着床出血とは?
胎児のもととなる受精卵は、精子と卵子が結合したものです。女性の卵管内でできた受精卵が、数日かけて子宮にたどりつき、厚くなった子宮内膜に着床(もぐりこむこと)すると妊娠が成立します。このとき、着床出血と呼ばれる出血が起こることがあります。生理予定日の前後に多く見られるため「生理がきた」と勘違いして、妊娠に気づくのが遅れる方も少なくありません。間違いを防ぐためにも、着床出血の特徴や、生理との見分け方を知っておきましょう。
着床出血の特徴
出血量はごく少なく、数日で治まるとされています。出血の色も薄く、生理のときのように真っ赤な血や塊が出ることはないとされています。しかし、すぐに治まる方もいれば、通常の生理と変わらないような出血が起こる方もいるなど、出血量や期間には個人差があります。
また、誰にでも起こるわけではなく、着床時にも全く出血が起きない方もいます。
もともと経血量が少ない方の場合は特に、着床出血と生理の見分けがつきにくいかもしれません。通常の生理と勘違いして見過ごしてしまい、妊娠に気づくのが遅れる原因となるため、注意が必要です。
着床出血が起きるのはいつ頃?
着床出血が起こるのは、妊娠3~4週頃です。妊娠週数は最終生理の開始日を0週0日とするため、次の生理予定日より少し前くらいが目安になります。
生理が起きるのは、排卵から約2週間後です。精子や卵子の生存期間(精子は約72時間、卵子は排卵後約24時間)と併せて考えると、出血があった日の1~2週間前に性交渉をしていた場合、着床出血(妊娠)の可能性があるといえます。
着床出血が起きたらどうする?
着床出血と思われる出血があったときや「生理がきたと思ったけど、いつもと違うみたい」というときは、妊娠の可能性があります。予想していなかった方は動揺してしまうかもしれませんが、落ち着いて以下のような対応をとりましょう。
妊娠検査薬を使う
まず、市販の妊娠検査薬で妊娠の可能性を確かめてみましょう。妊娠検査薬はドラッグストアでも販売されているものです。判定用のスティックに尿をかけるだけなので簡単に検査ができます。
妊娠検査薬のメカニズムですが、妊娠すると、初期の妊娠を維持する働きがあるhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)という物質が増加します。妊娠検査薬はこのhCGに反応して結果が出るものです。
妊娠検査薬は生理予定日の1週間後から検査ができるものが多いです。検査する時期が早すぎる、尿がちゃんとかかっていないなど、正しく使用しないと正確な判定ができないことがあります。検査可能な時期は商品によって異なることもあるため、説明書をよく読んでから使いましょう。
産婦人科を受診する
産婦人科では尿検査や超音波検査で妊娠を判定します。受診の目安は生理予定日の1~2週間後(妊娠5~7週目頃)です。早すぎると確定できないことがあるためです。
妊娠検査薬で陽性になった方はもちろん、陰性だったにもかかわらず、その後も生理がこない方も、必ず産婦人科を受診しましょう。異所性妊娠(子宮外妊娠)や、子宮の病気の恐れもあるためです。
着床出血以外の出血の原因は?
