マイコプラズマ・ウレアプラズマとは? チェックリスト
まずは、以下のような行為や症状がないか、チェックしてみましょう。
- 最近キスや性行為をした
- のどにイガイガする感じや違和感がある
- 最近よく咳が出る
- 性器にかゆみを感じる
- 排尿痛や尿道の違和感がある
- 睾丸が痛む
- 性器から膿のような分泌物が出る
- おりものの量が増えた
マイコプラズマ・ウレアプラズマ感染症について
上記チェックリストで症状をチェックしましたが、マイコプラズマやウレアプラズマ感染とは、どのような感染症なのでしょうか?また、同じような名称のマイコプラズマ肺炎とは、何が異なるのか気になる人もいるでしょう。そこでこの感染症について、また、マイコプラズマ肺炎との違いについて紹介します。
マイコプラズマ・ウレアプラズマとは
マイコプラズマやウレアプラズマは、近年、尿道炎や咽頭炎の原因として注目されている菌で、その症状は淋病やクラミジアなどと似ています。
これまで、尿道炎などの原因としてクラミジアや淋病などが考えられていました。しかし、これらの検査を行っても陰性となるケースがあり、そのような場合の原因がマイコプラズマやクラミジアである可能性もあると分かってきました。
このマイコプラズマ・ウレアプラズマは、尿道や腟以外に、のどにも感染する可能性があります。
マイコプラズマ肺炎との違い
マイコプラズマ肺炎という病気を聞いたことがあるでしょうか? マイコプラズマ肺炎と、性感染症のマイコプラズマ感染症では何が違うの? と疑問に思う人もいるかもしれません。
マイコプラズマ肺炎と性感染症のマイコプラズマでは、まず菌のタイプが違います。また、性行為やキスなどによって、相手の性器やのどに感染するマイコプラズマ感染症と異なり、マイコプラズマ肺炎は咳やくしゃみなどによって飛沫感染するのが特徴です。
マイコプラズマ肺炎の症状としては、主に発熱や倦怠感、頭痛、咳などの症状が出ることが多く、症状が長引いたり、重症化することもあります。
マイコプラズマ・ウレアプラズマ感染症の症状
次に、マイコプラズマ・ウレアプラズマの主な症状を、男女別に紹介します。
<男性の症状>
- 排尿するときに痛みがある
- 尿道に違和感を感じたり、性器にかゆみを感じる
- 尿道から膿のような分泌物が出る
- 睾丸が腫れたり痛んだりする
- のどがイガイガしたり、咳が出る
<女性の症状>
- おりものの量が増える
- 尿道に違和感を感じる
- 性器や周辺にかゆみを感じる
- のどがイガイガしたり、咳が出る
また、男女ともに感染していても無症状の場合もあるため、感染していることに気付かないケースもあります。
マイコプラズマ・ウレアプラズマの感染経路は性行為とキス
先述したように、マイコプラズマ・ウレアプラズマの感染経路は、性行為やキスです。性行為の場合は、腟性交だけでなく、オーラルセックスやアナルセックスでも感染する可能性があります。また、キスだけでも感染する可能性があるため、自分が感染した場合には、無症状であってもパートナーも感染している可能性があるので注意が必要です。
マイコプラズマ・ウレアプラズマを放置するとどうなるの?
女性の場合、マイコプラズマやウレアプラズマに感染すると、妊娠時に流産や早産など不妊につながることが指摘されています。これは、マイコプラズマやウレアプラズマに感染することで、子宮と腟とをつないでいる子宮頸管が炎症を起こすためとされているためです。
また、男性の場合でも、マイコプラズマ・ウレアプラズマ感染と不妊の関係性を示唆する報告もされています(※)。
マイコプラズマ・ウレアプラズマ感染症の検査と治療法
マイコプラズマ・ウレアプラズマ感染症は、性感染症としての認知度はまだあまり高くありません。しかし、マイコプラズマ・ウレアプラズマの感染率は、性感染症の中でも増加傾向にあるため、心当たりのある場合にはできるだけ早く受診するようにしましょう。
検査方法
マイコプラズマ・ウレアプラズマの検査方法としては、男女ともにうがい検査、もしくは尿検査となります。また、女性の場合は腟分泌液を採取して行う場合もあります。
検査を受けるタイミングとしては、性的な接触をしてから24時間以降で、マイコプラズマ・ウレアプラズマに該当するような症状がある人は検査を受けた方が良いでしょう。また、先にクラミジアや淋病の検査を受けて陰性だった人なども、追加マイコプラズマ・ウレアプラズマの検査を受けることで、原因を突き止められる可能性が高まります。
治療方法
マイコプラズマ・ウレアプラズマは、抗菌薬の飲み薬で治療します。抗菌薬には、1回分の飲み切りタイプと、1週間継続して服用するタイプがあります。治療のために医師から処方された抗菌薬は、指示通りにしっかり飲み切ることが大切です。
マイコプラズマ・ウレアプラズマ感染症を予防するには?
マイコプラズマ・ウレアプラズマ感染症を予防するには、性行為時にコンドームを使用するようにしましょう。コンドームを使用することは、避妊目的だけでなく、感染症を予防する上でも大切です。また、治療後は再感染を防ぐためにも、治療が成功したことを確認する必要があります。最後に、予防法について紹介します。
性行為時にはコンドームを使用する
マイコプラズマやウレアプラズマ感染を予防するためにも、妊娠希望の時以外の性行為では、必ずコンドームを使用しましょう。コンドームは腟性交時だけでなく、オーラルセックスなどの場合にも使用することで、よりこれらの感染リスクを下げられます。また、不特定多数の人との性的な接触は感染リスクを高めてしまうため、できるだけ避けた方が安心です。
感染後に治療を行ったら、必ず再検査まで受ける
マイコプラズマ・ウレアプラズマに感染していることが分かり、抗菌薬で治療を行った後には、必ず再検査を受けて陰性になったことを確認するようにしましょう。
近年では抗菌薬に耐性を持つ耐性菌の存在が問題となっており、処方された抗菌薬で完全に治癒できていないケースもあります。そのような状態で治癒したと思い込み、パートナーと性行為をすると、お互いにうつし合うピンポン感染を起こす可能性も。これらを防ぐためにも、医師から指示された時期に、必ず再検査を受けるようにしましょう。
マイコプラズマ・ウレアプラズマ感染症はパートナーと一緒に治療を
性感染症としてはまだあまり知られていないマイコプラズマ・ウレアプラズマですが、その感染確率は、クラミジアや淋病などとあまり変わりません。性行為だけでなく、キスでも感染することが分かっており、放置してしまうと不妊の原因にもなり得ます。
気になる症状や心当たりのある人は、できるだけ早めに受診し、ピンポン感染を防ぐためにもパートナーと一緒に検査や治療を行いましょう。また、マイコプラズマやウレアプラズマの感染を予防し、大切なパートナーと安心して性行為をするためにも、コンドームを正しく使用してくださいね。
参考文献
※ huang C, et al. Mycoplasma and ureaplasma infection and male infertility: a systematic review and meta-analysis. Andrology. 2015 Sep;3(5):809-16.