ビタミンB群の代表的な効果とは?
ビタミンB群は、エネルギー代謝をサポートする補酵素という存在です。糖質、脂質、タンパク質を摂っても、ビタミンB群がなければスムーズに代謝できず、エネルギーとして使えません。
それぞれの栄養素の役割や、期待できる効果は以下の通りです。
ビタミンB1:糖質の代謝
ビタミンB1は糖質の代謝をサポートする補酵素です。ビタミンB1が不足すると、糖質がエネルギーに変換されづらくなり、疲労の原因になることがあります。
その他にも、以下のような働きがあります。
- アルコールの代謝にかかわる
- 脳の働きにかかわる
- 神経の働きを正常に維持する
ビタミンB2:脂質の代謝
ビタミンB2は、過酸化脂質(コレステロールや中性脂肪など)や、糖質、脂質、タンパク質の代謝にかかわっています。
また、脳と肝臓の働きにかかわったり、皮膚や粘膜、髪、爪などの細胞を再生したりするのにも役立っています。
さらに、ストレスなどによる充血や肌荒れ、にきび、湿疹、口内炎の改善も期待できます。
ビタミンB6:アミノ酸の代謝
タンパク質の合成にはアミノ酸が必要です。ビタミンB6はアミノ酸の代謝にかかわっており、結果としてタンパク質の合成につながっています。そのため、タンパク質だけでなく、ビタミンB6を一緒に摂取することも大事なのです。
その他にも、ビタミンB6には以下のような働きがあります。
- 脂質の代謝にかかわる
- 酸化を防ぐ
- 造血にかかわる
- 正常な免疫機能の維持
- 皮膚の抵抗力を高め、美肌を維持する
- 神経伝達物質の合成
- 脳の働きにかかわる
- 抗アレルギー作用にかかわる
- 脂肪肝の予防につながる
また、疲れによる皮膚炎、口内炎、イライラなどの改善も期待できます。
ビタミンB12:アミノ酸の代謝・タンパク質の合成
ビタミンB12はビタミンB6のようにアミノ酸の代謝とタンパク質の合成にかかわっています。
また、正常な赤血球をつくるためにも必要な栄養素です。
ナイアシン:エネルギー代謝にかかわる
ナイアシンはビタミンB3とも呼ばれます。
数多くの酵素の働きをサポートして、脂質や糖質の分解にかかわるなど、エネルギー代謝にかかわっています。
また、皮膚や粘膜の炎症、神経症状などを防ぐ効果も期待できます。
パントテン酸:エネルギー代謝にかかわる
パントテン酸はビタミンB5とも呼ばれます。
たんぱく質、脂質、糖質の代謝においてサポートの中心的な役割を担う「コエンザイムA」という補酵素を構成する成分です。
また、神経や副腎皮質の機能を正常に維持したり、皮膚や毛根に栄養を補給したりしています。
葉酸:赤血球の生成・胎児の発育にかかわる
葉酸は、ビタミンB9とも呼ばれます。ビタミンB12と共に作用して正常な赤血球をつくるために必要な栄養素で、胎児の発育にも重要な存在です。
妊娠初期は、胎児の細胞分裂が盛んかつ、神経がつくられる時期です。この時期に葉酸が不足すると、胎児の先天異常(神経管閉鎖障害)のリスクが高まるため、2000年に厚生労働省から、「妊娠可能な年齢の女性等に対する葉酸の摂取に関する通知」が出されました。
この通知では、妊娠の可能性がある女性は、通常の食事からの葉酸摂取に加えて、サプリメントなどから1日400μgの葉酸を摂取することで、胎児の神経管閉鎖障害の発症リスクが下がる可能性があるとされています。
また、葉酸の摂取が特に必要なのは、妊娠1ヶ月以上前から妊娠3ヶ月までとなっています。
ビオチン:エネルギー代謝にかかわる
ビオチンは、ビタミンB7とも呼ばれます。補酵素として、糖質、脂質、アミノ酸などのエネルギー代謝にかかわっているほか、皮膚、粘膜、爪、髪の健康にかかわり、白髪・薄毛予防効果も期待できます。
また、筋肉痛の緩和にもつながるとされています。
ビタミンB群の美容効果とは?
