しこり・ニキビのような発疹やできものは梅毒?初期の症状を詳しく解説!

性器周辺のしこりや、体にニキビのようなものができた場合、考えられる病気の一つとして梅毒が挙げられます。

梅毒とは、性行為によって梅毒トレポネーマという細菌が感染することで生じる性感染症です。感染から1年未満の人と性行為をした場合は、約30%の確率で感染すると推定されています。

今回は、梅毒の感染初期に見られるしこりやニキビのような発疹、できものといった症状をメインに、梅毒についてご紹介します。

梅毒になるとしこりができる?

梅毒は症状が1期~4期に段階的に進行していきます。しこりができるのは主に1期です。しばらくすると症状は消えますが、菌は体内で広がっており、放置すると2期、3期と進行していきます。

また、2期、3期でもしこりのようなできものができることがあるため、詳しく見ていきましょう。

1期:初期硬結

梅毒の代表的な初期症状が、初期硬結(こうけつ)というしこりです。感染から3~6週間後頃に現れることが多いです。

痛みやかゆみは感じないことがほとんど。さらにその後、しこりを中心にただれる硬性下疳(こうせいげかん)が生じることが一般的です。

2期:丘疹性梅毒疹・扁平コンジローマ

感染から3ヶ月ほどすると、2期の症状が現れ始めます。特徴的なものはバラ疹といって、淡く赤い、小さなバラの花に似ている発疹ですが、丘疹性梅毒疹や扁平コンジローマといったものでは、しこりのようなものができることがあります。

丘疹性梅毒疹・赤みを帯びたしこりのようなもの・小豆〜エンドウ豆くらいの大きさ・全身にできることがある
扁平コンジローマ・平らなしこりのようなもの・性器周辺にできる

3期:結節性梅毒疹・ゴム腫

感染から3年以上経つと、3期に移行することがあります。この時期には、結節性梅毒疹というしこりや、皮下組織にゴムのようなしこり(ゴム腫)ができることがあります。

ただ、現代では、3期まで進行するケースはほとんどありません。また、この前段階の2期ではさまざまな梅毒疹といった分かりやすい症状が出るため、これまで特に症状がなく、現時点でしこりだけが気になる場合は1期の可能性が考えられます。

梅毒(1期)のしこりはどんなもの?

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ここからは、梅毒の1期のしこり(初期硬結)について、その見た目や痛み、場所などを詳しく解説します。

梅毒のしこりの見た目・痛み

大きさ5~20mm程度(小豆〜小指大)
赤いことが多い
その他不自然に盛り上がる
痛み・かゆみないことが多い
1個のこともあれば、複数個できることもある

時にはニキビに間違えることもあるでしょう。また、その後、しこりを中心にただれる硬性下疳になると、膿が出ることがあります。

梅毒のしこりの硬さ

軟骨のような硬さで、中心部がとても硬いのが特徴です。

また、しこりがただれて硬性下疳になると、そろばんの玉をつまんでいるような、角ばった硬さを感じると表現されることもあります。

梅毒のしこりができる場所

梅毒は性器や肛門などに感染することがあり、感染した場所にしこりができます。また、性器とは、具体的には以下のような場所となります。

男性亀頭、亀頭と陰茎の間、包皮など
女性大陰唇、小陰唇、子宮頸部など

性器の見えにくい場所にできるときは、見逃してしまうことも珍しくありません。その他、稀に唇や手指にもできることがあります。

また、性器周辺にしこりがあっても、別の病気のケースもあるので、まずは検査を受けることが大事です。

梅毒のしこりができる時期

前述の通り、初期硬結ができるのは、感染からおおむね3~6週間後頃です。しばらくすると消えますが治ったわけではなく、感染は体内で広がって2期に進行していきます。

ニキビのようなものも梅毒の可能性あり?

ニキビのようなものも、梅毒の可能性があります。1期の初期硬結や硬性下疳がニキビのように見えることもあるでしょう。

また、感染から3ヶ月ほどすると2期に入り、感染部位だけでなく、手のひらや足の裏も含めた全身に発疹などの症状が現れます。代表的な症状がバラ疹で、ニキビのように見えることがあります。先述した丘疹性梅毒疹をニキビと勘違いすることもありえます。

梅毒(2期)のニキビのような症状はどんなもの?

