喉の痛みは咽頭炎・扁桃炎?原因・治療法を詳しく解説!

喉の痛みや腫れは咽頭炎や扁桃炎かもしれません。主に風邪をきっかけに生じるもので、自然治癒することも多いですが、悪化して重症化することもあります。

今回は、咽頭炎と扁桃炎の症状、原因、治療法、セルフケアなどについて詳しく解説します。

咽頭炎・扁桃炎とは

咽頭炎も扁桃炎も、主に急性上気道炎をきっかけに生じる喉周辺の炎症です。急性上気道炎とは、いわゆる風邪のことです。

そもそも上気道は、鼻・口から気管の手前までの空気の通り道のことで、口腔、鼻、副鼻腔、上咽頭(鼻と喉の境目)、中咽頭(いわゆる扁桃腺)、下咽頭(気道と食道の境目)、喉頭(声帯など)の総称です(下気道は気管から肺胞までを指します)。

主にウイルスが感染して、これらの部分に炎症が生じたものが急性上気道炎(いわゆる、かぜ)です。そして、炎症が生じた場所によって、咽頭炎、扁桃炎、喉頭炎などに分類できます。なお、複数の場所で炎症が生じることもあります。

咽頭炎とは

咽頭、簡単に言えばのどが炎症している状態です。具体的には、喉の粘膜やリンパ組織(白血球の一部であるリンパ球が存在する組織)に炎症が生じています。

喉は口や鼻を通って外部に接している場所なので、ウイルスや細菌の感染が起こりやすい場所です。

扁桃炎とは

喉の奥の左右にある扁桃腺に炎症が生じたものが、扁桃炎です。子どもや若い方に生じやすいとされています。

喉にはリンパ組織のかたまりがいくつかあり、扁桃腺もその一つです。

扁桃腺などのリンパ組織は免疫機能において重要な働きをしており、ウイルスなどの異物から体を守っています。そのため、疲れやストレスで免疫機能が低下し、ウイルスなどに対抗できないと、扁桃腺が炎症することがあるのです。

咽頭炎・扁桃炎の症状

咽頭炎も扁桃炎も、主な症状は喉や扁桃の赤み、腫れ、痛み、違和感です。嚥下痛(飲み込むときの痛み)があったり、痛みで食事が難しくなったりすることもあります。耳の痛み、倦怠感、発熱を伴うことも珍しくありませんが、熱が出ないこともあります。

なお、咽頭炎と扁桃炎では、症状に若干の違いがあります。たとえば咽頭炎の場合は、喉のヒリヒリ感や、咳、痰を伴う傾向があります。扁桃炎は、扁桃に白い膿がたまることがあるほか、比較的高熱になる傾向があります。

咽頭炎・扁桃炎の原因

前述の通り、咽頭炎や扁桃炎の原因の多くはウイルスです。風邪を引き起こすウイルスが原因となることが多く、たとえばアデノウイルス、インフルエンザウイルス、RSウイルスなどが挙げられます。

ただし、細菌感染が原因の場合もゼロではありません。また、最初にウイルス感染が起き、その後細菌にも感染するケースもあります。

また、ウイルスや細菌に感染する原因や、感染しやすい状況としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 気温の変化が大きい
  • 乾燥している
  • 特定のウイルスや細菌が流行している

咽頭炎・扁桃炎の悪化と注意点

咽頭炎と扁桃炎は、放置すると悪化したり、原因菌によっては危険な合併症が生じたりすることがあります。詳しくは以下の通りです。

扁桃周囲炎・扁桃周囲膿瘍

扁桃炎が悪化すると、扁桃周囲炎(扁桃の周辺に炎症が広がる)や、扁桃周囲膿瘍(扁桃の周りに膿がたまる)が生じることがあります。この状態になると、痛みがより強くなることが多いです。

症状が特に強い場合は入院が必要になったり、扁桃周囲膿瘍では膿を注射器で吸い取ったり、切開して取り出したりすることもあります。重症化するほど治療の負担も大きくなるため、痛みが強い場合は早めに受診したほうがよいでしょう。

溶連菌感染症

扁桃炎の原因となる細菌の一つに、溶連菌(A群β溶血性連鎖球菌)があります。溶連菌感染症とも呼ばれ、特に子どもが感染することが多いです。心内膜炎、腎炎、リウマチ熱などの合併症が生じることがあるため、注意しましょう。

溶連菌に感染している場合は抗生物質の投与が必要となり、合併症予防のために、数日間継続してお薬を飲むことが一般的です。

咽頭炎・扁桃炎の治療方法

咽頭炎と扁桃炎の治療は、主に症状に対処するためのお薬を使います。さらに、重度の扁桃炎を繰り返すような方は、手術が検討されることもあります。また、後述するような、十分な睡眠や栄養補給などのセルフケアも大事です。ここでは主なお薬や治療方法について詳しく解説します。