ビタミンB群は、主にエネルギーの代謝にかかわる栄養素ということが分かったと思いますが、実は美容においてもさまざまな効果が期待できます。詳しく見ていきましょう。
美肌効果
ビタミンB群には、皮膚や粘膜を健やかに保つ働きや抗酸化作用があります。そのため、
ターンオーバーを促し、美肌を維持することにつながります。肌荒れ、にきびを防ぐ効果も期待できます。
太りにくい体質になる
ビタミンB群には、食事で摂取した糖質、脂質、タンパク質を代謝する(エネルギーに替える)はたらきがあることは、すでに説明したとおりです。
食事で摂取したにもかかわらず、エネルギーに変換されなかったり使われなかったりしたものは脂肪として体にたまってしまいます。そのため、ビタミンB群で代謝がスムーズに行われることで、太りにくくなるのです。
ビタミンB群の1日の摂取量
ビタミンB群はいずれも水溶性ビタミンなので、摂取しても尿として排出されてしまいます。そのため、毎日しっかり摂取する必要があります。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、ビタミンB群の1日の摂取推奨量や目安量、耐容上限量は以下のようになっています。
【男性】
ビタミンB1(mg) | ビタミンB2(mg) | ビタミンB6(mg) | ビタミンB12(μg) | ナイアシン(mgNE) | パントテン酸(mg) | 葉酸(μg) | ビオチン(μg) | |||||||||
推奨量 | 耐容上限量 | 推奨量 | 耐容上限量 | 推奨量 | 耐容上限量 | 推奨量 | 耐容上限量 | 推奨量 | 耐容上限量※ | 推奨量 | 耐容上限量 | 目安量 | 耐容上限量 | 目安量 | 耐容上限量 | |
18~29歳 | 1.4 | なし | 1.6 | なし | 1.4 | 55 | 2.4 | なし | 15 | 300(80) | 5 | なし | 240 | 900 | 50 | なし |
30~49歳 | 1.4 | 1.6 | 60 | 15 | 300(85) | 5 | 1000 | |||||||||
50~64歳 | 1.3 | 1.5 | 55 | 14 | 300(85) | 6 | 1000 | |||||||||
65~74歳 | 1.3 | 1.5 | 50 | 14 | 300(80) | 6 | 900 | |||||||||
75歳以上 | 1.2 | 1.3 | 50 | 13 | 300(75) | 6 | 900 |
※ニコチンアミドの重量、( )内はニコチン酸の重量
【女性】
ビタミンB1(mg) | ビタミンB2(mg) | ビタミンB6(mg) | ビタミンB12(μg) | ナイアシン(mgNE) | パントテン酸(mg) | 葉酸(μg) | ビオチン(μg) | |||||||||
推奨量 | 耐容上限量 | 推奨量 | 耐容上限量 | 推奨量 | 耐容上限量 | 推奨量 | 耐容上限量 | 推奨量 | 耐容上限量※ | 推奨量 | 耐容上限量 | 目安量 | 耐容上限量 | 目安量 | 耐容上限量 | |
18~29歳 | 1.1 | なし | 1.2 | なし | 1.1 | 45 | 2.4 | なし | 11 | 250(65) | 5 | なし | 240 | 900 | 50 | なし |
30~49歳 | 1.1 | 1.2 | 45 | 12 | 1000 | |||||||||||
50~64歳 | 1.1 | 1.2 | 45 | 11 | 1000 | |||||||||||
65~74歳 | 1.1 | 1.2 | 40 | 11 | 900 | |||||||||||
75歳以上 | 0.9 | 1.0 | 40 | 10 | 250(60) | 900 | ||||||||||
妊婦 | 年齢ごとの推奨量+0.2 | 年齢ごとの推奨量+0.3 | 1.3 | なし | 2.8 | 年齢通り | なし | 480 | なし | |||||||
授乳婦 | 年齢ごとの推奨量+0.2 | 年齢ごとの推奨量+0.6 | 1.4 | 3.2 | 年齢ごとの推奨量+3 | 6 | 340 |
※ニコチンアミドの重量、( )内はニコチン酸の重量
なお、ビタミンB群はそれぞれが助け合って働くので、一緒に摂ることが大事です。また、ビタミンB6はタンパク質の摂取量に比例して必要量が増えるため、タンパク質を多く摂る方は、ビタミンB6摂取も心がけるようにしましょう。
(参考)
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf
ビタミンB群が不足するとどうなる?
