アフターピル(緊急避妊薬)とは?
アフターピル(緊急避妊薬)とは、避妊具の破損・脱落や、避妊なしの性交渉、ピルの飲み忘れ、性被害などで妊娠した恐れがあるときに使用するお薬です。性交渉から72時間以内に服用すると、妊娠を防ぐ効果が期待できるとされています。
ただし、100%妊娠を防げるわけではなく、24時間以内に服用した場合の妊娠阻止率は95%
程度とされています。また、アフターピルはあくまでも緊急用であり、日常的に服用するお薬でもないことを理解しておく必要があります。
アフターピルで避妊できる仕組み
2024年時点で、日本国内で処方されている主なアフターピルは「ノルレボ錠1.5mg」「レボノルゲストレル錠1.5mg「F」の2種類です。これらのお薬には排卵の抑制・受精の防止・受精卵の着床防止などの作用があるため、妊娠防止の効果が期待できます。
「妊娠」とは、受精卵が子宮内膜に着床した状態を指します。アフターピルは排卵の抑制・受精の防止・受精卵の着床防止の効果があるお薬なので、性交渉から長時間経ち、妊娠が成立してから飲んでも効果は得られません。
アフターピル服用後に生理が来るのはいつ?
アフターピルを服用後に生理が来ないと「妊娠したのでは」と不安を感じる方は多いでしょう。そこで、アフターピル服用後、いつ頃生理が来るのか、またアフターピル服用後に起こる恐れがある生理以外の出血についても解説します。
生理が来るのは生理予定日前から7日後以内
通常、アフターピルを服用した後は、生理予定日前~2日後以内に生理が来るとされています。長くても生理予定日から7日後以内には生理が来るのが一般的です。
アフターピル服用後に消退出血が起こることも
アフターピル服用2-3日後に、一時的な消退出血が起こることもあります。消退出血とは、加齢や不規則な生活、ピルの服用などで血液中の女性ホルモンが減少したことによって子宮内膜が剥がれて起こる出血です。
通常の生理とは別物であり、少量の出血が数日程度続くのが一般的です。
アフターピルを服用した方の16%で、服用後1週間以内に消退出血を認めたというデータがあり、アフターピルを服用した方全員に起こるわけではありません。
また、低用量ピル(低用量経口避妊薬)の飲み忘れでアフターピルを服用したケースでは、アフターピル服用後12時間以内に低用量ピルの服用を再開することが推奨されますが、この場合は消退出血が遅れる恐れがあります。
着床出血と間違えることもある
アフターピル服用後の出血が、生理や消退出血ではなく着床出血のケースもあります。着床出血とは、受精卵が子宮内膜に着床したときに起こることがある出血です。出血量は少ないことが多く、受精卵が着床したときに着床出血がない方もいます。
先述のとおり、アフターピルは妊娠を100%防止できるものではないため、アフターピルを服用しても受精・着床する場合があります。
アフターピル服用後の出血が生理・消退出血・着床出血のどれなのかは判断できないことも多いです。そのため、心配な場合は医療機関を受診して医師に相談しましょう。
アフターピル服用後に生理が来ないのはなぜ?
