禁煙のメリットと禁煙外来の治療内容とは。成功のコツも紹介

「タバコは体に悪く、やめなきゃいけないとわかっているけどやめられない」そんな気持ちを持っている喫煙者の方は多いはずです。
現在、喫煙者のうちおよそ3人に1人が「タバコをやめたい」と思っているとの結果があります※1。ところが喫煙者の割合は、ここ数年なかなか減りません。自力での禁煙成功率は5~10%程度ともいわれており、なかなか困難な道のりです※2。

そこで今回は、禁煙によるメリットと禁煙外来の具体的な治療方法についてお伝えします。

※1 参照:厚生労働省健康局総務課生活習慣病対策室 平成30年国民健康・栄養調査結果の概要
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/h30-houkoku_00001.html
※2 参照:日本医師会 すすめよう禁煙
https://www.med.or.jp/dl-med/nosmoke/susumeyou.pdf

健康・見た目・経済…禁煙の3大メリット

 

禁煙はなんとなく「健康にいい」というイメージがあるかもしれません。具体的にどう健康にいいのか、そして健康面のほかに見た目や経済面にもみられるメリットについて紹介します。

健康面の変化

禁煙すると20分で血圧・脈拍が正常値まで下がり、24時間では心臓発作のリスクの低下がみられるなど、早急に身体機能が回復します。せきや喘鳴などの呼吸器症状が改善したり、免疫機能が回復することでかぜやインフルエンザなどの感染症にもかかりにくくなります。

 

 

妊娠中の母親がタバコを吸うと、胎児の発育遅延、前置胎盤、死産など母子ともにさまざまな健康被害がありますが、妊娠前に禁煙すれば胎児の成長に大きく影響することはないため平均出生体重は非喫煙者の母親の場合とほぼ同じになります。妊娠早期に喫煙していた場合でも、妊娠3〜4カ月までに禁煙すれば、早産や低出生体重、周産期死亡のリスクも低下することがわかっています※3。

※3 参照:厚労省の最新タバコ情報 妊娠・出産への影響
https://www.health-net.or.jp/tobacco_archive/ladies/mr4000003.html

見た目の変化

禁煙を続けていると、肌のハリ・ツヤの改善や白髪の減少、シミ・たるみの改善など、見た目にもうれしい変化が現れるようになります。

タバコには肌を老化させる作用があるため、「スモーカーズフェイス」と呼ばれる目尻や口元のしわ、まぶたのたるみ、歯や歯茎の着色、口臭、顔色の悪さなど喫煙者特有の老化した顔になります。さらに喫煙によって歯を失う危険性は非喫煙者の2~3倍とも言われています※4。

※4 参照:国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策研究所 予防関連プロジェクト
https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/331.html#:~:text=%E7%8F%BE%E5%9C%A8%E3%81%BE%E3%81%9F%E3%81%AF%E9%81%8E%E5%8E%BB%E5%96%AB%E7%85%99%E8%80%85,%E7%B4%843%E5%80%8D%E3%81%A7%E3%81%97%E3%81%9F%E3%80%82

経済面の変化

禁煙は経済面でも大きなプラスをもたらします。

例えば1日1箱(600円)を吸っている人が禁煙をすると、1カ月で18,000円、年間では219,000円もの節約になります。

また、循環器・呼吸器疾患や歯の治療などで通院する割合も非喫煙者のほうが格段に減るため、医療費も大幅に減少します。厚生労働省の試算によると、喫煙者(男性)の禁煙5年未満の人の医療費と禁煙10年以上の人の医療費の差は3年間で実に81,800円にも上るという結果が出ています※5。

保険についても、非喫煙者として割引料金で生命保険に入ることができるなど、禁煙による経済効果はとても大きいと言えます。

※5 参照:効果的な禁煙支援法の開発と普及のための制度化に関する研究
https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/2005/057041/200500482A/200500482A0003.pdf

禁煙すると身体に起こる一時的な変化

タバコの煙の粒子成分には4,300種類、ガス成分には1,000種類もの化学物質が含まれています。禁煙するとそれだけの化学物質を避けることになるので、健康被害から身を守り健康な状態へ体が変化していくことは容易に想像できます※6。

しかし、その身体の変化が本人にとってはつらいと感じるものもあるかもしれません。

禁煙を行ったことで生じる身体の一時的な変化としては以下のものがあります。

※6 参照:e-ヘルスネット
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/tobacco/t-05-004.html

体重の増加

禁煙した方の傾向として、禁煙前よりも食事量が増加するという傾向があります。

ニコチンの離脱症状が起こる

慢性的に吸収していたニコチンが切れてしまうことによって、ニコチンの離脱症状(禁断症状)が出て、理由もなくイライラする、体がだるくなる、眠れなくなるなどの症状が出てきます。

ですが、これらの症状は長くても一週間程度で、さらに禁煙外来によって軽減させる事ができます※7。

※7 参照:一般社団法人日本呼吸器学会 禁煙のすすめ
https://www.jrs.or.jp/citizen/nosmoking/think/method.html

自分で禁煙? それとも禁煙外来? さまざまな治療方法の紹介

 

今は色々な禁煙方法があります。生活スタイルや予算など、自分にあった方法で禁煙にチャレンジしましょう。

自力で禁煙する場合

自力で禁煙する場合に大切なのは、軽いタバコに変えたり本数を減らしたりするのではなく、禁煙開始日を決めたら一気に実行することです。

禁断症状の山場は禁煙開始から3~7日ですが、乗り越えるためにはしっかりとした心構えと環境の整備が必要です。

自力禁煙の心構え

  • 喫煙場所や飲酒など喫煙のきっかけに近づかない
  • たばこやライターを捨てたり、喫煙者に近づかないなど環境を整える
  • 吸いたくなったら水を飲む、運動するなど代替行動をする

二コチンガムを活用する

ニコチンガムは、その名の通りニコチンが含まれたガムで、タバコを吸いたいと思った時に代わりに噛んで喫煙欲求を減少させます。自分の意思だけよりも、禁煙成功率は1.5~2倍程度高くなると言われています※8。 ドラッグストアなどで手軽に購入ができること、短時間で効果が出ることなどがメリットです。

※8 参照:e-ヘルスネット 禁煙のおくすりってどんなもの?
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/tobacco/t-06-006.html

成功率70%超!禁煙外来での治療

禁煙外来での治療はある一定の基準を満たした喫煙者に対して行われ、12週間で計5回の治療に健康保険が適用されます。お薬を使うだけでなく、専門の医師からアドバイスをもらえるため、治療終了後4週間の禁煙成功率が約70~80%程度と、自力の禁煙と比べてより確実に禁煙できます※9。

※9 参照:厚生労働省 ニコチン依存症管理料による禁煙治療の効果等に関する調査報告書(案)https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000184202.pdf

ニコチンパッチ

ニコチンパッチは、ニコチンを含んだ貼り薬です。禁煙はニコチンパッチの使用と同時に開始し、貼り替えるのは1日1回、入浴・就寝中も貼ったままです。貼る場所は腕やお腹、背中が主ですが、肌荒れを防ぐために毎日場所を変える必要があります。

ニコチンパッチとは?詳しい効能や使用法について、医師が解説します。

ニコチンを含まない内服薬 チャンピックス

新たな禁煙補助薬として、内服薬のチャンピックスがあります。

禁煙外来でのみ処方される飲み薬タイプで、ニコチン成分を含んでいないお薬です。脳を刺激して少量のドーパミンを放出させることで、イライラなどの禁断症状を減らす作用があります。 また、その一方でニコチンをブロックするため、タバコを吸ってもおいしいと感じにくくなります。

禁煙を開始する日を最初に設定し、その1週間前から服用を開始します。

チャンピックスとはどんな薬?効能・副作用などについて医師が解説します。

保険診療と自由診療の違いは?