解熱鎮痛剤:痛みなどを緩和する

喉の痛みを緩和するためには、解熱鎮痛剤が選択肢となります。熱を下げる、関節の痛みを緩和する、鼻症状を改善するといった効果も期待できます。

解熱鎮痛剤の多くは、痛みや炎症にかかわるプロスタグランジンという物質の産生を抑えることで、症状緩和を目指すというメカニズムのお薬です。

成分としては、以下のようなものがあります。

  • アセトアミノフェン(カロナール)
  • イブプロフェン
  • ロキソプロフェンナトリウム水和物(ロキソニン)
    など

抗炎症薬:喉の痛みや腫れなどを緩和する

喉の痛み、赤み、充血、腫れなどの症状緩和のために、トラネキサム酸などの抗炎症薬を内服することもあります。

また、症状が軽い場合は、抗炎症作用のあるうがい薬で改善できることもあります。

漢方薬:喉の痛みや腫れなどを緩和する

喉の痛みや腫れなどを緩和するために漢方薬を使うこともあります。咽頭炎や扁桃炎に対して、保険適用で使える漢方薬としては、以下のようなものがあります。

  • 葛根湯(カッコントウ)
  • 桔梗湯(キキョウトウ)
  • 小柴胡湯加桔梗石膏(ショウサイコトウカキキョウセッコウ) 
    など

鎮咳薬・去痰薬:咳や痰の症状を緩和する

咳や痰の症状が気になる場合は、症状を緩和する以下のようなお薬(成分)を使うこともあります。

  • ジヒドロコデインリン酸塩
  • デキストロメトルファン臭化水素酸塩
  • dl-メチルエフェドリン塩酸塩
  • アンブロキソール塩酸塩
  • カルボシステイン
  • グアイフェネシン
  • ブロムヘキシン塩酸塩

抗菌薬:細菌感染に対して使う

細菌感染が原因の場合は、抗菌薬を使います。風邪に対しては必ず抗菌薬(抗生物質)を使うと思っている方もいるかもしれませんが、抗菌薬が有効なのは、細菌が原因の場合のみであり、多くはありません、

扁桃摘出術

扁桃周囲炎や扁桃周囲膿瘍になってしまったり、扁桃が大きく腫れていて、炎症を頻繁に繰り返したりするような場合は、扁桃摘出術を検討することがあります。

咽頭炎・扁桃炎のセルフケア

咽頭炎や扁桃炎になったときは、セルフケアもとても大事です。そもそもウイルス性の風邪であれば、安静(十分な睡眠)や水分補給、栄養補給をしっかり行えば、自然治癒します。

その他には、喉に負担をかけないよう、辛い物などの刺激物やタバコを避けましょう。うがいでウイルスなどを洗い流し、喉をうるおすのもおすすめです。室内が乾燥しないように、加湿器などを使うのもよいでしょう。

また、咽頭炎や扁桃炎が治るというような画期的な食べ物や飲み物はありませんが、体の調子を整えるために、栄養バランスのよい食事を心がけましょう。

なお、ハチミツは抗菌・抗炎症作用があり、喉の痛みや咳に効果があるとされます。(一歳未満のお子さんはハチミツは避けてください)

咽頭炎・扁桃炎は保険適用で診療できる?

咽頭炎や扁桃炎は保険適用で診療が受けられることが一般的です。診療は、保険適用の保険診療と、保険適用外の自由診療に分けることができ、基本的に、喉の痛みなどの症状があり、治療の必要性があり、決められた範囲内の治療法を実施する場合は保険適用となります。

保険診療自由診療(保険外診療)
概要公的な健康保険が適用される診療保険が適用にならない診療
主な状況病気の症状があり、治療の必要性がある状況美容目的や、予防目的の場合
診察・治療内容国民健康保険法や健康保険法などによって、給付対象として定められている検査・治療医療保険各法等の給付対象とならない検査・治療
費用同じ診療内容なら、どの医療機関でも同じ同じ診療内容でも、医療機関によって異なる
原則1~3割負担全額自己負担

咽頭炎・扁桃炎の治療はクリニックフォアのオンライン保険診療へ

クリニックフォアでは、さまざまなお悩みに対応するオンライン診療を行っています。咽頭炎・扁桃炎といった喉の症状の診療は、保険診療の内科で対応が可能です。

咽頭炎や扁桃炎は自然に治ることもありますが、悪化して重症化することもあります。そのため、症状がひどいと感じる場合、対処するお薬を相談したい場合は早めの受診をご検討下さい。

クリニックフォアのオンライン診療は診療時間も幅広く、自宅などにいながら診察を受けられるため、体調が悪く外出が難しい方や、忙しい方でも受診しやすくなっています。

※医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。
※効果・効能・副作用の現れ方は個人差がございます。医師の診察をうけ、診断された適切な治療方法をお守りください。

 

  

注意 オンラインでお薬の処方ができない場合があります

以下に当てはまる場合はオンラインで処方ができません。

  • 依存性の高い向精神薬(不眠症のお薬を含みます)に分類されるお薬や麻薬は処方できません。
  • 触診・検査などが必要な場合(爪水虫など)、オンラインでは病状を把握するために必要な情報が十分に得られないと医師が判断した場合には、対面での診療をお願いする場合がございます。

参考文献

  1. 日本薬局方 - トラネキサム酸錠/トラネキサム酸カプセル
  2. 日本東洋医学会 - 漢方148処方(+製品名)と病名マスターVer5.08
  3. 日本呼吸器学会 ‐ 呼吸器の病気
  4. Cochrane - 小児の急性咳嗽に対するハチミツ