※診察の結果、医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。
※触診・検査などが必要な場合は、対面での診療をお願いする場合があります。
嘔吐物の処理手順
嘔吐物の処理の基本は、以下の4ステップです。
- 周囲の人を遠ざける
- 自分を守る装備をする
- 静かに拭き取る
- 塩素系漂白剤で消毒し、水拭きする
順番を守って対応することで、二次感染のリスクを減らすことが期待できます。
落ち着いて、一つずつ進めていきましょう。
ステップ1:処理する人以外を別の部屋に移動させる
嘔吐物を処理する前に、まず周囲にいる家族を別の部屋に移動させましょう。
処理中に飛沫やウイルスを吸い込んでしまうと、二次感染につながる可能性があるためです。
嘔吐の際は周囲に飛散することがあるため、周囲の人を離し、換気しながら処理します[1]。
とくに小さな子どもや高齢者は免疫力が低いことが多く、感染した場合に症状が重くなりやすいです。
そのため「処理が終わるまで近づかないでね」と声をかけ、汚染された場所から離れてもらうことが大切です。
嘔吐物を処理する人と作業を補助する人の2名で対応すると効率的に作業ができます。
感染リスクを抑えるため、対応する人数は最小限にとどめましょう。
ステップ2:手袋・マスクを着用してから処理を始める
処理を始める前に、使い捨ての手袋とマスクを着用しましょう。
素手で触れたり飛沫を吸い込んだりすると、処理する人自身が感染するリスクがあるためです。
手袋は二重に着用するとより安心です。また、ビニールエプロンがあれば着用することをおすすめします。
エプロンがない場合は、大きなポリ袋の底と両端を切って頭と腕を通せば代用することが可能です。
また、靴カバーやビニール袋を足に履くと、靴底への汚染も防ぐことが期待できます。
準備ができたら、窓を開けて換気をおこないながら処理を始めましょう。
ステップ3:ペーパータオルで周囲から中心に向かって拭き取る
嘔吐物の上にペーパータオルや新聞紙を静かにかぶせ、中央に寄せるようにして拭き取りましょう。
外側に広げるように拭くと汚染範囲が広がるため、注意が必要です。
拭き取る際には、顔を近づけすぎると飛沫を吸い込むリスクがあるため、できるだけ体を離した姿勢で処理をおこなってください。
拭き取ったペーパータオルはすぐにビニール袋に入れ、袋の口をしっかり縛っておきましょう。
嘔吐物を乾燥させると空気中にウイルスが舞い上がるため、すばやく処理することが感染予防につながります[1]。
ステップ4:消毒液を浸すように塗布し、水拭きする
嘔吐物を拭き取った場所は、次亜塩素酸ナトリウム(0.02%濃度)や亜塩素酸水(0.05%濃度以上)で浸すように拭き取り、その後水拭きをします[1]。
次亜塩素酸ナトリウムは、家庭用の塩素系漂白剤を薄めて使用できます。
消毒する際は、ペーパータオルを敷いてその上から消毒液を染み込ませる方法もおすすめです。
使用したペーパータオルや手袋はすべてビニール袋に入れます。その後、袋の中に次亜塩素酸ナトリウム(0.1%濃度)や亜塩素酸水(0.2%濃度以上)を入れてから口を縛って廃棄してください[1]。
処理が終わったら、窓を開けて十分に換気をおこないましょう。
処理に必要なものと消毒液の作り方
嘔吐物の処理を安心しておこなうためには、必要な道具と消毒液を準備しておくことが大切です。
消毒液は用途によって濃度が異なるため、正しい作り方を覚えておきましょう。
家庭にあるもので準備できるため、あらかじめ処理セットとしてまとめておくといざというときに安心です。
処理に必要な道具一覧
嘔吐物を適切に処理するために、適切な道具を事前に揃えておきましょう。
処理に必要な道具と用途は、以下の表のとおりです。
| 道具 | 使い方 ・用途 |
| 使い捨て手袋(可能であれば2組以上) | 二重に着用して手指を保護する |
| マスク | 飛沫やウイルスの吸い込みを防ぐ |
| 使い捨てエプロン(ポリ袋で代用可能) | 衣服の汚染を防ぐ |
| シューズカバー(ポリ袋で代用可能) | 靴底の汚染を防ぐ |
| ペーパータオルまたは新聞紙 | 嘔吐物を拭き取る |
| ビニール袋 | 汚染物を密閉して廃棄する |
| バケツ | 消毒液を作る、下洗いに使用する |
| 塩素系漂白剤または亜塩素酸水 | 消毒液を作る |
