インフルエンザの予防接種についての基本情報
インフルエンザワクチンは、健康を守るために非常に重要な予防策です。
インフルエンザは毎年多くの人が感染する病気であり、とくに高齢者や乳幼児、基礎疾患を持つ方では重症化のリスクが高くなります。重症化すると入院や合併症につながる可能性があり、社会生活や家庭生活にも大きな影響を及ぼします。
インフルエンザワクチンは個人の健康だけでなく社会全体を守るためにも大切です。ここでは、接種の目的や受ける際の基本的な情報、注意点についてご紹介します。
インフルエンザの予防接種による効果
インフルエンザは、ウイルスが口や鼻、目の粘膜から体内に侵入し、細胞で増えることで感染します。数日の潜伏期間を経て発熱やのどの痛みなどの症状があらわれます(発病)。
ワクチンはインフルエンザの発病を抑え、重症化や死亡のリスクを減らす効果が認められています[1]。とくに高齢者や基礎疾患を持つ人、乳幼児などのハイリスク群では、重症化予防が大きな意味を持ちます。
インフルエンザの予防接種は、ウイルスを無毒化した不活化ワクチンです。接種によって体内に抗体が作られ、免疫システムがウイルスに速やかに対応しやすくなり、感染しても症状が軽く済む可能性があります。
多くの人は発病後1週間程度で回復しますが、肺炎や脳症などの合併症を起こす場合もあり、ワクチン接種によってそのリスクを下げることができるのです。
ただし、ワクチンの効果は接種後すぐにあらわれるわけではなく、十分な効果を発揮するには接種から2週間程度かかるとされています[2]。また、効果の持続期間は約5か月程度とされているため、流行期に備えて適切な時期に接種することが重要です。
クリニックフォアでは、毎年10月から2月末頃までインフルエンザワクチン接種を実施しています。
接種をご希望の方は、オンライン予約のうえご来院ください。ワクチン在庫がない場合は、ホームページにてお知らせいたします。
- 料金は4,000円(税込4,400円)
- 対象年齢:6歳以上(小学生以上)
※5歳以下のお子さまについても、近隣の小児科でワクチンが不足している場合や兄弟と一緒に接種を希望される場合など、状況に応じて受付可能です。ただし、クリニックフォアには小児科医が在籍していないため、じっとしていられないような場合は接種できない可能性があることをご了承ください。
また、各種証明書の発行に対応しており、英文での作成も可能です。
まずはホームページをご確認ください。
ワクチンは毎年の流行予測に基づいて作られている
インフルエンザウイルスは主にA型・B型・C型の3種類があり、その中で広く流行するのはA型とB型です[3]。とくにA型は変異しやすい特徴を持ちます。
そのため、インフルエンザワクチンは毎年、その年に流行すると予測されるウイルス株に基づいて製造されます。
2025~2026年シーズンのインフルエンザワクチンは、以下の3種類のウイルス株をもとに製造されています[4]。
- A型(H1N1)
- A型(H3N2)
- B型(ビクトリア系統)
世界保健機関(WHO)が世界中の流行状況を分析し、次のシーズンに流行する可能性が高い株を選定します。日本では、この推奨に基づいて国内の流行予測も加味しながら、厚生労働省がワクチン株を決定しています[5]。
インフルエンザ予防接種を受けるのに適した時期
インフルエンザの流行は通常12月から3月頃にかけてピークを迎えるため、毎年12月中旬までに接種を完了することが推奨されています[6]。
ワクチンの効果は接種後すぐにあらわれるわけではなく、接種から約2週間で抗体が十分なレベルに達します[7]。このため、流行が本格化する前に余裕を持って接種することが重要です。
13歳未満の子どもは2回接種が必要とされており、1回目と2回目の間隔は通常2週間から4週間程度です[8]。
2回目の接種後に十分な免疫を獲得するまでさらに約2週間かかるため、流行前に接種を完了するには10月下旬から11月初旬に1回目の接種を開始することが望ましいでしょう。
ただし、流行が始まってからでも、まだ接種していない場合は早めに接種することが大切です。流行は3月頃まで続く可能性があるため、接種するメリットが大いにあります。とくに高齢者や基礎疾患のある方や乳幼児など重症化リスクが高い方は、接種を検討してみましょう。
インフルエンザ予防接種にかかる費用と助成制度について
インフルエンザの予防接種は、健康保険が適用されない自由診療のため、費用は医療機関によって異なります[9]。
インフルエンザ予防接種の費用は、以下の制度で助成や補助を受けられる場合があります。
- 市区町村の助成制度
- 会社の補助制度
- セルフメディケーション税制
これらの制度を活用することで、自己負担を軽減できる可能性があります。それぞれの制度の内容や利用方法について確認していきましょう。
お住まいの市区町村による費用助成制度の活用
市区町村では、定期接種の対象者を中心に費用助成制度を実施している場合があります[9]。定期接種の対象者は、インフルエンザにかかると重症化しやすく、ワクチン接種による重症化予防効果の便益が大きいと考えられるため、公的支援の対象とされています。