アフターピル服用後に、なかなか生理が来ないことがあります。なぜ生理が来ないのか、考えられる原因を解説します。
生理周期が乱れて遅れている
アフターピル服用後に月経周期が乱れる方は多く、なかなか生理が来ない場合があります。WHOの試験では、アフターピル服用後、約50%の方は予定日よりも数日ほど生理開始が前後したとされています。
とはいえ、通常であれば生理予定日前から遅くとも7日後以内には生理が来るとされています。
妊娠している
アフターピル服用後、生理予定日から7日以上経っても生理が来ない、あるいは出血があるものの、いつもより軽い(着床出血の恐れがある)場合は妊娠しているケースがあります。
アフターピルの妊娠阻止率は100%ではなく、現状は80~85%程度の妊娠阻止率とされています。また、アフターピルは性交渉から72時間以内に服用する必要があり、性交渉から服用までの時間が空くほど妊娠阻止率が下がっていきます。
さらに排卵の時期によっても成功率が異なると言われているため、アフターピル服用後に生理が来ない場合は妊娠していないかどうかを検査する必要があります。
何らかの病気にかかっている
長期間生理が来ない場合は、生理に関わる内分泌系の異常や子宮筋腫など、何らかの病気にかかっていることも考えられます。放置せずに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが大切です。
アフターピル服用後に生理が来ないときの対処法
先述のとおり、アフターピル服用後に生理が来ない場合は妊娠している恐れがあります。ここでは、妊娠の疑いがあるときに何をすべきなのか、対処法を紹介します。
妊娠検査薬で調べてみる
妊娠検査薬とは、妊娠初期に受精卵から分泌されるホルモンが尿中にあるかどうかを調べるためのもので、薬局やドラッグストアなどで購入できます。
妊娠検査薬で妊娠の有無を検査できるようになるのは、生理予定日1週間後からが一般的です。ただし、検査薬によっては使用可能なタイミングが異なる場合があるので、取扱説明書などに記載されている内容に従いましょう。
医療機関を受診する
妊娠検査薬で陽性の判定が出た場合は、医療機関を受診して妊娠確定診断を受ける必要があります。受診のタイミングは生理予定日から1~2週間後が目安です。
受診のタイミングが早すぎると妊娠しているかどうかが確認できないので注意しましょう。
受診の際には、健康保険証のほか、下記のようなものがあると安心です。
- おくすり手帳
- 基礎体温表
- 生理用品
基礎体温を記録していない場合は、最終の生理日や現在の体調などをメモしておきましょう。検査後に下着が汚れる恐れがあるので、生理用品も持っておくと便利です。
なお、妊娠確定診断は保険適用外であり、検査や診察にかかった費用は全額自己負担となるため、多めに現金を持っていくとよいでしょう。
アフターピルを服用したのに避妊に失敗する原因
ここまで解説したとおり、アフターピルを服用したにもかかわらず妊娠することがあります。なぜきちんとアフターピルを服用したのに避妊に失敗するのか、主な原因を解説します。
アフターピルを服用するまでに時間が空きすぎた
アフターピルは性交渉から72時間以内(72時間タイプのアフターピルの場合)に服用しないと、十分な効果が得られません。また、72時間以内でも、時間が経つほど妊娠阻止率が下がっていきます。72時間以内の妊娠阻止率は下記のとおりです。
- 24時間以内:95%
- 48時間以内:85%
- 72時間以内:58%
上記のとおり、性交渉から24時間以内であれば高確率で妊娠を防止できますが、時間が経過するほど妊娠阻止率が大幅に低下してしまいます。そのため、アフターピルが必要になる出来事が起こった場合は、できる限り早く受診することが重要です。
アフターピル服用後に吐いてしまった
アフターピル服用後、2時間以内に吐いてしまうとお薬が十分に吸収されないため妊娠する恐れがあります。そのため、2時間以内に吐いてしまった場合は、速やかにもう1錠アフターピルを服用する必要があります。
なお、服用から2時間経過した後に吐いた場合は、すでに十分にお薬が吸収されているのでもう1錠追加で服用する必要はないとされています。
個人輸入した粗悪なアフターピルを服用した
病院に行きたくない、誰にも知られたくないなどの理由からアフターピルを通販サイトで購入するなどの方法で、個人輸入する方もいます。しかし、個人輸入のアフターピルは正規品かどうかの保証がなく、服用しても避妊の効果が得られない恐れがあります。
また、個人輸入したアフターピルが粗悪品だった場合は、健康を害する恐れがあり大変危険です。実際に、個人輸入したアフターピルを服用した後に腹痛やけいれん、大量出血などの症状が出た方もいます。このようなリスクを避けるためにも、アフターピルを個人輸入して服用するのは避けるようにしましょう。
