咽頭炎とは?症状・原因・治療法・セルフケアを詳しく解説!

のどの痛みや違和感、咳などの症状がある場合は、咽頭炎の恐れがあります。今回は、咽頭炎の症状や原因、治療法、セルフケアなどについて詳しく解説します。

咽頭炎とは

咽頭炎とは、のどの粘膜やリンパ組織(白血球の成分であるリンパ球がある組織)に炎症が起きている状態のことを言います。風邪に伴って生じることが一般的です。

なお、正確には咽頭は、鼻とのどの境目から気道と食道の境目までのことを指します。

咽頭炎の症状

咽頭炎の主な症状は、のどに生じる以下のような症状です。

  • 赤み
  • 腫れ
  • 痛み
  • 違和感

つばや食べ物を飲み込むときに痛みを感じることもあります。その他に、以下のような症状を伴うこともあります。

  • 耳の痛み
  • 発熱
  • 倦怠感
  • 頭痛
  • 首のリンパの腫れなど

咽頭炎の原因

咽頭炎は主に、風邪の原因となるウイルスの感染によって生じます。よく知られているものでは、アデノウイルス、インフルエンザウイルス、RSウイルスなどがあります。ただ、実は風邪の原因となるウイルスは200種類以上あるとされており、さまざまなウイルスによって風邪や咽頭炎が引き起こされます。

また、細菌が原因となるケースもゼロではありません。最初から細菌感染していることもあれば、ウイルス感染が起きた後に、さらに細菌に感染するケースもあります。咽頭は外と近い部分にあるので、感染が生じやすい部分なのです。

その他に、黄砂やPM2.5が影響するケースもあるようです。

溶連菌性の咽頭炎

溶連菌(A群β溶血性レンサ球菌)という細菌が原因となって咽頭炎が引き起こされることがあります。

学童期の子どもが感染することが多く、冬と、春から夏にかけて感染・発症することが多いとされています。

一般的な咽頭炎と症状はほとんど同じですが、嘔吐を伴うことがあります。また、以下のような病気を合併することがあるため、早めに適切な治療を受けることが大事です。

  • 肺炎
  • 髄膜炎(頭蓋骨と脳の間にある髄膜が炎症するもの)
  • 敗血症(感染症にかかっているときに、細菌が増殖して炎症し、臓器に障害が生じるもの)
  • リウマチ熱(溶連菌感染を放置し、関節や皮膚、心臓に炎症が生じるもの)
  • 急性糸球体腎炎(腎臓の糸球体という組織に一過性の炎症が生じるもの)など

ストレスや疲れも一つの原因

免疫機能が正常であれば、多少のウイルスや細菌に対しては抵抗力があります。しかし、

ストレスや疲れなどが原因で、免疫力が落ちていると、感染・発症しやすくなります。特にのどには、免疫にかかわるリンパ組織が多いため、免疫力が低下すると抵抗力がなくなり、咽頭炎の大きな原因となります。

睡眠不足や気温の変化(季節の変わり目)なども影響しやすいです。

咽頭炎はうつる?

ウイルスや細菌によって生じた咽頭炎は、人にうつることがあります。咳やくしゃみによる飛沫感染のほか、唾液でも感染するので、食器やタオルを洗わずに共有したり、キスをしたりするのは危険です。

症状がある場合は感染対策を徹底しましょう。

急性咽頭炎・慢性咽頭炎の違い

咽頭炎は、急性咽頭炎と慢性咽頭炎に分けることができます。ここまでの解説は主に急性咽頭炎についてでしたが、ここで改めて、それぞれについて詳しく解説しておきます。

急性咽頭炎

急性咽頭炎は、ここまで説明してきた通り、ウイルスや細菌などの感染によってのどに炎症が生じ、痛みや発熱などを伴うものです。

症状が強い場合は入院が必要になることもありますが、あくまで一過性のものです。

慢性咽頭炎

慢性的にのどが炎症し、痛みや違和感、飲み込みにくさ、咳などが続くものが慢性咽頭炎です。

急性咽頭炎が治らずに慢性化することもあれば、以下のような理由で引き起こされることもあります。

  • 粘膜への持続的な刺激(鼻水がのどに流れる「後鼻漏」、喫煙など)
  • 胃酸の逆流
  • 自己免疫疾患
  • 性感染症

なお、以下のような病気の症状としてのどに症状が現れることもあるので、長期間にわたってのどに違和感などがある場合は、早めの受診を検討しましょう。

  • がん
  • 神経痛
  • 狭心症、心筋梗塞
  • ストレス

咽頭炎の治し方・お薬

咽頭炎の治療には飲み薬を使うことが多いですが、うがい薬や、後述するネブライザー治療(吸入)を用いることもあります。

原因がウイルスの場合、多くのウイルスでは特効薬はなく、対症療法を行うのみとなります。ただ、細菌が感染している場合は抗菌薬を使うこともあります。使用するお薬や特徴は以下の通りです。

お薬の種類期待できる効果など成分・お薬の例
解熱鎮痛剤・のどの痛みの緩和
・解熱、関節の痛みや鼻症状改善にもつながる
・アセトアミノフェン(カロナール)
・イブプロフェン・ロキソプロフェンナトリウム水和物(ロキソニン)など
抗炎症薬喉の痛み、赤み、充血、腫れなどの緩和・トラネキサム酸
・うがい薬など
抗菌薬細菌感染に使うアモキシシリン水和物など

