低用量ピルに副作用・リスクはある?注意点など医師が解説します。

避妊や月経移動など、女性の生活にとても便利な低用量ピル。薬剤である以上は、副作用やデメリットがあるのかどうかも気になりますよね。本記事では、低用量ピルの副作用やデメリットについて詳しく解説いたします。


低用量ピルに副作用はある?

ピルの副作用は複数あると言われている

低用量ピルの主な副作用は、

  • 胸のハリ・痛み
  • 頭痛
  • 吐き気
  • 眠気
  • 不正出血
  • 下腹部痛
  • 血栓症

などが挙げられます。

これらの副作用は飲み始めの頃に症状が出ることが多く、数ヶ月でおさまる場合がほとんどです。

不正出血を起こすと驚く方もいるかもしれませんが、珍しいことではありません。ほとんどの場合、ピルを飲み続けることでなくなります。まずは2ヶ月間を目安に飲み続けてみましょう。

また、血栓症はピルの副作用の中でも特殊な副作用です。ピルを内服している1万人の女性のうち3〜9人、ピルを内服していない女性でも1万人に1〜5人起こるとされているため過度に心配する必要はありません。

ただし、気になる症状がある場合はすぐにかかりつけ医に相談しましょう。

低用量ピルに副作用はある?

低用量ピルの副作用は、大きく分けて2種類ある

飲み始めに現れ、継続していくうちに改善される副作用服用に慣れてきてからも注意するべき副作用
胸のハリ、痛み血栓症
吐き気(嘔気)
頭痛
不正出血

低用量ピルの副作用には、飲み始めに現れ、継続していくうちに改善される副作用と、服用に慣れてきてからも注意するべき副作用の2種類があります。

低用量ピルの副作用の多くは飲み始めに出やすく、継続していくうちに治る

低用量ピルの副作用のうち、これらの副作用は、まだ身体が低用量ピルに慣れていない、飲み始めてから1~2ヶ月ほどの時期に出やすいとされています。

  • 胸のハリ、痛み
  • 吐き気(嘔気)
  • 頭痛
  • 眠気
  • 不正出血
  • 下腹部痛

副作用が出た時はどうすればいい?

多くの副作用は、服用を続けるうちに身体が慣れ、和らぐことがほとんどですので、しばらくは服用を継続してみましょう。

また、それぞれの副作用にどう対処すれば良いのかまとめましたので、副作用を感じられた方は参考にして見てくださいね。

胸のハリ、痛み

胸のハリや痛みを感じたときは、なるべく締め付けのない下着を使用しましょう。ノンワイヤーブラやブラトップなどがオススメです。通常は服用を続けるうちに自然と和らいでゆきます。

吐き気(嘔気)

朝や昼に服用をしていて、吐き気を感じてしまう場合には、夜寝る前に服用時間を変更することで和らぐことがあります。

眠気

しばらく様子をみて、頻繁に眠気を感じる場合にはピルの種類を変更することで改善されることもあります。つらい場合には医師に相談してみましょう。

頭痛

頭痛を感じたときは、我慢せずにロキソニンなどの鎮痛剤を服用して痛みを和らげ、ゆっくり休みましょう。

不正出血

飲み始めて1ヶ月目は、不正出血が起こることがあります。2シート、3シートと続けるうちに落ち着くことが多いため、まずは服用を続けてみましょう。

下腹部痛

下腹部に痛みを感じたら、まずはゆっくり休みましょう。痛みが強い場合や、仕事などでゆっくり体を休めないときは、ロキソニンなどの鎮痛剤を併用しましょう。

服用を続けても改善されない場合はどうすればいい?

3シートほど服用を続けても改善されない場合は、ピルの種類を変更することで改善されることがあります。すでに低用量ピルを服用していて、種類を変えてみたいという方は、医師に相談の上、処方を受けるようにしてくださいね。

ピルの副作用が怖い。服用に慣れてから注意すべて副作用はある?

ほとんどの副作用は、服用を続けるうちに改善が見込めますが、服用に慣れてきてからも「血栓症」には注意するようにしましょう。

血栓症とは

血栓症とは臓器障害を引き起こす病気です。

何らかの原因により血管の中で血栓(血のかたまり)ができてしまい、細い血管(毛細血管)を詰まらせ、その先の血流を阻害してしまうため、臓器障害を引き起こすことがあります。

ピル服用者で血栓症になる割合はどれくらい?

各種背景による血栓症リスクの割合

※10,000人中に血栓症が発生する頻度

※妊婦期間を9ヵ月とした場合の割合は7~27(出典:FDA2013年2月15日安全性情報)

バイエル薬品株式会社「患者(服用者)携帯カード説明資材」より作成

ピルを服用していない女性における血栓症の発生頻度は10,000人中1~5人。それに対してピル服用者の場合は、10,000人中3~9人と、非服用者と比べて血栓症の発生リスクが約2~3倍になります。

しかし、妊娠中や分娩後の女性は、ピル服用者よりも血栓症がさらに起きやすいことがわかっています。妊娠中の女性の場合は10,000人中5~20人、分娩後12週の女性の場合は10,000人中40~65人に血栓症が起こります。

非服用者よりも血栓症リスクが高くはなるものの、低用量ピルは、得られるメリットが大きい薬剤です。ただし、喫煙習慣がある方や肥満症の方など、ピルの服用により血栓症のリスクが更に高まってしまう方もいますので、内服可能かどうか必ず医師の診察を受けて確認しましょう。

ピルが影響して死に至るのは稀な事象

ピルによる死亡率は年間10万人に1人以下であり、これらの数字は「転落事故」「溺死」「中毒」など稀な原因による死亡と同程度です。そのため、妊娠時の死亡リスク(年間10万分の8)などと比べても、はるかに低い数値であるといえます。過剰な心配をする必要はないと言えるでしょう。

ピルの副作用についてよくある質問

Q. ピルを服用すると太ったりむくんだりするって本当?

A.  ピルを服用しても太ったり、むくんだりするという医学的根拠はありません。

Q. ピルを服用すると便秘になる?

A . ピルの服用により、5%未満の頻度ですが便秘になることがあります。便秘の症状が辛い場合、酸化マグネシウムなど、便秘のお薬を併用しても特に問題ありません。

Q. ピルを服用すると眠気を感じることはある?

A.  低用量ピルを飲むと、眠気を感じることがあります。しかし、その発生頻度は0.3~1.2%といわれているため、ほとんどの人は眠気を感じることはないでしょう。

低用量ピルの服用中に眠気を感じることが多い場合は、しばらく様子を見るか、ピルの種類を変更すると改善されることもあるので、医師に相談してみてくださいね。

Q. ピルを服用し続けると妊娠ができなくなる?

A. ピルを辞めれば妊孕性(妊娠するために必要な機能)は回復します。

ピルを飲み続けてる間は、99.7%の確率で妊娠が起こりません。また、長期間ピルを服用しても、ピルの服用をやめた後に妊娠できる確率が低くなることはありません。ピルの服用を中止してから3ヶ月以内には約90%の割合で排卵が再開することがわかっています。排卵が戻れば妊孕性は本来のレベルにまで回復します。

参考文献

公益社団法人 日本産婦人科学会 – 低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤 ガイドライン(案)

http://jsognh.jp/common/files/society/guide_line.pdf