低用量ピル「マーベロン」の特徴や効果を医師が徹底解説!他のピルとの違いもわかる!

低用量ピルとは、2種類のホルモンが配合された薬で、服用することで避妊効果や月経痛、PMSの改善などの効果が期待できるものです。低用量ピルにはさまざまな種類がありますが、ここではマーベロンについて詳しく解説します。


そもそも低用量ピルとは?

低用量ピルには、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)という2種類のホルモンが少量ずつ含まれています。ピルを服用し、これらのホルモンが血液中に入ると、脳の視床下部と下垂体という場所に作用し、排卵を起こすために必要なホルモンの分泌がストップします。その結果、避妊効果につながるのです。

また、本来排卵後に卵巣から分泌されるはずの卵胞ホルモン、黄体ホルモンが出ないため、血中濃度が上昇せず、結果的に月経痛やPMSの改善といった効果が得られます。さらに、ピルに含まれる少量のホルモンが直接的に子宮に作用することにより、子宮内膜を自然よりも薄い状態でキープしておくことができます。そのため、受精しても着床できず、避妊効果につながるほか、経血量が減る効果もあります。そして、子宮頸管の粘液の性状を変化させ、精子が子宮頸管の中を通過できにくくするようにすることも、避妊につながります。

中用量ピルとの違い

ピルには主に中用量ピル、低用量ピル、超低用量ピルの3種類があります。これらは使用している成分はほとんど同じですが、ホルモン配合量が異なります。中用量ピルはホルモン配合量が50ナノグラム以上、低用量ピルは50ナノグラム以下、超低用量ピルは30ナノグラム以下となっています。

中用量ピルは低用量ピルと比べると副作用が起きやすく、緊急避妊薬として使うことが多いですが、月経日をずらすために使うこともあります。超低用量ピルとの違いの詳細は「第四世代との違い」の項目で解説しています。

低用量ピル「マーベロン」とは

低用量ピルには様々な種類があり、含まれているホルモンの種類や量が異なります。マーベロンは、配合されるホルモンの量がずっと変わらない1相性のピルで、黄体ホルモンの種類はデソゲストレルという第三世代のピルです。詳しく見ていきましょう。

1相性のピル

低用量ピルには1相性と3相性があります。実薬のホルモン量がずっと一定のものを1相性、3段階に変動するものを3相性といい、マーベロンは1相性のピルです。

1相性のメリット

3相性の場合は、1シートの中で薬のホルモン量が段階的に変化していくため、必ず順番通りに飲む必要があります。しかし、1相性の場合は実薬のホルモン量がずっと変わりません。もちろん、1シートに実薬と偽薬が入っているタイプもあるため、飲む順番は守るべきですが、例え飲む順番を間違えたとしても影響がない場合が多いです。(マーベロン21には偽薬はなく、1シートに21錠の実薬のみが入っています。)

また、ずっと同じ成分量の薬を飲み続けるため、生理日の移動がしやすいというメリットもあります。

3相性との違い

低用量ピルの代表的な副作用に不正出血があります。しかし、3相性の低用量ピルは、ホルモン量を3段階で変化させることで、自然なホルモンバランスの変化に近い状態がつくれるため、不正出血が起こりにくいといわれています。

第三世代のピル

ピルに含まれる黄体ホルモンは、体内で代謝される過程で、純粋な黄体ホルモンとしての作用に加え、副次的に男性ホルモンとしての作用も起こしてしまいます。

男性ホルモンの作用が強いと、ニキビや肌荒れの原因になることもあるため、できるだけ男性ホルモン作用を抑えつつ黄体ホルモンとしての作用をしっかり効かせて排卵を止めておくべく、様々な種類の黄体ホルモンを配合したピルが開発されてきました。

開発、改良された順番に第一~四世代に分類できます。どの世代も卵胞ホルモンは同じですが、黄体ホルモンの種類は世代によって異なります。

マーベロンは第三世代でデソゲストレル(DSG)という種類の黄体ホルモンが配合されています。黄体ホルモン作用が強い一方で、男性ホルモン作用は第二世代に比べて抑えられています。これは薬理的にはデソゲストレルのプロゲステロンレセプター(黄体ホルモンの受容体)への親和性が強く、アンドロゲンレセプター(男性ホルモンの受容体)への親和性が低いためです。

第二世代との違い

第二世代のピルは、人によっては男性ホルモン作用によって多毛になるなどの副作用を感じることがあります。しかし、第三世代のマーベロンは男性ホルモンの抑制効果が高いため、そのようなデメリットが解消されています。むしろ、にきびや多毛症の改善に効果が期待できるともいわれています。

さらに、第二世代の低用量ピルと比べると、第三世代のピルはエストロゲンの配合量が少なく、胸の張りや頭痛などの副作用が起こりにくいともいわれています。ただし、第二世代と比較すると血栓症リスクが高くなる恐れがあるとされているため注意しましょう。

第四世代との違い

第四世代のピルは「超低用量ピル」といって、配合されるホルモンの量が、避妊効果が期待できる最小限の量となっています。エストロゲンの配合量も少ないため、第三世代までのピルに比べて副作用が起こりにくいのもメリットです。

さらに、第三世代以前の低用量ピルはベースが男性ホルモンでしたが、第四世代ではベースが利尿ホルモンとなっているため、むくみや、むくみによる体重増加も起こりにくいといわれています。

ただし、基本的にPMSや生理にまつわるトラブルの改善目的で保険適用で処方されるものであり、避妊を目的とした処方は受けられません。(ルサンククリニックでは自費診療で取り扱っています。)

マーベロンに期待できる効果やメリットは?