2期のニキビのように見える症状について、具体的な症状は以下の通りです。

梅毒性バラ疹・淡紅色の発疹・小さなバラの花に似ている・気がつかないほど目立たないケースも多い
丘疹性梅毒疹・赤みを帯びたしこりのような発疹・赤褐色から赤銅色・小豆~エンドウ豆大
膿疱性梅毒疹・膿疱(膿を持ったできもの)の多発・丘疹性梅毒疹から移行することがある・免疫が低下しているなど、健康状態が悪い人に見られる

梅毒のニキビのような症状が現れる時期

感染から3ヶ月ほどで症状が出始め、3年程度さまざまな症状が現れる状態が続きます。

2期のその他の症状

2期の症状は多彩で、その他にも以下のような症状が出ることがあります。

梅毒性乾癬・手のひら・足の裏に生じる丘疹性梅毒疹・赤褐色から赤銅色・鱗屑(皮膚のはがれ。フケのようなもの)を伴う
梅毒性粘膜疹・口内炎のような症状・口の中にできる
扁平コンジローマ・丘疹性梅毒疹の一種・平らなしこりのようなもの・淡紅色~灰白色・性器周辺にできる
梅毒性アンギーナ・軟口蓋(のどちんこ)あたりに生じる赤み、腫れ・ただれを伴う
梅毒性脱毛・全体的に薄くなる または・いくつもの円形脱毛症ができ、髪がまばらな印象となる
その他・発熱・倦怠感・筋肉痛・リンパの腫れ・頭痛・のどの痛み など

こちらもしばらくすると症状はなくなりますが、1期のときと同じく体内で感染は広がっており、放置すると3期に移行するケースがあります。

梅毒の3期以降の症状

ここからは、梅毒の3期以降の症状を解説します。ただ、現在では3期以降に移行することはほぼないとされています。

3期

感染から3年以上経過すると、3期に移行することがあります。

この時期になると、皮膚、骨、筋肉、臓器などにも、硬いしこりや、ゴムのような腫瘍(ゴム腫)ができます。

江戸時代では梅毒というと「鼻が落ちる」と言われることもありましたが、これは、ゴム腫が周囲の細胞を破壊し、鼻が欠損することがあったためだと考えられます。

4期

感染から10年以上経つと、4期に移行することがあります。この時期になると心臓や血管、中枢神経にまで感染が広がり、神経障害、大動脈瘤、大動脈の破裂などが生じ、死に至ることもあります。

梅毒の原因・感染経路

ここからは、梅毒の症状以外の特徴について見ていきましょう。

まず、原因は梅毒トレポネーマという細菌です。感染している場合、血液、腟分泌液、精液、傷口からの浸出液などに細菌が多く含まれており、それに触れることで感染することがあります。

性行為(オーラルセックスも含む)やキス(口に病変がある場合)によって、感染部位と、皮膚や粘膜が直接触れることで感染することが多く、日常生活で感染することはあまりないでしょう。理由は、梅毒が低温や乾燥に弱く、低酸素状態でしか生存できないためです。なお、感染から1年未満の人と性行為をした場合は、約30%の確率で感染すると推定されています。

また、血液を介して感染が広がるので、妊娠中は、胎盤を介して胎児にも感染もすることがあります。早産、死産、新生児死亡、奇形児などのリスクがあるほか、生後数ヶ月以内に、発疹などの症状が出たり、成長してから目や耳などに症状が出たりすることもあります。

梅毒の患者数

2022年の患者数は13,221人でした。以前は年間の感染者数が1,000人以下でしたが、2013年以降は以下のように激増しています。

2013年1,228人
2014年1,661人
2015年2,690人
2016年4,575人
2017年5,826人
2018年7,007人
2019年6,642人
2020年5,867人
2021年7,978人
2022年13,221人

なお、女性よりも男性の患者数が多いですが、近年では女性患者の割合も増えています。

(参考)https://www.mhlw.go.jp/topics/2005/04/tp0411-1.html
性別にみた性感染症(STD) 報告数の年次推移

梅毒の検査方法・費用

梅毒は、抗体検査(血液検査)を行うことが一般的です。血液中に梅毒に対する抗体があれば、感染している可能性があると判断できます。

なお、クリニックフォアの対面診療では、迅速検査と精密検査の2種類の検査を行っています。それぞれの詳細は以下の通りです。

迅速検査精密検査
実施する状況・まずは迅速検査を受ける・迅速検査が陽性になった場合・迅速検査は陰性だったが不安が残る場合・感染が疑われる日がはっきり分かっており、できるだけ早く調べたい場合・過去に梅毒と診断されたことがある場合
方法血液検査血液検査
検査の種類定性検査(TP抗体の有無を調べる)定量検査(RPR抗体の量を調べる)
検査ができるようになる時期性的接触から2ヶ月以降性的接触から4週間以降
結果が出るまでにかかる時間検査当日~2日後2~5日
費用(保険適用外)税込 8,000円税込 8,000円(迅速検査陽性の場合は無料)

「血液迅速4種セット」(税込2万円)プランであれば、梅毒とHIV、B型肝炎、C型肝炎を同時に調べられます。

※医師による診察・視診ご希望の方は診察料税込3,850円でオプション診察のご用意もあります

また、クリニックフォアではオンライン検査も行っています。お送りするキットを使ってご自身で採血し、郵便で返送していただきます。陽性の場合はクリニックフォアの対面STD診療対応院や、お近くの医療機関で精密採血を受けて下さい。