| ペットボトル(計量用) | 消毒液の濃度を調整する |
いずれも適切な消毒をおこなうために欠かせないものです。
これらを「処理セット」としてまとめ、すぐに取り出せる場所に保管しておくと、いざというときに落ち着いて対応できます。
塩素系漂白剤は未開封でも徐々に劣化するため、なるべく購入から1年以内のものを使用することが望ましいです。
また、処理セットには手順を書いたメモを入れておくと、緊急時にも落ち着いて対応できるでしょう。
床や周囲の消毒には0.02%濃度の消毒液を使う
嘔吐物を処理した場所や周囲の消毒には、0.02%濃度(200ppm)の消毒液を使用します。
床やドアノブ、手すり、照明のスイッチなど、手が触れやすい場所を中心に消毒をおこないましょう[1]。
作り方の目安として、2Lのペットボトルに水を入れ、市販の塩素系漂白剤(ハイター、キッチンハイターなど原液濃度約5〜6%のもの)をペットボトルのキャップ2杯(約10ml)加えると0.02%濃度の消毒液になります[2]。
500mlのペットボトルで作る場合は、塩素系漂白剤をキャップ半分弱(約2ml)を加えてください。
消毒後は水拭きをおこない、金属部分は錆びを防ぐためにしっかり拭き取ることが大切です。
消毒液は時間が経つと効果が薄れるため、使用するたびに新しく作ることをおすすめします。
廃棄物の消毒には0.1%濃度の消毒液を使う
使用したペーパータオルや手袋を入れたビニール袋の中には、0.1%濃度(1000ppm)の消毒液を入れることが望ましいとされています[1]。
廃棄物には大量のウイルスが含まれている可能性があるため、濃いめの濃度で消毒します。
作り方の目安として、500mlのペットボトルに水を入れ、市販の塩素系漂白剤(原液濃度約5〜6%)をペットボトルのキャップ2杯(約10ml)加えると0.1%濃度の消毒液になります[2]。
2Lのペットボトルで作る場合は、塩素系漂白剤をキャップ8杯(約40ml)を加えてください。
作った消毒液は誤飲を防ぐため、「消毒液・飲めません」というように一目でわかるように表示しておきましょう。
嘔吐した本人へのケア
嘔吐物の処理と同時に、嘔吐した本人へのケアも大切です。
とくに脱水症状を防ぐための水分補給や、体を休めるための環境づくりが重要になります。
嘔吐が続く場合の対応や、医療機関を受診する目安についても解説します。
適切なケアをおこなうことで、回復を助けることが期待できるでしょう。
嘔吐直後は無理に飲食させない
嘔吐した直後は、無理に水分や食事を取らせないようにしましょう。
胃が敏感になっている状態で飲食すると、再び嘔吐を誘発する可能性があるためです。
嘔吐が落ち着いてからしばらくは様子を見て、吐き気がおさまってきたら少量ずつ水分補給を始めましょう。
最初はスプーン1杯程度の水や経口補水液から始め、5〜10分おきに少しずつ量を増やしていくとよいでしょう。
一度に大量の水分を取ると再び吐いてしまうことがあるため、「少量ずつ」「こまめに」がポイントです。
また、炭酸飲料や柑橘系のジュース、牛乳は胃に負担がかかりやすいため、症状が落ち着くまでは控えた方がよいでしょう。
脱水症状のサインに注意する
嘔吐や下痢が続く場合は、脱水症状に注意が必要です。
体内の水分と電解質が失われることで、体調が悪化する可能性があるためです。
脱水症状のサインとしては、口や唇の乾燥、尿の量が減る・色が濃くなる、ぐったりして元気がない、涙が出ない(子どもの場合)、皮膚をつまんでも戻りが遅いなどが挙げられます。
とくに乳幼児や高齢者は脱水症状を起こしやすいため、こまめに様子を確認することが大切です。
水分が取れない状態が続く場合や、脱水症状のサインが見られる場合は、早めに医療機関を受診してください。
経口補水液は水分と電解質を効率よく補給できるため、ご家庭に常備しておくと安心です。
医療機関を受診する目安
嘔吐の症状がある場合、以下のような状態が見られたら早めに医療機関を受診しましょう。
- 水分を取ってもすぐに吐いてしまう
- 6時間以上尿が出ない(乳幼児の場合)または半日以上尿が出ない(成人の場合)
- 血が混じった嘔吐物や便がある
- 激しい腹痛がある
- 38℃以上の高熱が続く
- 意識がもうろうとしている
とくに乳幼児や高齢者、持病がある方は重症化しやすいため、早めの受診が大切です。
