アフターピルとは
アフターピルは、無防備な性行為などをしてしまい、緊急で妊娠を防ぎたいときに飲む「緊急避妊薬」です。性行為から72時間以内(もしくは120時間以内)に飲むことで、ある程度の確率で妊娠を防ぐことができます。
日本で現在一般に流通しているお薬は、ノルレボと、そのジェネリックのレボノルゲストレルですが、海外ではエラワンなどのお薬も使われています。それぞれの特徴は以下の通りです。
ノルレボ | レボノルゲストレル | エラワン | |
概要・特徴 | 厚生労働省に承認されている | ・ノルレボのジェネリック ・厚生労働省に承認されている | ・未承認 ・海外では一般的に使われている |
有効成分 | レボノルゲストレル | レボノルゲストレル | ウリプリスタール酢酸エステル |
性行為から服用までの時間 | 72時間以内 | 72時間以内 | 120時間以内 |
上記時間内に服用した場合の妊娠阻止率 | 84% | 84% | 約98% |
アフターピルは、排卵を抑え、受精や着床を防ぐことで、妊娠を防ぐお薬です。72時間以内、もしくは120時間以内に飲むことで効果が期待できますが、性行為の後、できるだけ早く服用することでより高い効果が期待できるとされています。
アフターピルは薬局で処方箋なしで買える?
アフターピルは、本来は薬局やドラッグストアで市販されているものではありません。基本的に医療機関を受診して処方してもらうお薬です。
ただ、2024年11月現在、厚生労働省の調査研究の一環で、一部の薬局では、処方箋なしでアフターピルの試験販売を行っています。詳細は以下の通りです。
薬局・ドラッグストアでは市販されていない
アフターピルは、薬局やドラッグストアなどで市販されているものではないため、普通に買うことはできません。
試験販売している薬局がある
2023年11月28日より、厚生労働省の「緊急避妊薬の適正販売に係る環境整備のための調査事業」における調査研究として、一部の薬局では、アフターピルの購入が可能となっています。
ただ、研究目的の試験販売なので、一般的な市販薬のように購入できるわけではありません。購入に際してさまざまな条件があるため、注意しましょう。また、市販化については未定となっています。
アフターピルを販売している薬局はどこ?
2024年10月末現在、アフターピルの購入が可能な薬局は全国で約300店舗程度です。1県に数軒しかないところもあるため、お近くの薬局では購入できないケースも多いでしょう。
なお、取り扱いのある薬局は、基本的に以下の条件を満たしています。
- オンライン診療に基づく緊急避妊薬の調剤の研修を終了した薬剤師が販売できる
- 夜間、土日祝日の対応ができる
- 個室などの、プライバシー確保が可能なスペースがある
- 近隣の産婦人科医等との連携体制が構築できる
取り扱い薬局の一覧は、以下のページで試験販売の趣旨などを理解した上で、確認することができます。
https://www.pharmacy-ec-trial.jp/
薬局でアフターピルを買える方の条件
薬局でのアフターピル販売は、あくまで研究・試験なので、購入にはさまざまな条件があります。詳細は以下の通りで、本人以外からの問い合わせに対しても案内はできないことになっています。
買える方の条件
- 16歳以上の女性
- 16~17歳の場合は、保護者の同意が得られる方
- 購入、服用を希望している方(本人)
- 研究参加に同意できる方
- 身分証明書を提示できる方
なお、研究の説明や同意取得のやりとりは日本語で行うので、日本語でコミュニケーションができる方に限られます。また、18歳未満は保護者の同意が必要となるため、保護者同伴で薬局に行き、保護者も身分証明書を提示する必要があります。
薬局から産婦人科やその他の機関に情報共有が必要となることがありますが、本人の了承なく情報共有されることはないのでご安心ください。
買えない方の例
- 16歳未満
- 男性
- 代理人
- 性行為から服用までに72時間を超える方
- 研究参加に同意できない方
- 妊娠している方
- 持病などでアフターピルの使用ができない方(重篤な肝障害がある など)
- 日本語でのコミュニケーションが難しい方
薬局でのアフターピルの買い方
薬局でアフターピルを買う流れは以下のようになります。
ステップ | 内容 | 備考 |
①研究について理解する | 「緊急避妊薬の適正販売に係る環境整備のための調査事業」における調査研究の内容を理解しておく必要があります。 | 以下ページなどで、研究内容を確認しておきましょう。https://www.pharmacy-ec-trial.jp/ |
②薬局に電話をする | 薬局に行く前に、必ず本人が薬局に電話しましょう。 | 在庫状況、値段、購入日時などの確認・相談をする必要があるためです。 |
