汗っかき・多汗症の原因はストレス?対処法を詳しく解説

「日ごろからストレスが多いと感じている」「緊張すると汗がたくさん出てしまう」「何もしていないのに汗が出てしまい、日常生活に支障が出ている」といった場合は、ストレスによって多汗症になっている恐れがあります。多汗症とは、日常生活に支障が出るほど多量の汗をかいてしまう状態のことです。

汗が出ることで紙などが触れなかったり、恥ずかしい思いをしてしまったりするだけでなく、汗で皮膚が蒸れて皮がむけたり、感染しやすくなったりと、さまざまな悪影響があります。

そこで今回は、ストレスと汗っかき・多汗症の関係や治療法などについて詳しく解説します。

ストレスは汗っかき・多汗症の原因となる?

汗をかく原因やメカニズムについては、誘発因子をもとに、以下の3種類に分類されることが一般的です。

  • 精神性発汗:緊張などによって汗をかくもの
  • 温熱性発汗:高温、発熱、運動など、体温が高くなった時に下げるために汗をかくもの
  • 味覚性発汗:辛い物を食べるなどして汗をかくもの

ストレスによる汗は、精神性発汗に分類できると言えます。

汗っかき・多汗症のその他の原因

以下のような病気などが原因で汗が増えることもあります。

  • 内分泌や代謝にかかわる病気(肥満、糖尿病、低血糖、甲状腺機能亢進症、褐色細胞腫など)
  • パーキンソン病などの神経疾患
  • 脳梗塞
  • 脊髄損傷
  • 循環器疾患
  • 呼吸不全
  • 感染症(結核、敗血症など)
  • がん
  • 皮膚疾患
  • お薬の副作用
  • ホルモンバランスの乱れ(生理、妊娠、更年期など)
  • 遺伝
  • 生活習慣

 など

ストレスによる汗・多汗症の原因やメカニズム

ストレスによる汗や多汗症はなぜ生じるのでしょうか。原因としては、脳の冷却目的や、交感神経・精神性発汗中枢の過活動が考えられます。詳しくは以下の通りです。

脳の冷却

基本的に、汗は体温調節のため(体温を下げるため)に出るものです。そのため、緊張やストレスなどで精神活動が活発になった脳を冷却するために、汗が出ると考えられています。

交感神経の過活動

発汗には自律神経がかかわっています。自律神経は交感神経と副交感神経で成り立つもので、興奮状態やストレスを受けたり、活発な活動の際には交感神経が、リラックスしているときには副交感神経が優位になっています。

ストレスや過度なパソコン作業などは交感神経を活発にさせやすく、交感神経と副交感神経がうまく切り替わらなくなることがあります。発汗は、交感神経が優位なときに生じるため、ストレスがあると汗も出やすくなるのです。

精神性発汗中枢の過活動

ストレスなどの精神的な刺激を受けると、脳に存在する精神性発汗中枢が過度に活性化し、交感神経を介して汗が出ると考えられています。

ストレスに対しての感受性の強さ

ストレスで過剰に汗をかいてしまう方は、ストレスに対しての感受性が病的に強いことが背景にある可能性があります。そのため、ストレスを受けたときに、上記のように交感神経や精神性発汗中枢の過活動が起きると考えられます。

ストレスによる発汗の特徴

汗腺はおでこや脇、手のひら、足の裏に多いため、ストレスがかかるとこれらの部分の汗が増えることがあります。また、ストレスによる発汗は、体温が低くても生じることがあるのが特徴です。

なお、おでこや脇の場合、精神性発汗中枢の活性化によって体温調節中枢が刺激され、体温が上昇することでさらに発汗が促進されることもあります。

ストレスによる発汗は臭い?