なお、抗菌薬などのお薬を霧状にして噴霧する「ネブライザー治療」という治療法もあります。飲み薬はお薬の成分が全身に行きわたりますが、ネブライザー治療は患部にだけ噴霧することができるので、効率よく効果が期待できます。さらに、加湿効果も得られます。

咽頭炎のセルフケア・注意点

咽頭炎は、風邪に伴うことが多く、風邪は本来セルフケアで対応できることが一般的です。そのため、咽頭炎のときには、以下のようなセルフケアも積極的に行いましょう。

基本は睡眠・安静・水分補給・栄養補給

ウイルス性の咽頭炎は、風邪と同じように、しばらくすれば自然と治ることが多いです。早く治すためには、安静と十分な睡眠、水分・栄養補給が大事です。これさえしっかり行っておけば薬が必要のないケースも多いので、まずはセルフケアで様子を見てもよいでしょう。

なお、辛い物などの刺激物は喉に負担をかけることがあるため、避けましょう。

乾燥対策をする

のどの乾燥は、炎症や痛みを悪化させる原因となります。適度にうがいをし、必要に応じて加湿器などで部屋を加湿しましょう。洗濯物の部屋干しも加湿に効果的です。

市販薬は適切に使う

市販薬で対処する場合は、自分に合ったお薬を選べるよう、できれば薬剤師さんなどがいるお店で相談して購入しましょう。飲むときは用法用量を必ず守ってください。

なお、うがい薬を使いすぎると、常在菌まで流されてしまってかえって悪影響となることもあるので注意が必要です。

禁煙する

タバコは刺激が強く、のどの負担になります。そのため、のどの症状が出ているときは、禁煙をおすすめします。

咽頭炎と似ている病気について知っておきたいこと

最後に、咽頭炎に似ている病気として、扁桃炎と上咽頭炎について紹介します。

扁桃炎との違い

咽頭炎と同じようなのどの炎症に、扁桃炎があります。扁桃炎は、扁桃腺(喉の奥の左右にある)に炎症が生じた状態です。のどを上咽頭、中咽頭、下咽頭に分けたときの中咽頭に当たる部分です。

症状や原因、治療法などは咽頭炎とほとんど同じですが、扁桃に白い膿がたまったり、高熱が出たりしやすいという特徴があります。

上咽頭炎との違い

上咽頭炎は、上咽頭に炎症が生じている状態です。上咽頭は、咽頭の中でも最も上に位置する部分で、鼻と喉の境目あたりのことを指します。上咽頭炎になると、上咽頭の痛みや違和感などが生じることが多いです。

原因は、ウイルスや細菌の感染以外に、首などの冷え、空気の乾燥、口呼吸などが挙げられます。

なお、上咽頭炎は、中耳炎の原因となったり、慢性化したりすることがあります。慢性化すると、痛みがおさまった後も鼻づまりが長引き、後鼻漏(鼻水が鼻からのどに行く)、のどの違和感などの症状などが出ます。この状態を慢性上咽頭炎と言います。

慢性上咽頭炎になった場合は、薬物療法やネブライザー治療だけでなく、Bスポット療法(EAT、上咽頭擦過療法)を行うことがあります。これは、塩化亜鉛液を患部に擦りつける方法です。また、鼻うがい(鼻洗浄)も効果が期待できます。

咽頭炎は保険適用で診療できる?

咽頭炎は保険適用で診療が受けられることが一般的です。診療は、保険適用の保険診療と、保険適用外の自由診療に分けることができ、基本的に、のどに関する症状や、風邪のような症状があり、治療の必要性があり、決められた範囲内の治療法を実施する場合は保険適用となります。

保険診療自由診療(保険外診療)
概要公的な健康保険が適用される診療保険が適用にならない診療
主な状況病気の症状があり、治療の必要性がある状況美容目的や、予防目的の場合
診察・治療内容国民健康保険法や健康保険法などによって、給付対象として定められている検査、治療医療保険各法等の給付対象とならない検査、治療
費用同じ診療内容なら、どの医療機関でも同じ同じ診療内容でも、医療機関によって異なる
原則1~3割負担全額自己負担

咽頭炎の治療はクリニックフォアのオンライン保険診療へ

クリニックフォアでは、さまざまなお悩みに対応するオンライン診療を行っています。咽頭炎が疑われるような、のどの症状の診療は、保険診療の内科科で対応が可能です。

咽頭炎は自然に治ることもありますが、悪化して重症化することもあります。そのため、症状がひどいと感じる場合は早めの受診をご検討下さい。

クリニックフォアのオンライン診療は診療時間も幅広く、自宅などにいながら診察を受けられるため、体調が悪く外出が難しい方や、忙しい方でも受診しやすくなっています。

※医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。
※効果・効能・副作用の現れ方は個人差がございます。医師の診察をうけ、診断された適切な治療方法をお守りください。 

 

 

注意 オンラインでお薬の処方ができない場合があります

以下に当てはまる場合はオンラインで処方ができません。

  • 依存性の高い向精神薬(不眠症のお薬を含みます)に分類されるお薬や麻薬は処方できません。
  • 触診・検査などが必要な場合(爪水虫など)、オンラインでは病状を把握するために必要な情報が十分に得られないと医師が判断した場合には、対面での診療をお願いする場合がございます。

参考文献

  1. 耳鼻咽喉科・頭頸部外科が扱う代表的な病気|日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
  2. 呼吸器の病気|日本呼吸器学会
  3. A群溶血性レンサ球菌咽頭炎とは|国立感染症研究所