡眠薬ロフラゼプ酸エチル(メイラックス)眠れない時
抗けいれん薬・フェノバルビタール
・プリミドン
てんかん
筋弛緩薬・エペリゾン塩酸塩(ミオナール)
・チザニジン塩酸塩(テルネリン)
腰痛
抗コリン薬ブチルスコポラミン臭化物(ブスコパン)風邪、鼻炎、めまい、胃痛、腹痛市販の風邪薬、花粉症薬、酔い止めなどにも配合されることがある
鎮痙薬気管支喘息、胃腸痙攣
麻酔薬麻酔
カルシウム拮抗薬・アムロジピンベシル酸塩(アムロジン)
・ニフェジピン(アダラート)
高血圧
利尿剤フロセミド(ラシックス)高血圧
β遮断薬・アテノロール(テノーミン)
・ビソプロロールフマル酸塩(メインテート)
不整脈
高脂血症用剤・プラバスタチンナトリウム(メバロチン)
・シンバスタチン(リポバス)
・ロスバスタチンカルシウム(クレストール)
・アトルバスタチンカルシウム水和物(リピトール)
コレステロール値を下げる
血管拡張剤亜硝酸アミル狭心症
H2ブロッカー・ファモチジン(ガスター)
・シメチジン
・ニザチジン(アシノン)
・ロキサチジン酢酸エステル塩酸塩(アルタット)
・ラフチジン(ストガー)
胃痛、胃十二指腸潰瘍市販の胃痛薬などにも配合されることがある

EDの対処法

EDの原因はさまざまであるため、その対処法もさまざまですが、基本的にはED治療薬を使うことが多いです。また、生活習慣の改善が重要となることもあります。詳しく見ていきましょう。

ED治療薬の使用

主なEDの治療法は、ED治療薬の使用です。ED治療薬は、性的興奮に伴い、血管を広げて勃起をサポートする薬です。神経や勃起にかかわる細胞などに障害がない限りは、効果が期待できるとされています。

また、心因性EDの場合も、薬で成功体験を得ることで不安が解消され、ED改善につながることがあります。薬剤性EDの場合は、併用禁忌でなければED治療薬を併用することで改善が可能なケースがあります。

日本では、バイアグラ、シアリス、レビトラとそれぞれのジェネリックがED治療薬として厚生労働省に承認されています。ネット通販などでも販売されていることがありますが、海外製品であることが多く、安全性などが保障できないため、必ず医療機関を受診して処方してもらいましょう。

生活習慣の改善

EDは、生活習慣病が背景にあることが多いです。この場合はED治療薬を使っても対症療法にしかならないので、根本的に改善する必要があり、そのために生活習慣の改善が重要です。

適切な食生活、適度な運動などを心がけましょう。ストレス解消や規則正しい生活も大事です。

その他の治療法

薬剤性EDの可能性がある場合は、まず、薬を処方してくれている主治医に相談しましょう。その薬がないと、体に重大な影響が生じることもあるため、自己判断で薬をやめたりしないでください。

また、医療機関によってはEDの治療として、陰茎への注射、器具を使った治療などを実施する場合もあります。さらに、心因性EDの場合は心理療法が行われることもあります。治療法や対処法はさまざまですが、EDが気になる場合はまず主治医への相談や、ED治療を行っている医療機関の受診を検討してください。

EDの診断・治療はどこで受ける?

EDの診断・治療は泌尿器科や内科、専門のクリニックなどで行っています。すでに解説した通り、EDはさまざまな病気や、薬の副作用などが原因となることがあります。背景にある病気などに気づくためにも早めに受診し、適切な診断・治療を受けることが大事です。

そもそも自分がEDなのかよくわからず、受診しづらいといった場合は、まずはセルフチェックするとよいでしょう。EDのセルフチェックには、IIEF(国際勃起機能スコア)が使われることが一般的です。簡易的なもの(SHIMスコア)は、5問の質問に答え、21点以下だとEDの可能性があるため、参考にしてください。

なお、直接の受診は抵抗がある場合は、オンライン診療の利用を検討してみましょう。クリニックフォアでは、オンライン診療でED治療薬の処方を行っています。診察はオンラインで実施し、薬は後で配送されるので、忙しい方でも利用しやすくなっています。

参考文献

  1. 日本性機能学会/日本泌尿器科学会|ED 診療ガイドライン
  2. 日本泌尿器科学会|勃起力(ぼっきりょく)が低下した
  3. 日本臨床内科医会|ED(勃起障害)Q&A