夜間や休日で医療機関が閉まっている場合は、救急医療情報センターや救急相談窓口に相談してください。
判断に迷う場合は、かかりつけ医に相談するか、小児救急電話相談(#8000)を利用することも一つの方法です。
嘔吐後の体調不良にはオンライン診療という選択肢も
「嘔吐の処理は済んだけれど、まだ吐き気が続いている」「体調が優れず医療機関に行くのがつらい」という方には、オンライン診療という選択肢もあります。
オンライン診療では、自宅からスマートフォンやパソコンを使って医師の診察を受けることができます。
嘔吐後は体力を消耗しており、外出すること自体が大きな負担になります。
自宅で安静にしながら医師に相談できるため、移動中に再び吐き気を催す心配もありません。
症状に応じて吐き気止めや整腸剤などのお薬を処方してもらえるため、早めの回復につながるでしょう。
こんな方におすすめ
以下のような方には、オンライン診療がおすすめです。
- 嘔吐後の体調不良で外出するのがつらい方
- 吐き気が続いていて移動に不安がある方
- まずは医師に相談してお薬を処方してほしい方
- 小さな子どもの看病で家を離れられない方
ただし、嘔吐が繰り返し止まらない場合、激しい腹痛や血が混じった嘔吐がある場合、意識がもうろうとしている場合は、すぐに救急医療機関を受診してください。
オンライン診療を希望される場合は、医師に症状を伝えたうえで、ご自身の状況に合った対応を確認しましょう。
※診察の結果、医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。
※触診・検査などが必要な場合は、対面での診療をお願いする場合があります。
衣類や布団に付着した場合の対処法
嘔吐物が衣類や布団に付着した場合は、そのまま洗濯機で洗うと感染が広がる可能性があります。
洗濯する前に適切な下処理と消毒をおこなうことが大切です。
色落ちが心配な場合の対処法や、布団・マットレスの処理方法についても解説します。
正しい方法で対処することで、家庭内での感染拡大を防ぐことが期待できます。
汚れた衣類の下処理と消毒方法
汚れた衣類の下処理と消毒方法について、推奨される手順は以下のとおりです。
- マスクと手袋を着用する
- ペーパータオルで嘔吐物を静かに拭き取る
- バケツに洗剤を入れた水で下洗いする
- 85℃以上で1分間以上の熱水洗濯をする、または次亜塩素酸ナトリウムや亜塩素酸水で消毒する[1]
- 他の洗濯物とは別に洗濯機で洗う
下洗いの際は、水が顔や周囲に飛び散らないよう静かにおこなうことが大切です。
下洗いに使ったバケツや洗面台も、消毒液で消毒することを忘れないようにしましょう。
洗濯後は、コインランドリーの高温乾燥機で乾かすか、天日干しで十分に乾燥させると安心です。
色落ちが心配な場合は熱水消毒を検討する
ノロウイルスは、85℃〜90℃で90秒以上加熱すると感染力を失うとされています[1]。
塩素系漂白剤は漂白作用があるため、色柄物には熱水消毒をおこなうとよいでしょう。
方法としては、大きな鍋でお湯を沸かし、85℃以上の熱湯に衣類を2分程度浸してから洗濯機で洗います。
熱湯を扱う際はやけどに十分注意し、厚手のゴム手袋を着用しておこなってください。
また、コインランドリーの高温乾燥機を使用する方法も効果的でしょう。
素材によっては縮んでしまう場合があるため、洗濯表示を確認してからおこなうことをおすすめします。
消毒が難しい衣類や、汚染が広範囲に及ぶ場合は、廃棄を検討することも一つの方法です。
布団やマットレスの処理方法
布団やマットレスに嘔吐物が付着した場合は、丸洗いが難しいため部分的な消毒をおこないます。
放置すると乾燥したウイルスが空気中に舞い上がる可能性があるため、早めの対処が必要です。
処理方法としては、まずペーパータオルで嘔吐物を拭き取り、よく乾燥させた後にスチームアイロンや布団乾燥機を使うと効果的です[1]。
スチームアイロンを使う際は、当て布をしてから当てましょう。
布団クリーニングに出す場合は、嘔吐物が付着していることを事前に伝え、対応可能か確認してください。
消毒後は天日干しをおこない、十分に乾燥させることが大切です。
ただし、汚染が広範囲に及ぶ場合や臭いが残る場合は、買い替えを検討しましょう。
カーペットや畳に嘔吐した場合の処理方法
