
妊娠中に花粉症のお薬は使える?
妊娠中であっても、花粉症のお薬は服用・使用できます。
ただし、妊娠時期や症状の程度によって使えるお薬の種類が異なるため、かならず医師に相談したうえで適切なお薬を選びましょう。
妊娠中でも使えるお薬はある
抗ヒスタミン薬の中には、海外の大規模な研究で妊婦への使用実績が報告されているものがあり、医師の判断のもとで処方されるケースは珍しくありません。
オーストラリア医薬品評価委員会(ADEC)や米国食品医薬品局(FDA)の基準でカテゴリー分類されているお薬もあり、これらの情報をもとに医師が適切なお薬を選択します[1]。
また、点眼薬や点鼻薬は血液への移行が少なく、内服薬よりも使用しやすい傾向にあります[1]。
妊娠中であっても使用・服用できるお薬はあるため、つらい症状がある場合は我慢せず医師に相談してください。
妊娠時期によって使えるお薬が異なる
妊娠中にお薬を服用する際は、妊娠時期によって赤ちゃんへの影響が異なることを理解しておかなければなりません。
妊娠2〜4か月は胎児の中枢神経や心臓、消化器などの重要な器官が形成される時期であり、催奇形性(赤ちゃんのからだの形成に影響を与える可能性)の観点から注意が必要な期間です[1]。
この時期は原則として内服薬の使用を控え、点眼薬や点鼻薬などの局所用のお薬で対応することが推奨されます[1]。
妊娠5か月以降は器官形成がほぼ完了しているため、医師の判断で内服薬を使用できる可能性が広がります。
ご自身の妊娠週数を正確に把握し、医師と相談しながら適切な治療法を選択することが花粉症治療に重要です。
市販薬の自己判断は避けるべき理由
市販薬の中には同じ商品名でも複数の成分が含まれているものがあり、妊婦への使用実績が十分でない成分が配合されている可能性があります。
また、医療用医薬品と市販薬では含まれる成分や配合量が異なる場合もあるため、以前使っていたお薬だからと安易に服用すると思わぬリスクを招く場合もあります。
花粉症の症状がつらいときは、ドラッグストアで市販薬を探すのではなく、まず医療機関を受診して医師に相談しましょう。
妊娠初期(2〜4か月)の花粉症薬について
妊娠初期は赤ちゃんの器官が形成される大切な時期であり、お薬の使用にはとくに慎重な対応が求められます。
この時期に花粉症の症状がつらい場合でも、内服薬ではなく局所用薬を中心とした治療が基本となります。
妊娠初期に内服薬を避ける理由
妊娠初期に花粉症の内服薬を避けるのは、この時期が赤ちゃんの器官形成にとって重要な期間だからです。
妊娠2か月に相当する時期は、胎児の中枢神経や心臓、消化器、四肢などの重要臓器が発生・分化する段階にあり、催奇形性の観点から敏感な時期とされています[1]。
妊娠3〜4か月になると重要な器官の形成はほぼ終わりますが、性器の分化や口蓋の閉鎖などはまだ続いているため、引き続き慎重な対応が必要です。
多くの花粉症治療薬は妊婦への使用について十分なデータが確立されていないため、この時期は可能な限り内服薬を避け、症状をやわらげる別の方法を検討することが望ましいでしょう。
妊娠初期は点眼薬・点鼻薬を優先
妊娠初期であっても、点眼薬や点鼻薬は使用できる選択肢となります。
局所用のお薬は投与した部位で作用し、血液中への移行が少ないため、胎児への影響が内服薬よりも低いと考えられているためです[1]。
鼻噴霧用ステロイド薬についても、妊婦の気管支喘息における吸入ステロイド使用に関する研究が複数報告されており、先天奇形や胎児の発育異常との関連は低いことが示されています[1]。
クロモグリク酸ナトリウム(インタール)といったケミカルメディエーター遊離抑制薬も、使用実績が報告されているお薬のひとつです[1]。
目のかゆみや鼻水、鼻づまりといった症状には、まず点眼薬や点鼻薬での対応を検討し、それでも症状が改善しない場合に医師と次のステップを相談すると良いでしょう。
症状がつらい場合はセルフケアを中心に対処を
妊娠初期に花粉症の症状がつらく、点眼薬や点鼻薬だけでは日常生活に支障が出る場合は、医師に相談して対応を検討しましょう。
症状を我慢し続けることで睡眠不足や精神的ストレスが蓄積すると、妊娠そのものに悪影響を与える可能性も指摘されています[1]。
局所温熱療法として43℃程度に加熱した蒸気を鼻から吸入する方法や、蒸しタオルを鼻にあてる方法、入浴など、妊娠時期に関係なくおこなう対策もあり、とくに鼻づまりに効果が期待できます[1]。