具体的には、以下の方が該当します。
- 65歳以上の方
- 60歳から64歳で心臓・腎臓・呼吸器の機能に身の回りの生活を極度に制限される障害がある方
- 60歳から64歳でヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫機能に障害がある方
一部の自治体では、子どものインフルエンザワクチン接種にも助成制度が設けられていますので、住まいの地域の制度を確認してみましょう。
ただし、定期のインフルエンザ予防接種は、希望すれば誰でも必ず受けられるものではありません。体調や持病などによって、接種が適していない場合や、接種にあたって注意が必要とされる場合があります。
助成内容は自治体によって異なり、全額公費負担から一部自己負担までさまざまです。定期接種の対象でない方であっても、市区町村によっては独自の助成事業をおこなっている場合があります。
助成制度の詳細や実施期間、対象年齢、自己負担額については、お住まいの市区町村の保健所・保健センター、医師会、医療機関、かかりつけ医に問い合わせてみましょう。
会社の健康保険組合などが提供する補助制度の確認
企業によっては、従業員の健康管理を支援する福利厚生の一環として、インフルエンザ予防接種費用の補助制度を設けている場合があります。これは法律で定められた制度ではなく、各企業や健康保険組合が独自に実施しているものです。
補助内容は企業によって異なり、全額補助から一部補助までさまざまです。健康保険組合が実施する場合、組合員とその扶養家族を対象に補助をおこなうケースもあります。また、企業が指定する医療機関での接種を条件とする場合や、接種後に領収書を提出して払い戻しを受ける形式もあります。
補助制度の有無や詳細については、勤務先の人事部門、総務部門、または加入している健康保険組合に確認してください。申請方法や必要書類、申請期限についても併せて確認しましょう。制度を利用する場合は、接種前に申請方法を把握し、領収書を保管しておくことが重要です。
セルフメディケーション税制の利用
セルフメディケーション税制は、健康維持や病気の予防に取り組む方を対象とした医療費控除の特例制度です[10]。この制度では、対象となるOTC医薬品(市販薬)を年間で12,000円を超えて購入した場合、その超過分の金額について最大88,000円までを所得から差し引くことができます[11]。
制度の適用を受けるには、申告対象の1年間(1月から12月)に「健康の保持増進および疾病の予防に関する一定の取組」をおこなっていることが条件です[11]。この「一定の取組」には、インフルエンザワクチンの予防接種も含まれます。その他、特定健康診査、定期健康診断、がん検診、保険者が実施する健康診査なども対象となります。
重要な注意点として、セルフメディケーション税制は従来の医療費控除との選択制です[10]。同じ年に両方を適用することはできず、どちらか一方のみを選択して申告する必要があります。一度申告すると後から変更はできないため、どちらの控除を利用するかは慎重に検討することが大切です。
この制度は、平成29年1月1日から令和8年12月31日までの期間限定で実施されています[11]。確定申告の際には、セルフメディケーション税制の明細書を作成し、「一定の取組」をおこなったことを示す領収書や予防接種済証などの書類を5年間保管する必要があります[11]。
詳しくは国税庁のホームページをご参照ください。
No.1131 セルフメディケーション税制と通常の医療費控除との選択適用|国税庁
インフルエンザ予防接種の副反応で起こる可能性がある症状
インフルエンザワクチン接種後に起こる副反応は、大きく「接種部位の反応」と「全身の反応」に分けられます。最も多くみられるのは、接種した場所の赤み(発赤)、腫れ(腫脹)、痛み(疼痛)などの局所反応です。これらは接種を受けた方の10~20%に起こりますが、通常は2~3日で自然に治まります[1]。
全身の反応としては、発熱、頭痛、寒気(悪寒)、だるさ(倦怠感)などがあり、接種を受けた方の5~10%にみられます。これらも局所反応と同様に、通常2~3日で治まることが多いです[1]。
まれではありますが、ショックやアナフィラキシー様症状(発疹、じんましん、赤み、かゆみ、呼吸困難など)が起こることもあります。これはワクチンに対するアレルギー反応で、接種後すぐに発症することが多いため、接種後30分程度は医療機関内で安静に過ごすことが推奨されています[1]。帰宅後に異常が認められた場合には、速やかに医師へ連絡してください。
副反応の症状が続く場合の医療機関を受診する目安
接種部位の赤みや腫れ、軽度の発熱や倦怠感などの一般的な副反応は、通常2日から3日で自然に消失するため、特別な治療をせず様子をみることが多いです[1]。この期間は安静にしておくことが大切です。
ただし、接種後に高熱が続く、呼吸が苦しい、意識状態がおかしいなど具合が悪い場合は、早めに医療機関を受診してください。アナフィラキシー様症状は接種後比較的すぐに起こることが多いため、接種後30分間は医療機関内で安静にし、異常がないか注意深く観察することが推奨されています[12]。
また、帰宅後に発疹、じんましん、呼吸困難などの症状が認められた場合には、速やかに医師に連絡してください。2日から3日を過ぎても接種部位の腫れや痛みが改善しない場合や、発熱が続く場合も医療機関に相談しましょう。
インフルエンザ予防接種後の生活で注意すべき3つのポイント
インフルエンザワクチン接種後は、生活上の過度な制限はなく、普段通りの生活や入浴が可能です。
ただし、副反応のリスクを最小限に抑えるため、以下のポイントに注意しましょう。
- 過度な飲酒を控える
- 激しい運動を避ける
- 入浴時に接種部位を強くこすらない
万が一、接種後に高熱が続く、呼吸が苦しい、意識状態がおかしいなどの症状があらわれた場合は、速やかに医療機関を受診してください。
ポイント1:接種当日の過度な飲酒は控える
接種当日の過度な飲酒は控えましょう。
飲酒によって体調が変化した場合、それがワクチンによる副反応なのか、アルコールの影響なのかを判断することが困難です。
接種翌日以降は、副反応の症状(発熱、倦怠感など)がみられなければ、通常通りの飲酒に戻すことができます。ただし、接種部位の腫れや痛みが続いている場合は、症状が落ち着くまで飲酒を控えめにすることをおすすめします。
ポイント2:激しい運動は避け、安静に過ごす
接種当日は水泳やマラソンのような激しい運動を避けることが推奨されます[12][13]。
一方で、通勤や買い物、軽い散歩などの日常的な活動はおこなってかまいません。過度に安静を保つ必要はなく、普段通りの生活を過ごしてください。
接種翌日以降は、副反応の症状がなければ通常通りの運動を再開できます。ただし、発熱や倦怠感などの症状がある場合は、症状が完全に回復するまで激しい運動は控えましょう。
ポイント3:入浴は可能だが接種部位を強くこすらない
接種当日の入浴は差し支えありません[12]。接種部位を強くこすったり、長時間湯船に浸かったりすることは避けましょう。清潔を保つことは重要ですが、接種部位への過度な刺激は炎症を悪化させる可能性があります。
湯船に浸かる場合は、ぬるめのお湯で短時間にとどめましょう。
入浴後は、接種部位を清潔に保ち、必要以上に触らないようにしてください。もし入浴後に接種部位の腫れや痛みが増した場合は、冷たいタオルなどで軽く冷やすことで症状を和らげることができます。
自費での抗インフルエンザ薬の予防投与について
インフルエンザは身近な人からうつることが多いため、予防の一つとして抗インフルエンザ薬を事前に服用する方法があります。
家族や職場でインフルエンザが発生したときに内服することで、発症リスクを下げられる可能性が高まります。
インフルエンザ予防の基本はワクチン接種ですが、接種しても感染を完全に防げるわけではありません。抗インフルエンザ薬は型を問わずウイルスの増殖を抑える作用があり、ワクチンとの併用により、予防効果が期待されます。
クリニックフォアでは、抗インフルエンザ薬による予防投与を実施しており、オンラインでの処方にも対応しています。ご家族や同僚に感染者が出た場合でも、早めに使用することで発症リスクを下げられる可能性があります。
まずはお気軽にご相談ください。
【インフルエンザ予防内服】のオンライン診療 | クリニックフォア
※保険適用外の自由診療になります。
※医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。
※検査等が必要な場合は、対面診療をご案内させていただく場合があります。
※お薬代(税込)
- オセルタミビル(タミフル後発品)1日1回 10日分:8,250円
- イナビル(先発品)2容器で1回分:10,450円
- ゾフルーザ(先発品)2錠で1回分 ※ 80kg 未満の方向け:11,550円
- ゾフルーザ(先発品)4錠で1回分 ※ 80kg 以上の方向け:19,250円
※価格は2025年11月時点のものになります。
※診察料1,650円(税込)と配送料550円(税込)がかかります。
インフルエンザ予防接種に関するよくある質問
インフルエンザ予防接種に関するよくある疑問をまとめました。ワクチンの効果や接種のタイミング、副反応、費用など、接種前に知っておきたい重要な情報を解説します。
ワクチン接種を検討する際、多くの方が効果の持続期間や接種後の生活について不安を感じています。また、接種しても感染するケースがあることや、体調不良時の接種可否についても疑問を持つ方が少なくありません。
以下の情報を参考に、ご自身やご家族の健康状態、生活環境に合わせてワクチン接種を検討してみてください。不明な点や個別の状況については、かかりつけ医や接種をおこなう医療機関に相談することをおすすめします。
インフルエンザと新型コロナの予防接種を同時に受けられますか?
