今年のインフルエンザ|今週の国内動向(定点報告・速報)
【週次更新セクション】
このセクションは、NIID週報の発表に合わせて毎週更新されます。
国立感染症研究所が毎週発表する感染症発生動向調査(IDWR)では、全国約5,000か所の定点医療機関からインフルエンザの報告数が集計されています[4]。定点あたりの報告数が1.0を超えると「流行入り」の目安とされ、都道府県ごとに「注意報レベル(10.0)」「警報レベル(30.0)」が設定されています。
2025年9月下旬には定点報告数が1.0を超え、昨季より早い時期に流行入りとなりました。現在の最新状況については、以下のリンクから確認できます。
注意
週報のデータは翌週に累積値が修正されることがあります。また、地域によって流行の進行状況は異なりますので、お住まいの地域の情報もご確認ください。
今年のインフルエンザ|今週の国内動向(定点報告・速報)
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国立感染症研究所が毎週発表する感染症発生動向調査(IDWR)では、全国約5,000か所の定点医療機関からインフルエンザの報告数が集計されています[4]。定点あたりの報告数が1.0を超えると「流行入り」の目安とされ、都道府県ごとに「注意報レベル(10.0)」「警報レベル(30.0)」が設定されています。
2025年9月下旬には定点報告数が1.0を超え、昨季より早い時期に流行入りとなりました。現在の最新状況については、以下のリンクから確認できます。
注意
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今年の型とワクチン株(2025-26シーズン)
インフルエンザのワクチン株は、毎年WHOの推奨事項を踏まえ、国内の製造販売業者3社から聞き取りを実施した後に決定されます。
厚生労働省によると、今年のインフルエンザのワクチンの供給量は、約5,293万回分となる見込みです。[2]
日本で採用されたワクチン株
2025-26シーズンの日本における季節性インフルエンザワクチンは、以下の3つの株で構成されています[1]。
| 型 | 参照株 |
| A(H1N1)pdm09型 | A/Victoria/4897/2022 |
| A(H3N2)型 | A/Perth/722/2024 |
| B型(ビクトリア系統) | B/Austria/1359417/2021 |
なお、B型の山形系統は近年検出されていないため、今季のワクチンには含まれていません。各製薬会社によって製剤に若干の違いがある場合がありますので、接種の際は医療機関でご確認ください。
昨季の流行状況から見る今季の傾向
2024-25シーズンは、定点医療機関あたりの報告数が64.4という高いピークを記録しました[3]。さらに注目すべき点は、検出されたウイルスの約90%がA(H1N1)pdm09型であったことです。この傾向から、今季もA(H1N1)型が主流となる可能性が専門家によって指摘されています。
ただし、インフルエンザウイルスは変異しやすく、流行の状況は週ごと、地域ごとに変化します。最新の情報は、国立感染症研究所(NIID)の週報や、お住まいの自治体の発表をご確認ください。
ワクチン接種について
インフルエンザのワクチンは効果持続時間が決まっているため、ピーク期に効果を発揮しているようにスケジュールを組んで接種しましょう。
また、全国の一部の医療機関では、鼻の中へ噴霧する経鼻ワクチンの接種も可能です。
接種のタイミングと効果
インフルエンザワクチンは、接種後約2週間で免疫が獲得されると考えられています。そのため、流行のピークが例年12月から3月であることを考慮すると、10月から12月中旬までの接種が推奨されています。
ワクチンの主な効果は、重症化を予防することです。国内の研究では、高齢者施設入所者において、発病を34~55%阻止し、死亡を82%阻止する効果が報告されています[5]。ただし、ワクチンを接種しても感染を完全に防ぐことはできません。また、その年のワクチン株と実際に流行するウイルス株との一致度や、接種を受ける方の年齢や健康状態によって、効果には個人差があります。
ワクチンの種類
現在、日本で使用されているインフルエンザワクチンには、主に以下の種類があります。
| 種類 | 接種方法 | 対象年齢 | 備考 |
| 不活化ワクチン(注射) | 皮下注射 | 生後6カ月以上 | 最も一般的 |
| 経鼻弱毒生ワクチン(LAIV) | 点鼻 | 2~19歳(自費) | 一部の医療機関のみ |
経鼻ワクチンは、鼻腔内(鼻の中)にワクチンを噴霧します。注射が苦手な小児などに選択肢となる場合がありますが、喘息などの気道疾患がある方には推奨されないことがあります。接種方法や対象年齢、費用については、医療機関にご相談ください。
発熱したら:受診判断フロー
発熱した際は、ご自身の症状やリスク要因を確認して適切なタイミングで受診しましょう。
症状が出たときの判断フロー
ステップ1:症状の確認
38℃以上の発熱、咳、関節痛、倦怠感などの症状がある場合、インフルエンザの可能性があります。
