のどの痛みで病院に行くべきタイミングは?
単なるのどの痛みであれば、必要に応じて市販薬なども使いながら、しばらく様子を見ても問題ありません。ただ、のどの痛みとともに、下記のような症状が出る場合には、重大な病気の可能性もあるため、早めに病院を受診したほうがよいでしょう。
- 息を吸うときにヒューヒューという音がする
- 痛みでつばを飲み込むことができず、よだれが垂れてしまう
- くぐもった声になってしまう
- のどの腫れがひどい
など
のどの痛みがあるときは内科・耳鼻咽喉科どちらを受診したらよい?
のどの痛みがあり、病院に行きたい場合は、まずはかかりつけの病院に行くとよいでしょう。かかりつけの病院がなく、内科と耳鼻咽喉科のどちらに行けばよいか迷う場合の選び方についてもご紹介します。
まずはかかりつけの病院に行く
のどの痛みがあり、病院に行きたい場合は、まずはかかりつけの病院に行きましょう。
ただし、息を吸う時にヒューヒューという音がするなどの警戒すべき症状がない場合は、単なる風邪であったり、問題がないケースも多いです。過度な心配はせず、まずは市販薬で様子を見てもよいでしょう。
耳鼻咽喉科を受診したほうがよい場合
耳鼻咽喉科では、咽頭部(鼻の奥から食道まで)や、声帯を含む喉頭部(気管の入り口)をはじめ、耳や鼻を詳しく診てもらうことができます。のどの痛みがよくならなかったり、息苦しさを感じたりする場合には、のどの状態を詳しく診てもらうために、耳鼻咽喉科を受診するのも選択肢の一つです。
また、のどの痛みとともに下記のような症状、状態に当てはまる場合は、耳鼻咽喉科の受診を検討するとよいでしょう。
- のどの痛みが長期間続いている
- 声がかすれていている
- のどに異物が刺さっている
など
内科を受診したほうがよい場合
内科ではのどの観察以外に、リンパ節の腫れの確認、胸部・背部の聴診をはじめ、全身の状態を診てもらうことができます。
そのため、下記に当てはまる場合は内科を受診する方がよいでしょう。
- のどの痛み以外にも頭痛や咳・脱水などの全身症状がある
- 持病がある(例 糖尿病、心不全、喘息など)
- 高齢者
など
のどの痛みが起こる原因
のどの痛みは炎症により神経が刺激されることで起こります。ここでは炎症が起こる原因について解説します。
ウイルスや細菌
のどに炎症が起こる原因として、インフルエンザなどのウイルスや細菌の感染が考えられます。
ウイルスや細菌が体に侵入すると、のどの細胞が傷つくため、体はそれに対抗するように炎症物質や痛みを促進する物質を作り出します。のどが腫れたり熱をおびたりするのも、炎症物質が神経を刺激し、血管が拡張され血流が増えることによるものです。
のどの酷使
のどを酷使すると炎症が起きやすくなります。大声を出したり、長時間喋り続けたり、カラオケで長時間歌ったりすることなども、のどに過度に負担をかける行為となり、炎症を引き起こす原因となります。
タバコやアルコールなどの刺激
タバコを吸ったり、アルコールや刺激物を大量摂取したりすると、のどを直接刺激して炎症が起きやすくなります。他にもハウスダストやほこり、タバコの副流煙なども、吸い込めば刺激となり、痛みの原因となることがあるため注意が必要です。
乾燥
のどは外の空気に触れやすい位置にあるため、乾燥もしやすい部分です。のどの粘膜は薄いため、乾燥するとダメージを受けやすい傾向があり、のどの痛みにつながることがあります。
なお、のどが乾燥しているということは、鼻やのどにある繊毛周辺の水分も不足している可能性が高いです。繊毛は毛のような細胞で、病原体などの異物を排出する役割があります。繊毛の水分が不足すると動きが鈍くなり、病原体をうまく排出できなくなるため、ウイルスや細菌の感染もしやすくなっていまいます。
のどの痛みが症状として現れる病気