ストレスによって出る汗は、においが強く感じられることがあります。、考えられる原因には以下のようなものがあります。

  • 酸化:ストレスによって活性酸素が増加し、皮脂も酸化して臭くなる
  • 内臓機能の低下:ストレスによって内臓の機能が低下し、アンモニアが体内で分解されにくくなって汗に混じり、汗が臭くなる

ストレスによる汗・多汗症の対処法

ストレスによって汗が増えていると感じる場合は、ストレス解消や十分な睡眠を心がけましょう。それ以外にもできることはあるため、対処法について詳しく解説します。

ストレスを解消する

ストレスが原因で汗が増えているのであれば、まずやるべきことはストレスの解消でしょう。マッサージ、リラックスして休息をとる、趣味に没頭する、軽い運動をするなどさまざまな方法があるため、自分に合った方法を探してみてください。

十分な睡眠をとる

睡眠はストレス解消の一助となります。逆に、睡眠が満足に取れないことが原因でストレスとなることもあります。また、睡眠不足が続くと交感神経が優位な状態が続き、汗をかく原因となります。

このように、睡眠とストレス、自律神経、汗はそれぞれ関係しあっているため、まずはしっかり睡眠をとることを心がけましょう。

その他

発汗には、ストレス以外にもさまざまな要因がかかわっているため、生活習慣の見直しなどをしてさまざまな角度から発汗を予防しましょう。

たとえば食べ物は発汗の原因となることがあります。代表的なものがからいものや熱いものです。発汗が気になるときはこのような食べ物は避けたほうがよいでしょう。

また、過度な飲酒や喫煙もよくないため、節酒、禁煙に努めることをおすすめします。そのほか、制汗剤、汗拭きシートなどのケアアイテムを使うことで症状が気にならなくなり、汗によるストレスが緩和される可能性もあるため、使用を検討してもよいでしょう。

ストレスによる汗・多汗症の治療法

多汗症の治療はお薬や手術などさまざまな方法がありますが、ストレスが原因の場合は、精神療法の効果も期待できます。最後に、治療法について見ていきましょう。

精神療法

精神療法にもさまざまなものがありますが、多汗症に対して有用な可能性があるものとして、催眠療法、バイオフィードバック療法、自律訓練法などが挙げられます。

  • 催眠療法:催眠状態にして、「手のひらの温度を下げて発汗が減る」といった催眠をかけて発汗を減らす
  • バイオフィードバック療法:発汗が気になる箇所にセンサーを取り付け、温度や発汗の程度を数値で見ながら、自身で温度や発汗を低下させる意識をつける
  • 自律訓練法:温度や発汗に関して自己暗示をする、一種の自己催眠法

薬物療法

多汗症の治療では、まず薬物療法を行うことが多いです。よく使われるのが外用薬で、局所制汗剤(塩化アルミニウム)や抗コリン薬などがあります。塩化アルミニウムは汗の出口をふさぐ、抗コリン薬は発汗にかかわるアセチルコリンという神経伝達物質を阻害することで汗を防ぐお薬です。

また、内服薬にも抗コリン薬が存在します。そのほか、漢方薬を使うこともあります。

その他

その他に、以下のような治療法もあります。発症部位や重症度などによっても適した治療法は異なるため、医療機関で適切な治療を受けることが大事です。

  • ボツリヌス療法:ボツリヌス菌の毒素を注入して、発汗にかかわる神経を阻害する
  • 水道水イオントフォレーシス療法:汗が気になる部分を水道水につけ、弱い電流を流すことで、発生した水素イオンが汗の出口をふさぐ
  • 熱破壊による治療:マイクロ波や高周波などを用いて、汗腺を熱で破壊する医療機器(例:ミラドライ)による治療
  • 交感神経ブロック:お薬やレーザーなどで、発汗の原因となっている交感神経の部位をブロックする
  • 交感神経遮断術:発汗の原因となっている交感神経の部位を切除したり焼いたりして遮断する
  • 外科的切除:汗腺を手術で取り除く

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参考文献

  1. 原発性局所多汗症診療ガイドライン 2023 年改訂版
  2. 形成外科診療ガイドライン