ステップ2:発症からの時間を確認
発症直後(12時間未満):検査の精度が低い場合があります。症状が軽度で基礎疾患がなければ、自宅で様子を見ることも一つの方法です。
発症後12時間以上:抗原検査の精度が向上する時期です。検査・受診をお勧めします。
ステップ3:リスク要因の確認
以下に該当する場合は、早めの受診を検討してください。
・妊娠中の方
・乳幼児や高齢者
・喘息、COPD、心疾患、腎疾患、糖尿病などの基礎疾患がある方
・免疫抑制状態にある方
受診方法の選択
・オンライン診療(自宅検査キット使用)
・来院(インフルエンザ/新型コロナ同時検査可能)
検査について
インフルエンザを診断する際は、検査キットを使用します。
ただし、検査を行うタイミングは、早すぎても遅すぎてもいけません。
検査のタイミング
インフルエンザの迅速抗原検査は、発症直後では偽陰性(実際は感染しているのに陰性と出る)となる可能性が高いです。一般的に、発症後12~24時間経過すると、検査の精度が向上すると考えられています。ただし、症状が強い場合や、重症化リスクが高い場合は、発症早期でも医師の判断で検査や治療が行われることがあります。
同時検査の活用
多くの医療機関でインフルエンザと新型コロナウイルスの同時検査が可能です。両者は症状が似ているため、同時検査によって迅速に診断し、適切な対応をとることができます。
治療薬について
インフルエンザの治療では、抗インフルエンザ薬を、インフルエンザ様症状発症後48時間以内に服用開始することが推奨されています。
これらのお薬は、ウイルスの増殖を抑える働きがあり、症状の軽減や罹病期間の短縮が期待できます。
| 薬剤名(一般名) | 剤型 | 投与方法 | 主な注意点 |
| オセルタミビル(タミフル®) | 内服薬 | 1日2回、5日間 | 幼児・小児は異常行動に注意[6] |
| ザナミビル(リレンザ®) | 吸入薬 | 1日2回、5日間 | 喘息・COPDの方は気管支攣縮に注意[7] |
| バロキサビル(ゾフルーザ®) | 内服薬 | 単回投与 | 体重・年齢で用量調整。併用禁忌あり[6] |
| ラニナミビル(イナビル®) | 吸入薬 | 単回投与 | 吸入操作に習熟が必要 |
吸入薬を使用される方への注意
ザナミビル(リレンザ®)などの吸入タイプのお薬は、吸入によって気管支が刺激され、まれに気管支攣縮(気管支が収縮して呼吸が苦しくなる状態)を引き起こす可能性があります[7]。特に喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)をお持ちの方は、医師と十分に相談し、必要に応じて気管支拡張薬(吸入β刺激薬など)を手元に用意しておくことが推奨されます。吸入後に息苦しさを感じた場合は、すぐに医療機関に連絡してください。
インフルエンザの治療に関する特定の方への注意
妊娠中の方
妊娠中は免疫機能の変化により、インフルエンザが重症化しやすいとされています。基本的に妊娠中でも抗インフルエンザ薬を服用できますが、服用については医師が妊娠週数や症状を総合的に判断して決定します。妊娠中の方は、発熱や症状が出た場合は早めにかかりつけ医に相談してください。
小児の方
バロキサビル(ゾフルーザ®)は、12歳未満への服用は医師が必要と判断した場合に限られます[6]。また、抗インフルエンザ薬の服用中は、異常行動(突然走り出す、飛び降りようとするなど)の報告があるため、特に未成年者は投与後2日間程度、保護者の方が注意深く見守ってください。
高齢者・基礎疾患のある方
腎機能や肝機能が低下している場合、お薬の用量調整が必要になることがあります。また、他の薬との相互作用にも注意が必要です。現在服用中のお薬がある場合は、必ず医師に伝えてください。
家庭でできる対策
インフルエンザの予防には、日常生活での対策も重要です。以下のような対策を心がけましょう。
湿度の管理
インフルエンザウイルスは、乾燥した環境で活発になるとされています。室内の湿度を50~60%に保つことで、ウイルスの生存率を下げ、のどや鼻の粘膜を保護する効果が期待できます。加湿器を使用するか、洗濯物を室内に干すなどの方法で湿度を保ちましょう。
こまめな換気
密閉された空間では、ウイルスが漂いやすくなります。1~2時間に1回、数分間の換気を行い、室内の空気を入れ替えましょう。
手洗い・手指消毒
外出後、食事の前、トイレの後などは、石けんで手をよく洗いましょう。アルコール消毒も有効です。
マスクの着用
咳やくしゃみの症状がある場合は、周囲への飛沫感染を防ぐためにマスクを着用しましょう。また、人混みに行く際も、マスク着用が予防に役立つ場合があります。
十分な休養と栄養
疲労や栄養不足は免疫力を低下させます。バランスの取れた食事と十分な睡眠を心がけ、体調を整えましょう。
学校・職場の実務(出席停止・復帰の基準)
インフルエンザにおいては、学校保健安全法により出席停止期間が定められていますが、職場での法律上の決まりはありません。
学校保健安全法に基づく出席停止期間
学校(幼稚園、小学校、中学校、高等学校など)では、インフルエンザと診断された場合、学校保健安全法施行規則に基づき、以下の期間は出席停止となります[8]。