のどの痛みが症状として現れる主な病気は、ウイルスが原因となる咽頭炎(いわゆるのど風邪)ですが、インフルエンザやその他の感染症、季節性の病気や別の疾患の可能性もあります。のどの痛みの原因となる病気の例は以下の通りです。
風邪
風邪は、ウイルスが感染することによって生じるのどや鼻の炎症の総称です。特に、咽頭(鼻の奥から食道までの部分)に炎症が生じると、のどの痛みが現れることがあります。このような状態は「のど風邪」と呼ばれることもあります。
風邪の原因の多くはウイルスで、その数は200種類以上だと言われていますが、その20〜30%はライノウイルスと考えられていますが、その他にも、原因となるウイルスには、RSウイルスやコロナウイルス、パラインフルエンザウイルス、エンテロウイルスなどさまざまなものがあります。
なお、ウイルス性の風邪は抗菌薬が効かず、ウイルスに特化した治療薬もほとんどないため、治療では痛み止めなどを使った対処療法を行い、経過を診るケースが多いです。
扁桃炎・扁桃周囲炎・扁桃周囲膿瘍
喉の奥の左右にある扁桃腺に炎症が生じたものが、扁桃炎です。扁桃炎が悪化して扁桃の周辺に炎症が広がると扁桃周囲炎、膿が溜まると扁桃周囲膿瘍となります。いずれものどの痛みや腫れ、熱をおびたりすることが主な症状ですが、悪化するほど痛みが強くなり、膿瘍が深部の場合には、体のだるさや発熱などの全身症状を伴うこともあります。
原因の多くは風邪を引き起こすウイルスや口腔内常在菌ですが、後述する溶連菌感染症でも扁桃炎が生じることがあります。
ウイルスが原因となる場合は鎮痛剤や抗炎症薬による対症療法を行いますが、ひどい場合は患部を切開し膿を取り除くこともあります。また、細菌が原因の場合は抗菌薬が選択肢となります。
喉頭蓋炎
細菌などが喉頭蓋(気管の入口にあるふたのようなもの)に感染することにより炎症が引き起こされるものです。主な原因菌はインフルエンザ菌b型なので、Hibワクチンで予防が可能です。
強いのどの痛みや呼吸困難などの症状が現れるほか、腫れにより気道がふさがることがあり、最悪の場合死に至ることもあります。
息を吸う時にヒューヒューという音がするなどの症状がある場合は、直ちに受診をしましょう。治療では、症状に応じて、呼吸用のチューブを挿入したり抗菌剤を投与したりすることが多いです。
インフルエンザ
インフルエンザは、インフルエンザウイルスが感染することで発症する感染症で、38℃以上の発熱や頭痛、また関節痛や全身倦怠感などの症状が急速に出ることが特徴です。これらの症状に加え、のどの痛みや鼻水などの症状も現れます。
インフルエンザは、感染した人のくしゃみや咳を介した飛沫感染や、接触感染をする病気です。短期間で一気に広がるほどの感染力があり、日本では12月〜3月に流行しやすい傾向があります。そのため、流行シーズンには人混みを避けたり、帰宅後の手洗いうがいをしっかり行ったりするなどの予防をすることが大切です。
病院では、医師の判断で抗インフルエンザウイルス薬を処方することがあります。
溶連菌感染症
溶連菌感染症は、溶血性連鎖球菌という細菌が、主にのどに感染して生じる感染症です。のどの痛みのほか、急な発熱が症状として現れることがあります。子どもに多い感染症ですが、大人でも発症することがあります。
なお、溶連菌感染症は自然に治ることがありません。必ず病院を受診し、抗菌薬(抗生物質)を処方してもらう必要があります。
肺炎
肺炎は細菌、ウイルスなどが肺に感染し、炎症が引き起こされる病気です。原因となる細菌やウイルスなどが吸い込まれた場合、通常は咳などによって異物を排除したり、肺の細胞が作り出したタンパク質がウイルスや細菌を攻撃をしたりして、すぐに処理されます。しかし、この防御機構が正常に働かないと、肺炎を発症することがあるのです。