ビタミンB群は、すでに説明した通り、体の中で重要かつさまざまな働きをしています。そのため、不足すると以下のような症状につながることがあります。
- 皮膚や粘膜の炎症、異常
- かゆみ
- 疲れ目
- 目の充血
- 口角炎、口内炎、舌炎
- 脱毛、白髪
- 脚気(ビタミンB1の不足によって心不全、末梢神経障害が起き、足のむくみやしびれが生じる)
- ペラグラ(ナイアシン不足によって、皮膚炎のほか、下痢、認知症、精神の異常などが生じる)
- ウェルニッケ脳症(ビタミンB1の不足によって、意識障害、眼球運動障害、ふらつきなどの運動失調が生じる)
- 食欲不振
- 胃腸障害
- 下痢
- 便秘
- 吐き気、嘔吐
- 肝機能低下
- 性腺機能低下(精巣や卵巣の機能低下)
- 貧血
- 頭痛
- めまい
- 動悸
- 疲れ
- 肩こり
- 筋肉痛
- 神経炎
- 神経系の障害
- 手足のまひや痛み
- けいれん
- 記憶力、集中力低下
- うつ、不安、無気力
- イライラ
- 精神障害
- 異常興奮
- 幻覚
- 音に過敏になる
など
本来、普通の食生活をしていれば、こうした症状が出るほど不足することはないはずですが、実際は相対的に不足している人が多いとされています。
ビタミンB群が不足する理由
精製品や加工品の増加によって、ビタミンB群の摂取量が不足しがちになっていると言われています。
ビタミンB群の消費量が増える原因として、以下のようなものも挙げられます。
- ストレス
- 食べすぎ
- アルコールの摂りすぎ
- 精製された白い食べ物(白砂糖など)
- 加齢
- 妊娠
- 授乳など
また、抗生物質を長期間飲んでいると、腸内細菌のバランスが崩れ、腸内でつくられるビタミンB群(パントテン酸など)がつくられにくくなります。
ビタミンB群を摂りすぎるとどうなる?
ビタミンB群は水に溶けて尿と一緒に排出されるので、摂りすぎても問題ないことが多いです。さらに、食事で摂りすぎることはほぼないので、あまり心配する必要はありません。
ただし、サプリメント摂取時には、以下のように、摂りすぎによって体に悪影響が生じるものもあるので注意しましょう。(耐容上限量を超えないようにしましょう。)
- ビタミンB6:大量摂取が長期間続いた場合に、感覚神経障害
- ナイアシン:皮膚の赤み、嘔吐、下痢、肝機能障害など
- 葉酸:プロテイルモノグルタミン酸(合成された葉酸)を大量に摂った場合に、発熱、じんましんなど
ビタミンB群の取り入れ方
ビタミンB群の取り入れ方は、食品、サプリメントなどがあります。詳しくは以下の通りです。
食品からとる
ビタミンB群は水溶性ビタミン、つまり水に溶けるので、スープに入れるなど、汁ごと食べられる調理法がおすすめです。
また、それぞれが助け合って働くので、一緒に摂ることも大事です。
それぞれの栄養素が豊富に含まれる食品は、以下の通りです。
(参考)
https://fooddb.mext.go.jp/ranking/ranking.html
ビタミンB1
ビタミンB1は、特に豚肉に豊富に含まれています。最も多いのは豚ヒレ肉を焼いたものですが、他の部位や調理法でも多くのビタミンB1が含まれているため、好きな部位、食べ方で取り入れてみましょう。
食品 | 100gあたりの含有量(mg) |
豚肉(ヒレ・焼き) | 2.09 |
のり | 1.21 |
豚ロースハム | 0.86 |
たらこ | 0.77 |
うなぎ(かば焼き) | 0.75 |
ドライトマト | 0.68 |
しょうが(甘酢漬け) | 0.63 |
抹茶 | 0.60 |
ビタミンB2
ビタミンB2は、のり、魚介類、卵、乳製品に多く含まれています。
食品 | 100gあたりの含有量(mg) |
のり | 2.68 |
脱脂粉乳 | 1.60 |
キャビア | 1.31 |
アーモンド | 1.04~1.07程度 |
乾燥わかめ(素干し) | 1.01 |
からすみ | 0.93 |
フォアグラ(ゆで) | 0.81 |
青汁(ケール) | 0.80 |
うなぎ(かば焼き) | 0.74 |
ウズラの卵(生) | 0.72 |
ビタミンB6
ビタミンB6は、赤身の魚や、脂の少ない肉(ささみやヒレ肉など)に多く含まれています。
食品 | 100gあたりの含有量(mg) |
にんにく(茎・油いため) | 1.80 |
ピスタチオ(炒り・味付け) | 1.22 |
カブ(葉の塩漬け) | 1.10 |
まぐろ | 1.08 |
ドライバナナ | 1.04 |
ドライトマト | 0.95 |
ビーフジャーキー | 0.85 |
豚肉(ヒレ・焼き) | 0.76 |
カツオ | 0.76 |
青汁(ケール) | 0.75 |
ビタミンB12
ビタミンB12は魚介類や動物性食品に多く含まれています。
食品 | 100gあたりの含有量(μg) |