| 対象 | 出席停止期間 |
| 学生・生徒(小学生以上) | 発症後5日を経過し、かつ、解熱後2日を経過するまで |
| 幼児(保育園・幼稚園) | 発症後5日を経過し、かつ、解熱後3日を経過するまで |
「発症した日」は0日目として数え、翌日から1日目とカウントします。また、「解熱した日」も0日目です。自治体や学校によっては、追加の基準が設けられている場合がありますので、所属する学校や園の指示に従ってください。
職場での対応
職場については法的な規定はありませんが、多くの企業では発症後5日かつ解熱後2日程度を休養の目安としています。就業規則や社内規定をご確認ください。また、出勤する際は、周囲への配慮としてマスク着用や手洗いの徹底をお願いします。
国際的な動向(参考情報)
世界保健機関(WHO)は、2025年2月に2025-26北半球シーズンのワクチン組成推奨を発表しました[9]。WHOの推奨では、A(H3N2)成分が前年から変更(A/Perth/722/2024等)され、B型山形系統は四価ワクチンでの継続的な位置付けとされています。
ただし、各国の規制当局が最終的なワクチン承認を行うため、国によって採用される株には違いがあります。日本のワクチン株は、前述のとおり厚生労働省が決定しています。
また、南半球(オーストラリアなど)では、2025年の冬(日本の夏)にA(H1N1)型の検出が多く報告されました。南半球の流行動向は、北半球の流行を予測する参考情報のひとつとされています。
よくある質問(FAQ)
今年のインフルエンザに関するよくある質問をまとめました。
Q1. 今年(2025-26)はどの型が流行しますか?
今季もA(H1N1)型が中心となる可能性が示唆されています。
昨季はA(H1N1)pdm09型が主流で、今季のワクチンもA(H1N1)、A(H3N2)、B型(ビクトリア系統)が採用されています[1]。しかし、ウイルスは変異しやすいため、最新の流行状況はNIID週報と各自治体の情報をご確認ください。
Q2. ワクチンはいつ接種すべきですか?効果はどのくらいありますか?
一般的に、流行前の秋(10月~12月中旬)の接種が推奨されており、接種後約2週間で免疫が獲得されると考えられています。
ワクチンの主な効果は重症化予防であり、高齢者では発病を34~55%阻止、死亡を82%阻止する効果が報告されました[5]。
ワクチンの効果には個人差があり、ワクチン株と流行株の一致度や、年齢・健康状態によって異なります。
Q3. 学校の出席停止期間はどのくらいですか?
学校保健安全法施行規則に基づき、「発症後5日を経過し、かつ、解熱後2日(幼児は3日)を経過するまで」が出席停止の目安です[8]。インフルエンザと診断された場合、発症日と解熱日は0日目としてカウントします。学校や自治体によって追加の基準がある場合がありますので、所属する学校の指示に従ってください。
Q4. インフルエンザと新型コロナの症状の違いは?
両者とも発熱、咳、倦怠感などの症状があるため、症状だけでは区別が難しい場合があります。そのため、多くの医療機関では同時検査が可能です。正確な診断のためには、医療機関での検査をお勧めします。
Q5. 家族がインフルエンザになった場合、どうすればよいですか?
発症したご家族の方は別の部屋で休養し、看病する方はマスクを着用してください。
タオルや食器の共用は避け、こまめに手洗いをしましょう。室内の換気と湿度管理も重要です。
家族に高齢者や乳幼児、基礎疾患のある方がいる場合は、特に注意が必要です。予防投与については、医師にご相談ください。
クリニックフォアでの受診方法
クリニックフォアでは、インフルエンザの診療を以下の方法で受けることができます。
オンライン診療
ご自宅から、スマートフォンやパソコンで医師の診察を受けることができます。インフルエンザの検査キットをご自宅にお届けし、オンラインで検査結果を確認しながら診察を行います。陽性の場合は、お薬の処方も可能です。
来院診療
クリニックフォアの各院では、インフルエンザと新型コロナウイルスの同時検査が可能です。迅速抗原検査により、15~20分程度で結果が分かります。事前予約をお勧めしますが、当日の受付も可能です。
まとめ
2025-26シーズンのインフルエンザは、昨季に引き続きA(H1N1)型が主流となる可能性があります。ワクチン接種、手洗いなどの基本的な予防対策を行い、発熱などの症状が出た場合は早めに医療機関にご相談ください。特に妊娠中の方、乳幼児、高齢者、基礎疾患をお持ちの方は、重症化のリスクが高いため、注意が必要です。
本記事の情報は、国立感染症研究所(NIID)や厚生労働省などの公的機関が発表する一次情報に基づいています。流行状況は週ごとに変化しますので、最新の情報は以下のリンクからご確認ください。▶ NIID 感染症週報
▶ 厚生労働省 インフルエンザ情報
※医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。
※効果・効能・副作用の現れ方は個人差がございます。医師の診察をうけ、診断された適切な治療方法をお守りください。



