性病の主な治療法は薬物療法
性病の治療の多くは薬物療法です。抗生物質(抗菌薬)や抗ウイルス薬を使うことが多いです。
なお、内服薬や外用薬を使うことが多いですが、点滴や注射をすることもあります。症状によっては、かゆみなどを抑える薬を対症療法として使うこともあります。
また、病状によっては注射や点滴を行うケースも。稀ではあるものの、入院や手術が必要になることもあります。
代表的な性病の治療法
ここからは、代表的な性病の治療法、治療期間、治療費の目安などについて見ていきましょう。なお、自由診療の場合は医療機関によって費用が異なります。
梅毒
治療法
治療は抗生物質(ペニシリン)で行うことが一般的です。
ただし、梅毒が第3期以降(感染からおおむね数年後以降の状態)まで進行してしまうと、完治は難しいとされています。というのも、第3期以降になると、梅毒の原因菌によって体内のさまざまな場所に障害が生じているため、治療によって菌は死滅させられても、臓器などに生じた障害は元に戻らないためです。そのため、梅毒は早期の治療がとても重要となります。
クリニックフォアでは、内服の抗生物質や筋肉注射によって治療を行っていますが、症状によっては基幹病院に紹介させていただく場合があります。
治療期間
薬の投与期間は注射の場合1回もしくは1週間おきに計3回、内服の場合は4週間が一般的です。治療後は、治癒が確認できるまで約1ヶ月ごとの定期的な血液検査が必要となり、経過によっては再度治療が必要となります。
治療費用
費用の目安は自由診療(保険適用外)で10,000~20,000円程度です。クリニックフォアでの治療費用は以下の通りです。
- 内服薬 28日分:20,000円
- 筋肉注射 1回(感染から1年以内の方):22,000円
- 筋肉注射 3回(感染時期が不明の方):66,000円
ヘルペス
治療法
抗ウイルス薬の内服薬を飲むことで、ウイルスの増殖が抑えられ、症状が改善します。
発症から時間が経ち、かさぶたになってしまうと効果が期待できないので早めに飲み始めるとよいでしょう。また、症状が軽い場合は外用薬で治療したり、逆に発熱などの全身症状が強い場合は点滴や注射を行ったりすることもあります。クリニックフォアでは、内服薬もしくは外用薬による治療を行っています。
なお、ヘルペスは治療をして症状が改善しても、完治することはありません。一度感染すると、ウイルスが一生体内に存在し続け、免疫力の低下などによって再発することがあります。免疫力の低下は疲れ、睡眠不足、ストレスなどによって引き起こされるため、再発予防に努めることが大事です。
また、再発頻度が高い場合は、再発を予防する治療や、前兆のような症状が出た時点で治療を行う方法もあります。
治療期間
内服薬を使う場合は5~10日程度が目安です。
治療費用
自由診療の場合、内服薬のみで7,000~20,000円程度が相場となります。クリニックフォアでの治療費用は以下の通りです。
- 内服薬 10日分:16,000円
- 内服薬 5日分(再発の方):8,000円
- 内服薬 30日分(再発を繰り返す方):20,000円
クラミジア
治療法
抗生物質の内服薬を使うことが一般的です。クリニックフォアでも同様です。ただし、薬剤耐性菌(抗生物質が効かない菌)の場合は治療効果が出ないことがあります。この場合は薬の種類を変える必要があります。
治療期間
1回飲めば治療が終わる薬もあれば、1週間程度飲み続ける必要がある薬もあります。
治療費用
自由診療の場合は8,000~15,000円程度が相場です。クリニックフォアでの治療費用は以下の通りです。
- 内服薬 1回分もしくは7日分:8,000円
カンジダ
治療内容
原因となる真菌に効果が期待できる軟膏や内服薬を使うことが一般的です。女性は腟洗浄を行い、腟錠(坐薬のように、腟の中に入れる薬)を使うこともあります。クリニックフォアでは、外用薬や膣錠を使った治療を行っています。
なお、陰部を清潔にし、通気性をよくするといったセルフケアも大事です。
治療期間
1週間治療を続け、効果が不十分な場合は追加で治療を行うことが一般的です。腟錠については、毎日挿入するものと、週に1度挿入すれば効果が期待できる薬があります。
治療費用
クリニックフォアでの治療費用は以下の通りです。
- 腟内挿入薬 6日分(腟に症状のある女性):8,000円
- 外用薬(男性または皮膚症状がある方):8,000円
- 【オプション】痒み止め外用薬:2,000円
トリコモナス
治療内容
原因となる原虫に効果が期待できる内服薬や腟錠を使います。治療効果が低い場合や再発時は、内服薬と腟錠を併用することが一般的です。クリニックフォアでは、内服薬による治療を行っています。
治療期間
10日程度薬を使います。
治療費用
自由診療の場合は10日分の薬が7,000~10,000円程度が相場です。クリニックフォアでの治療費用は以下の通りです。
- 内服薬 10日分:8,000円
淋病
治療内容
抗生物質で治療を行います。注射、点滴、内服薬がありますが、内服薬だけでの治療は推奨されていません。クリニックフォアでは、静脈注射による治療を行っています。
なお、耐性菌が出現することがあるので、この場合は薬の種類を変える必要があります。また、淋病感染者の2~3割はクラミジア感染を合併しているため、その場合はクラミジアの治療も行います。
治療期間
注射や点滴は1回で完了することが多いです。
治療費用
自由診療の場合、10,000~20,000円程度が相場です。クリニックフォアでの治療費用は以下の通りです。
- 静脈注射 1回:16,000円
尖圭コンジローマ
治療内容
外用薬、外科的療法、注射などの治療法があります。1種類の治療だけでは完治せず、再発リスクもあるため、複数の治療法を繰り返すケースもあります。それぞれの治療法の概要は以下の通りです。
- 外用薬:ウイルス増殖の抑制、免疫応答の活性化などが期待できる
- 凍結療法:患部を液体窒素で凍結壊死させる方法
- レーザー蒸散:炭酸ガスやレーザーによって患部を蒸散させる
- 切除:電気メスやハサミによって患部を切除
- 注射:ウイルスの排除、増殖を妨げるなどの効果が期待できる
なお、クリニックフォアでは外用薬と凍結療法による治療を行っています。
治療期間
- 外用薬:4ヶ月程度
- 凍結療法:1~2週ごとに繰り返し、トータル数週間かかることがある
- レーザー蒸散や切除:1回
- 注射:週1回を3回ほど繰り返す
治療費用
自由診療の場合、以下が相場となります。
- 塗り薬:5000~8000円/1週間分
- 凍結療法:4000~9000円/回
レーザー蒸散、切除は保険適用かつ3割負担の場合で9,000~15,000円程度が相場です。
なお、クリニックフォアでの治療費用は以下の通りです。
- 外用薬 2週間分:8,000円
マイコプラズマ・ウレアプラズマ
治療内容
抗生物質の内服薬で治療を行います。クリニックフォアでも同様です。なお、マイコプラズマとウレアプラズマでは、使う抗生物質の種類が異なることがあります。
治療期間
薬を1週間程度飲み続ける必要があります。なお、ウレアプラズマの場合は、1回で効果が期待できる薬もあります。
治療費用
自由診療の場合は10,000円程度が相場です。クリニックフォアでの治療費用は以下の通りです。
- 内服薬 1回分もしくは7日分:8,000円
HIV感染症
治療内容
抗HIV薬の内服薬を使います。3~4種類の薬を組み合わせて飲むことが基本ですが、最近では複数種類の成分が1錠に含まれた薬も増えており、1日1回1錠の内服で済む場合もあります。
また、ウイルスが十分に抑制されている場合は、1~2ヶ月に一度注射をすればよいケースもあります。
抗HIV薬は以前は副作用が大きかったため、ある程度病状が進行してから治療を始めるものでした。しかし、最近は副作用が少なくなり、早期治療が推奨されています。
なお、クリニックフォアではHIVの検査は行っていますが、治療は行っていません。治療の際はHIV拠点病院を受診してください。
治療期間
HIVに感染した場合、生涯にわたって薬を飲み続ける必要があります。現在の抗HIV薬は、ウイルスを排除するものではなく、ウイルスを抑制するものであるためです。
また、飲み忘れが多いと、ウイルスが薬に対する耐性を持ってしまい、薬が効かなくなってしまいます。耐性を持つ薬が増えるほど使える薬は減るので、指示通りの服薬、通院を続けることが大事です。
治療費用
費用は、保険適用でも高額になることが多いです。そのため、さまざまな補助を使うことがポイントです。
高額療養費制度を使うと、年収約370万円までであれば、1ヶ月の治療費の上限額が57,600円になります。(年齢や所得によって上限額は異なります。)さらに、病状によっては身体障害者認定などを受けることができ、1ヶ月の治療費が数千円程度におさえられるケースもあります。
経済的な不安がある場合は、ソーシャルワーカーに相談するとよいでしょう。
B型肝炎
B型肝炎は、急性肝炎と慢性肝炎で治療法が異なります。なお、クリニックフォアでは検査は行っていますが、治療は行っていません。
治療内容
慢性肝炎の場合は、抗ウイルス薬の注射や内服薬を使います。ただし、治療してもウイルスを体から完全に排除することはできません。
一方、急性肝炎の場合は抗ウイルス療法は不要で、治療せずにウイルスが自然に排出されるのを待つことになります。そして、症状に応じて対症療法を行います。たとえば、食事ができなければ、水分や栄養を点滴で補うなどの治療が必要です。
また、重い肝炎が生じた場合は抗ウイルス薬、ステロイドの大量投与、肝臓の機能をサポートする目的で血漿交換(血液を浄化する治療)や血液透析などを行うことがあります。さらに、最終的に肝移植が必要となることもあります。
治療期間
急性肝炎は数ヶ月程度で完治することが多いです。
慢性肝炎における注射は週3回を24週間、または週1回を48週間続けるのが目安です。慢性肝炎で内服薬を使うケースでは、薬を中止すると肝炎が再燃するため、生涯飲み続ける必要があるケースも多いです。
治療費用
抗ウイルス薬の注射も内服薬も、医療費助成制度を使えば月額1~2万円程度の自己負担でおさえられます。(収入によって異なります。)
性病の治療について知っておきたいこと
最後に性病の治療について知っておきたいことをご紹介します。
何科に行けばいい?
性病の治療は、性病科、感染症科、泌尿器科(男性)、婦人科(女性)などで行っています。のどに症状があれば耳鼻咽喉科、皮膚に症状があれば皮膚科でも対応できることがあります。
通常は、検査を受け、感染していれば治療に進むこととなります。
自然治癒することはほとんどない
性病が自然治癒することはほとんどありません。自然治癒するケースもないわけではありませんが、それでも症状を抑えるために対処療法が必要となることが多いです。そのため、感染の可能性がある場合は必ず受診して適切な治療を受けましょう。
薬は最後まで飲み切る
症状がなくなっても、薬は最後まで飲み切ることが大事です。抗生物質や抗ウイルス薬の場合、途中で薬をやめると菌やウイルスが残ってしまい、症状がぶりかえすことがあるため注意が必要です。
パートナーと同時に治療を受ける
性病はパートナー間で感染させ合うので、どちらか一方が完治しても、もう一方の感染が続いていれば再度感染してしまう可能性があります。そのため、どちらかの感染がわかったら、パートナーも同時に検査・治療を受けることが大事です。
保険適用外の治療法も多い
高い効果が期待できる治療法でも、保険適用外ということも珍しくありません。保険適用外の治療は、通常の医療機関では積極的に行っていないことも多いです。
しかし、性感染症専門のクリニックは、自由診療で、保険適用外の治療法も幅広く行っているところが多いです。
治療後に陰性確認の検査が必要
治療が終わった後約1ヶ月後を目安に、完治しているかどうか確認するための検査が必要です。また、梅毒の場合、治療終了後半年ほどは経過観察と数回の検査を行い、完治しているかどうか判定することが重要です。そのため、治療が終わっても医師の指示があれば受診を続けましょう。
治療しても完治しない病気もある
一部の性病では、治療しても病原体が体に残り続けるものがあります。このような病気は、免疫力の低下などがきっかけとなって再発することがあります。
また、HIVはウイルスを排除する薬がないので、一生治療を続ける必要があります。B型慢性肝炎も、一生治療を続ける必要があるケースが多いです。しかし、このような病気でも、適切な治療によって症状悪化や感染拡大を防ぐことができるので、必ず治療を受けましょう。
なお、完治した後も、再感染のリスクはあるので注意しましょう。
性感染症の治療はクリニックフォアのオンライン診療で!
クリニックフォアでは、オンライン診療と対面診療で性感染症の検査・治療を行っています。
オンライン診療の場合は、ご自身のパソコンやスマートフォンで診察を受けることができ、薬は診察後に自宅などのご希望の場所に配送します。そのため、時間がないかたでも受診しやすくなっています。
また、他の医療機関等で検査した結果がある場合は、結果をもとに治療することも可能なので、まずはご相談ください。
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