肛門の腫れ・違和感の原因は?痔・性病の可能性などを医師が解説

肛門が腫れているとき、「もしかして痔?」と思うことは多いかもしれません。確かに、痔によって肛門に腫れが生じることはあります。しかし、性感染症などの他の病気の恐れもあるため、放置は禁物。

今回は、肛門の腫れの原因となる病気と、腫れているときの対処法を紹介します。

肛門の腫れの原因は?

肛門の腫れの原因は、痔のほかにも、性感染症、クローン病などが挙げられます。詳しくは以下の通りです。

一口に痔と言っても、切れ痔、いぼ痔、あな痔に大きく分けることができ、なかでもいぼ痔はさらにさまざまな種類に分けることができます。ここでは、腫れが気になる3つの痔について解説します。

内痔核

いわゆるいぼ痔(痔核)です。肛門の周囲から内部にかけて存在する静脈叢(じょうみゃくそう・血管が集まっている部分)が大きくなり、腫れや痛み、出血などが生じるものです。できる場所によってさらに内痔核と外痔核に分類でき、外側の皮膚が腫れれば外痔核、肛門の中の粘膜が腫れていれば内痔核になります。

内核痔も大きくなると肛門の外に出てくることがあります。痛みがないことが多いですが、いきんだときに出血することがよくあります。

塗り薬や飲み薬のほか、痔に直接注射したり、切除したりする治療法がとられることもあります。

血栓性外痔核

静脈叢に血の塊ができて腫れたものが血栓性外痔核です。激痛を感じることもあれば、そこまで痛みを感じないこともあり、腫れた部分がやぶれて出血することもあります。

放置しても1ヶ月もすれば治ることが多いですが、切開して血栓を取り出したり、痛み止めや痔の治療薬を使ったりすることもあります。

また、セルフケアとして、ゆっくり湯船につかるなど、血行をよくするのも有効です。

かんとん痔核

静脈叢で血が固まって腫れあがり、肛門の中に戻らない状態をかんとん痔核といいます。赤いできもののようになるのが特徴。

血栓性外痔核と似ていますが、かんとん痔核は内痔核です。

痔の治療薬を塗ることで大きな腫れは改善できますが、それでも痔核自体がよくならないときは注射や手術による治療の選択肢もあります。

肛門周囲膿瘍

肛門のまわりに細菌が入り込み繁殖することで、膿がたまった状態のことです。考えられる原因やきっかけはさまざまで、たとえば長期間の下痢、飲酒などの生活習慣、免疫力の低下などが挙げられます。

膿がたまる場所によっては強い痛みを感じ、発熱することもあります。

また、放置すると痔ろうになることがあるので注意が必要。痔ろうとは、肛門の内部にトンネル状の穴ができた状態のこと。肛門のまわりにしこりのようなものがある場合は、痔ろうになっている恐れもあります。痔ろうを放置するとがんになることも。

このように、肛門周囲膿瘍を放置すると痔ろうやがんに発展することがあるため、早期治療が大事です。痔のお薬には効果はなく、切開して膿を出した後に抗生物質を使うことが一般的です。

梅毒

梅毒は、梅毒トレポネーマという細菌によって引き起こされる性感染症です。肛門に感染すると、感染から2~3週間ほどで肛門に硬いしこりのようなものができます。さらっとした分泌物が出たり、軽い腫れ、排便時の出血や痛みなどが生じたりすることもあります。

また、放置しても数週間ほどではれは引きますが、体内では感染が広がっており、数ヶ月すると今度は扁平コンジロームというできものが肛門にたくさんできるようになります。

この時期には全身にも症状が及び、バラ疹と呼ばれる湿疹のようなものが生じます。

なお、肛門に症状が出る場合は、主に肛門性交が原因となるケースが多いとされています。

クリニックフォアでは注射や内服薬による治療を行っています。

ヘルペス

単純ヘルペスウイルスが原因となり、肛門が腫れることもあります。ヘルペスはぶつぶつとしたできものや水ぶくれのような症状が出るのが特徴。性行為だけでなく、ウイルスとの接触によって感染することがあるため、便座やお風呂の椅子から感染するケースもあります。

クリニックフォアでは内服薬や外用薬による治療を行っています。

クローン病

クローン病とは、口から肛門にいたる消化管に炎症や欠損が生じる病気です。難病に指定されています。

肛門にも症状が出やすく、切れ痔として現れることがあります。クローン病による切れ痔は深くて幅が広く、周りの腫れが強いといった点が特徴です。また、クローン病によって肛門周囲膿瘍や痔ろうになることもあります。そのほか、腹痛、下痢、血便、体重減少などの症状が現れることがあります。

原因は、遺伝的なもの、結核に似た細菌や麻疹ウイルスの感染、血流障害、免疫の過剰反応などさまざまな可能性が挙げられていますが、はっきりとはわかっていません。

一般に、治療は食事療法や内服薬(ステロイド、免疫調節薬など)などによって行われます。

肛門が腫れているときの対処法

痔にもさまざまな種類があり、自分で判断するのは難しいです。市販の痔のお薬では治らないものもあるので、しばらくしても治らなければ早めに受診しましょう。さらに、肛門の腫れには、痔以外の重大な病気が隠れていることもあります。まずは肛門科などの受診を検討してください。

また、性感染症の場合はパートナーにうつすこともあるので、パートナーと一緒に受診してください。パートナーにも同じような症状が出ている場合は、性感染症を扱う病院の受診を検討しましょう。

肛門の腫れが気になる場合はクリニックフォアへ

クリニックフォアでは対面だけでなく、オンラインでも性感染症の検査と治療を行っています。キットを使って自宅で検査を実施していただき、検査結果をもとにお薬を処方可能です。基本的に全てオンライン上でやり取りが完結するので、忙しい方や、受診のハードルが高いと感じる方にもご利用いただきやすくなっています。

一部、対面でなければできない検査や治療もありますが、まずはご相談ください。

梅毒やヘルペスの検査、治療も行っていますので、肛門の腫れが気になる場合はご相談ください。