カーペットや畳はフローリングと異なり、嘔吐物が染み込みやすいため、処理に工夫が必要です。
素材によって適した消毒方法が異なるため、それぞれに合った対処法を選びましょう。
塩素系漂白剤で色落ちする可能性がある場合は、熱による消毒も選択肢の一つです。
カーペットの処理方法
カーペットに嘔吐した場合は、まずペーパータオルで嘔吐物を静かに拭き取ります。
カーペットは塩素系漂白剤で色落ちする可能性があるため、スチームアイロンによる消毒が適している場合があります。
スチームアイロンを使用する場合は、嘔吐物を拭き取った場所に当て布をして高温のスチームを当てましょう。
目立たない場所で色落ちしないか確認してから、消毒液を使用するかどうか判断すると安心です。
処理後は窓を開けて換気し、カーペットをしっかり乾燥させましょう。
畳の処理方法
畳に嘔吐した場合も、まずペーパータオルで嘔吐物を静かに拭き取ることから始めます。
畳は水分を吸収しやすく、塩素系漂白剤で変色する可能性があるため、スチームアイロンによる消毒が適しているでしょう。
スチームアイロンを使用する場合は、当て布をしてから当てましょう。
畳の目に沿って拭き、汚れを広げないようにすることがポイントです。
消毒後は、乾いたタオルで水分を十分に拭き取り、換気をしながらしっかり乾燥させることが大切です。
汚染が広範囲に及ぶ場合や臭いが残る場合は、畳の表替えや新調を検討することも選択肢の一つとなります。
子どもが嘔吐した場合の対応ポイント
子どもは自分で症状を正確に伝えられないことも多いため、子どもが嘔吐した場合は、保護者が注意深く観察することが大切です。
また、入浴や着替え、保育園・学校へ連絡をする際などに注意すべき点があります。
適切に対応することで、子どもの回復を助け、家庭内での感染拡大を防ぐことが期待できるでしょう。
子どもの嘔吐時に気をつけること
子どもが嘔吐した場合は、まず落ち着いて子どもを安心させることが大切です。
突然吐いてしまうと子ども自身も驚いて不安になるため、「大丈夫だよ」と声をかけてあげましょう。
嘔吐物が口や鼻に残っている場合は、まず横向きに寝かせて窒息を防ぎましょう。
その後、口の中をガーゼなどで優しく拭き取ってください。
嘔吐直後は無理に水分を取らせず、しばらく様子を見てから、スプーン1杯程度の水や経口補水液から始めましょう。
乳幼児は脱水症状を起こしやすいため、尿の量や色、機嫌、涙が出るかどうか、皮膚の張りなどを観察することが大切です。
ぐったりしている、顔色が悪い、意識がもうろうとしているなどの症状があれば、すぐに医療機関の受診を検討してください。
子どもの着替えと入浴の注意点
嘔吐物で汚れた子どもの衣類は、できるだけ早く着替えさせましょう。
着替えの際は、嘔吐物が周囲に飛び散らないよう注意しながら、汚れた衣類をビニール袋に入れてください。
子どもの体についた嘔吐物は、ぬるま湯で絞ったタオルで優しく拭き取るか、シャワーで流すとよいでしょう。
入浴は体力を消耗するため、嘔吐直後や発熱時は控え、シャワーで済ませることをおすすめします。
入浴する場合は、他の家族が入った後、最後に入るようにしてください。
使用後の浴槽は、お湯を抜いてから0.02%濃度の消毒液で拭き、水で洗い流しておくと安心です。
保育園・学校への連絡と登園・登校の目安
子どもが嘔吐した場合は、保育園や学校に連絡して状況を伝えましょう。
感染性胃腸炎が流行している時期はとくに、園や学校での感染拡大を防ぐために情報共有が大切です。
登園・登校の目安は、嘔吐や下痢の症状がおさまり、普段通りの食事が取れるようになってからが一般的です。
施設によって基準が異なる場合があるため、具体的な登園・登校の判断は園や学校に確認してください。
症状がおさまった後も1週間程度(長い場合は1か月程度)はウイルスを排出している可能性があるため、登園・登校後も手洗いを徹底するよう子どもに伝えましょう[1]。
医師の診断書や登園許可証が必要な場合もあるため、保育園・学校に確認のうえ、医師に相談することをおすすめします。
車内で嘔吐した場合の処理方法
車での移動中に子どもや家族が嘔吐してしまうことは珍しくありません。
車内は密閉された空間のため、すばやく適切に処理することが大切です。
シートの素材によって処理方法が異なるため、それぞれに合った対処法を解説します。
事前にエチケット袋や処理グッズを車内に常備しておくと、いざというときに役立つでしょう。
車内の嘔吐物処理の手順
車内で嘔吐が起きたら、以下の手順で対応しましょう。
- 安全な場所に車を停める
- 窓を開けて換気する
- 嘔吐した人を車外に出して休ませる
- 手袋とマスクを着用する
- ペーパータオルや新聞紙で嘔吐物を静かに拭き取る
- 拭き取った嘔吐物はビニール袋に入れ、口をしっかり縛る
車内で塩素系漂白剤を使用すると臭いがこもるため、まずは嘔吐物を取り除くことを優先してください。
帰宅後に改めて消毒をおこなうか、カー用品店やガソリンスタンドの洗車サービスを利用する方法もあります。
車内に嘔吐物処理セットとして、ビニール袋、ペーパータオル、手袋、マスク、エチケット袋を常備しておくと安心です。
シートの消毒と臭い対策
車のシートに嘔吐物が染み込んだ場合は、素材に合わせた消毒をおこないましょう。
布製シートの場合は、嘔吐物を拭き取った後、スチームクリーナーで高温の蒸気を当てると消毒効果が期待できます。
革製シートの場合は、ぬるま湯で絞ったタオルで拭き取り、革用のクリーナーで仕上げてください。
塩素系漂白剤はシートを傷める可能性があるため、使用を避けるか目立たない場所で試してから使うとよいでしょう。
臭いが残る場合は、重曹を振りかけて数時間置いてから掃除機で吸い取る方法が効果的です。
消臭スプレーは臭いを一時的に和らげるだけで、ウイルスを消毒する効果はないため注意してください。
汚染が広範囲に及ぶ場合や臭いが取れない場合は、プロのカークリーニングサービスに相談することをおすすめします。
嘔吐物の臭いが残る場合の対処法
嘔吐物の処理後、消毒はできたものの臭いが残って困ることがあります。
臭いが残ると不快なだけでなく、処理が不十分だったのではないかと不安になる方もいるでしょう。ここでは、嘔吐物の臭いを取る方法と注意点を解説します。
適切な消臭をおこなうことで、快適な生活空間を取り戻すことが期待できます。
臭いを取る方法
嘔吐物の臭いが残る場合は、まず十分な換気をおこなうことが基本です。
窓を開けて空気の流れを作り、数時間〜半日程度換気を続けると臭いが軽減することが多いでしょう。
それでも臭いが残る場合は、重曹を使った消臭がおすすめです。
臭いが気になる場所に重曹を振りかけ、数時間〜一晩置いてから掃除機で吸い取りましょう。
カーペットや布製品には、重曹を振りかけてブラシで軽くなじませてから放置してください。
市販の消臭剤を使用する場合は、塩素系漂白剤と混ぜないよう注意が必要です。
消臭で注意すべきこと
消臭スプレーやアロマなどは、臭いを一時的に覆い隠すものであり、ウイルスを消毒する効果はありません。
消毒をおこなわずに消臭だけをしても、感染リスクは残ったままになるため注意が必要です。
臭いが残っている場合は、嘔吐物が完全に除去できていない可能性もあるため、再度拭き取りと消毒をおこなうことをおすすめします。
塩素系漂白剤の臭いが気になる場合は、消毒後に十分な水拭きをおこない、換気を続けることで軽減できるでしょう。
消毒と消臭は別の作業であることを理解し、まず消毒を徹底してから消臭をおこなうことが大切です。
それでも臭いが取れない場合は、プロのクリーニングサービスに相談することも検討してください。
処理後におこなう二次感染予防のポイント
嘔吐物の処理が終わった後も、二次感染を防ぐための対策を続けることが大切です。
処理した人自身が使用した洗面所・手洗いなどの消毒も忘れずにおこないましょう。
また、家庭内での感染拡大を防ぐために、日常生活での工夫も重要です。
処理後は石けんでしっかり手を洗う
嘔吐物の処理が終わったら、石けんを使ってしっかり手を洗いましょう。
アルコール消毒ではノロウイルスなどに十分な効果が期待できないため、流水と石けんによる手洗いが推奨されています[1]。
手のひら、指の間、爪の先、手首まで丁寧に洗い、流水で十分にすすぐことが大切です。
爪の間には汚れが残りやすいため、爪ブラシを使うとより効果的でしょう。
手洗いは30秒以上かけて丁寧におこない、石けんの泡でしっかり汚れを落としてください。
手洗い後は清潔なタオルで拭くか、使い捨てのペーパータオルを使用すると安心です。
トイレや洗面所も消毒する
嘔吐した人が使用したトイレや洗面所も、消毒をおこなうことが大切です。
