更年期でもピルを飲んでよい?ピルを飲める年齢や条件を詳しく解説!

ピルとは月経困難症などの病気治療や避妊などの目的で飲むお薬です。更年期とは、閉経前後5年間の、合計10年間のことですが、この時期にピルを飲んでもよいのでしょうか?また、ピルによって更年期の症状には何らかの影響はあるのでしょうか?

この記事では、更年期のピル服用について詳しく解説します。

更年期でもピルを飲んでよい?

更年期とは、閉経前後5年間の、合計10年間のことです。一般的には45~55歳頃を指すことが多いです。では、更年期にはピルを飲んでよいのでしょうか?詳しく見ていきましょう。

ピルを飲めるのは閉経まで

WHO(WHO Medical Eligibility Criteria)によると、ピルを飲めるのは初経から閉経までが基本となっています。閉経したら服用することができません。

(参考)
低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤ガイドライン
https://www.jsog.or.jp/news/pdf/CQ30-31.pdf

50歳以上は未閉経でも服用できない

閉経していない場合でも、50歳以上の方はピルを飲めません。

ピルは血栓症(血の塊が血管につまる病気)の発症リスクをごくわずかに上昇させることが知られていますが、50歳以上でピルを使用していると、血栓症の一種である静脈血栓塞栓症(足の静脈に血の塊ができたり、その塊が肺の動脈につまったりする病気)のリスクがさらに高くなるためです。

40歳以上の未閉経者は持病などの有無による

40歳以上になると、心筋梗塞などの心血管系の病気を発症しやすくなり、ピルによってこのリスクが高まることが考えられています。

そのため、40歳以上かつ未閉経の場合、心血管系障害を高めるリスクがない方のみ服用可能となっています。以下のような方は、飲むことができません。

  • 習慣流産の既往がある
  • 肥満(BMI30以上)
  • 高血圧
  • 高脂血症
  • 糖尿病
  • 喫煙者も飲めない

35歳以上の喫煙者は飲めない

1日15本以上の喫煙者は、35歳以上でピルの服用が原則できなくなります。

1日の喫煙本数が増えるほど、心血管系障害のリスクも高まるとされているため、ピルを始めるときは禁煙するのが望ましいです。

ピル服用中の閉経の確認はどのように行う?

ピルを飲めるのは閉経までです。しかし、ピル服用中は消退出血(休薬期間に起こる生理のような出血)が起きるため、閉経しているかどうかの確認ができません。

そこで、日本人女性の閉経年齢はだいたい45~56歳なので、45歳頃から閉経の可能性を考慮して一旦ピルをやめてみて、自然に月経が来るかどうかを確認します。、もしくは、中止時と中止後数週間後に血液検査で「卵胞刺激ホルモン」と「17β エストラジオール(エストロゲン)」の測定をし、閉経しているかどうか判断することがあります。

この検査で未閉経だとわかればピルはしばらく続けられることになります。

40歳以上のピル服用のメリット・デメリット

40歳以上になると、心筋梗塞などの心血管系の病気を発症しやすくなり、ピルによってこのリスクが高まることが考えられます。しかし、40歳以上のピル服用にはデメリットばかりでなく、メリットもあります。

ピルの基本的なメリットは、生理周期の調整、月経困難症の改善などですが、その他に以下のようなメリットが挙げられます。

  • 骨粗鬆症の予防
  • 子宮内膜症の改善
  • 卵巣がん、子宮内膜がんの減少
  • 大腸がんの減少
  • 血管運動神経障害(血管の拡張・収縮にかかわる神経の障害。血圧低下、頻脈などの症状につながる)の軽減
  • 関節リウマチ発症の減少

一方、以下のようなデメリット(リスク)があることも事実です。

  • 静脈血栓塞栓症
  • 脳卒中や脳梗塞
  • 心筋梗塞

リスクもしっかりと理解した上で服用するかどうかを考えましょう。

更年期症状に対してピルは効果あり?

更年期症状とは、女性ホルモンの分泌が急激に減る更年期の時期に、心身にあらわれるさまざまな不調のことです。頭痛、めまい、ほてり、汗、動悸、不安感など、症状は多岐にわたり、日常生活に支障が出るほど症状がひどい場合は更年期障害に該当します。

更年期症状には、女性ホルモンの一種であるエストロゲンを投与することで効果が期待できます。そして、エストロゲンはピルにも含まれているため、ピル服用中は、更年期症状が緩和されることがあるのです。

ただし、更年期症状の正式な治療法はピルではなくホルモン補充療法なので、更年期症状の治療のためだけにピルを飲むのは適切ではありません。

ホルモン補充療法とは

更年期症状に対するホルモン補充療法とは、更年期において分泌が減少するエストロゲンをお薬で補う治療法です。

前述の通り、ピルにもエストロゲンが含まれていますが、ホルモン補充療法で使うお薬とピルは別物です。ピルは排卵を抑制するために、ホルモン補充療法で使われるお薬よりも多くのエストロゲンが含まれており、その量は約5倍程度だと言われています。

また、ホルモン補充療法では、エストロゲンだけでなく、もう一種類の女性ホルモン「プロゲステロン」も併用します。エストロゲンだけを続けると、子宮内膜がんリスクが増加する恐れがあるためです。

なお、ピルからホルモン補充療法に切り替えることで、ピル服用時に比べると静脈血栓塞栓症のリスクが低下するとされています。

クリニックフォアのオンラインピル処方

クリニックフォアではオンラインでピルの処方を行っており、低用量ピルの「マーベロン」や「ラベルフィーユ」などを取り扱っています。

スマホなどを使ってオンラインで診察を受けていただき、ピルはご自宅などに配送するので、忙しい方でもピルを始めやすく、続けやすくなっています。

ただし、更年期のピル服用にはさまざまな条件があります。処方できないケースもありますが、一度ご相談ください。

 

 

※効果・効能・副作用の現れ方は個人差がございます。医師の診察をうけ、診断された適切な治療方法をお守りください。
※医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。

参考文献

  1. 低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤ガイドライン