ノロウイルス感染症で発熱することはある?
「ノロウイルス=熱が出ない」というイメージを持つ方もいるかもしれませんが、実際には発熱がみられることがあります。
吐き気や嘔吐だけが起こる場合や、あわせて下痢や腹痛もみられる場合など、ノロウイルスの症状には個人差があります[1]。
発熱が単独で起きることは少なく、胃腸症状とあわせて起こるのが一般的です。
ノロウイルスによって出る熱は、37〜38℃前後の比較的軽度なケースが多いとされ、高熱(39℃以上)が続くことは多くありません。
ただし子どもや高齢者では、嘔吐や下痢がきっかけで脱水症状を起こし、体調が急激に悪化する可能性もあります。
自分で症状をはっきり伝えられないこともあるため、家族など周囲の人が熱の高さだけでなく全身状態を観察するようにしましょう。
ノロウイルスで熱が続く期間は?
ノロウイルスによる発熱は、通常1〜2日程度で自然に下がるのが一般的です[2]。発熱が3日以上続く場合や症状が悪化する場合は、ノロウイルス以外の感染症にかかっている可能性も考えられます。とくに乳幼児や高齢者では、嘔吐物が気管に入ったことで誤嚥性肺炎を起こし発熱するケースもあります。ノロウイルスによる発熱がつらい場合は無理をせず、早めに医療機関を受診しましょう。
ノロウイルスの発熱で市販薬は使用できる?
ノロウイルスによる発熱に対しては、市販の解熱鎮痛剤を自己判断で使用することは控え、早めに医療機関を受診するようにしましょう。
ノロウイルスにより胃腸の粘膜がダメージを受けている場合、自己判断で解熱鎮痛剤を使用すると胃腸への負担を増やしてしまう可能性があるためです。
また市販の下痢止めについても、症状を長引かせる可能性があることから、自己判断での使用は推奨されていません[2]。
下痢は体内のウイルスを体外へ排出する身体の自然な防御反応であり、安易に下痢止めを使用すると、ウイルスが腸管内に長く留まる可能性があるためです[2]。
「つらい症状をはやく改善したい」といった場合は市販薬を使用するのではなく、早めに医療機関を受診し、自分に合ったお薬を処方してもらうと安心でしょう。
外出がつらいときはクリニックフォアのオンライン診療を
クリニックフォアでは、ノロウイルスのような感染性胃腸炎に対してもオンライン診療を提供しております。
症状がつらく外出が難しい場合でも、自宅にいながら診療が受けられます。
移動による体力の消耗を抑えられるだけでなく、ほかの患者さんに感染を広げる心配もありません。
ノロウイルスには特効薬がありませんが、胃腸への負担を考慮した適切な解熱剤や整腸剤、吐き気止めなどの処方が可能です。
「症状が重くて医療機関へ行けない」「家族にうつしたくない」というときは、無理をして外出せず、まずは在宅のまま医師に相談できるオンライン診療を検討しましょう。
※医師の判断によりお薬を処方できない場合もございます。
※対面診療をご案内する場合がございます。
※診察料・システム手数料が別途1,650円(税込)、配送料が550円(税込)かかります。
ノロウイルスで熱があるときの対処法
ノロウイルスで発熱した場合は、以下の対処法を取り入れると身体の回復を促す効果が期待できます。
- こまめに水分を補給する
- 消化に良い食事を少しずつとる
ノロウイルスには特効薬がないため、身体の回復力を高められるよう適切なケアをすることが大切です。
それぞれの対処法について詳しくご紹介しますので、できることから試してみましょう。
こまめに水分を補給する
脱水予防のため、ノロウイルスに感染した場合はこまめな水分補給を心がけましょう。
嘔吐や下痢により体内の水分と電解質が急速に失われると脱水を起こし、回復を遅らせてしまう可能性があるためです[2]。
飲みやすい水やお茶のほか、嘔吐や下痢で失われた電解質を効率よく補える「経口補水液」を活用すると、さらに脱水予防効果が期待できます。
一度に多量の水分を摂取すると嘔吐を誘発する可能性があるため、スプーン1杯程度から飲み始め、5〜10分おきに少しずつ増量していくのがおすすめです[3]。高齢者はのどの渇きを感じにくい傾向があるため、家族など周囲の人が意識的に水分摂取を促すようにしましょう。
