日常生活で健康に気を付けている、健康に特に気を使っているという方が検討するケースが多いのはサプリメント。
サプリメントを含む食品は医薬品とは異なり、身体への構造や機能への影響を表示することは原則認められていません(疾患に対する診断・治療・予防・軽減の表現は一切認められていません)。しかし、現実的には、世の中にまるで効果があるように謳われている成分が多く存在することは事実です。また、一部の成分は、たしかに海外では効能を謳うことを認めらる成分であったり、古くから民間療法で使用されており、間接的な効果が否定できないということも事実ではあります。
医師から見て、各成分がどのように見えているのかを共有することは、一定程度の意味があると考え、記事を作成致します。
今回は、トンカットアリとはどういった成分なのか、どんな効果があるのかについて詳しくご紹介します。
トンカットアリとは?
トンカットアリとはインドネシアやマレーシアの低地森林に主に自生する植物です。日本名ではナガエカサ、マレーシアではPenawar pahit、Tongkat ali、インドネシアでPasakbumiと呼ばれています。成長が非常に遅いことが特徴で15㎝成長するまでに10年かかるといわれています。
ですが、成長すると高さは10mほどにもなるとても大きな植物です。
トンカットアリの木の幹や根からエキスをを取り出して、サプリメントに加工しますが、特に根の部分のエキスを抽出したものが高い効果を得られると言われています。サプリメントの形態は、錠剤、液体、粉末とさまざまな形態へ加工可能で、これらどの形態に加工しても効果に差はないといわれています。
もともと、トンカットアリはマレーシアなどの東南アジアでは古来より解熱剤、マラリア治療および胃病等の民間薬として用いられてきたものです。マレーシア国立マレー大学 生化学部教授がトンカットアリの成分を抽出することに成功し、この10年ほどで一気に商品化され、サプリメントとして出回るようになりました。
トンカットアリにはどんな効果があるの?
一部研究者によると、トンカットアリは朝鮮人参よりも5倍も高い効果をもつとされており、疲労回復、免疫力の向上、男性機能の強化といった「活性」に、あくまでサプリメントのレベルで影響を与えると報告されています。
その他にも、血液循環の向上、ホルモンバランスの調節(特に精子数の増加)、勃起レベルの向上、性衝動の増進及び射精前状態の増長、性行為の活発化、抗腫瘍の効能、抗潰瘍の効能、抗マラリアなどの効果も期待されているとしています。
特に、男性の性に対する効果は、マウスを用いた実験では論文で報告されており、とある大学の生化学研究ではトンカットアリを1週間服用した後では、精巣で作られる男性ホルモンのテストストロンが480%増加するという結果が報告されています。
しかしながら、これらは、あくまで人間を対象とした臨床試験ではなく、医学的な臨床試験で有意差が得られたものではないことにご注意ください。医学的に正しいアプローチで大きな有意差が得られたものであれば、製薬会社によって、その有効成分は「薬剤」として開発され、承認を得て、日本で保険診療で使用できる薬剤として認可されている可能性が高いからです。
一部の研究者が上記のような報告をしており、まだ人間に対する影響ははっきりと証明されているわけでは有りませんが、日本ではこの男性の性の効果に期待して使用される方が多い傾向があるようです。
現在、男性の精力、特に性衝動や勃起レベルなどの治療薬として主流となっているのはバイアグラというお薬です。ですが、このお薬は性行動の30分前に服用しなければならないという手間がかかることや、心臓、循環器系に負担をかけるということから人によっては使えないという方もいらっしゃいます。そういった方の民間療法として、トンカットアリを摂取する方が多いようです。
いずれにしても、サプリメントは、あくまで健康の補助として、特定の疾患に対する診断・治療・予防・軽減を期待せずに摂取することをお勧め致します。