オンライン検査の詳細は以下の通りです。

方法血液検査(指先から自分で採血)
検査ができるようになる時期性的接触から3ヶ月以降
結果が出るまでにかかる時間ポスト投函後約3〜4日
同時に検査できる性感染症HIV・B型肝炎・C型肝炎
費用(保険適用外)税込 20,000円

梅毒の検査をしたほうがよいケース

  • 陰部や唇にしこりやただれがある
  • その他、梅毒が疑われる症状がある
  • 他の性感染症にかかった
  • 最近、不特定多数とキスや性行為をした
  • 3ヶ月以内にキスや性行為をした相手が梅毒になった

性的関係にあるパートナーが1人だとしても、付き合い始めのタイミングは要注意です。相手が以前のパートナーとの間で梅毒に感染していたことも考えられるので、症状が出たときは梅毒の可能性も考えましょう。

また、性産業に従事しているなど、不特定多数との性行為が日常的に発生するような方は、数ヶ月に一度程度、定期的に検査を受けるとよいでしょう。

同時に複数種類の性感染症に感染していることも珍しくないので、何らかの性感染症にかかったときは、梅毒の検査も同時に受けることをおすすめします。クリニックフォアでは、複数の検査を同時にできるパックもご用意しています。

梅毒の治療法

梅毒の治療では、ペニシリン系などの抗菌薬を使います。飲み薬か注射を用い、治療内容や回数は感染からの期間によって異なります。

なお、治療開始から24時間以内に発熱や発疹といった症状が出るケースがあるため、理解しておきましょう。

クリニックフォアの治療費用

クリニックフォアでは、オンライン診療または対面診療で梅毒の治療を行っています。治療内容と金額は以下の通りです。(保険適用外の自由診療となります。)

オンライン診療対面診療
内服薬 28日分税込 20,000円対面の血液検査結果が必須となります税込 20,000円
筋肉注射 1回(感染から1年以内の方)税込 22,000円
筋肉注射 3回(感染時期が不明の方)税込 66,000円

梅毒に関するQ&A

最後に、梅毒に関するよくある質問をご紹介します。

梅毒は自然に治る?

梅毒が自然治癒することはほぼありません。症状が消えても体内では感染が広がっているので、早めに治療を受ける必要があります。現在では3期以降に移行することはほとんどありませんが、進行してしまった場合は命にかかわることもあります。

市販のお薬で治せる?

梅毒に効く市販薬はないので、必ず病院で治療を受ける必要があります。自己判断で抗菌薬を使ったりすると悪化する恐れもあるため、やめましょう。

コンドームを使えば感染は予防できる?

梅毒は性器周辺の粘膜や皮膚に症状が出ることもあるため、コンドームだけでは防ぎきれません。

ただ、ある程度の予防効果はあるので、使ったほうがよいとされています。

周囲に感染者がいるときの感染対策はどうすればよい?

キスを含め、性行為や、皮膚や粘膜が直接触れるような行為は避けましょう。

なお、感染者の体液が触れたものを介して感染することは少ないです。ただ、感染する可能性はゼロではないので、周囲に感染者がいる場合はお風呂のいすやタオルを洗わず共有するようなことは避けましょう。

梅毒の可能性があるときはどうすればよい?

早めに検査を受けましょう。性病科などの性感染症専門の診療科や、男性なら泌尿器科、女性なら婦人科を受診する選択肢があります。また、皮膚に症状がある場合は皮膚科でも検査が可能です。

オンラインで検査を行っている医療機関もあります。

梅毒が陽性になったらどうすればよい?

梅毒が陽性になったらすぐに治療を受けましょう。医師から許可が出るまでは性行為はしないでください。

また、直近約3ヶ月以内に性行為をした相手がいる場合は、感染させた可能性があることを伝え、検査してもらったほうがよいでしょう。

クリニックフォアの性感染症オンライン診療

クリニックフォアでは、オンラインと対面で性感染症の検査・治療を行っています。気になる症状があったり、パートナーの感染が判明したりした場合は、まずは検査を受けてください。梅毒だけでなく、他の性感染症の検査も同時にできるプランもあります。

オンライン診療の場合、スマホなどで診察を受けていただき、お薬はご希望の場所に配送します。性感染症のお薬とはわからない形で配送しますので、安心してご受診ください。

※医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。
※自由診療 
※効果・効能・副作用の現れ方は個人差がございます。医師の診察をうけ、診断された適切な治療方法をお守りください。

 

 

参考文献

  1. 日本性感染症学会誌 「性感染症 診断・治療 ガイドライン 2016」
  2. 厚生労働省 「性感染症報告数(2004年~2022年)」
  3. 一般社団法人 感染症学会 「梅毒」
  4. 厚生労働省 「感染症法に基づく医師及び獣医師の届出について」
  5. NIID 国立感染症研究所 「梅毒とは」