ピルによるガンはガンの種類で異なる
ピルの内服によるガンの発症リスクは、ガンの種類によって異なります。女性にまつわるガンのリスク増減については、現在以下の4点が判明しています。
- 乳がんの発症リスクをわずかに上げる可能性がある
- 卵巣ガンの発症リスクは下がる
- 子宮体ガンの発症リスクは下がる
- 大腸ガンの発症リスクは下がる
それぞれ、詳しく解説していきます。
乳がんの発症リスクをわずかに上げる可能性がある
ピルの内服によって、乳がんの発症リスクはわずかに上がるという報告と、下がるという報告がそれぞれいくつかあります。デンマークにおける1995年からの登録データによるコホート研究では、わずかながらにリスク増加すると言われていました。
乳がんの中には、エストロゲンという女性ホルモンが関係しているものもあります。そのため、エストロゲンを含む低用量ピルが発症リスクをごくわずかに上げる可能性があると考えられています。
ピルの種類によってはリスクが増加しない可能性もある
しかし、デンマークの研究において用いられたピルはエストロゲンである「エチニルエストラジオール(EE)」を1錠あたり30μg以上含有するピルを用いた際の研究結果。1錠あたりのEE含有量が20μgである超低用量ピルでは乳がん発症リスクの変動は認められていません。
そのため、ピルは乳がんの発症リスクを増加させる可能性がごく稀にあるものの、ピルの種類によってはリスクが増加しない可能性もあると考えられます。
卵巣ガンの発症リスクは下がる
ピルは卵巣癌の発症リスクを下げます。ピルを5年使用した際には約30%の発症リスク軽減が見積もられており、10年以上の使用で約40%の卵巣ガンの発症リスク軽減効果があると考えられています。
子宮体ガンの発症リスクは下がる
ピルは子宮体ガンの発症リスクを下げます。併せて子宮体ガンによる死亡率も低下させると言われており、コホート研究において、4年使用した際には約60%の発症リスク軽減が見積もられております。子宮体ガンに60%リスク減 予防効果は15年持続よる死亡率は0であったと言われています。
また、ピルの服用をやめた後でも発症リスクの低下効果は継続されると言われており、ピルの服用中止後も15年間以上効果が維持すると報告されています。
大腸ガンの発症リスクは下がる
ピルは大腸ガンの発症リスクを下げることも報告されています。しかし、ピルの使用期間が長いほど大腸ガンの発症リスクが下がるという研究結果は出ておらず、併せて予防効果についても明らかにはされていません。
参考文献
参考:公益財団法人神戸医療産業都市推進機構 国立大学法人京都大学 – 新しい乳癌誘導系でエストロゲンによる発癌メカニズムの一端を解明
参考:公益社団法人 日本産婦人科学会 – 低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤ガイドライン(案)