ワキガはストレスと関係あり?メカニズムや対処法を詳しく解説

わきの強いにおいが気になるワキガ。なんとかしたいものですが、ストレスとの関係はあるのでしょうか?

今回はワキガとストレスの関係や、その他の原因、対処法などについて詳しく解説します。

ワキガはストレスと関係あり?

ストレスがたまったからといって誰でもワキガを発症するわけではありません。後述しますが、ワキガ体質になるかどうかは遺伝が大きく関連しています。

しかし、ワキガはストレスによって悪化することがあります。そのため、もともとワキガ体質の方はストレスによってにおいが気になるようになることがあるでしょう。

まずはワキガとストレスとの関係について詳しく解説します。

交感神経が優位になって発汗が増える

そもそもワキガは、「アポクリン腺」と呼ばれる汗腺から出た汗を、雑菌が分解することでできたにおい物質が原因となります。

また、発汗は自律神経(交感神経)によってコントロールされています。交感神経からアセチルコリンという神経伝達が分泌され、汗腺が刺激されて汗が出るのです。

緊張やストレス状態に陥ると自律神経のバランスがくずれて交感神経が活発になるため、汗をかきやすくなります。

エクリン腺からの発汗が増える

ストレスで交感神経が活発になると、上記のような理由でエクリン腺からの発汗が増えます。これを精神性発汗といいます。緊張したときに汗をかいた経験がある方も多いと思いますが、それと同じメカニズムで生じる発汗です。

エクリン腺から出る汗は、一般的にイメージするサラッとした汗です。ほとんどが水分のため、汗自体が強くにおうことはあまりありません。

ただ、汗によって蒸れることで雑菌が繁殖したり、アポクリン腺からの汗を広範囲に広げたりすることで、ワキガのにおいが悪化することがあります。

アポクリン腺からの発汗も増える

アポクリン腺から出る汗にはたんぱく質や脂肪分が含まれており、粘度が高いのが特徴です。これがワキガの直接の原因となります。

アポクリン腺からの発汗も、エクリン腺と同様ストレスによって増えるとされています。

アドレナリンによって汗腺が刺激され発汗が増える

ストレス状態に陥ると、アドレナリンというホルモンが分泌されます。すると血糖値が上昇し、汗腺が刺激されて汗が増えます。

ストレスが悪循環になることもある

ストレスで汗が増えると、「においがきつくなっているのでは?」と気になってしまう方もいるでしょう。そういったことがさらにストレスになり、汗やにおいが増加するといった悪循環に陥ることもあります。

ストレスを解消すればワキガは治る?

ストレスを解消することでワキガのにおいが緩和されることがあります。ストレスを解消するだけでワキガが完治するわけではありませんが、以下のようなことを心がけてみましょう。

ストレス解消に努める

ストレスをためないのは難しいですが、ストレスがたまったと感じたらしっかり発散しましょう。趣味に没頭したり、リラックスしたりする時間をつくったりするのがおすすめです。自分なりのストレス発散方法を探してみてください。

ただし、暴飲暴食(特に動物性脂肪やコレステロールが多いもの)や過度の飲酒はにおいの悪化につながることもあるので注意しましょう。

適度に運動する

無理のない範囲での運動も、ストレス解消に適しています。汗をかくことで老廃物も排出され、ワキガによい影響を与えることもあります。

ただし、過度な運動は逆にストレスとなってしまうため注意しましょう。また、汗をかいたら早めにシャワーを浴びたり着替えたりして、しっかりとケアすることも大事です。

十分な睡眠をとる

睡眠不足も自律神経のバランスをくずす原因となります。そのため、十分な睡眠をとることが大事です。睡眠をとることがストレス解消にもつながります。

なお、睡眠はただ長時間とればいいというわけではなく、質も大事です。食事を終えたらゆっくりとぬるめのお風呂につかり、軽くストレッチなどをしてみましょう。お部屋の電気は暗めにし、スマホやテレビを見るのも終わりにします。気温や湿度、寝具の状態を快適なものにして眠りにつくとよいでしょう。

また、寝る直前の飲食は避けましょう。特に、カフェインやアルコールは睡眠の質が低下する恐れがあるため避けることをおすすめします。

多汗症治療で心理療法が行われることもある

多汗症治療では、認知行動療法などの心理療法が行われることがあります。認知行動療法とは、考え方や行動が固まったり狭くなったり、歪んでしまったりした状態から、認知に働きかけてストレスを軽くするといった治療法のことです。

もともとはうつ病治療のために行われていたものですが、現在では、不安症をはじめさまざまな病気の治療目的で行われることがあります。認知行動療法を行うことでストレスにうまく対応できるようになることが期待でき、ワキガにもよい影響をもたらす可能性があると考えられます。

ストレス以外のワキガの原因

前述のとおりワキガは、「アポクリン腺」と呼ばれる汗腺から出た汗を、雑菌が分解することでできたにおい物質が原因となります。ワキガの方はアポクリン腺が多い、または大きく、アポクリン腺からの汗の分泌が多いとされています。この原因は主に遺伝です。

また、以下のような生活習慣が悪化因子となることもあります。

  • コレステロールや動物性脂質の食べすぎ
  • 飲酒・喫煙
  • 睡眠不足
  • ストレス

 など

ワキガの治療法

ワキガの主な治療法は以下の通りです。手術以外の治療法は、治療をやめると効果がなくなることが多いです。ただ手術も、アポクリン腺をすべて取り切れるわけではないため、においが多少残ることがあります。

  • 塩化アルミニウムの外用:塩化アルミニウムが汗管(汗が出る通り道)をふさぐなどして汗を抑え、においを軽減
  • 抗コリン薬の内服・外用:発汗につながる神経伝達物質(アセチルコリン)の作用を阻害して汗を抑え、においを軽減
  • ボトックス注射:ボツリヌス菌の毒素が、アセチルコリンを抑制して汗を抑え、においを軽減
  • イオントフォレーシス:水道水などの液体に患部をつけて電流を流すことによって、汗の出口が障害され、汗を抑えてにおいを軽減
  • 皮弁剪除法:皮膚を切開し、アポクリン腺が存在する部分をハサミのようなもので切除
  • 皮膚切除法:皮膚と皮下組織ごとアポクリン腺を切除

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参考文献

  1. 原発性局所多汗症診療ガイドライン 2023 年改訂版
  2. 形成外科診療ガイドライン