 

禁煙外来には保険診療と自由診療の二つがあります。

一定基準を満たした場合は保険診療による禁煙治療が可能

下記の基準を満たした場合は、禁煙治療に保険が適用されます。

禁煙治療の保険適用要件

  1. ニコチン依存症のスクリーニングテストで、ニコチン依存症と診断されること
  2. 35歳以上では、喫煙指数要件(1日の喫煙本数×喫煙年数が200以上)を満たすこと
  3. ただちに禁煙を希望すること
  4. 「禁煙のための標準手順書」に沿って説明を受け、同意していること

自己負担額が3割の場合、12週間計5回の診療の費用は13,000~20,000円程度です※10。

※10 参照:全国健康保険協会 2月 禁煙に取り組もう
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g5/cat525/r2/30215/

保険診療のメリット・デメリット

それぞれ下記のようなメリットとデメリットがあります。

メリット

  • 基準を満たせば保険適用されるので安価で治療可能
  • 医師・看護師に対面で相談できる

デメリット

  • 12週間で5回の通院スケジュールを満たせない場合は保険が適用されない
  • 途中で通院を止めた場合、初回治療日から1年以上経過しないと保険適用されない

2024年5月現在、保険診療による禁煙治療はニコチンパットでの治療のみとなります。チャンピックスは製薬会社の都合により供給が停止されており、処方は海外製の後発品(バレニクリン、チャンピックスジェネリック)のみで、自由診療での取り扱いとなります。

自由診療なら自分の都合で禁煙治療に取り組める

保険適用の条件にマッチしない、通院する時間が取れないなどの場合は自由診療で禁煙治療をすることも可能です。通院の必要がなく、自分の都合に合わせた治療が可能です。

クリニックフォアの禁煙治療

クリニックフォアの禁煙治療は、問診からお薬の処方までがオンラインで完結するだけでなく、ご希望や生活スタイルに沿った治療を提案いたします。

また、自由診療なのでチャンピックスの海外後発品・バレニクリンの処方が可能です。お薬は最短で翌日に届くので、思い立ったらすぐに実行できるところも大きなメリットです。

 

 

※医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。

禁煙を成功させるコツ

 

禁煙中には「禁断症状」という、タバコを吸いたくなるタイミングが定期的にあるといわれています。その時に吸わずにやり過ごす方法を知っておくと役に立ちます。また、吸いたくなる状況をあらかじめ回避することも大切です。

タバコを吸いたい気持ちになったときの対策例

  • 冷水を飲む
  • 氷をなめる
  • ガムをかむ
  • 歯を磨く
  • 散歩する

禁煙治療をはじめてみませんか?

 

最近ではさまざまな方法で負担を軽減することができ、禁煙を実施しやすい環境になってきています。

なかなかタバコをやめられない人、禁煙に挑戦してもどうしても失敗してしまう人……。タバコをやめるのに遅すぎるということはありません。この機会に禁煙を始めてみましょう。

※効果・効能・副作用の現れ方は個人差がございます。医師の診察をうけ、診断された適切な治療方法をお守りください。
※クリニックフォアでは、国内未承認医薬品および承認医薬品の承認とは異なる目的で使用している医薬品がございます。

チャンピックス海外

未承認医薬品等

チャンピックスは、禁煙治療薬として厚生労働省に承認されています。海外製チャンピックス(後発品)は同成分の医薬品です。

入手経路等

日本国内未承認医薬品・医療機器等は厚生局の正式なプロセスを経て、当院医師の判断の下、輸入をしたものになります。

輸入された医薬品の入手経路について詳細は下記URLをご確認ください。

当院で輸入している医薬品の入手経路について

また、個人輸入サイト等を通して一般の方が医薬品を購入して使用するリスク・健康被害に関しては、厚生労働省から注意喚起が出されております。

個人輸入された医薬品等の使用によるリスク

国内の承認医薬品等の有無

チャンピックスは禁煙治療薬として国内で承認されています。海外製チャンピックスは同成分の医薬品です。

諸外国の安全等の情報および副作用

チャンピックスはアメリカ食品医薬品局(FDA)で禁煙治療薬として承認されています(承認年月日:2006/05/10)。

安全性等に関わる情報としては、吐き気、眠気、基礎疾患として有している精神疾患の悪化といった症状が記載されています。

医薬品副作用被害救済制度について

万が一重篤な副作用が出た場合は、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。