アトピーが悪くなる季節はいつ?冬に注意したい対策とは?医師が解説します。

アトピーは季節によって悪化しやすいことがあります。その中でも今回は、冬という季節に着目していきます。

アトピーはなぜ冬になると悪化するのか、悪化しないように今から予防をしておく方法はあるのか、詳しく解説していきます。

アトピーってそもそもどんな病気?

アトピーがいつ悪化するのかをご紹介する前にまずは、アトピーとはどういう病気なのかをご紹介します。アトピーとは、アトピー性皮膚炎のことを指します。アトピー性皮膚炎は痒みを伴い慢性的に経過する皮膚炎のことをいいます。乾燥やバリア機能が低下した皮膚にアレルギーを引き起こす刺激が加わることで、発症していきます。

アトピーの患者さんは5歳までに症状が出てくることが多く、乳児では2か月以上、それ以上の年齢では6か月以上続くときにアトピー性皮膚炎と診断されます。日本人の有病率は、乳幼児で約30%、18歳では11%、20 歳代で10.2%、30 歳代で 8.3%、40 歳代で 4.1%、50~60歳代が2.5%と推定されています。

アトピーは夏と冬どちらが悪化しやすい?

アトピーは夏に悪化することが多い方と冬に悪化することが多い方に分かれます。夏に悪化しやすいという方は、暑くなって汗をかくことでその汗が皮膚への刺激となって悪化しやすくなります。

それでは、なぜ冬になるとアトピーが悪化してしまうのでしょうか。その原因は乾燥です。冬になると空気が乾燥してくるため、ただでさえ皮膚が乾燥してバリア機能が低下してしまっている皮膚には、刺激が加わりやすくなってしまいます。ただでさえ空気が乾燥しやすい季節ですが、暖房を使用してしまうと、さらに空気の乾燥が助長されるので、アトピーが悪化しやすくなってしまうのです。

冬にアトピーを悪化させないための方法とは?

冬にアトピーを悪化させないためにはどうすればよいのでしょうか。乾燥が原因となるので、保湿を充分に行うということがアトピー対策のポイントとなります。

大人のアトピーは顔から上半身にかけて乾燥が強くなる傾向にあります。そのため、全身の保湿はもちろんですが、顔や上半身はしっかりと保湿をしていくことがおすすめです。

保湿剤はご自身の使用感が良いものを使用して構いません。こまめに塗ることが理想ではありますが、最低でも1日2回は塗って頂くことを推奨しています。また、ローションタイプなどさっぱりとしたタイプの保湿剤は冬場ですと物足りないこともありますのでクリームタイプやオイルタイプなど保湿力の強いものを使用されるとよいでしょう。また、皮膚の乾燥だけでなく空気の乾燥も改善することが必要です。暖房を使用される際には加湿器もセットで使用して湿度を保っていきましょう。

冬になると熱いお風呂につかりたくなるという方も多いかもしれません。ですが、熱いお湯は皮膚に刺激となり、乾燥を助長したり痒みを引き起こしたりします。そのため、あまり熱いお湯での入浴はおすすめできません。お風呂に入ったら身体がかゆくなってきたという場合には一度出て体を冷やしたり、お湯の温度を下げたりしていきましょう。刺激の強い入浴剤は、身体を温める作用のある入浴剤もおすすめできません。また、入浴後はすぐに保湿剤を使用することで乾燥を食い止めることができます。

さらに大人のアトピーにはストレスが関係していることもあります。冬は空気の乾燥でただでさえアトピーが悪化しやすい時期なので、ストレスをため込まず適宜解消して、アトピーの原因をひとつでも減らしていけるとよいでしょう。

悪化したアトピーの治療方法は?

冬にアトピーが悪化してしまったという場合の治療方法は、アトピー性皮膚炎の炎症をステロイド性の外用薬で鎮静しつつ、カルシニューリン阻害外用薬(タクロリムス軟膏)で治療をしていきます。また、保湿を継続して行っていくことが必要です。

アトピーの治療は根本的に改善できる治療方法がなく、対処療法が基本となります。ですが、症状が出た時にしっかりと治療をしてあげることで、症状のない状態をキープしていくことができます。

クリニックフォアグループの皮膚科ではアトピーの治療をさせていただいております。アトピーは慢性的な皮膚疾患のため、長期的な治療が必要となります。クリニックフォアの皮膚科では、患者様のお悩みの相談にのり、適切な治療をすることで長期的に患者様とお付き合いすることができればと考えております。

アトピーにお悩みの方、冬を迎える前にアトピーが悪化することを予防していきたいと考えている方はクリニックフォアグループの皮膚科へお気軽にご相談ください。

公開日:10月28日

監修:クリニックフォアグループ医師

参考文献

日本皮膚科学会 https://www.dermatol.or.jp/qa/qa1/q02.html

山梨県医師会 http://www.yamanashi.med.or.jp/tsuru/onepoint/onepoint24.htm

関西医科大学附属病院 http://www.kmu.ac.jp/hirakata/hospital/knowledge/knowladge018.htmlアトピー性皮膚炎診療ガイドライン https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/atopic_GL2018.pdf