妊娠の可能性があるかどうかに限らず、異常な出血がある場合は医療機関の受診を検討しましょう。下腹部痛などの痛みを伴う場合は特に注意が必要です。ここでは、着床出血以外の出血の原因として考えられることを解説します(生理を除く)。
異所性妊娠
異所性妊娠とは、子宮内膜に着床するはずの受精卵が、卵管など子宮以外の組織に着床することです。着床したとしても、胎児に血液を送ったり胎児を支えたりすることができないため、妊娠の継続はできません。
初期の異所性妊娠では、多くの場合下腹部痛を伴う少量の出血が見られます。超音波検査をすると胎嚢(胎児が入っている袋)が子宮内に見られず、異所性妊娠が確認できます。胎児を含む周囲の組織が破裂して大量出血が起こると、母体の生命の危険もあるため、迅速な処置が必要です。
胞状奇胎
胞状奇胎は異常妊娠の一種です。受精卵が胎児にならず、ぶどうの房やイクラのような粒状の組織となって増殖します。正常な妊娠に比べて、子宮が大きくなるのが速いのが特徴です。
出血のほか、吐き気などつわりに似た症状が現れたり、劣化した胞状奇胎の組織が体外に排出されたりすることもあります。
胞状奇胎の場合、妊娠検査薬などで陽性となっても、胎児の心音や動きは確認されません(胞状奇胎合併妊娠を除く)。血液検査や超音波検査で胞状奇胎と診断された場合、子宮の内容物を除去する手術が必要になります。
早期流産
日本産科婦人科学会では「流産」の定義を「妊娠22週までに胎児の死亡などにより妊娠が終了すること」としています。そのうち、妊娠12週までの流産を「早期流産」といいます。早期流産の原因は、ほとんどが受精卵の異常です。
流産には、胎児は死んでしまっていても母体に出血や腹痛といった症状のない稽留流産と、出血とともに子宮の内容物が体外に出てくる進行流産があります。さらに、子宮内容物が全て体外に出てしまう完全流産と、一部が残っている不全流産に分類されます。不全流産の場合、子宮の内容物を除去する手術が必要です。
近年では、妊娠検査薬や尿検査で陽性となったものの、超音波で確認できないまま妊娠が終了してしまう「化学流産」も知られるようになりました。多くは出血を伴いますが、生理と間違えて見過ごされることが少なくありません。検査の精度が上がったことで、従来では気づかなかった初期の妊娠が増えたためでしょう。化学流産の場合、特別な処置は必要ないとされています。
病気
子宮の病気が原因で出血が起こることもあります。主な症状として出血が見られる病気を解説します。
子宮筋腫
子宮にできる良性の腫瘍です。30歳以上の女性の20~30%に見られるとされており、複数個できることも珍しくありません。
子宮筋腫ができると、経血量が増えたり、生理痛がひどくなったりするのが特徴です。人によっては生理時以外にも出血が見られることがあります。症状がなければ特別な治療は必要ないとされていますが、不妊や流早産の原因になる可能性も指摘されているため、定期的な受診をおすすめします。
子宮頸がん
子宮頸部(子宮の入り口)にできるがんです。ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスが原因で起こります。ヒトパピローマウイルスは主に性交渉によって感染するため、性行為の経験があれば子宮頸がんになる恐れがあるといえます。
初期はほとんど無症状ですが、進行すると不正出血やニオイのある濃い茶色や膿様のおりものといった症状が現れることがあります。出血量が増えてきたり、下腹部や腰に痛みを感じるようになったりしたときは、すぐに医療機関を受診しましょう。
子宮頸がんは早期に治療すれば比較的予後のよいがんです。早期発見のため、20歳以上の女性は症状がなくても2年に1回は子宮頸がんの検診を受けることが推奨されています。
性感染症
性感染症は、キスや性行為などの性的接触によって感染することがある病気の総称です。さまざまな病気がありますが、不正出血の原因になるものとしては、性器クラミジア感染症や淋菌感染症が挙げられます。
性器クラミジア感染症は、クラミジア・トラコマチスという病原体に感染することで引き起こされます。女性の場合、子宮頚管炎や子宮内膜炎などの原因となります。不正出血が見られることが多く、進行すると不妊や流早産、子宮外妊娠の誘因となる恐れがあります。
淋菌感染症の原因は、淋菌という細菌です。子宮頚管炎や尿道炎などを引き起こします。初期は自覚症状がないことがほとんどですが、進行すると不正出血や腹痛が見られます。不妊症につながる恐れもあるため、適切な治療が必要です。
クリニックフォアのオンラインピル処方
予期せぬ妊娠を避けるためには、日頃から低用量ピルを服用する方法があります。
クリニックフォアでは、オンラインでピルの診療を行っています。スマホで診察を受けていただき、処方診断を受けたピルはご自宅などのご希望の場所に配送します。処方されたお薬の定期配送もあるので、何度も通院する必要はありません。忙しい方でもピルを始めやすく、続けやすくなっているので、受診をご検討ください
※医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。
※自由診療
※効果・効能・副作用の現れ方は個人差がございます。医師の診察をうけ、診断された適切な治療方法をお守りください。