膣内射精障害とは?原因・対処法・治療法などを詳しく解説!

膣内射精障害とは、マスターベーション(自慰行為)などでは射精できるのに、性行為の時に女性の膣内で射精できないことをいいます。男性不妊の一因にもなり、重大な問題となり得ます。この記事では膣内射精障害の原因や対処法について詳しく解説します。

膣内射精障害とは

膣内射精障害とは、マスターベーションなどでは射精できるのに、性行為の時に女性の膣内で射精できないことをいいます。射精障害(勃起はできるが正常な射精ができない)の一種です。

膣内で射精できないため、男性不妊の一因にもなります。厚生労働省による男性不妊に関する調査結果によると、不妊治療を受けている男性のうち、射精障害が原因となっている人が7.4%いたとされています。

膣内射精障害の原因

膣内射精障害の原因の多くは、誤った方法でのマスターベーションとされています。その他に、心理的な問題などが原因となることもあります。原因について詳しく見ていきましょう。

誤ったマスターベーションの方法

マスターベーションの際、膣の中の刺激とは大きく異なる刺激を与えていたり、性行為の時の体勢とは大きく異なる体勢をとっていたりすると、通常の性行為で射精できなくなることがあります。

代表的なものに、いわゆる床オナがあります。これは、陰茎を床などに押し付けて、手を使わずに行うマスターベーションのことです。強い圧迫などによって快感を感じるため、膣の中の刺激とは大きく異なります。人によっては勃起しないまま射精しているケースもあります。

また、強く握ったり、かなりのスピードで手を動かしたりするなど、手で強い刺激を与えていると、強い刺激に慣れてしまい、実際の性行為で快感を得づらくなります。

そのほか、仰向けで足をのばさないと射精できないなど、特定の姿勢でないと射精できないケースもあります。この場合、挿入時に同じ体勢がとれなければ、射精できなくなってしまいます。

心理的な問題

心理的な問題で射精ができなくなることもあります。

たとえば、性行為が悪いものだという意識があったり、腟内射精や子供をつくることに対する恐怖心・プレッシャーがあったりするケースが考えられます。また、パートナーに、「下手」など、性行為に関するネガティブな言葉をかけられたことがあったり、子作りのための義務的な性行為に辟易していたりすると、やはり射精しづらくなるでしょう。このような心理的な問題を抱えている場合は、勃起すらできないこともあります。

そのほかにも、特殊な性癖があり、一般的な性行為では快感が得られないというケースも存在します。

その他

薬の副作用、アルコール依存、糖尿病、手術などが原因となることもあります。なお、このようなケースでは、勃起そのものができなかったり、状況にかかわらず射精ができなかったりすることが多いです。

膣内射精障害の対処法

膣内射精を改善するためには、マスターベーションの方法を変える、性行為の際にリラックスできる環境をつくる、医療機関を受診して治療を受けるなどの対応が必要です。詳しく見ていきましょう。

射精リハビリテーション

誤ったマスターベーションを行っている場合は、マスターベーションの方法を変える必要があります。

リラックスした姿勢で、手を上下に動かし、あまり力を加えずに射精できるようにするのが基本です。マスターベーションで適切な射精のコツをつかむことで、実際の性行為でも射精しやすくなります。

さらに、実際の性行為の感覚に近づけるよう、コンドームをつけてマスターベーションをすることが有効な場合もあります。コンドームをつけると感覚がやや鈍くなるためです。また、実際の性行為では、性的な感覚に集中するようにするとより射精しやすくなるでしょう。

なお、このような射精リハビリテーションは、医療機関を受診し、医師のアドバイスのもと行うとよりよいです。場合によっては器具を使った矯正を行うこともあります。

リラックスできる環境をつくる

心理的な問題が原因の場合は、精神的にリラックスすることで、膣内射精障害の改善につながる可能性があります。「射精しないと」と追い込まれてしまうと、精神的な負担になり、膣内射精障害が悪化したり、勃起できなくなったりすることもあります。

まずは、抱きしめ合ったり触れあったりするだけでも満足できるような時間を作れるように努めてみましょう。また、パートナーと問題を共有し、性行為のあり方、方法を話し合うことも大事です。

薬剤治療

勃起障害(ED)もある場合は、ED治療薬を使うことで射精障害も改善できることがあります。また、射精や勃起をサポートする漢方薬などもあります。薬は病院で処方してもらうとよいでしょう。

カウンセリング

心理的な問題がある場合、医療機関ではカウンセリングを行うことがあります。カウンセリングにおいては、まず、射精障害は一般的な病気であり、治療で改善できることを理解することが必要とされています。

また、パートナーと一緒にカウンセリングを受けるケースもあります。パートナーも射精障害に対して不安を感じている場合は、一緒にカウンセリングを受けることで相互理解につながるでしょう。

その他

薬の副作用やアルコール、糖尿病などが原因となる場合は、アルコールの量を制限したり、薬の量や種類を調整したり、糖尿病などの病気の治療を行ったりする必要があります。医療機関を受診し、医師に指導を受けるとよいでしょう。

膣内射精障害の治療にかかる期間

膣内射精障害の治療には長い時間がかかることもあります。子どもを希望しており、急いでいる場合は、シリンジ法(採取した精液を注射器で膣内に注入する方法)や人工授精などで妊娠を目指す必要があるケースもあります。

膣内射精障害になったときの注意点

膣内射精障害だからといって避妊しないでよい、とは考えないでください。たまたま射精できるときがあるかもしれません。子どもを望んでいない場合は性行為の時は必ずコンドームをつけましょう。

また、コンドームは性感染症予防のためにも重要な意味があります。

膣内射精障害以外の射精障害

膣内射精以外にも、射精障害にはさまざまなタイプがあります。一例として以下のようなものが挙げられます。

  • 神経性射精障害:脊髄損傷などで神経が障害され、射精できない状態
  • 逆行性射精障害:膀胱に精子が逆流し、射精できない状態
  • 早漏:射精するまでの時間が早すぎる状態
  • 遅漏:射精するまでの時間が遅すぎる状態(遅すぎて膣内で射精できなければ、膣内射精障害となる)

早漏や遅漏はよく聞く言葉なので「仕方がない」とあきらめてしまっている人もいるかもしれませんが、実は治療を行っている医療機関もたくさんあります。

このように、射精に何らかの不安がある場合はまず医療機関を受診するとよいでしょう。場合によっては治療で改善できる可能性があります。

射精障害かもと感じる方は医療機関への受診を

膣内射精障害を含む射精障害の可能性がある場合は、早めに医療機関を受診するとよいでしょう。前述の通り、治療ではカウンセリングや薬などを用います。また、器具を使ってマスターベーションの方法を矯正することもあります。

医療機関では、膣内射精障害の診断のために、問診のほか、血液検査が行われることがあります。問診では、症状やマスターベーションの方法、飲酒歴、服薬状況などを聞かれるため、メモなどにまとめてから受診するとよいでしょう。

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参考文献

  1. 横浜市立大学附属市民総合医療センター 生殖医療センター泌尿器科|報告書ダイジェスト版