糖尿病の人はEDのリスクが高い?その原因と対処法を徹底解説!

糖尿病とは、インスリンというホルモンが不足したり作用が低下したりすることで、血糖値の上昇をおさえづらくなり、高血糖が続く病気です。糖尿病の状態が続くとさまざまな合併症が生じることがあり、場合によってはED(勃起不全)につながることがあります。 この記事では、糖尿病患者のEDリスクや、糖尿病患者におけるEDの原因、検査・診断方法、対処法などについて詳しく解説します。

糖尿病患者のEDリスク

糖尿病患者がEDを発症する頻度は、健常者の3倍以上というデータがあります。

このデータでは、健常者のED罹患率が20%のところ、糖尿病患者のED罹患率は66%でした。

また、「糖尿病とEDを考える会」が2002年に行った調査では、糖尿病患者の90%が軽症以上のEDを患っているという結果が出ています。

アメリカの国立糖尿病・消化器・腎疾病研究所の調査によると、糖尿病患者の男性は、EDを経験するタイミングが、糖尿病でない男性よりも10~15年早いという結果も出ています。

以上のことから、糖尿病患者は、健康な人に比べてEDになるリスクが高いと言えます。

(参考)

https://www.niddk.nih.gov/health-information/diabetes/overview/preventing-problems/sexual-bladder-problems

https://www.jstage.jst.go.jp/article/tonyobyo/48/4/48_4_234/_pdf/-char/ja

糖尿病患者がEDになる原因

糖尿病は、勃起に必要な器官や機能に悪影響を及ぼすことがあるため、EDにつながることがあります。

そもそも勃起は、脳が性的刺激を受け、その信号が神経を伝わって陰茎の平滑筋がゆるみ、陰茎の内部にある海綿体という組織に血液が流れ込むことで起きます。

つまり、勃起が起きるには、脳、神経、血流(血管)、海綿体などが正常に機能する必要があるのです。糖尿病になるとこれらの機能に支障が出ることがあります。具体的な原因は以下の通りです。

動脈硬化による血流低下

血糖値が高い状態が続くと、血管が傷ついて血管の壁にコレステロールが沈着し、これがたまることで血管の壁が厚くなって動脈硬化(動脈の血管が硬くなり、弾力性がなくなった状態)につながります。動脈硬化が生じると血流が低下し、EDになることがあります。

特に内腸骨動脈(骨盤のあたりにある動脈)から陰茎動脈(陰茎を通る動脈)のあたりに動脈硬化が生じると、勃起機能が大きく低下します。また、海綿体(陰茎の内側にある組織)の毛細血管は細いので、動脈硬化が生じると血流が低下しやすく、EDにつながりやすいとされています。

神経障害によって指令が送られづらくなる

血糖値が高い状態が続くと、末梢神経の代謝に異常が生じ、不要な物質がたまったり、神経に栄養を与える血管がダメージを受けたりして、神経の働きが障害されることがあります。神経の働きが障害されると、性的刺激が陰茎に伝わりづらくなり、EDにつながります。

海綿体の機能低下による平滑筋への影響

性的な興奮を感じると、一酸化窒素が分泌されて平滑筋が緩み、血管が拡張して勃起するというのが正常な状態です。しかし、血糖値が高い状態が続くと、海綿体動脈などに影響が及び、一酸化窒素を合成する酵素(eNOS)の活性が低下します。すると、平滑筋がゆるみづらくなり、EDになることがあります。

糖尿病によるEDの検査・診断方法

ED自体の診断は以下のような流れで行います。

  1. 問診やSHIMスコア(問診のようなもの。詳しくは後述)をふまえ、EDの原因・リスクファクターの特定、ED以外の他の性機能障害がないかの確認、心理社会的状態を把握する
  2. 体の状態を確認し、陰茎の変形や、なんらかの病気がないか調べる
  3. 尿検査や血液検査を行う

原因が糖尿病であるかどうかは、血液検査におけるヘモグロビンA1c(HbA1c)の数値、糖尿病を発症してからの期間などから推定することが一般的です。また、糖尿病を発症している場合、EDの自覚症状があれば、EDを合併している可能性が高いと判断されます。

糖尿病によるEDの対処法

糖尿病によるEDの治療は、通常のEDと同じくED治療薬によって行うことが一般的です。併せて、糖尿病の治療や、生活習慣の改善を行うことも大切です。詳しく見ていきましょう。

ED治療薬の服用

ED治療薬は、性的興奮に伴い、血管を広げて勃起をサポートする薬です。日本では、バイアグラ、レビトラ(現在は販売中止)、シアリスとそれぞれのジェネリックが、ED治療薬として厚生労働省に承認されています。

これらの薬はネット通販などで見かけることがありますが、海外製品であることが多く、偽物や粗悪品の可能性もあるため注意が必要です。ED治療薬は必ず医療機関で処方してもらいましょう。

また、糖尿病患者でも、基本的にはED治療薬を安全に使用できると考えられます。しかし、合併症の程度によっては心臓病などの発症の危険を伴うこともあります。こういった理由もあるので、必ず医療機関で処方してもらうことが大事です。

糖尿病の治療

糖尿病が改善することで、EDも改善する可能性があります。糖尿病の治療では、まずは後述する生活習慣の改善が大事だとされています。

それでも改善されない場合や、病状などによっては薬を使うことがあります。糖尿病の薬には、インスリンの分泌を促すもの、インスリンを補充するもの、インスリンの作用をよくするもの、糖の分解や吸収を遅らせるもの、糖の排泄を促すものがあり、飲み薬や注射があります。

生活習慣の改善

糖尿病の改善のためには、食事療法や運動療法などの生活習慣の改善も大事です。食事の主なポイントは以下の通りです。

  • 適切なエネルギー量を守り、食べ過ぎない
  • さまざまな栄養素を適量ずつとり、バランスよく食べる
  • 1日3食を規則正しく食べる
  • 高血圧予防のために減塩も大事

また、有酸素運動と筋トレも行うとよいでしょう。ウォーキングなら1回15~30分を1日2回程度が目安です。併せて、全身の筋肉を使うトレーニング1セット10回程度を、週2~3回ほど行うとよいとされています。

ただし、病状によって適切な食事内容や運動量は異なるので、具体的な内容は主治医に相談しましょう。

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EDにお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

参考文献

  1. 和歌山県立医科大学内科学|EDと糖尿病
  2. eヘルスネット|糖尿病(とうにょうびょう)
  3. NIH|Diabetes, Sexual, & Bladder Problems
  4. 日本糖尿病協会|糖尿病の合併症
  5. eヘルスネット|動脈硬化(どうみゃくこうか)
  6. 糖尿病情報センター|神経障害
  7. 日本性機能学会/日本泌尿器科学会|ED 診療ガイドライン
  8. 糖尿病情報センター|糖尿病の食事のはなし(基本編)
  9. 糖尿病情報センター|糖尿病の食事のはなし(実践編)
  10. 糖尿病情報センター|糖尿病の運動のはなし
  11. 糖尿病情報センター|糖尿病の治療ってどんなものがあるの?