消化に良い食事を少しずつとる
嘔吐が治まったら、消化に負担をかけない食事を少しずつ再開しましょう。
症状が軽くなったあとすぐに通常の食事に戻すと、腸管への刺激となり嘔吐や下痢が再燃する可能性があるためです。
ノロウイルスの症状が落ち着いて食欲が戻ってきたら、おかゆ・うどん・バナナ・りんごのすりおろしなど、消化しやすい食事から再開します[4]。油分の多い料理・乳製品・刺激物は消化に負担がかかるため避け、常温または少し温かい状態で少量ずつ摂取すると胃腸に負担をかけにくくなります。食欲がない場合は無理に食べる必要はないため、体調にあわせて徐々に食事量を増やしていきましょう。
家族や周囲に感染を広げないための対処法
ノロウイルス感染時には、家族など周囲の人が感染しないよう以下の対処法を実施しましょう。
- 共用スペースなどの手がふれやすい場所を消毒する
- 嘔吐物・糞便が付着した衣類を処理する
嘔吐物や糞便にはノロウイルスが含まれており、直接ふれるほか、感染者がふれた場所からも間接的に感染してしまう可能性があります。
感染対策のポイントをおさえ、周囲の人をノロウイルスから守りましょう。
共用スペースなどの手がふれやすい場所を消毒する
家庭内で日常的にふれやすい場所を消毒することで、感染拡大を防ぐ効果が期待できます。
ノロウイルスに感染した人がふれた場所にはウイルスが付着している可能性があり、同じ場所にふれることで感染が広がるケースがあるためです。
ノロウイルスの消毒には次亜塩素酸ナトリウムが効果的で、消毒部位ごとに濃度を調節して使用します。
一般的によく販売されている濃度6%の塩素系漂白剤を使用する場合、共用スペースの消毒には水3Lに対して原液10mlを加えた液をタオルやキッチンペーパーに浸して拭き取ります[5]。
とくにウイルスが付着しやすいトイレの取っ手や、家族で共通してふれやすいリモコン・電気のスイッチなどをこまめに消毒すると効果的です。
次亜塩素酸ナトリウムは、薄めた液でも皮膚にふれると肌荒れの原因になる場合があるため、消毒の際は使い捨て手袋の装着が必要です。次亜塩素酸ナトリウムは金属を腐食させる性質があるため、消毒後は水拭きをしましょう。
嘔吐物・糞便が付着した衣類を処理する
衣類に嘔吐物が付着した場合には、処分するのがノロウイルスの感染予防対策として最も効果的です。
処分できない場合、そのまま洗濯をするとほかの衣類にノロウイルスが付着して感染が広がる可能性があります。
あらかじめ以下の方法で衣類の消毒をおこないましょう。
| 煮沸消毒[6] | ・鍋に入る程度のタオル ・衣類の消毒に有効な方法です。 ・85℃以上のお湯に衣類を入れ、1分間以上煮沸します。 ・お湯が跳ねると二次感染を起こすことがあるため、消毒の際は慎重におこないましょう。 |
| 次亜塩素酸ナトリウムによる消毒[7][8] | ・煮沸消毒ができない衣類に有効な方法です。 ・衣類に付着した嘔吐物をキッチンペーパーなどで拭き取り、次亜塩素酸ナトリウムを薄めた液に30〜60分ほどつけおきします。 ・濃度6%の商品の場合:10mlの塩素系漂白剤+水3L・酸素系の漂白剤はノロウイルスに効果がないため、塩素系の漂白剤を使用しましょう。 |
洗濯しにくい布団などは、屋外で乾燥させたあとスチームアイロンや布団乾燥機をかけると、ノロウイルスを不活化する効果が期待できます[2]。
素材によっては熱湯で衣類の手触りが変わったり、次亜塩素酸ナトリウムにより脱色したりするおそれがあります。
消毒をする場合は衣類の材質を確認したうえで適切な方法を選択し、消毒が難しい衣類は処分しましょう。
ノロウイルスの熱に関するよくある質問
ノロウイルスに関して、疑問をもたれやすいポイントを3つ解説します。
ご自身の症状がノロウイルスかわからない場合や、対処法・職場復帰についてお悩みの場合には参考にしてみてください。
大人がノロウイルスで発熱した場合の仕事復帰の目安は?
