ピルとがんの関係を正しく理解するために
「ピルを飲むとがんになる」というイメージを持つ方もいますが、これは正確な情報ではありません。
ピルとがんの関係は、がんの種類によって異なるため、正しく理解することが大切です。
各がんとのリスクの関係をまとめると、以下のとおりです[1]。
| がんの種類 | リスクへの影響 | 服用中止後のリスク変化 |
| 乳がん | わずかに上がる可能性 | 約10年で服用していない方と同程度に戻る |
| 子宮頸がん | わずかに上がる可能性 | 中止10年以上で同程度に戻る |
| 卵巣がん | 低下する | 中止15年以上も効果が持続 |
| 子宮体がん | 低下する | 中止10年後も効果が持続 |
| 大腸がん | やや低下する可能性 | データが限られている |
ここでは、ピルとがんの関係を正しく理解するために知っておきたい基本的なポイントを解説します。
まずは全体像を把握したうえで、ご自身に必要な対策を考えてみてください。
リスクが上がるがんと下がるがんがある
ピルの服用によるがんリスクへの影響は、がんの種類によって異なります。
日本産科婦人科学会のガイドラインでは、ピルの服用によってわずかにリスクが上がる可能性があるがんと、リスクが下がるがんの両方が報告されています。
リスクがわずかに上がる可能性があるとされているのは、乳がんと子宮頸がんで、リスクが下がるとされているのは卵巣がん・子宮体がん・大腸がんです[1]。
ピルの服用が、すべてのがんリスクを高めるわけではない点を押さえておくことで、漠然とした不安を軽減できるでしょう。また、新しい研究結果が発表されたり、それらにともないイドラインの改定が行われることもありますし、体質や家族歴・既往歴によりがんの発症のリスクは個々人で異なりますので、不安な場合には診察時にご相談ください。
がんの発症にはさまざまな要因が関わっている
がんの発症は、ピルの服用だけで決まるものではありません。
遺伝的な体質・生活習慣・ウイルス感染・環境要因など、多くの要因が複合的に関わっています。
たとえば子宮頸がんの主な原因はHPV(ヒトパピローマウイルス)への感染であり、ピルの服用そのものが直接的な原因ではないとされています[2]。
ピルとの関係だけを切り取って判断するのではなく、総合的な視点でがんリスクを考えることが大切でしょう。
不安がある場合は医師に相談することが大切
ピルとがんの関係について不安を感じた場合は、一人で悩まず医師に相談することが重要です。
インターネット上にはさまざまな情報があり、正確でない情報をもとに自己判断してしまうと、不必要に服用を中止してしまうことがあります。
処方を受けた医師であれば、個々の体質や服用歴を踏まえたうえで適切なアドバイスを受けることができます。
「こんなことで相談していいのかな」と遠慮する必要はないため、気になることがあれば早めに医師に確認してみてください。
ピルでリスクがわずかに上がる可能性があるがん
ピルの服用によってリスクがわずかに上がる可能性があると報告されているのは、乳がんと子宮頸がんです[1]。
ただし、いずれも「ピルを服用すれば必ずがんになる」ということでは決してなく、あくまで統計的な傾向として報告されているものです。
リスクの程度や仕組みを正しく知ることで、必要以上に不安にならず適切な対策を取れるでしょう。
ここでは、乳がんと子宮頸がんそれぞれの関係について詳しく解説します。
乳がんとピルの関係
ピルの服用と乳がんの関係については、研究によってリスクが増加するという報告と増加しないという報告の両方があり、現時点では明確な結論が出ていない部分もあります[1]。
ピルに含まれるエストロゲンや黄体ホルモンが乳腺組織に影響を与える可能性があることから、わずかにリスクが上がると考えられています。ただし、エストロゲン含有量の少ない超低用量ピルでは、乳がん発症のリスクは増加しないという報告もあります[7]。
服用中は、年に1回は乳がん検診を受け、万が一の場合でも早期発見できるように対策しましょう。
子宮頸がんとピルの関係
子宮頸がんの主な原因は、HPV(ヒトパピローマウイルス)への感染であり、ピルの服用そのものが直接的な原因になるわけではありません[2]。
複数の研究をまとめた解析では、ピルの長期服用が、HPVに感染している女性における子宮頸がんリスクの増加と関連する可能性が示されています[3]。
これらの結果から、ホルモン環境の変化が、HPVの持続感染や発がんに影響する可能性があると考えられています。
ただし、子宮頸がんの主な原因はあくまでHPV感染であり、ピルはあくまで補助的な要因の一つです。
