勃起のメカニズム
勃起は、陰茎に血液が集まることで起こります。性的刺激を受けた際の勃起(中枢性勃起)のメカニズムは以下の通りです。
- 性的な刺激を受け、副交感神経を介して大脳(視床下部)から脊髄の中枢神経(仙髄の勃起中枢)に刺激が伝わる
- 勃起中枢に伝わった刺激が陰茎に伝わり、で一酸化窒素が放出され、cGMP(サイクリックグアノシン-リン酸)という物質が増える
- 陰茎の平滑筋(血管の壁をなす筋肉)がゆるんで血管が広がり、陰茎海綿体に血液が流入して勃起する
このように勃起には、副交感神経(リラックスした時に優位になる神経)が関わるため、勃起するためにはリラックスが必要とされています。
中枢性勃起と反射性勃起の違い
勃起には中枢性勃起と反射性勃起があり、脳が関与するかどうかという点に違いがあります。
中枢性勃起は、視覚や聴覚、触覚、嗅覚、空想などの刺激が大脳(視床下部)から脊髄の中枢神経に伝わって起きます。一方、反射性勃起は物理的な刺激が知覚神経を介して脊髄の中枢神経に伝わり起きます。
勃起が終わるメカニズム
射精後や性的興奮がなくなったタイミングで、cGMPを分解するPDE5(ホスホジエステラーゼ5)という酵素が増えます。すると血管や平滑筋が閉じ、勃起が終わります。
PDE5は常に陰茎海綿体に存在していますが、増えすぎると勃起に必要なcGMPが分解されてしまい、勃起できなくなることがあります。
夜間勃起のメカニズム
夜間勃起とは、主にレム睡眠(夢を見る睡眠状態)のときに、生理現象として起きる勃起のことです。寝ている間に何回か起きていて、これを朝起きた時に自覚するのがいわゆる朝勃ちです。
夜間勃起は性的刺激がなくても勃起するもので、詳しいメカニズムはわかっていません。
勃起ができなくなる原因と対処法
勃起には、脳から陰茎に性的興奮を伝達する神経や、一酸化窒素の放出、cGMPの増加、血管など、さまざまな事象がかかわっています。そのため、これらのどこかに異常があると、勃起ができなくなることがあります(ED・勃起不全)。
よくある原因としては、生活習慣病による動脈硬化が挙げられます。そのほか、精神的な問題や、薬の副作用の場合もあります。
勃起に異常が生じた場合は、まずは泌尿器科や内科を受診して原因を明らかにし、適切な治療を受けることが大事です。治療の際は、ED治療薬を使うことが一般的です。ED治療薬は、PDE5を阻害することで勃起をサポートする薬です。
射精のメカニズム
射精には交感神経が関与します。この点が、副交感神経が関与する勃起との大きな違いです。具体的なメカニズムは以下の通りです。
- 交感神経(下腹神経)を介して、精嚢や前立腺などに刺激が伝わる
- 精液(精子、精嚢の分泌液、前立腺液)が前立腺内に送られる(Emissionという)
- 精嚢と精管が縮み、膀胱の出口(膀胱頸部)が閉じる
- 精液が尿道に押し出される
- 陰部神経から、陰茎の根元あたりに刺激が伝わる
- 尿道を包む筋肉が収縮し、精液が尿道から外に出る
射精ができなくなる原因と対処法
射精ができなくなる場合も、さまざまな原因が考えられるので、まず受診するとよいでしょう。
まず、勃起ができないために、射精もできないという場合は、勃起不全(ED)の治療が必要です。また、神経が障害されると
膀胱の出口が閉じなくなり、膀胱内に精液が逆流して、射精液量が減少する場合があります(逆行性射精)。これは、糖尿病や脊髄損傷などによって生じるほか、前立腺肥大症の手術後に生じることもあります。この場合は、三環系抗うつ薬などの副作用を利用し、膀胱の出口を閉じることで改善される場合があります。
さらに、薬が影響することもあります。たとえば、αブロッカー(高血圧や前立腺肥大症の治療薬)によってEmission lessになる(精子などが前立腺内に送られなくなる)と、射精の感覚があっても精液が出ないことがあります。この場合は薬を変更することで解消されることがあるため、まずは主治医に相談しましょう。
そのほか、強い刺激でマスターベーションをしており、通常の性行為では射精できない人もいます(膣内射精障害)。この場合は、カウンセリングやリハビリが必要となるケースがあります。
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