ワキガのにおい・黄色いシミの正体は?
まずは、ワキガのにおいや、わきに生じる黄色いシミの正体について解説します。
アポクリン腺からの分泌物(リポフスチンなど)
ワキガのにおいの原因は、アポクリン腺という汗腺から出る汗です。この汗にはたんぱく質や脂肪分が含まれており、これを皮膚にいる雑菌が分解することで独特の強いにおいが出るとされています。
また、アポクリン腺から分泌される汗に含まれる「リポフスチン」という成分は、赤褐色をした色素成分なので、衣服につくと黄色く見えるのです。
汗で黄ばむこともある
ワキガでなくても衣服のわき部分が黄ばむことはあるでしょう。これは、汗と皮脂が繊維の奥で蓄積し、酸化して徐々に黄色くなることが原因です。
ワキガは主にわきに発症するので、わきの部分が黄ばむことが多いですが、通常の汗による黄ばみの場合は、襟周りや袖なども同じように黄ばむことがあります。
制汗剤・デオドラント製品で黄ばむこともある
制汗剤やデオドラント製品の成分によっては、衣服の黄ばみの原因になることもあります。気になる場合は別の製品を試すなどして確認してみるとよいでしょう。
ワキガのにおい・黄色いシミは洗濯で落ちにくい
汗は衣服の表面だけでなく、繊維の奥にまでからみつくので、通常の洗濯では落ちにくいです。また、繊維の奥でさらに雑菌が繁殖し、やっかいなにおいにもつながります。
ワキガのにおい・黄色いシミには衣類用漂白剤がおすすめ
ワキガのにおいや黄色いシミには、酸素系や酵素系などの衣類用漂白剤を使うとよいとされています。除菌・殺菌力が期待でき、生乾きのにおいも解消する洗剤なので、ワキガのにおいにも効果が期待できます。
また、洗濯機に入れる前にお湯で予洗いするのもよいでしょう。お湯を使うことで、衣服にしみ込んだ皮脂を取り除きやすくなります。
なお、塩素系漂白剤は、色落ちや他の洗剤と混ざることによる有毒ガス発生の心配などがあるため、避けましょう。
ワキガのにおい・黄色いシミの予防法
ここからは、ワキガのにおいや黄色いシミが衣服につかないためにできることをご紹介します。
汗をこまめにふきとる
汗をかいたらタオルや汗拭きシートでこまめにふきとるか、シャワーを浴びるなどしましょう。においやシミの原因物質が除去できます。それによって、ワキガのにおい軽減効果も期待できます。
汗をかいたら着替えてすぐに洗濯する
汗をかいたまま放置すると、衣服にどんどんにおい物質が蓄積されたり、雑菌が繁殖したりする原因となります。汗をかいたら早めに着替えをし、できればすぐに洗濯をしましょう。
新しい衣服に着替えることで、ワキガのにおいも目立ちづらくなるでしょう。
わき汗パッドなどでガード
わき汗パッドなどを使うと、汗ジミや黄ばみが衣服に残りづらくなります。汗をかくたびに着替えるのは大変ですが、パッドを装着しておけば、こまめに替えることで清潔が保ちやすくなります。
制汗剤やデオドラント製品を使う
市販の制汗剤やデオドラント製品を使うのも一つの方法です。制汗剤は、汗の出口をふさいぎ、汗の分泌を抑えるものです。塩化アルミニウムが代表的な成分であり、市販品の場合は「クロルヒドロキシアルミニウム」という成分として配合されていることが多いです。
また、デオドラント製品は、においの吸着、抗菌作用などによるにおいの発生抑制、芳香作用によるにおいのカバーなどの効果が期待できます。市販品の場合は制汗剤とデオドラント製品に明確な区別がなく、どちらの効果も併せ持っているものも多いです。
このように、制汗剤やデオドラント製品は、発汗抑制・抗菌作用・においの抑制などの効果を兼ね備えているため、衣服のにおいや黄色いシミ予防によいと言えるでしょう。
ただし、前述のとおり、このようなアイテムが原因で衣服が黄ばむこともあるため、黄ばみがひどくなったりした場合は、別のものを試すなどしてみてください。
ワキガについて知っておきたいこと
最後に、ワキガについて知っておきたい基礎知識をご紹介します。
そもそもワキガとは?
ワキガはアポクリン腺という汗腺から出る汗が原因となり、強いにおいを生じる症状(体質)です。アポクリン腺から出る汗にはたんぱく質や脂肪分が含まれており、皮膚にいる雑菌に分解されると独特のにおいが生じます。粘度が高く、べたべたとしているのも特徴です。
ワキガは遺伝的要素が大きく、体質的にアポクリン腺の大きさや数が多いとされています。
また、性ホルモンとも関係があり、思春期頃にワキガを発症することが多いとされています。
汗っかきとワキガは違う?
汗っかきで日常生活に支障が出るような場合は多汗症と診断されることがありますが、汗っかきや多汗症とワキガは別物です。
ワキガは前述のとおり、アポクリン腺が原因となるものですが、汗っかきや多汗症は、エクリン腺という汗腺からの汗が原因となります。この汗は、皆さんが一般的にイメージするさらさらとした汗で、成分のほとんどが水だとされています。そのため、いわゆる汗臭さは感じることがあるものの、この汗からワキガ特有のにおいは生じません。
なお、エクリン腺からの発汗の原因・メカニズムとしては主に以下の3つが挙げられます。
- 温熱性発汗:体温を下げるための発汗。気温や体温が高くなると生じる
- 精神性発汗:緊張したときなどにかく汗。自律神経(交感神経)の過活動や、脳の冷却目的で汗が出るとされる
- 味覚性発汗:からい食べ物などの刺激による発汗
ワキガの治療法は?
ワキガを根本的に治療するためには手術が必要となります。代表的な方法は、皮膚を切開し、アポクリン腺が存在する部分を切除する「皮弁剪除法」です。ただ、手術を行ってもアポクリン腺をすべて取り切ることはできないため、手術後もにおいがゼロにならないケースが多いです。
手術以外の方法としては、多汗症治療を応用することが多いです。ワキガに直接効果が期待できるわけではありませんが、汗を抑えることで結果的にワキガの緩和につながることがあります。例えば以下のような方法があります。
- 塩化アルミニウムの外用:塩化アルミニウムが汗管(汗が出る通り道)をふさぐなどして汗を抑え、においを軽減
- 抗コリン薬の内服、外用:発汗につながる神経伝達物質(アセチルコリン)の作用を阻害して汗を抑え、においを軽減
- ボトックス注射:ボツリヌス菌の毒素が、発汗につながる神経伝達物質(アセチルコリン)を抑制して汗を抑え、においを軽減
- イオントフォレーシス:水道水などの液体に患部をつけて電流を流すことによって、汗の出口が障害され、汗を抑えてにおいを軽減
ワキガを改善する生活習慣は?
生活習慣を改善するだけでワキガを治すことは難しいですが、悪化予防が可能なケースがあります。以下のようなことを心がけましょう。
- 食事を見直す:動物性脂肪、コレステロール、赤身肉の過剰摂取を避けることでワキガ改善効果が期待できる
- こまめに運動する:汗をかくことによる老廃物排出のほか、自律神経を整える、ストレスを解消するなどの効果が期待できる
- 過度の飲酒を避ける:飲酒が汗腺を刺激してしまうため、飲む場合は適量を心がける
- 禁煙する:皮脂腺がつまったり、ニコチンが汗腺を刺激してしまったりするため禁煙するのがよい
- ストレス解消に努める:ストレスは自律神経を乱し、発汗を促すなどワキガに悪影響を及ぼすため、なるべくストレスをためないようにする
- 睡眠不足にならないようにする:睡眠不足も自律神経を乱し、発汗を促すなどワキガに悪影響を及ぼすため、質の高い十分な睡眠をとるようにする
汗のお悩みはクリニックフォアの多汗症オンライン診療へ
クリニックフォアでは、汗のお悩みに対応する多汗症について、対面診療だけでなくオンライン診療も行っています。
オンライン診療はオンラインで診察が完了し、お薬はご自宅などのご希望の場所に届くため、直接の受診に抵抗がある方やお忙しい方でも受診しやすくなっています。
汗に関して気になることがある方は、まず受診をご検討ください。
※医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。
※効果・効能・副作用の現れ方は個人差がございます。医師の診察をうけ、診断された適切な治療方法をお守りください。