厚生労働省は、20歳以上の女性に対して2年に1回の子宮頸がん検診を推奨しています[4]。
また、HPVワクチンの接種もリスク低減に有効な手段とされています[5]。
ピルを服用中の方で子宮頸がんに不安がある場合は、これらの予防策を取り入れましょう。
ピルの服用をやめた後のリスク変化
ピルの服用によってわずかに上がったがんリスクは、服用を中止した後に徐々に低下する可能性があると報告されています。
乳がんについては、ピルの服用を中止すると、約10年で服用していない方と同程度のリスクに戻ると考えられています[1]。
子宮頸がんについても、最低5年間ピルの服用を続けた女性の場合は、中止から10年以上経過するとリスクが同じ水準に戻ると報告されています[6]。
「一度がんのリスクが上がったら元に戻らないのではないか」と心配する方もいますが、不安な場合は医師に相談し、自分に合った治療法を選択しましょう。
ピルでリスクが下がると報告されているがん
卵巣がん・子宮体がん・大腸がんは、ピルの服用によって発症リスクが低下する可能性があることが複数の研究で示されています[1]。
これらのがんは発見が難しく、進行してから見つかるケースも多いため、ピルの予防効果が注目されている分野です。
ここでは、卵巣がん・子宮体がん・大腸がんと、ピルの関係を解説します。
卵巣がんとピルの関係
卵巣がんは「沈黙のがん」とも呼ばれ、早期発見が難しく進行してから見つかることが多いがんです。
ピルの服用によって、排卵が抑制されることで卵巣への負担が軽減されるため、卵巣がんの発症リスクが低下すると考えられています。
ピルの服用期間が長いほど卵巣がんの発症リスクの低下効果が高まるとされており、服用を中止した後も15年以上にわたってリスク低下効果が持続するという報告があります[1]。
卵巣がんの予防効果を正しく知っておくことは、ピルの服用を続けるうえで安心材料のひとつになるでしょう。
子宮体がんとピルの関係
子宮体がん(子宮内膜がん)は、子宮の内側にある子宮内膜にできるがんで、エストロゲンの過剰な作用が発症に関係していると考えられています。
ピルに含まれるプロゲスチンという成分が、子宮内膜の過剰な増殖を抑える働きをするため、ピルの服用によって子宮体がんの発症リスクが低下するとされています。
ピルの服用期間が長いほど子宮体がんリスクの低下効果が高まるとされており、服用中止10年後もその効果が持続したという報告もあります[1]。
子宮体がんの検査は、一般的な子宮がん検診には含まれていないため、不正出血など気になる症状がある場合は婦人科に相談してみましょう。
大腸がんとピルの関係
大腸がんについても、ピルの服用によって発症リスクがやや低くなる可能性があるとする研究が報告されています[1]。
ただし、卵巣がんや子宮体がんと比べると研究データがまだ限られており、服用期間とリスク低下の関係についても明確なエビデンスが確立されていない部分があります[1]。
大腸がんは男女ともに罹患率の高いがんであるため、ピルの服用の有無にかかわらず定期的な大腸がん検診を受けることが望ましいでしょう。
ピルを服用しながらがんリスクを管理するために
がんのリスクは生活習慣・遺伝・環境など複合的な要因によって決まるため、ピルの影響だけを過大に捉えず、総合的な健康管理の一環として考えることが大切です。
定期的な検診やワクチン接種など、具体的な対策を実践することで、漠然とした不安を減らせる可能性もあるでしょう。
ここでは、ピルを服用しながらがんリスクを管理するための具体的な方法を解説します。
定期的ながん検診の重要性
ピルを服用している方にとって、定期的ながん検診を受けることは大切な習慣のひとつです。
ピルの服用によって乳がんや子宮頸がんのリスクがわずかに上がる可能性があるとされており、定期的に検診を受けることで、早期発見につながる可能性があります。
ピル服用中の方に推奨される検診スケジュールは、以下のとおりです。
| 検査 | 推奨頻度 | 対象年齢・条件 | 検査方法 |
| 乳がん検診 | 1年に1回程度 | ピル服用中の方 | マンモグラフィ・乳腺エコー |
| 子宮頸がん検診 | 2年に1回 | 20歳以上 | 細胞診 |
乳がん検診については、ピル服用中の方は定期的な受診(1年に1回程度)、子宮頸がん検診は20歳以上の女性に対して2年に1回が推奨されています[1][4]。
検診を受けるタイミングなど、不明な点がある場合は、受診の際に医師に相談してみてください。
HPVワクチン接種と子宮頸がん予防
子宮頸がんの主な原因であるHPVへの感染は、HPVワクチンの接種によって予防効果が期待できると考えられています[5]。
