クラミジアは自然治癒する?放置するリスクや治療法を詳しく解説!

クラミジアは、クラミジア・トラコマチスという細菌が原因となる性感染症です。日本では最も多い性感染症とされています。

クラミジアを放置すると感染が広がって重大な症状が出たり、不妊の原因となったりすることがあるので、早めに治療を受けることが大事です。では、クラミジアが自然治癒することはあるのでしょうか?この記事で詳しく解説します。

クラミジアは自然治癒する?

クラミジアが自然治癒することはありません。抗菌薬による治療が必要となります。ただ、自然治癒したように感じるケースがあります。

自然治癒したように感じるケースはある

他の病気の治療で使った抗菌薬によって、たまたまクラミジアが治ったり、症状が抑えられたりするケースがあります。

ただ、そもそもクラミジアは症状が出ないことも多い性感染症なので、症状がなくなったからといって完全に治ったと判断することはできません。

クラミジアの疑いがあるときは、どのような場合でも必ず検査・治療を受ける必要があります。

クラミジアを放置するとどうなる?

クラミジアを放置すると、感染・炎症が広がったり、不妊の原因になったりすることがあります。そのまま妊娠すると、流産や早産の原因になることも。また、他の性感染症にかかるリスクも高まります。詳しくは以下の通りです。

感染・炎症が広がる

クラミジアを放置すると、以下のように感染・炎症が広がることがあり、重大な症状が出ることがあります。

男性精巣上体炎・精巣上体(陰嚢)の腫れ、痛み・軽い発熱
女性子宮内膜炎・激しい腹痛
卵管炎
卵巣炎
骨盤腹膜炎
肝周囲炎・激しい上腹部痛

なお、男女ともに、のどに感染した場合(咽頭クラミジア)は軽症のケースが多いですが、放置すると咽頭炎や扁桃腺炎になることがあります。

不妊の原因となる

クラミジアを放置すると、男女ともに不妊につながることがあります。

男性の精巣上体炎が放置されると、精子の通り道がつまって、男性不妊症の原因となります。

また、女性は、卵管の壁の増殖、卵管の内側の癒着、卵管が卵子を運ぶ機能の低下による不妊、子宮外妊娠の原因となります。子宮内膜炎が生じると、受精しても着床できなくなる恐れもあります。

流産・早産の原因となる

クラミジアに感染したまま妊娠したり、妊娠中に感染したりすると大変危険です。

適切な治療を受けないと、絨毛膜羊膜炎に発展し、子宮収縮が促進されて、流産や早産につながることがあります。また、感染したまま出産にいたると、出産時に赤ちゃんに感染し、赤ちゃんが肺炎や結膜炎を発症することもあります。

ただ、クラミジアの検査は妊婦健診で検査が行われることが一般的です。厚生労働省が公開している健診スケジュールでは、必要に応じて妊娠30週までにクラミジア検査を行うのが目安とされています。

クラミジアの感染が判明した場合は、妊娠中でも使えるアジスロマイシンまたは、クラリスロマイシンという抗菌薬の内服薬での治療が推奨されています。

他の性感染症にかかるリスクが上がる

クラミジアにかかると、粘膜が弱くなり、他の性感染症にかかるリスクが高まります。クラミジアと淋病に同時感染しているケースは珍しくありませんし、HIV感染症にいたっては、感染率が数倍になるとも言われています。

そもそもクラミジアはどんな病気?