便座やドアノブ、蛇口、水洗レバーなどにウイルスが付着している可能性があるためです。
0.02%濃度の消毒液をペーパータオルに含ませ、よく触れる場所を拭いた後、水拭きをおこないましょう。
便器の中は0.1%濃度の消毒液を使用し、便座の裏側も忘れずに消毒してください。
トイレを流す際は、蓋を閉めてから流すとウイルスの飛散を防ぐことが期待できます。
症状が治まった後も1週間程度(長い場合は1か月程度)はウイルスを排出している可能性があるため、こまめな消毒を続けることが大切です[1]。
トイレ掃除用のブラシやスポンジも、使用後は消毒液に浸けておくとより安心でしょう。
家族への感染を防ぐための生活上の工夫
家庭内での感染を防ぐために、日常生活でもいくつかの工夫をおこなうと効果的です。
胃腸炎の原因となるウイルスは感染力が強く、家族間で広がりやすいとされています。
具体的には、タオルや食器を共有しない、トイレの後・食事の前に手洗いを徹底する、症状がある人は入浴を最後にするなどの対策が挙げられます。
嘔吐や下痢の症状がある人が調理をおこなうことは避けた方がよいでしょう。
症状がある人の衣類やシーツは、他の家族のものと分けて洗濯することも大切です。
感染者が使用した後のお風呂は、浴槽のお湯を入れ替えてから他の家族が入るようにしてください。
感染予防を意識した生活を続けることで、家族への感染リスクを減らすことが期待できます。
※診察の結果、医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。
※触診・検査などが必要な場合は、対面での診療をお願いする場合があります。
嘔吐物の処理で知っておきたい基礎知識
嘔吐物の処理方法について、なぜこのような手順が必要なのかを知っておくとより理解が深まります。
ここでは、処理を急ぐ理由や、アルコールではなく塩素系漂白剤を使う理由について解説します。消毒液を使用する際の注意点も合わせて確認しておきましょう。
乾燥する前にすばやく処理することが大切な理由
嘔吐物は乾燥する前にすばやく処理することが大切です。
乾燥するとウイルスが空気中に舞い上がり、それを吸い込むことで感染するリスクが高まるためです。
厚生労働省の情報によると、12日以上前にノロウイルスに汚染されたカーペットを通じて感染が起きた事例も報告されています[1]。
嘔吐物に含まれるウイルスは、便と同様に大量に存在し、感染源となる可能性があるとされています。
ノロウイルスは乾燥した環境でも長期間生存できるため、時間が経った汚染箇所も感染リスクがあることを覚えておきましょう。
嘔吐があった場合はできるだけ早く処理を始め、乾燥させないようにすることが感染予防につながります。
アルコール消毒では効果が期待できない理由
嘔吐物の消毒には、アルコールではなく次亜塩素酸ナトリウムを使用することが推奨されています。
ノロウイルスやロタウイルスなどは、アルコール消毒では十分な効果が得られないとされているためです。
これらのウイルスは「エンベロープ」と呼ばれる脂質の膜を持たないため、アルコールによる消毒効果が得られにくいとされています。
アルコールは脂質を溶かすことでウイルスを破壊しますが、エンベロープを持たないウイルスには効果が限定的です。
厚生労働省でも、ノロウイルスの消毒には次亜塩素酸ナトリウムが有効であると案内されています[1]。
家庭用の塩素系漂白剤(ハイター、キッチンハイター、ブリーチなど)を適切な濃度に薄めて使用することで、効果的な消毒が可能です。
消毒液を使用する際の注意点
消毒液を使用する際は、いくつかの注意点を守ることが大切です。
取り扱いを誤ると、肌荒れや有毒ガスの発生など、体に悪影響を及ぼす可能性があるためです。
具体的には、手袋を着用する、換気を十分におこなう、酸性の洗剤と混ぜない(有毒ガスが発生する)、手指の消毒には使用しないといった点が挙げられます[3]。
消毒液が皮膚や目についた場合は、すぐに大量の水で洗い流し、異常があれば医療機関を受診しましょう。
消毒液は作り置きせず、使用するたびに新しく作ることで効果を保つことができます。
保管する場合は、直射日光を避けた冷暗所に置き、子どもの手が届かない場所に保管してください。
嘔吐物の処理についてよくある質問
嘔吐物の処理に関して、多くの方が抱く疑問にお答えします。
Q:消毒にアルコールは使えますか?