マスクやメガネの着用、帰宅時の花粉落とし、室内環境の整備などお薬以外の対策も積極的に取り入れてください。
これらのセルフケアを試しても症状が改善しない場合は、治療上のメリットが危険性を上回ると判断されたときに限り、お薬が処方されることもありますので、医師に相談してみましょう。
妊娠中期以降(5か月以降)の花粉症薬について
妊娠5か月を過ぎると胎児の器官形成がほぼ完了し、お薬による催奇形性のリスクは低くなるとされています。
この時期からは、鼻症状が日常生活に影響する場合には医師の判断でお薬を服用することが可能になります[1]。
妊娠中期以降は使えるお薬の幅が広がる
妊娠中期以降になると、花粉症治療に服用できるお薬の選択肢が広がります。
妊娠5か月以降は胎児の重要な器官がすでに形成されているため、お薬の投与によって奇形のような形態的異常が生じるリスクは低くなるとされています[1]。
この時期に問題となるのは催奇形性よりも胎児毒性(赤ちゃんの成長や機能に影響を与える可能性)です。胎盤を通過して胎児に移行しやすいお薬のうち、胎児の機能的発育に影響を与える可能性のあるものは避けなければなりません。
花粉症の症状がつらいときは我慢せず、医師に相談して適切な治療を受け、快適な妊娠生活を送りましょう。
お薬を使う際の注意点
妊娠中期以降にお薬を服用する際も、いくつかの注意点を守ることが大切です。
- 処方されたお薬は用法・用量を守って服用する
- 自己判断で増量したり、症状が改善したからといって急に服用を中止したりしない
- 服用開始からの症状変化を医師に伝え、必要に応じてお薬の種類や量を調整してもらう
- ほかの診療科で処方されているお薬との飲み合わせにも注意する
判断に迷う場合は医師や薬剤師に相談し、安心してお薬を服用できる環境を整えましょう。

妊娠に気づかず花粉症のお薬を飲んでしまったら?
妊娠に気づかずに花粉症のお薬を服用してしまっても過度に心配する必要はありません。
一般的な花粉症治療薬で、催奇形性の可能性が高いものはほとんどないためです[1]。
妊娠3週末までに薬剤の影響を受けた受精卵は、着床しないか、流産して消失するか、あるいは完全に修復されて健常児として生まれるとされています[1]。
これは「全か無かの法則」と呼ばれる考え方であり、この時期に服用したお薬が赤ちゃんに影響を残す可能性は低いと考えられています[2]。
妊娠がわかった時点で服用を中止し、今後の対応について医師に相談すれば問題ないケースがほとんどです。
ただし、妊娠に気づかずにお薬を服用していた場合は、産婦人科医にその旨を伝えて相談しておくと、ご自身も安心して過ごせます。
相談する際には、どのお薬をいつからいつまで服用していたのかを具体的に伝えられるよう、お薬の名前や服用期間を事前に確認しておきましょう。
お薬手帳があればそれを持参し、市販薬を服用していた場合は商品名をメモしておくと医師への説明がスムーズです。
今後の花粉症治療については、妊娠週数に応じて医師と相談しながら選択していくことが大切です。
【2026年】花粉飛散予測と妊娠中の花粉症対策を始めるタイミング
妊娠中の花粉症対策を考えている方は、花粉の飛散状況を早めにチェックしておきましょう。
日本気象協会の発表によると、2026年春のスギ花粉は2月上旬に九州で飛散が始まり、2月中旬には関東以西の広い範囲でシーズンがスタートする見込みです。
2026年春の地域別の飛散量予測は以下のとおりです。
| 地域 | 例年比 | 前シーズン比 |
| 北海道 | 例年の約2.5倍 | 非常に多い |
| 東北 | 例年より多い | 多い |
| 関東甲信 | 例年より多い | 多い |
| 北陸 | 例年より多い | 多い |
| 東海 | 例年より多い | 多い |
| 近畿 | 例年並み | やや少ない |
| 中国 | 例年並み | やや少ない |
| 四国 | 例年並み | やや少ない |
| 九州 | 例年並み | やや少ない |
東日本・北日本にお住まいの方はとくに注意が必要です。 妊娠中はお薬の使用に制限があるため、花粉シーズンが本格化する前に医師へ相談しておくことが大切です。
妊娠週数によって使用できるお薬が異なるため、1月下旬〜2月上旬のうちに産婦人科医やアレルギー科医に相談し、ご自身の状況に合った治療方針を確認しておきましょう。
妊娠中の花粉症治療はオンライン診療も活用できる