インフルエンザワクチンと新型コロナワクチンは同時に接種することが可能です[14]。ただし、同時接種をおこなうかどうかは、体調や既往歴などを踏まえて医師が判断します。
また、新型コロナワクチンと他のワクチンの間隔については特別な制限はなく、接種日を分けておこなう場合でも一定の待機期間を設ける必要はありません。必要に応じて柔軟にスケジュールを組むことができます。
このため、季節性インフルエンザが流行する時期や、肺炎球菌感染症の予防が勧められる高齢者の方などは、医師と相談しながら接種の方法を決めることが大切です。同時接種や近い日程での接種を選ぶことで、効率的に感染症予防を進められるでしょう。
接種してもインフルエンザにかかるのはなぜですか?
現在使用されているインフルエンザワクチンは、接種すれば必ず感染を防げるというものではありません。ただし、発病を抑える効果や、発病した場合でも重症化や死亡を防ぐ効果があることが確認されています。
また、ワクチンは毎年流行が予測されるウイルス株に基づいて製造されますが、実際に流行するウイルスとワクチン株が完全に一致するとは限りません。
そのため、ワクチンだけでなく日頃から手洗い・うがいなど、ほかの感染対策も心がけましょう。
風邪気味のときに接種しても大丈夫ですか?
明らかな発熱(37.5℃以上)を呈している場合や、重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな場合は、予防接種を受けることができません[12]。微熱程度であっても、最終的な接種の可否判断は、診察をおこなった医師がおこないます。
風邪のような症状がある場合は、無理に予定通り接種するのではなく、体調が回復してからあらためて接種することをおすすめします。症状が軽微であっても、接種前に医師に体調を伝え、接種可能かどうか判断を仰ぐようにしましょう。
インフルエンザの予防接種をするにはいくらかかりますか?
インフルエンザの予防接種は、健康保険が適用されません。原則として全額自己負担となり、費用は医療機関によって異なります。
自由診療であるため、同じ地域内でも医療機関ごとに価格設定が異なる場合があります。費用の目安を知りたい場合は、いくつかの医療機関の情報を調べてみるとよいでしょう。
まとめ
インフルエンザ予防接種は、発症や重症化のリスクを下げる有効な手段です。とくに高齢者や基礎疾患のある方、子どもにとって重要な予防策となります。ワクチンは接種後すぐに効果があらわれるわけではなく、抗体が十分に作られるまで約2週間かかり、効果はおよそ5か月持続します。そのため、12月の流行ピークに備えて、遅くとも12月中旬までに接種を済ませておくことが望ましいです。
13歳未満のお子さまは2回接種が必要であり、1回目の時期が遅れると十分な免疫獲得が間に合わない可能性があります。また、費用は自由診療のため医療機関によって異なりますが、市区町村の助成や企業の補助制度、セルフメディケーション税制を活用することで負担を抑えられる場合があります。
副反応としては腕の腫れや痛み、発熱や倦怠感などみられますが、通常は2〜3日で治まることが多いです。ただし、呼吸困難や強いアレルギー症状が出た場合には、速やかに受診しましょう。
接種後は入浴や日常生活に大きな制限はありませんが、当日の激しい運動や過度の飲酒は避け、体調の変化に注意しながら過ごすことが安心につながります。