マーベロンには避妊効果、月経困難症やPMSの改善、月経不順の改善などが期待できます。詳しく見ていきましょう。

避妊効果

マーベロンをはじめとする低用量ピルには避妊効果が期待できます。正しく服用すれば、その効果は99.7%程度だといわれています。そのメカニズムは、最初に説明した通り、ピルによって排卵が止まる、精子が子宮頸管の中を通過できにくくなるようにする、子宮内膜を薄く保つことで着床を防ぐ、という3段階で避妊効果につながります。

月経初日から5日目までの間に服用を開始し、7日間以上飲み忘れしなければ排卵が抑制され、避妊効果が期待できます。

月経困難症やPMSの改善

月経困難症とは、生理に伴って日常生活に支障が出るような病的な症状が出ている状態のことです。下腹部の痛み(生理痛)だけでなく、腰痛、吐き気、頭痛など、さまざまな症状があります。また、PMS(月経前症候群)は月経前の3~10日の間に、胸の張りや痛み、頭痛、いらいらといった精神症状など、さまざまな症状が出ることです。

月経困難症の原因は排卵、PMSの原因は黄体ホルモン分泌の急激な変動といわれています。そのため、低用量ピルで排卵が抑えられたり、ホルモン分泌の急激な変化がなくなったりすることで、月経困難症やPMSの改善につながるのです。また、子宮内膜が薄く保たれることによって経血量が減ることも、生理痛の軽減につながるといわれています。

月経不順の改善・月経移動

低用量ピルを飲むと、休薬期間や偽薬の期間に生理(正確には消退出血)が起こるようになるため、月経不順が改善できます。さらに、この仕組みを利用して、月経をずらすこともできます。マーベロンは1相性なので月経移動もやりやすいです。

多毛やニキビの改善

ホルモン分泌量が不安定になると肌トラブルが起こりやすいです。そのため、低用量ピルでホルモン分泌量が安定することで、ニキビや肌荒れ改善につながるといわれています。

第三世代のマーベロンは男性ホルモンの抑制効果が高いため、特ににきびや多毛症の改善に効果が期待できます。

マーベロンの飲み方は?

マーベロンにはマーベロン21とマーベロン28の2種類があり、それぞれ1シート21錠、28錠となっています。クリニックフォアではマーベロン28を取り扱っていますが、どちらの飲み方も紹介します。

マーベロン21の飲み方

1シートに実薬が21錠入っています。最初は月経開始日から飲み始め、1日1回1錠を21日間飲みます。その後7日間休薬し、新しいシートを始めるというサイクルを繰り返します。

マーベロン28の飲み方

1シートに28錠入っていますが実薬は21錠で、4週目の7日分は薬効成分が入っていない偽薬になっています。偽薬は色分けされて間違えないようになっています。

最初は月経開始日から飲み始め、1日1回1錠を21日間飲みます。その後の7日間は偽薬を飲み、また新しいシートを始めるというサイクルを繰り返します。休薬期間がないため、飲み忘れや飲み遅れが起きにくいというメリットがあります。

マーベロンの副作用は?

頭痛、悪心、発疹、肝機能異常、不正出血などが起きることがあります。そのほか、長期間服用することで、性欲の減退や抑うつ症状を感じたという副作用の症例も少数ながら報告されています。

ただ、吐き気や不正出血などの副作用は、飲み始めから1~3ヶ月の間に現れやすく、飲み続けることで治まることが多いです。さらに、第二世代の低用量ピルと比べると、エストロゲンの配合量が抑えられているため、胸の張りや頭痛などの副作用が起こりにくいといわれています。

マーベロンの価格は?

マーベロンは保険適用外なので、クリニックによって価格が異なりますが、相場は1ヶ月分で2,500~3,000円程度といわれています。

クリニックフォアでは1ヶ月分が税込3,278円。定期配送の場合は15%オフで税込2,783円となります。また、初回診察料は1,650円、配送料は1回につき550円です。

マーベロンの入手方法は?

マーベロンはネット通販などで販売されていることがありますが、日本で正規に流通している薬ではなく、個人輸入にもあたるためリスクがあります。例えば、品質や安全性が保障できない、偽造製品の可能性がある、自身の体質などに適した薬なのか判断してもらうことができず、副作用のリスクが高まるといったデメリットがあります。そのため、マーベロンは医療機関で処方してもらいましょう。全ての手続きをネットで完結したい場合は、オンラインで診察、薬の処方まで可能なオンライン診療の利用を検討してみてはいかがでしょうか。


参考文献

https://w-health.jp/delicate/anticonception/

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/kojinyunyu/index.html

https://w-health.jp/delicate/anticonception/