そもそもクラミジアは、主に性行為によって、クラミジア・トラコマチスという細菌に感染することで生じる性感染症です。

クラミジアの症状

クラミジアに感染しても症状が出ないことも多いですが、症状が出た場合は、以下のようなものが挙げられます。

感染部位症状
尿道・排尿時の軽い痛み・尿道のかゆみ、不快感・尿道からサラサラとした分泌液が出る
子宮頸管・軽いかゆみや痛み・おりものの増加、変化・不正出血・下腹部の痛み・性交時の痛み
のど・のどの腫れ、痛み・せき・発熱・頸部リンパ節の腫れ・耳が詰まった感じ・滲出性中耳炎・難聴・鼻づまり
肛門・軽い下痢・肛門周辺の痛み・肛門からの出血
・充血・目ヤニ・まぶたの腫れ

なお、感染部位によっても潜伏期間(感染から発症までの期間)が異なることがありますが、おおむね1~3週間とされています。

クラミジアの原因・感染経路

クラミジアの原因は、クラミジア・トラコマチスという細菌です。主に、感染者の腟分泌物や精液が粘膜に触れることで感染するため、性行為で腟や尿道に感染することが一般的です。

その他に、オーラルセックスでのどに感染したり、アナルセックスで直腸に感染したり、菌が含まれる体液のついた手で目をこするなどして目に感染したりすることもあります。ただ、軽いキスでうつることはほとんどないと考えられています。

また、クラミジアが自然発生したり、お風呂やトイレなどの日常生活で感染したりすることはありません。クラミジアの原因菌は、感染者の体から離れると生きられないためです。

クラミジアの患者数

クラミジアは日本で最も多い性感染症です。

最近では2018年頃以降から増加傾向となり、2022年の患者数は約3万人となっています。

以前は女性が明らかに多かったものの、近年は男性患者数も同じくらいになってきています。

また、男女ともに20代の感染が非常に多いのも特徴です。

※上記の数字は定点観測医療機関(約1000施設)からの報告数であり、実際の患者数はさらに多いです。

クラミジアの検査方法

クラミジアの検査は、医療期間(性感染症科、性病科などの専門の診療科、婦人科、泌尿器科、耳鼻咽喉科など)、保健所で受けることができます。

基本的に「PCR検査」や「抗原検査」という、患部に菌がいるかどうかを調べる検査を行います。症状がある部分に応じて、腟ぬぐい検査、尿検査、うがい検査などを行います。なお、検査可能な時期は、早くとも、感染の可能性が考えられる行為から24時間後となります。早すぎると正しい結果が出ないことがあるので注意しましょう。

なお、血液中にクラミジアに対する抗体が存在するか調べる「抗体検査」もありますが、過去に感染経験があると陽性になってしまうことや、感染部位の特定ができないといった理由から、抗体検査を行うことは少ないです。

クラミジアの治療法

クラミジアは、内服の抗生物質で治療します。マクロライド系、キノロン系、テトラサイクリン系のどれかを使うことが一般的です。

1回飲めば効果が期待できるお薬と、7日間飲み続けるお薬があります。

クラミジアの予防法

クラミジアの予防のためには、以下のようなポイントを押さえましょう。

  • 不特定多数と性行為をしない
  • コンドームを使う
  • 感染者や、感染症が疑われる症状がある人と性行為をしない

なお、コンドームでも100%予防できるわけではないので注意しましょう。また、体調不良のときや生理のときは抵抗力が下がっており、感染・発症しやすいので性行為を避けることをおすすめします。

クリニックフォアの性感染症オンライン診療

クリニックフォアでは、オンラインと対面で性感染症の検査・治療を行っています。気になる症状があったり、パートナーの感染が判明したりした場合は、まずは検査を受けてください。クラミジアだけでなく、他の性感染症の検査も同時にできるプランも多数ご用意しています。

オンライン診療の場合、スマホなどで診察を受けていただき、お薬はご希望の場所に配送します。性感染症のお薬とはわからない形で配送しますので、安心してご受診ください。

※医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。
※自由診療 
※効果・効能・副作用の現れ方は個人差がございます。医師の診察をうけ、診断された適切な治療方法をお守りください。 

参考文献

  1. 日本感染症学会誌 「性感染症 診断・治療 ガイドライン 2016」
  2. 厚生労働省 「性感染症報告数(2004年~2022年)」
  3. 厚生労働省 「妊婦検診Q&A」
  4. 産婦人科 診療ガイドライン ―産科編 2020