ノロウイルスやロタウイルスにはアルコール消毒の効果が十分ではないとされています。
嘔吐物の消毒には、次亜塩素酸ナトリウム(塩素系漂白剤を薄めたもの)や亜塩素酸水を使用しましょう[1]。
ただし、手洗い後の仕上げとしてアルコール消毒を併用することは問題ありません。
Q:汚れた衣類をそのまま洗濯機で洗ってもいいですか?
そのまま洗濯すると、洗濯槽や他の衣類にウイルスが付着する可能性があります。洗濯する前に85℃以上で1分間以上の熱水洗濯をおこなうか、次亜塩素酸ナトリウムや亜塩素酸水で消毒してから洗濯機に入れましょう[1]。
また、汚染が広範囲に及ぶ場合は、廃棄を検討しましょう。
Q:処理セットは何を準備しておけばいいですか?
処理セットとして、使い捨て手袋、マスク、使い捨てエプロン、ペーパータオル、ビニール袋、バケツ、塩素系漂白剤、計量用ペットボトルを準備しておきましょう。
これらをまとめて保管しておくと、いざというときにすぐ対応できます。
手順を書いたメモも一緒に入れておくと、慌てることなく処理でき安心です。
Q:乗り物酔いで吐いた場合も同じ処理が必要ですか?
乗り物酔いなど感染症が原因ではない嘔吐の場合も、基本的な処理手順は同じです。
ただし、感染性胃腸炎のリスクが低い場合は、塩素系漂白剤ではなく通常の洗剤での清掃でも対応できるでしょう。
原因がわからない場合は、感染症の可能性を考慮して処理をおこなうと安心です。
Q:妊婦が処理しても大丈夫ですか?
妊娠中は免疫力が低下しやすいため、可能であれば他の家族に処理を任せることをおすすめします。
やむを得ず処理をおこなう場合は、手袋・マスク・エプロンを着用し、換気を十分におこなうようにしましょう。
塩素系漂白剤の臭いで気分が悪くなることもあるため、体調に異変を感じたらすぐに処理を中断し、別の人に代わってもらいましょう。
まとめ:正しい処理方法を知って二次感染を防ごう
嘔吐物の処理と感染予防のポイントは以下のとおりです。
- 嘔吐物は乾燥する前にすばやく処理し、次亜塩素酸ナトリウムや亜塩素酸水で消毒する
- アルコール消毒ではノロウイルスなどに十分な効果が期待できないため、塩素系漂白剤を使用する
- 床や周囲の消毒には0.02%濃度、廃棄物を入れたビニール袋の中には0.1%濃度の消毒液を使う[1]
- 衣類や布団は洗濯前に85℃以上で1分間以上の熱水洗濯、または消毒液での消毒をおこなう[1]
- 処理後は十分に換気をおこない、石けんでしっかり手を洗う
- いざというときに慌てないよう、処理セットをあらかじめ準備しておく
嘔吐や下痢が続く場合、水分が取れない場合、血便や高熱がある場合は、早めに医療機関を受診してください。
※診察の結果、医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。
※触診・検査などが必要な場合は、対面での診療をお願いする場合があります。