めふん(鮭を使った塩辛) | 330.0 |
しじみ(水煮) | 82.0 |
岩のり(素干し) | 69.4 |
あまのり(味付けのり) | 67.9 |
かたくちいわし(田作り) | 65.0 |
あさり(水煮) | 64.0 |
鮭のすじこ | 54.0 |
いくら | 47.0 |
はまぐり(つくだ煮) | 45.0 |
あおのり(素干し) | 41.6 |
ナイアシン
ナイアシンは熱に強いので、加熱調理しても影響が少ないという特徴があります。ただし、
飲酒によって失われることがあるので注意してください。
また、ビタミンB1・B6などと助け合って働くので、バランスよく摂取しましょう。
食品 | 100gあたりの含有量(mg) |
たらこ | 50~57程度 |
落花生(炒り) | 23.0 |
まぐろ | 21.0 |
辛子明太子 | 20.0 |
しいたけ(乾燥) | 19.0 |
かつお | 19.0 |
ごまさば(焼き) | 19.0 |
鶏肉(ささみ・ソテー・焼き) | 18.0 |
かたくちいわし(田作り) | 17.0 |
くさや | 16.0 |
パントテン酸
パントテン酸は腸内細菌によって合成されますが、以下のような食品にも含まれています。カフェインやアルコールをとると多く消費されてしまうので、注意しましょう。
食品 | 100gあたりの含有量(mg) |
しいたけ(乾燥) | 8.77 |
からすみ | 5.17 |
フォアグラ(ゆで) | 4.38 |
ひきわり納豆 | 4.28 |
脱脂粉乳 | 4.17 |
かたくちいわし(田作り) | 3.74 |
たらこ(生・焼き) | 3.68 |
卵黄(生) | 3.60 |
鶏肉(ささみ・ソテー) | 2.95 |
にじます(焼き) | 2.68 |
葉酸
葉酸は熱に弱いので、加熱していないものを摂るのがおすすめです。妊娠を考えている方、妊娠初期の方は、サプリメントも使いながら葉酸を積極的に摂ることが大事です。
食品 | 100gあたりの含有量(μg) |
焼きのり | 1900 |
味付けのり | 1600 |
岩のり(素干し) | 1500 |
青汁(ケール) | 820 |
板わかめ(乾燥) | 510 |
ブロッコリー(焼き) | 450 |
うに | 360 |
たたみいわし | 300 |
青のり(素干し) | 270 |
しいたけ(乾燥) | 270 |
ビオチン
食品 | ビオチン含有量(μg) |
落花生(炒り) | 110.0 |
青のり(素干し) | 71.0 |
卵黄 | 65.0 |
焼きのり | 47.0 |
ドライトマト | 43.0 |
しいたけ(乾燥) | 41.0 |
あおさ(素干し) | 31.0 |
ふなずし | 28.0 |
全卵(目玉焼き) | 27.0 |
炒り大豆 | 27.0 |
サプリメント・ビタミン剤を活用する
ビタミン摂取を意識して、さまざまな食材をそろえるのはかなり大変だと思います。時にはサプリメントやビタミン剤を活用するのも一つの方法です。
サプリメント・ビタミン剤の副作用
サプリメントやビタミン剤でも、リスクはゼロではありません。製品にもよりますが、たとえば医薬品のビタミン剤の副作用としては主に便秘、吐き気、下痢、めまいなどが生じることがあります。
気になる症状が現れた時は服用をやめ、医師や薬剤師に相談しましょう。
サプリメント・ビタミン剤を使うときの注意点・コツ
サプリメントやビタミン剤を使う時は、用法用量を守り、生活習慣も気にする必要があります。詳しくは以下の通りです。
用法用量を守る
ビタミンB群の過剰摂取で健康被害が生じることがあります。そのため、サプリメントやビタミン剤を飲む時は、必ず用法用量を守ってください。たくさん効果を得たいからといって、飲みすぎは禁物です。
生活習慣に注意する
せっかくサプリメントやビタミン剤でビタミンB群を補給しても、生活習慣によってはビタミンB群が消費されやすくなることがあります。以下のような点に注意しましょう。
- ストレスをためない
- 食べ過ぎない
- 過度な飲酒は控える
ビタミンB群はクリニックフォアの美容皮膚オンライン診療へ
クリニックフォアの美容皮膚オンライン診療では、ビタミンB1・B2・B6・B12を配合した「ビタダン」を取り扱っています。肌荒れ・ニキビを防いだり、ターンオーバーの促進や美肌の維持をしたりする効果が期待できます。
スマホなどを使ってオンラインで診察を受けていただき、薬は配送するので、忙しい方でもビタミンを取り入れやすくなっています。
※医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。
※効果・効能・副作用の現れ方は個人差がございます。医師の診察をうけ、診断された適切な治療方法をお守りください。