アフターピル服用後に避妊なしで性交渉した
アフターピルは服用前の性交渉による妊娠を防ぐためのお薬です。服用後の性交渉による妊娠を防ぐ効果はないため、アフターピルを服用したからといって避妊せずに性交渉した場合は、妊娠する場合があります。
飲み合わせがよくないお薬・サプリを服用した
アフターピルと相性の悪いお薬やサプリメントを服用すると、アフターピルの効果が落ち、妊娠する恐れがあります。
たとえば、セント・ジョーンズ・ワート(セイヨウオトギリソウ)には、薬物代謝酵素(服用したお薬の分解・排出を促す酵素)を誘導してお薬の効果を弱める作用があるとされています。ほかにも抗けいれん剤など、アフターピルの効果を弱める恐れがあるお薬が存在します。
服用中のお薬やサプリメントがある場合は、アフターピル診療時に医師に相談しましょう。また、アフターピル服用後に、自己判断で別のお薬やサプリメントを飲むのを避けることも大切です。
アフターピルを入手する方法
2024年時点で、アフターピルは処方箋なしでの販売が禁止されています。アフターピルが必要な場合は医療機関を受診し、処方箋を出してもらう必要があります。
一部、処方箋なしでアフターピルを購入できる薬局がありますが、調査・研究目的で試験的に販売されているものであり、基本的には処方箋がないと購入できません。
ただし、オンライン診療による処方行為自体は認められています。初診からオンライン診療可能で医師の診断のもと処方される場合、処方できるアフターピルは1錠のみです。また、アフターピルの服用は、その場で医師や薬剤師の前で飲むことが推奨されているので、必ず本人が診察・処方を受けましょう。
アフターピルに関するよくある疑問・質問
最後に、アフターピルに関するよくある疑問・質問にお答えします。
アフターピル服用後に出血したら避妊成功?
アフターピル服用後、出血すれば避妊成功というわけではありません。不正出血や着床出血といった妊娠に伴う出血の可能性もあり、自分で判断するのは困難です。アフターピルを処方した医師の指示に従い、必要に応じて妊娠検査薬を使用、または再度医療機関を受診し、妊娠の有無を確認しましょう。
アフターピルは72時間以上経って飲んでも意味がない?
アフターピルは、性交渉から120時間以内に服用すれば効果が期待できるというお薬もあります。性交渉から72時間以上経ってしまった場合でも、まずは医師に相談してみましょう。
しかし、先述のとおり、性交渉からアフターピル服用までの時間が空くほど妊娠阻止率が下がっていきますので、可能な限り早めの服用が重要です。
アフターピルを複数回服用しても大丈夫?
アフターピルは緊急時に単発で使用することを目的としたお薬ですが、同じ周期内で複数回使用しても健康上のリスクはないとされています。
アフターピルを月6回まで使用した場合の有効性・安全性を調査した研究では、副作用はなく、コンドームと同じくらいの妊娠率だったとの報告もあります。
とはいえ、同じ月に複数回アフターピルを服用するような状況にある場合は、普段から低用量ピルを服用するなどの方法を検討したほうがよいでしょう。
アフターピル服用後に妊娠が分かった場合赤ちゃんに影響はある?
アフターピルを服用した後に妊娠が判明した場合、「赤ちゃんに何か問題が起こるかも」と不安に感じる方もいるでしょう。しかし、2021年のECP(緊急避妊薬)ファクトチェックブックでは、アフターピルの服用が赤ちゃんに悪影響を及ぼした症例は報告されていません。
<h3>アフターピルに副作用はある?
アフターピルを服用すると、下記のような副作用が出る場合があります。
- 吐き気
- 嘔吐
- 頭痛
- めまい
- 腹痛
- 眠気
- 倦怠感 など
通常、上記のような副作用が24時間以上続くことはないとされています。長く体調不良が続く場合は医療機関を受診し、医師に相談しましょう。
クリニックフォアのオンラインピル処方
予期せぬ妊娠を避けるためには、日ごろから低用量ピルを服用する方法があります。
クリニックフォアでは、オンラインでピルの診療を行っています。スマホで診察を受けていただき、処方診断を受けたピルはご自宅などのご希望の場所に配送します。処方されたお薬の定期配送もあるので、何度も通院する必要はありません。忙しい方でもピルを始めやすく、続けやすくなっているので、受診をご検討ください。
※医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。
※自由診療
※効果・効能・副作用の現れ方は個人差がございます。医師の診察をうけ、診断された適切な治療方法をお守りください。