女性がバイアグラを飲むとどうなる?女性向けバイアグラの効果とリスクとは

バイアグラは、日本で初めて承認された飲むED治療薬です。その効果は、血管を広げて血流を増やし、勃起を促すというものです。男性のED治療薬として有名ですが、女性が飲むとどうなるのでしょうか。また、女性が使えるバイアグラはあるのでしょうか。 この記事では、バイアグラの女性に対する効果の有無や女性用バイアグラの詳細などについて解説します。

女性がバイアグラを飲むとどうなる?

バイアグラは男性のED治療薬として承認されている薬であり、女性への効果は認められていません。女性が飲むと、血流増加によって性行為における満足度が上がる可能性はありますが、女性がバイアグラを飲む行為には危険性があるためやめたほうがよいでしょう。

女性への効果は認められていない

ファイザー(バイアグラの販売元)が行った、性的興奮障害のある女性を対象とした試験では、女性に対するバイアグラの有効性は認められませんでした。

血流は増加

バイアグラには、性的興奮に伴って血管を広げ、血流を増やす作用があります。そのため、女性が飲むと、陰核や膣、陰唇への血流が増え、性交の満足度が上がる可能性があります。

ファイザーによると、バイアグラを服用することで、女性の骨盤付近の血流が増加することが確認できました。しかし、性的欲求の増加との関連についてははっきりわからなかったとされています。

なお、そもそもバイアグラは性欲増進剤ではありません。男性がバイアグラを使った場合も、性欲増進につながるわけではなく、性的興奮(神経の興奮)に応じて勃起するような作用を持つ薬です。そのため、女性が飲んだ場合も、薬の直接的な作用によって性的欲求が高まることはないと考えられます。

女性用のバイアグラもある

女性がバイアグラを飲む行為には危険性があるため、推奨できません。では、女性が使えるバイアグラはないのでしょうか?

実は、「女性用のバイアグラ」とうたった薬も存在しています。代表的なものがアディとバイリーシです。なお、いずれもアメリカのFDA(日本の厚生労働省にあたる機関)で承認されていますが、日本では承認されていません。また、有効成分もシルデナフィル(バイアグラの有効成分)ではありません。それぞれの詳細は以下の通りです。

アディ

アメリカで初めて承認された、性的欲求低下障害(HSDD・性行為に対する興味や欲求が低下・欠如する病気)の治療薬です。有効成分はフリバンセリンです。

バイアグラのように即効性はありません。効果を得るには継続して服用する必要があり、効果が感じられるまで数ヶ月かかるとされています。また、副作用として、めまいや眠気、吐き気、倦怠感のほか、重度の低血圧や失神といった重篤な症状が現れることもあります。

このように、効果が低いわりには副作用のリスクが高いこともあり、アメリカでは、特別な研修を受けた医師しか処方できない薬となっており、処方の際は患者の同意書も必要です。

バイリーシ

アメリカでは2019年に承認された性的欲求低下障害の治療薬です。有効成分はブレメラノチドです。

性行為の前にお腹か太ももに自分で注射する薬で、副作用としては吐き気などが挙げられます。

女性用のバイアグラの使用は推奨しません

アディやバイリーシのほか、ネット上ではさまざまな女性用バイアグラが販売されています。しかし、日本では承認されておらず、副作用のわりに効果が高くないため、使用は推奨しません。

日本で承認されている薬を使って重篤な副作用が生じた場合、「医薬品副作用被害救済制度」という制度によって一定の補償を受けることができます。しかし、未承認薬ではこのような制度が適用されないため、使用は自己責任となってしまいます。

また、「女性用のバイアグラ」とうたっている薬は、基本的に海外製です。製造環境や安全性、品質の基準が、日本で正規に流通している薬とは異なることが多いため、さまざまなリスクがあります。体に悪影響を及ぼす可能性もあるため、女性用バイアグラの使用は避けましょう。

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参考文献

  1. National Library of Medicine|PMC381039
  2. National Library of Medicine|PMC1480594