③薬局で薬剤師と面談する | 薬局では、まず薬剤師との面談が必要です。 | 妊娠の可能性がある場合は検査薬の使用が必要となったり、持病などによって販売できないと判断されることもあります。販売できない場合は、薬局が連携する産婦人科などを紹介するといった対応をとってもらえるケースもあります。 |
④説明を受け、同意・購入する | アフターピルに関する説明を受け、服用に同意した後、購入します。 | |
⑤薬剤師の前でお薬を飲む | アフターピルは、薬剤師の目の前で飲む必要があります。 | 持ち帰りはできないので注意しましょう。 |
⑥1回目のアンケートの回答 | 薬局で二次元バーコードを提示されるので、スマートフォンで読み取り、アンケートに回答します。 | |
⑦帰宅 | ||
⑧妊娠の有無を確認 | 服用から3週間経ったら、妊娠検査薬を使うか産婦人科を受診し、妊娠の有無を確認する必要があります。 | 受診するときは、薬局でもらった「お薬情報提供文書」が必要となります。産婦人科では、保険適用となることもあれば、適用外(全額自己負担)となることもあります。 |
⑨2回目のアンケートの回答 | 服用から3~5週間後に、アンケート依頼のメールが届くので、回答しましょう。 |
持ち物
薬局に行くときの持ち物は以下の通りです。
- 公的身分証明書(マイナンバーカード、運転免許証、パスポート、健康保険証など)
- 本人のスマートフォン
- 緊急避妊薬+妊娠検査薬の購入費用(7,000~9,000円+1,000~1,500円程度)
- お薬手帳(お持ちの場合)
研究への参加同意とアンケート回答のために、スマートフォンとメールアドレスが必要となります。また、妊娠の確認を行うために、必要に応じて妊娠検査薬を使うことがあるため、その分の費用も用意していきましょう。前回の生理の時期なども確認されるため、すぐに答えられるようにしておくことをおすすめします。
※18歳未満の方は、保護者同伴の上、保護者の公的身分証明書も必要となります。
薬局以外でアフターピルを入手する方法
試験販売をしている薬局で購入する以外では、直接医療機関を受診する、またはオンライン診療を受診して処方を受ける方法があります。本来、アフターピルの入手には処方箋が不可欠なため、こちらのほうが一般的な方法です。
いずれの場合も、その医療機関でアフターピルを取り扱っているかや、事前予約が必要か、必要な持ち物はあるかなどを事前に問い合わせた上で受診するのがスムーズです。また、自由診療(全額自己負担)となることが一般的です。
それぞれの特徴やメリット、デメリットなどは以下の通りです。
直接受診する
婦人科や産婦人科では、アフターピルを取り扱っていることが多いです。医師と直接話せる診察を受けられるため、安心感があるでしょう。
また、受診後処方された場合は病院内や近くの薬局でアフターピルを処方してもらえるため、可能な限り早く飲めることもメリットと言えます。
一方、近隣にアフターピルを取り扱っている医療機関がなかったり、仕事などで忙しく、診療時間に行けないケースがあったりする点はデメリットとなりえます。
オンライン診療を受ける
オンライン診療は、電話やビデオ通話を使って医師の診察を受け、お薬を受け取る診療方法です。早朝や深夜、土日でも診療が可能なことが多く、医療機関の場所がどこにあるかは関係ないため、可能な限り早く診察を受けたいときにはメリットと言えるでしょう。受診時に他の患者さんと顔を合わせたり、病院に入っていくところを誰かに見られたりする心配がない点もメリットです。
ただし、オンライン診療の場合はお薬の配送時間により多少のタイムロスが生じうる点に注意しましょう。
【非推奨】通販サイトでの購入
通販サイトでアフターピルが販売されているのを見たことがあるかもしれません。しかし、通販サイトでアフターピルを購入することには、大きな危険があります。
なぜなら、そのようなサイトで販売されているアフターピルの多くは、海外製だからです。日本の安全基準に則っていなかったり、日本人の体には合わない量や種類の成分が入っていたりすることもあります。
また、そもそもアフターピルの成分が入っておらず、完全な偽物であるリスクもあります。もし本物であっても、配送に時間がかかることが多いです。
さらに、そのアフターピルを飲んで健康被害が生じたとしても、お薬の正体が正確にわからなければ適切な対応ができませんし、お薬による健康被害を補償する「医薬品副作用被害救済制度」も使えないケースが多いです。
このように、通販サイトでのアフターピル購入にはさまざまなリスクがあるため、購入は控えましょう。
アフターピルについて知っておきたいこと
最後に、アフターピルの飲み方や副作用のリスク、値段など、アフターピルについて知っておきたいことをご紹介します。
飲み方
無防備な性行為から72時間以内(または120時間以内)に1錠を1回、水かぬるま湯で飲みます。他の飲み物で飲むと、お薬の成分の吸収が阻害されて、効果が得られないことがあるため避けましょう。服用前後の飲酒もやめてください。
また、アフターピルは、性行為の後、できるだけ早く服用することでより高い効果が期待できるとされています。WHOの試験によると、性行為から服用までの時間ごとの、妊娠阻止率は以下のようになっています。
- 24時間以内:95%
- 25~48時間:85%
- 49~72時間:58%
ただし、目安の時間が過ぎても、効果がゼロになるわけではなく、ある程度効果が期待できるとされています。時間が過ぎていても服用する価値はあるでしょう。
(参考)
https://www.jsog.or.jp/activity/pdf/kinkyuhinin_shishin_H28.pdf
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9708750/
吐いてしまったらもう1錠飲む
アフターピルの副作用で吐き気や嘔吐が生じることがあります。もし、服用後すぐ(おおむね2時間以内)に吐いてしまったら、再度服用しましょう。
吐き止めや、余分の1錠が処方されることもあるので、医師に事前に確認しておくと安心です。
副作用のリスク
どのようなお薬にも、効果の一方で副作用のリスクがあります。ノルレボの場合は、消退出血が46.2%、不正出血が13.8%、頭痛が12.3%と、比較的生じやすいとされています。そのほか、5%異常の頻度で悪心、倦怠感、傾眠(意識障害の一種)が生じることがあります。
ただ、これらの副作用はしばらくすれば気にならなくなることが一般的です。
値段はいくら?
アフターピルの処方は保険適用外の自由診療で行われるので、クリニックによって値段が異なり、全額自己負担となります。
薬局での試験販売における値段相場と、クリニックフォアで扱っているアフターピルの値段は以下の通りです。
販売(処方)場所/お薬の種類など | 予約料・診察料配送料 | ノルレボ | ノルレボ(海外製) | レボノルゲストレル(ジェネリック) | エラワン(海外製) | エラワン(海外製ジェネリック) |
薬局(試験販売) | なし※妊娠検査薬(1,000~1,500円程度)の購入が必要なケースがある | ー | ー | 7,000~9,000円 | ー | ー |
クリニックフォアのオンライン診療 | 1,650円550円 | 17,600円 | 8,778円 | 9,680円 | 9,680円 | 8,965円 |
※クリニックフォアの金額は全て税込です
なお、医療機関によって値段はやや異なるものの、レボノルゲストレルはジェネリックのため、ノルレボより安い傾向があり、エラワンは、ノルレボやレボノルゲストレルよりも高い傾向があります。
確実に妊娠を防げるわけではない
前述の通り、アフターピルで妊娠が防げる確率は100%ではありません。
アフターピル服用後は半数程度に消退出血が生じ、消退出血が起これば妊娠していない可能性が高いと判断できます。消退出血とは、ピルの服用を含むさまざまな理由で体内の女性ホルモンが減少し、子宮内膜が剥がれて起こる出血です。生理とは別物であり、少量の出血が1週間以上続くことが多いです。アフターピル服用後は、3週間以内に消退出血が起こることが多いとされています。
また、アフターピル服用によって周期がずれることがあるものの、多くの女性は、生理予定日から1週間以内には次の生理があるとされています。
ただ、消退出血や生理と、不正出血や、妊娠に伴う着床出血は見分けがつかないこともあるため、出血があったからといって100%安心というわけではありません。
明らかな生理が来ない場合は、服用から3週間を目安に、妊娠検査薬でチェックしたり、婦人科を受診したりするとよいでしょう。
服用後の性行為に対する避妊効果は期待できない
アフターピルは、無防備な性行為があった後に飲むことで、妊娠を防ぐ効果が期待できるものです。「アフターピルを飲んだから、しばらくは妊娠しない!」といったものではありません。
服用後の性行為に対する避妊効果は期待できないので、注意してください。予期せぬ妊娠を避けるためには、日ごろから低用量ピルを服用することも一つの方法です。
クリニックフォアのオンラインピル処方
クリニックフォアでは、オンラインでピルの診療を行っています。スマホで診察を受けていただき、処方診断を受けたピルはご自宅などのご希望の場所に配送します。処方されたお薬の定期配送もあるので、何度も通院する必要はありません。
また、クリニックフォアでは最短当日配送のでアフターピルのオンライン処方も行っているので、必要な方は受診をご検討ください
※医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。
※自由診療
※効果・効能・副作用の現れ方は個人差がございます。医師の診察をうけ、診断された適切な治療方法をお守りください。