のどの痛みや鼻水、鼻づまり、発熱、悪寒などの風邪に似た症状のほか、たん、胸痛、息切れなどの症状が強く出ることがあります。症状が軽い場合には自宅療養で経過を見ることがありますが、病状が重い場合には、入院して抗菌薬、抗ウイルス薬などの投与が必要になることがあります。
ヘルパンギーナ
ヘルパンギーナとは、コクサッキーA群ウイルスの感染を原因とした病気で、発熱や、口の中の粘膜にあらわれる水ぶくれなどの症状が特徴的です。この水ぶくれが破れて、のどの痛みを伴うことがあります。
ヘルパンギーナに対する特別な治療法はないため、症状に対して解熱剤・鎮痛剤が処方されるなどの治療が行われることが多いです。
咽頭結膜熱(プール熱)
アデノウイルスは風邪の原因ウイルスとしても知られていますが、結膜炎を引き起こす咽頭結膜熱という特徴的な病気の原因にもなります。咽頭結膜熱の症状は、発熱、のどの痛み、結膜炎などで、高熱が5日程度前後続く傾向があります。基本的には自然に治ることが多いですが、吐き気などの症状が出る場合には早めに受診しましょう。
なお、咽頭結膜熱の主な感染経路は飛沫感染や接触感染であり、特にプールでの接触が原因となるケースがあるため、「プール熱」とも呼ばれます。ただ、最近ではプールが原因となることは減っているようです。
伝染性単核球症
伝染性単核球症は、主にエプスタイン・バー(EB)ウイルスに感染することで生じる病気です。
幼児期に感染することが多く、その場合は症状がほとんど出ないことが一般的です。一方で、思春期以降に初めて感染すると、伝染性単核球症を発症します。発症すると血液中に単核球(白血球の一種)が増えるという特徴があり、症状としては、
38℃以上の高熱が1〜2週間持続する傾向があります。また、のどの痛みや発熱、疲労感などが生じることもあります。特別な治療方法がないため、対処療法で治療することが多いです。
なお、主な感染経路は唾液を介して口に入ることで、思春期にはキスで感染することがよく見られるため、「キス病」と呼ばれることもあります。
病院でののどの痛みの治療法
病院では、まずのどの痛みをはじめとする症状がどのようなものかや、これまでの病歴などを問診で確認します。また、身体診察を行い、腫れなどの状態も見た上で、溶連菌感染などが疑われる場合には、必要に応じて原因を突き止めるための検査を行います。
治療ではお薬を使うことが一般的で、以下のようなお薬を使うことが多いです。
お薬の種類 | 期待できる効果など | 成分例 | 処方する状況 |
解熱鎮痛剤 | ・のどの痛みの緩和・解熱、関節の痛みや鼻症状改善にもつながる | ・アセトアミノフェン・イブプロフェン・ロキソプロフェンナトリウム水和物 など | 風邪などの場合 |
抗炎症薬 | ・喉の痛み、赤み、充血、腫れなどの緩和 | ・トラネキサム酸 など | のどの炎症全般に処方することがある |
抗菌薬(抗生物質) | ・細菌の殺菌、増殖抑制など | ・アモキシシリン水和物 など | 細菌が原因の場合 |
なお、インフルエンザなど、抗ウイルス薬がある感染症の場合には、医師の判断で抗ウイルス薬を処方することもあります。
その他、病気によってはより専門的な治療を必要とすることもあります。膿瘍がある場合は、患部を切開し膿を取り除いたり、呼吸困難の症状があるような場合は、呼吸用のチューブを挿入したりすることがあり、入院が必要となることも珍しくありません。
のどの痛みを和らげるための対処法・予防法
のどの痛みを予防したり和らげたりするためには、毎日の生活の中で、以下のような心がけをするとよいでしょう。症状がつらい場合には、市販薬の使用を検討するのも一つの方法です。
手洗い・うがい
のどの痛みを引き起こすようなウイルスや細菌感染症は、飛沫感染や接触感染が主な感染経路である場合が多いです。そのため、外出から帰ってきたタイミングで、しっかり手洗い・うがいをするなど予防することがとても大切です。
