ピルを飲んでいるのに生理がくる理由とは?生理をずらす方法も含めて医師が解説します。

低用量ピルの服用中に生理がきた場合、その理由にはどのようなものがあるのでしょうか?問題ない場合もあれば、病気が隠れている場合もあるため、原因をはっきりさせることが大切です。ここでは、低用量ピルの服用中に生理がくる理由や、生理をずらす方法などについて詳しくご紹介します。


ピルを飲み忘れなく飲んでいるのに生理がくる理由①消退出血

低用量ピルで生理周期を整えることはできますが、生理を完全に止めることはできません。そのため、低用量ピル服用中に生理(正確には消退出血と呼ぶ)がくるのは自然なことで、休薬またはプラセボ(有効成分が入っていない偽薬)の期間に出血がある場合は、消退出血の可能性が高いです。

消退出血が起きるメカニズム

ピルにはエストロゲンとプロゲステロンというホルモンが配合されています。低用量ピルを飲むとき、21錠タイプなら1シート終えるごとに7日間休薬し、28錠タイプなら最後の7日分がプラセボとなっているため、この7日間はホルモンが補充されなくなります。すると、子宮内膜が保てなくなり、剥がれ落ちて消退出血が起きるのです。

休薬またはプラセボの期間に入ってから2日程度で出血が起こることが多く、通常の生理よりも出血量は少なめで、5日程度続くことが一般的です。

ピルを飲み忘れなく飲んでいるのに生理がくる理由②不正出血

休薬またはプラセボの期間以外に生理がきた場合は、不正出血の可能性があります。副作用や病気、妊娠などの可能性があるため詳しく見ていきましょう。

副作用

低用量ピルを飲むと、約20%の人に不正出血の副作用が起きるというデータがありますが、そのまま飲み続ければ解消されることが多いといわれています。

あまり気にする必要はありませんが、どうしても気になる場合は医師に相談してみましょう。場合によってはピルの種類を変更することで、不正出血が改善される可能性があります。

病気

低用量ピルの副作用ではない原因不明の不正出血の場合は、何らかの病気が隠れているかもしれません。子宮筋腫や子宮内膜症、子宮腺筋症のほか、子宮頸がんや子宮体がんなどの可能性もあるため、早めの検査が必要です。

また、子宮頸がんや子宮体がんと診断された場合は、その時点で低用量ピルの服用を中止しないといけないため、注意が必要です。

妊娠

妊娠初期の出血の可能性もあります。しかし、低用量ピルによる避妊効果は99.7%(※)と非常に高いため、正しく飲んでいる場合は妊娠の可能性は低いでしょう。

ただし、飲み忘れたり、正しい飲み方をしなかったりした場合は92%程度(※)まで避妊率が下がってしまいます。不安な場合は妊娠検査薬を使用するか、婦人科を受診しましょう。

ピルで生理を完全に止めることはできる?

生理を止めるのは難しい

最初に説明した通り、低用量ピルで生理周期を整えることはできても、完全に止めることはできないので注意しましょう。

生理のタイミングを調節することはできる

低用量ピルの飲み方を工夫することで、生理(消退出血)のタイミングを調節することは可能です。

生理を早めたいときは、ずらしたい生理の1周期前の生理中に飲み始め、生理を起こしたい日の2日前まで飲み続けましょう。ただし、生理開始5日目までに飲み始めないとうまく調節できないので注意してください。

また、遅くしたいときは生理がきそうな日の5日前から飲み始めます。飲んでいる間は予定の生理日を超えても1〜2週間程度は生理を止めることができ、飲むのをやめると2日後くらいに生理がきます。

ヤーズフレックスなら生理は4ヶ月に1度だけ

低用量ピルの一種である「ヤーズフレックス」なら、120日間の服用と4日間の休薬を続けることで、最大120日間生理を止めることができます。

ただし、25日目以降に出血が起こる可能性があり、出血が3日間続いた場合は一旦休薬する必要があります。また、基本的には60日程度で出血が起こってしまうことが多いといわれています。

参考文献

Hatcher RA et al, Contraceptive Technology: Twentieth Revised Edition. P779-861, New York : Ardent Media, 2011. https://www.aska-pharma.co.jp/iryouiyaku/news/filedownload.php?name=5b24abc385e31d3ac76cd894b1aec24e.pdf

https://www.jsog.or.jp/news/pdf/CQ30-31.pdf