妊娠中は体調の変化や定期的な妊婦健診で忙しく、医療機関への受診が負担になることもあります。そのような場合には、オンライン診療を活用することで、自宅にいながら医師の診察を受け、お薬を処方してもらうことが可能です。
オンライン診療を利用するメリット
オンライン診療の最大のメリットは、自宅にいながら医師の診察を受けられることです。
妊娠中は体調が優れないときや、つわりがひどいときに外出するのが困難な場合があります。また、待合室での待ち時間が長いとからだに負担がかかったり、感染症のリスクにさらされたりする心配もあるでしょう。
オンライン診療であれば、移動時間や待ち時間を気にせず、リラックスした環境で医師に相談できます。
花粉症のお薬が切れそうなときや、症状が悪化して早めに対処したいときに、スムーズに受診できる点もメリットです。
クリニックフォアのオンライン診療
クリニックフォアでは、スマートフォンやパソコンから花粉症のオンライン診療を受けられます。
診察は予約制で、指定された時間にビデオ通話で医師の診察を受けられるため、待ち時間のストレスがありません。
診察時には、妊娠週数や現在の症状、これまでの治療歴などを医師に伝えましょう。お薬手帳や母子健康手帳を手元に用意しておくと、よりスムーズに診察が進みます。
診察後、処方されたお薬は最短翌日にご自宅に配送されるため、外出せずにお薬を受け取ることが可能です。
クリニックフォアで取り扱う抗ヒスタミン薬のうち、妊婦さんへの処方は以下のものから選択されます。
- フェキソフェナジン(アレグラ)
- レボセチリジン(ザイザル)
- モンテルカスト(キプレス)
ただし、妊娠中は内服薬を避けるケースが多く、これらのお薬も治療上のメリットが危険性を上回ると医師が判断した場合にのみ処方されます。
妊娠経過や症状などから医師が判断して処方の可否が決定されますので、現在の症状や妊娠週数・経過などの情報は正しく伝えましょう。

※触診・検査が必要な場合は、対面診療をご案内させていただく場合があります。
※医師の判断によりお薬を処方できない場合もございます。
※診察料・システム料が別途2,200円(税込)かかります。
※配送料は無料です。
妊娠中の舌下免疫療法について
舌下免疫療法は、花粉症の根本的な体質改善を目指す治療法です。
すでに妊娠前から治療を開始している方は、妊娠中の取り扱いについて正しく理解しておきましょう。
また、これから妊娠を計画している方は、妊娠してから治療を開始することはできないため、治療開始のタイミングに注意が必要です。
舌下免疫療法とは
舌下免疫療法は、アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)を少量ずつ体内に取り込むことで、からだをアレルゲンに慣らしていく治療法です[3]。
スギ花粉やダニに対するアレルギーに対して効果が期待でき、長期間継続することで症状の軽減や、お薬の使用量を減らすことが可能になる場合があります[3]。
治療は舌の下にお薬を置き、一定時間保持した後に飲み込むという方法で、1日1回、自宅で服用します[3]。
効果があらわれるまでには数か月から数年かかることが多く、最低でも3年程度の継続が推奨されています[3]。
すでに治療中の場合は継続可能な場合もある
妊娠前から舌下免疫療法をおこなっており、すでに維持期に入っている場合は、妊娠中も治療を継続できる可能性があります。
ただし、内服薬と同様に「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与」とされていることから、医師の判断が不可欠です。妊娠がわかった時点でかならず担当医に報告し、今後の治療方針について相談しましょう。
妊娠中の新規開始はできない
妊娠してから舌下免疫療法を新たに開始することはできません。
舌下免疫療法は、治療開始初期にアレルギー反応が強く出る可能性があり、まれにアナフィラキシーなどの重篤な副作用が起こることがあります[3]。
妊娠中にこのようなリスクをともなう治療を新たに始めることは、母体と胎児の両方にとって危険性が高いでしょう[3]。
そのため、妊娠を計画している方で舌下免疫療法を希望する場合は、妊娠前に治療を開始し、維持期に入ってから妊娠することが推奨されます[3]。
治療開始から維持期に入るまでには数か月かかるため、妊娠を考えている方は早めに医師に相談し、計画的に治療を進めることが大切です。
妊娠中にできる薬以外の花粉症対策