ピルを服用している方がHPVに感染すると、ウイルスを排除する免疫の働きが抑制される可能性があるとされているため、HPVワクチンの接種はとくに重要な予防策です。
HPVワクチンは、感染前に接種することで予防効果が高まるとされているため、まだ接種していない方はかかりつけ医や婦人科の医療機関に相談してみましょう。
生活習慣の見直しと総合的な健康管理
がんリスクの管理は、検診やワクチンだけでなく日常の生活習慣を見直すことも重要です。
国立がん研究センターのがん情報サービスでは、日本人のがん予防に重要な「5つの健康習慣」として以下を挙げています[2]。
- 禁煙
- 節酒
- 適度な運動
- バランスの良い食事
- 適正体重の維持
ピルの服用によるがんリスクへの影響は、わずかなものが多いとされているため、ピルだけに注目するのではなく、こうした生活習慣全体を見直すことが大切です。
気になることがあれば、定期的な受診の際に医師に相談してみてください。
ピルとがんの関係が不安な方はオンライン診療での相談も選択肢のひとつ
(以下のクリニック紹介セクションは医療広告ガイドラインの観点で要確認)
クリニックフォアでは、低用量ピルのオンライン診療を提供しております。
「ピルを飲み続けてもよいのか」「自分に合ったお薬の種類を知りたい」といった疑問も、オンライン診療であれば自宅から気軽に相談可能です。
オンライン診療の特徴は以下のとおりです。
- スマートフォンやパソコンを使用して、自宅などお好きな場所から診療が受けられます
- 仕事や育児で忙しい方でも、スキマ時間に相談できます
- 処方されたお薬は最短翌日に配送可能です
ただし、がん検診や精密検査が必要な場合は、対面での受診が必要になるケースもあります。
まずはオンライン診療で医師にご相談ください。
※医師の判断により、お薬を処方できない場合がございます。
※対面診療をご案内する場合もございます。
※効果・効能・副作用の現れ方は個人差がございます。医師の診察をうけ、診断された適切な治療方法をお守りください。
よくある質問
Q1:ピルを服用するとがんになりますか?
ピルを服用しても、がんのリスクが上がるものと下がるものがあり、すべてのがんリスクが高まるわけではありません[1]。
乳がんや子宮頸がんについては、わずかにリスクが上がる可能性が報告されていますが、「服用すれば必ずがんになる」ということではありません。
不安な場合は、処方を受けた医師に相談してみてください。
Q2:ピルをやめるとがんリスクは元に戻りますか?
乳がんについてのリスクは、服用中止後から約10年で、服用していない方と同程度に戻ると考えられています[1]。
子宮頸がんについても、最低5年間ピルの服用を続けた女性の場合は、中止から10年以上経過するとリスクが同じ水準に戻ると報告されています[6]。
Q3:ピルを長く飲むほどがんのリスクは高まりますか?
子宮頸がんについては、服用期間が長くなると、リスクがやや上昇する傾向があると報告されています[1]。
ただし、自己判断でピルの服用を中止すると、症状が悪化する場合があります。
治療方針については医師と相談し、定期的にがん検診を受けて万が一の場合でも早期発見できるよう対策をしましょう。
Q4:ピルを飲んでいる間はどのがん検診を受ければよいですか?
子宮頸がん検診は20歳以上の方であれば2年に1回、乳がん検診については1年に1回程度を目安に定期的に受けることが推奨されています。
ただし、検診のタイミング以外にも、不正出血など気になる症状がある場合は婦人科で相談してみてください。
まとめ
ピルの服用とがんの関係には「リスクが上がるがん」と「リスクが下がるがん」の両面があり、すべてのがんのリスクが上がるわけではありません[1]。
乳がんや子宮頸がんについては、わずかにリスクが上がる可能性が報告されていますが、いずれもピルの服用をやめることでリスクが元の水準に戻ると考えられています[1][6]。
一方、卵巣がん・子宮体がん・大腸がんについては、ピルの服用によってリスクが低下する可能性が複数の研究で報告されており、中止後も長期間にわたって効果が持続するとされています[1]。
ピルを服用している方は、念のため、定期的に乳がん検診・子宮頸がん検診を受けるようにしましょう[1][4]。
※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としたものであり、医療アドバイスではありません。お薬の服用に関しては必ず医師にご相談ください。
※効果・効能・副作用のあらわれ方は個人差がございます。
※医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。