すでにのどの痛みがある場合には、うがい薬などを使用してうがいするのもよいでしょう。炎症をやわらげる作用があるうがい薬もあります。
<h3>のどを温める
ウイルスは冷たい環境で活性化する傾向があります。そのため、のどの痛みが強い場合には、カイロなどを使用してのどを温めるとよいでしょう。のどを温めると、呼吸も楽にできるようになります。
部屋を加湿する
のどが乾燥すると、異物を排除する働きをもつ繊毛周辺の水分が不足し、繊毛が正常に働かなくなってしまいます。繊維が正常に働かないと、病原体を体から排出しづらくなってしまうため、のどを乾燥させないようにすることが大切です。
加湿器などを使って、部屋の湿度を気にかけましょう。湿度は40%~60%の間を目安にして、必要な場合は加湿や除湿を行いましょう。部屋に濡らしたバスタオルをかけておくのも一つの方法です。
マスクを使用する
ウイルスや細菌がのどへ侵入するのを防ぐためには、マスクを使いましょう。特に流行性の病気は、人混みなどに行くことでウイルスをもらってきてしまうことが多いため、予防として使用しましょう。他者に感染させないためにも有効な対策です。
また、マスクを使うと、自分の呼吸でのどを保湿することもできます。すでにのどの痛みが出ている場合は、寝る際にマスクを使用するなどして、保湿を心がけるとよいでしょう。
市販薬を服用する
市販品には、内服薬と、のどスプレーやうがい薬などの外用薬があります。痛みが強い場合には、抗炎症作用のある内服薬を選ぶとよいでしょう。
また、のどに直接使用するのどスプレーやうがい薬には、のどの粘膜を保護する作用や炎症をやわらげる作用があります。感染予防の観点で使用するのであれば、「ポビドンヨード」が配合されたものを、すでに炎症が出てしまっていて殺菌をしたい場合には、「アズレンスルホン酸ナトリウム」が配合されたものを選ぶとよいでしょう。
市販薬の種類や成分の一例は以下の通りです。
種類 | 効果効能 | 主な成分の例 |
内服薬 | 解熱鎮痛・抗炎症作用 | ・ロキソプロフェンナトリウム水和物・イブプロフェン・アセトアミノフェン など |
内服薬 | 抗炎症作用 | ・トラネキサム酸・カンゾウエキス など |
内服薬 | 粘膜保護作用 | ・ビタミンB2・ビタミンB6 など |
のどスプレー/うがい薬 | 抗炎症作用 | ・アズレンスルホン酸ナトリウム など |
消毒・殺菌 | ・ポビドンヨード(ヨウ素)・クロルヘキシジン塩酸塩 など | |
のど飴 | 消毒・殺菌 | ・セチルピリジニウム塩化物水和物 など |
のどの痛みは保険適用で診療できる?
のどの痛みは保険適用で診療が受けられることが一般的です。診療は、保険適用の保険診療と、保険適用外の自由診療に分けることができ、基本的に、のどの痛みなどの症状があり、治療の必要性があり、決められた範囲内の治療法を実施する場合は保険適用となります。
保険診療 | 自由診療(保険外診療) | |
概要 | 公的な健康保険が適用される診療 | 保険が適用にならない診療 |
主な状況 | 病気の症状があり、治療の必要性がある状況 | 美容目的や、予防目的の場合など |
診察・治療内容 | 国民健康保険法や健康保険法などによって、給付対象として定められている検査・治療 | 医療保険各法等の給付対象とならない検査・治療 |
費用 | 同じ診療内容なら、どの医療機関でも同じ | 同じ診療内容でも、医療機関によって異なる |
原則1~3割負担 | 全額自己負担 |
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※医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。
※効果・効能・副作用の現れ方は個人差がございます。医師の診察をうけ、診断された適切な治療方法をお守りください。