妊娠中はお薬の服用に制限があるため、お薬以外の対策を積極的に取り入れることが症状の悪化予防に欠かせません。
花粉の侵入を防ぐ工夫や室内環境の整備、セルフケアを組み合わせることで、症状をやわらげる効果が期待できます。
妊娠時期に関係なくおこなえる方法ばかりですので、日常生活に取り入れてみてください。
マスク・メガネで花粉の侵入を防ぐ
外出時にマスクとメガネを着用することで、花粉の侵入を大幅に減らせます。
マスクを使用すると吸い込む花粉を約3分の1〜6分の1に減らす効果があるとされており、鼻やのどへの花粉の付着を防ぐうえで有効な対策です[4]。
メガネは花粉が目に入るのを防ぐ効果があり、花粉症用の防護メガネであればより高い効果が期待できます。
花粉の飛散量が多い時間帯や天候の日は外出を控えるか、外出時間を短くすることも症状軽減につながります。
気象情報などで花粉飛散予報を確認し、飛散量が多いときはとくに念入りな対策を心がけましょう。
帰宅時に花粉を落とす
外出から帰宅した際は、家の中に花粉を持ち込まないための対策が大切です。
玄関に入る前に衣服や髪をよく払い、付着した花粉を落としてから室内に入るようにしましょう[4]。
帰宅後は手洗い・うがいに加えて、洗顔をすることで顔に付着した花粉を洗い流せます。
衣服は表面がけばだった毛織物などを避け、花粉が付きにくいポリエステルなどの素材を選ぶと、より花粉を持ち込みにくくなります。
こうした習慣を続けることで、室内での症状を軽減し、夜間の睡眠の質も向上するでしょう。
室内環境を整える
花粉症の症状をやわらげるためには、室内環境を整えることも重要な対策のひとつです。
花粉の飛散量が多い時期は窓やドアを閉めておき、換気が必要な場合は窓を小さく開けて短時間にとどめるようにしましょう[4]。
ふとんや洗濯物の外干しは避け、室内干しや乾燥機を活用することで花粉の付着を防げます。
空気清浄機を使用して室内の花粉を取り除いたり、加湿器で適度な湿度を保つことも症状の軽減に効果が期待できます。
掃除をこまめにおこないつつ、窓際を念入りに掃除することで、室内に入り込んだ花粉を取り除けるでしょう。
鼻づまりをやわらげるセルフケア
お薬を使わずに鼻づまりをやわらげる方法として、以下のセルフケアが効果的です。
- 蒸しタオルを鼻にあてる
- 入浴で温かい蒸気を吸い込む
- 43℃程度に加熱した蒸気を鼻から吸入する(局所温熱療法)
つらい鼻づまりを一時的にやわらげたいときに試してみてください。
妊娠中の花粉症についてよくある質問
妊娠中の花粉症のお薬に関して、多くの方が抱える疑問や不安についてお答えします。
症状の対処法や医師への相談について気になる点がある方は、ぜひ参考にしてください。
授乳中も花粉症の薬は使えますか?
授乳中に使用できる花粉症のお薬は複数あり、医師の指導のもとで服用できるケースがあります。
お薬の成分によっては母乳への移行量がごくわずかで、赤ちゃんへの影響が少ないとされているものもあります。
授乳中のお薬の使用については、産婦人科医やアレルギー科医に相談して適切なお薬を選んでもらいましょう。
漢方薬なら妊娠中でも安心して飲めますか?
漢方薬だからといって、妊娠中に安心して服用できるとは限りません。
花粉症に用いられる小青竜湯といった漢方薬も、妊娠中の使用については「治療上の有益性が危険性を上回るとき」と、慎重な判断が必要とされています[5]。
漢方薬を希望する場合も、自己判断で服用せず、かならず医師に相談してから服用するようにしてください。
妊娠中の花粉症は適切な治療で快適に過ごせる
妊娠中であっても、医師の指導のもとで使用・服用できる花粉症のお薬はあります。
妊娠初期は胎児の器官形成期にあたるため内服薬の服用は控え、点眼薬や点鼻薬などの局所用薬で対応することが基本です。
妊娠中期以降は医師の判断で抗ヒスタミン薬が処方される場合があり、症状に応じた治療が可能となります。
市販薬を自己判断で服用することは避け、症状がつらいときは医療機関を受診して医師に相談しましょう。
マスクやメガネの着用、帰宅時の花粉落とし、室内環境の整備など、お薬以外の対策を組み合わせることも症状軽減に効果的です。
妊娠に気づかずにお薬を飲んでしまった場合も過度に心配する必要はなく、産婦人科医に相談すれば適切なアドバイスが受けられます。
つらい症状を我慢し続けるのではなく、医師と相談しながら適切な治療を受けて、快適な妊娠生活を送ってください。

