性病の検査を徹底解説!種類・方法・タイミング・費用についてを紹介

性病(性感染症・STD)とは、感染者との口腔性交(オーラルセックス)や肛門性交(アナルセックス)も含めたセックスで感染することがある病気です。
この記事では、性病検査の種類や方法、時期、受けたほうがよい状況、受けられる場所、結果の見方、費用などについて詳しく解説します。
なお、性病と言っても、性行為なしで感染することもあります。たとえば、病原体がついた手やもの、感染者の便などを介して感染したり、常在菌が原因となる性器カンジダや、飲食物や輸血も原因となる肝炎といった病気もあります。そのため、気になる出来事や症状があれば早めに検査を受けましょう。

性病検査の種類

性病の検査には、主に抗原検査と抗体検査があります。性病の中には同じような症状を呈するものも多いため、これらの検査によって病気の区別が可能です。

なお、どちらか一方のみ(基本的に抗原検査)を行うケースが多いですが、視診だけで済むこともあります。

ここでは、抗原検査、抗体検査、視診について詳しく見ていきましょう。

抗原検査

抗原検査とは、細菌やウイルスなどの病原体自体を検出する検査のことです。感染が疑われる部位の分泌物や、患部からの滲出液を使って検査を行います。

感染部位の特定にも役立つという特徴がありますが、症状がないと検査できないことも多いです。

抗体検査

抗体検査は、感染の際に抵抗するためにつくられた抗体の有無を検出する検査です。血液検査によって行います。

こちらは症状がなくても検査可能ですが、感染部位の特定はできません。また、過去に感染した経験がある場合も抗体は存在するので、現在の感染状態を正確に判断できる検査ではない点を理解しておきましょう。

視診

抗原検査や抗体検査を行う前に、視診を行うことも多いです。病気によっては、視診だけで診断できることもあります。たとえば尖圭コンジローマは病変が特徴的なので、視診だけで診断することが多いです。

性病検査の方法

分泌物や滲出液を採取する検査

抗原検査では、感染の可能性がある部位の分泌物や、患部の滲出液を使って検査することが多いです。

腟や肛門に綿棒を入れて分泌物を採取したり、患部の滲出液を綿棒などでこすりとったりする方法をとります。

尿検査

男性は尿道に感染することも多いため、抗原検査は尿検査で行うことが一般的です。なお、中間尿では抗原が見つからないことがあるため、最初の尿をとる必要がある場合が多いです。

うがい検査

咽頭クラミジアや咽頭淋病など、のどへの感染が疑われる場合はうがい検査を行います。水や生理食塩液を使って15秒程度うがいをし、その液体で検査を行います。

血液検査

抗体検査は基本的に血液検査によって行います。

採血の方法は、腕からの通常の採血以外に、指先を針のようなもので刺して少量の血を採る方法もあります。

性病検査が受けられる時期

性病は、感染直後に検査しても、正しい結果が得られない可能性があります。そのため、病気や検査方法によって、検査可能な時期の目安があります。

一般に、抗体検査よりも抗原検査のほうが早く検査が可能になります。抗原検査は早ければ感染後24時間が経過すれば検査ができるのです。これは、体内に病原体が存在すれば検査できるためです。

一方で、抗体検査は感染から数週間以上経たないと正確な結果が得られません。抗体ができるまでにはしばらく時間がかかるためです。

代表的な性病の検査方法・時期一覧

病名検査方法感染してから検査ができるまでの時期
性器クラミジア咽頭クラミジア・抗原検査:尿、分泌物、うがい液など・抗体検査:血液検査・抗原検査:24時間以降・抗体検査:4週間以降
カンジダ抗原検査:尿、分泌物、病変をこすって採取24時間以降
性器ヘルペス口唇ヘルペス咽頭ヘルペス・抗原検査:病変をこすって採取、血液検査・抗体検査:血液検査・抗原検査:24時間以降・抗体検査:1ヶ月以降
トリコモナス抗原検査:尿、分泌物24時間以降
マイコプラズマ・ウレアプラズマ抗原検査:尿、分泌物、うがい液24時間以降
尖圭コンジローマ視診(特徴的なイボがあるかどうか)症状が出てから(3週間~8ヶ月)
淋病抗原検査:尿、分泌物、うがい液など24時間以降
梅毒抗体検査(TP抗体検査、RPR抗体検査):血液検査・TP抗体検査:2ヶ月以降・RPR抗体検査:4週間以降
HIV抗体検査:血液検査3ヶ月以降
B型肝炎抗原検査:血液検査約2ヶ月以降
C型肝炎抗体検査:血液検査約3ヶ月以降

性病検査を受けたほうがよい場合

性病検査を受けたほうがよいケースは以下の通りです。

  • 気になる症状がある場合
  • パートナーの感染が判明した場合
  • 不特定多数のパートナーがいる場合

また、これらに当てはまらなくても、年に1度程度は定期的に検査を受けるとよいでしょう。詳しく解説します。

気になる症状がある

性器のほか、口の周りやのど、皮膚などに気になる症状がある場合は、念のため受診するとよいでしょう。性病の代表的な症状は以下の通りです。

  • 性器周辺の痛み、かゆみ
  • 性器周辺のしこり、ただれ、水ぶくれ、腫れ
  • 性器から膿が出る
  • 性器周辺のにおいの変化
  • おりものの量、におい、色のなどの変化
  • 不正出血
  • 排尿時の痛み、違和感
  • 頻尿
  • 皮膚の発疹
  • 口の中や周辺のただれ、水ぶくれ
  • 発熱
  • のどの痛みや腫れ
  • 倦怠感
  • 腹痛、下痢

など

パートナーの感染が判明した

パートナーが感染している場合、自分も感染している可能性があります。パートナーの治療が終わっても、自分が感染していれば再度パートナーに感染させてしまうこともあるため、早めに検査を受けましょう。

不特定多数のパートナーがいる

不特定多数のパートナーがいる場合は、感染リスクが高いです。そのため、1ヶ月に1回程度の検査を心がけるとよいでしょう。

年に1回は検査を受ける

性病の中には自覚症状がないものも多いです。そのため、無自覚のうちに感染を広げたり、病状が悪化したりすることがあります。

早期発見、早期治療のためにも定期的に検査するとよいでしょう。頻度としては、年に1度程度が目安です。

検査はどこで受けられる?

性病検査を受けたい場合は、性病科、性病専門のクリニック、婦人科(女性)、泌尿器科(男性)、皮膚科(皮膚に症状がある場合)などが選択肢となります。のどに症状がある場合は耳鼻咽喉科でも対応できる場合があります。ネットで、自分で検査できるキットも販売されています。

クリニックフォアでもさまざまな検査を受けることが可能です。検査キットをお渡しするので院内で検査していただくと、後日自宅で検査結果が確認できます。

詳しくはこちら

保健所での検査について

保健所では、梅毒、HIV、B型肝炎、C型肝炎などの検査が行われています。数は少ないですが、淋病やクラミジアの検査を行っているところもあります。

保健所での検査は匿名、無料であることが多いです。しかし、治療はできないので、検査後に自分で医療機関を受診する必要があります。

なお、クリニックフォアでは一部の院で匿名での検査が可能です。

検査結果の見方

性病の検査では、陽性(+)、陰性(-)で結果が出ることが一般的です。検査や検体の種類によっては数値が出ることもありますが、種類によって基準値が異なることがあるので、陽性なのか、陰性なのかに注目すればよいでしょう。

なお、陰性でも症状がある場合は、別の感染症の可能性もあります。

検査費用の相場

検査費用は病気や検査の種類によっても異なりますが、だいたいの相場は自由診療で3,000~10,000円程度です。

保険診療(保険適用)のほうが安価になりますが、症状がないと検査ができなかったり、一度に複数の検査ができなかったり、できない検査方法があるなど制約も多いです。一方で自由診療の場合は、さまざまな性病の検査を一度にできるものもあり(この場合は値段が上がることが一般的)、症状がなくても気になったときに検査を受けることができます。

性病の検査について知っておきたいこと

最後に、性病の検査について知っておきたいことをまとめます。ポイントは以下の通りです。

  • 早めに検査を受ける
  • パートナーも一緒に検査を受ける
  • 検査結果は100%正確ではない
  • 生理中・妊娠中の検査
  • 検査の痛み
  • 治療後の検査

詳しく見ていきましょう。

早めに検査を受ける

ほとんどの感染症は検査でわかります。症状がなくても、進行すると命にかかわるような病気も中にはあるため、早期発見、早期治療が肝心です。早めに検査を受けましょう。

気になる症状がある場合はもちろん、症状がなくても年に1回程度定期的に検査を受けるとよいでしょう。

パートナーも一緒に検査を受ける

自分の感染がわかったときは、パートナーも一緒に検査を受けることが大事です(逆も同じです)。これは、どちらか一方が治療しても、もう一方の感染が続いていれば、再度感染させ合ってしまうことがあるためです。

検査結果は100%正確ではない

検査で偽陰性(陽性なのに陰性)や偽陽性(陰性なのに陽性)の結果が出ることもあります。特に、感染からの時間が早すぎたり、遅すぎたりすると結果が正確に出ないことがあるため注意しましょう。

また、抗体検査には以下のような注意点もあります。

  • 過去に感染した経験があると、現在は問題なくても陽性になることがある
  • 無症状の期間が続くと抗体の量が減って陰性になることがある
  • 類似のウイルスに対する抗体も検出されてしまう
  • 再発の場合、抗体の量が変動せず、陰性になることがある

類似のウイルスについては、たとえばヘルペスが挙げられます。

ヘルペスの原因となる単純ヘルペスウイルスは、水ぼうそうや帯状疱疹の原因となる水痘・帯状疱疹ウイルスなどと似ています。そのため、過去に水ぼうそうや帯状疱疹に罹患したことがあれば、性器ヘルペスでなくても陽性となってしまうことがあるのです。

生理中・妊娠中は検査できる?

生理中、妊娠中はできない検査もあるため、事前に医療機関に確認や相談をしたほうがよいでしょう。特に、腟からの分泌物を使う抗原検査は、生理中はできないことが多いので注意してください。

検査に痛みはある?

綿棒を挿入する検査でも、痛みは感じないことが多いです。うがい検査や尿検査はもちろん痛みはありません。

血液検査はやや痛みを伴うことがありますが、注射ではなく小さな針のようなもので指先をさす検査もあり、そのほうが痛みは少ないと言われています。

治療後に検査を行うこともある

治療後に、完治したかどうかの検査が必要なこともあります。たとえば梅毒やクラミジアなどは検査が必要です。

この検査で完治が確認できない場合は再度治療したり、他の病気を併発している可能性も踏まえて検査したりする必要があります。

検査結果を用意してクリニックフォアの受診を!

クリニックフォアでは、オンライン診療と対面診療で性感染症の検査・治療を行っています。

また、他の医療機関等で検査した結果がある場合は、結果をもとに治療することも可能なので、まずはご相談ください。

クリニックフォアの検査の詳細はこちら

参考

http://jssti.umin.jp/pdf/guideline-2016.pdf

https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/seikansenshou/dl/leaf01.pdf