ノロウイルスに感染したあと、どのくらいで仕事に復帰できるか明確なルールはありません。ただし症状がある間は、嘔吐物や便に含まれるウイルスを介して周囲の人にうつす可能性があるため、就業を避けるべきだと考えられます。また症状が治まっても、ノロウイルスは1週間から1か月ほど便から排出される可能性があり、周囲の人への配慮は継続する必要があります[2]。とくに食品を扱う職業に就いている人は職場ごとにルールが決まっていることもあるため、復帰目安で悩んだ場合は勤務先に確認すると安心でしょう。
熱だけで下痢や嘔吐がない場合もノロウイルスですか?
ノロウイルスに感染している可能性もありますが、下痢や嘔吐がない場合は、ほかの感染症の可能性も考えられます。
ノロウイルス感染症の主な症状は嘔吐・下痢・腹痛・発熱とされており、発熱のみで消化器症状を伴わないケースは典型的ではないためです[1]。
発熱のみの場合、インフルエンザなどほかの感染症にかかっている可能性も考えられるため、早めに医療機関を受診しましょう。
アルコール消毒はノロウイルスに効果がありますか?
ノロウイルスの消毒には「次亜塩素酸ナトリウム(塩素系消毒剤)」の使用が推奨されており、アルコール消毒液ではノロウイルスの感染力を失わせる十分な効果が期待できません[6]。
塩素系漂白剤は水で希釈して使用する必要があり、消毒場所ごとに推奨されている濃度は以下のとおりです[5]。
| 汚染された調理器具や感染者が接触した場所 嘔吐物で汚染された床など | 200ppm 【6%次亜塩素酸ナトリウムの場合】 原液10ml+水3L |
| 嘔吐物の処理 | 1000ppm【6%次亜塩素酸ナトリウムの場合】 原液50ml+水3L |
消毒をする際は、ノロウイルスが衣類や身体に付着したり、鼻から吸い込んだりするのを防ぐため、ガウン・マスク・手袋の着用と十分な換気が必要です。
消毒に使用したタオルや使い捨て手袋などはビニール袋に入れ、ウイルスが飛散しないよう袋の口をしっかり密閉して廃棄します。消毒後は石けんを用いて十分に手洗いをおこない、手に付着したノロウイルスを除去しましょう。
正しい対処法を知ってノロウイルスによる発熱を乗り切ろう
ノロウイルス感染症では、下痢や嘔吐に加えて37〜38℃前後の熱が出ることがありますが、多くの場合1〜2日で自然に改善します。
治療の基本は脱水を防ぐための対症療法であり、解熱剤や下痢止めを自己判断で使用するのは避け、医師の指示を仰ぐようにしましょう。
また本人が軽症であっても、便や嘔吐物には強い感染力を持つノロウイルスが含まれています。
「85℃以上での加熱処理」や「次亜塩素酸ナトリウムによる消毒」を徹底し、家庭内での二次感染を防ぐことが重要です。
感染対策を実践し、早期回復と感染拡大防止に努めましょう。
