花粉症に効果的 舌下免疫療法とは
舌下免疫療法は、スギ花粉を含んだ錠剤を服用することで体質を改善させる治療法です。誰でも治療が受けられるわけではなく、診察に加えて特定の検査をしてスギ花粉アレルギーであることが確定した人のみが受けられます。
また、花粉が飛んでいる間は治療ができないため、5月下旬~12月頃の間に治療を開始します。
最近の研究では3年間の服用で、7年ほど症状を抑えられることがわかっています※2。
舌下免疫療法のメリット・デメリット
舌下免疫療法は長期的に症状を抑え込む非常に大きなメリットのある治療ですが、反面理解しておかなければいけないデメリットもあります。
ここではメリットとデメリットについて説明します。
身体面におけるメリット
舌下免疫療法は、体内にアレルゲンを注射する「皮下免疫療法」よりもぜんそく発作やショック症状などの重い副作用が起こりにくい※3治療方法です。
体質が根本的に改善されるため、アレルギー症状そのものが起こらないようになる、あるいは発症しても軽い程度に抑え込むので、日常生活を落ち着いて過ごすことができます。ティッシュなどでひんぱんに鼻や目をこすることによる皮膚の炎症もなくなります。
※3 厚生労働省 花粉症 的確な花粉症の治療のために(第2判)
生活面におけるメリット
鼻づまりや目のかゆみなどの症状を抑える薬を服用することによる眠気などの副作用もなくなるため、生活の質が上がります。
また、舌下免疫療法では長期間の定期的な通院をイメージされがちですが、実は初回のみ医療機関で行う必要がありますが、原則2~4週間に一度の通院をしながら、自宅で服用することができるのも大きなメリットです。
経済面におけるメリット
舌下免疫療法は保険が適用されるため、自己負担を少なく抑えられます※。初回は検査などを含めて保険適用(3割負担)で4,000~5,000円程度、その後は診察とお薬代で月に2,000~3,000円程度です。
※舌下免疫シダキュア(60日分)6回処方×3年(7年程度の効果持続)と、提携先mitemeドラッグ取扱いの花粉症鼻炎薬・点眼薬を2-5月の4か月間分×7年使用した場合の比較
舌下免疫療法のデメリット
舌下免疫療法のお薬の服用は毎日、3~5年ほど継続する必要があります。途中でお薬を飲むのを忘れてしまったり、次のお薬の処方を受けていなかったりして断薬期間があると、また最初から治療を開始しなくてはいけません。
また、舌下免疫療法で使用されている「シダキュア」というお薬は、頻度は数%とごく少ないものの、唇や口の中の腫れ、かゆみ、のどの違和感、耳のかゆみなどの副作用を起こす可能性があります。
舌下免疫療法の進め方
舌下免疫療法はどのように治療を進めるのかを説明します。
1.問診と視診
自覚症状以外にも、アレルギー性疾患の有無、家族のアレルギー歴などについての確認があります。鼻水を調べたり、鼻の粘膜の色や鼻水の状態、目の状態の観察を行ったりします。
2.皮膚反応テストもしくは血液検査
舌下免疫療法を行うには、皮膚反応テストか、血液検査によるスギ花粉アレルギーの確定診断が必要となります。
皮膚反応テスト
皮膚反応テストはアレルゲンが皮膚でどう反応するかを判断する検査です。
皮膚表面に針でひっかき傷を作り、少量のアレルゲンエキスを落として様子を見ます。腫れや赤くなる様子などからアレルゲンを判断します。
反応が不明確な場合には、少量のアレルゲンエキスを皮下に注射して判断する場合もあります。
血液検査
「特異的IgE抗体検査」という血液検査を行います。採取した血液の中に、さまざまなアレルゲンに対してアレルギーを引き起こす抗体があるかを調べる検査です。結果が出るまではおよそ1週間ほどかかります。
3.お薬の初回投与(医療機関内)
スギ花粉アレルギーが確認された場合は、舌下免疫療法の治療を開始します。
初回のみ、院内で医師の確認のもと1回分を服用します。
重大な副作用が出ないかを確認するため、服用後約30分は病院内で待ちます。
4.2回目以降の投与(自宅で服用)
2回目以降は、自宅で1日1回分、お薬を服用します。
副作用があった際に対処できるよう、できるだけ日中や家族など人がいる場所で服用することが望ましいとされています。
使用するお薬と服用方法
スギ花粉アレルギーの治療には「シダキュア」という飲み薬を使用します。
1日1回1錠の服用
シダキュアはスギ花粉を原料とするエキスから作られています。
治療開始後1週間はシダキュアを1日1回1錠、2週間目以降はアレルゲンの含有量が増えたものを1日1回1錠、舌の下で転がして約1分経過してから飲み込みます。
シダキュアは水分を吸いやすい錠剤のため、舌の下に触れると溶けてしまうことがありますが、すぐに飲み込まず1分待つことが必要です。また、お薬の効果を高めるために、服用から5分間はうがいや飲食は控えます。
服用時の注意点
シダキュアにはアレルゲンであるスギ花粉が含まれているため、服用後にアレルギー反応が起こる恐れがあります。そのため、家族のいる場所や日中の服用が推奨されています。
また、血行が促進されると副作用が起こる恐れがあるため、服用前と服用後2時間は激しい運動や入浴、アルコールの摂取は控える必要があります。
副作用
スギ花粉にアレルギーのある方が服用することにより、アレルギー反応が副作用として起こります。この副作用の強さには個人差がありますが、口内のかゆみやむくみなどの不快感、のどへの刺激、耳のかゆみなどが症状として挙げられます。頻度は数%とごく少なく、ビラノアなどの併用可能な抗アレルギー薬の服用で症状が緩和されます。
副作用が現れる時期は、服用から30分ほどが目安です。
クリニックフォアの舌下免疫療法
クリニックフォアの舌下免疫療法は、初回は必ず対面で診察と検査を受ける必要がありますが、経過が安定している2回目以降は問診からお薬の処方までがオンラインで完結します。初回の診察・検査をほかの医療機関で受けた方でも、診断書や紹介状、検査結果・処方履歴が証明できる書類があれば2回目以降の問診・お薬の処方が可能です。診察は最短当日1時間前から予約可能、お薬は最短翌日にご自宅に届く※のも大きなメリットです。
※診察・決済完了時間、お届け先エリアによって異なります。また医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。
舌下免疫療法 どんな人が受けられる?
舌下免疫療法は、スギ花粉症と確定診断されていれば5歳以上の子どもから治療が可能です。
受けられない人
下記の方は治療を受けることができません。
- お薬の投与でショックを起こしたことがある人
- 重度の気管支ぜんそく患者の方
- 65歳以上の高齢者の方
- 妊娠中、近いうちに妊娠を希望している方
- 授乳中の方
- ステロイド薬や抗がん剤使用中の方
- 悪性腫瘍(がん)や免疫系の病気がある方
- β遮断薬を服用している方
花粉症の季節が始まる前に 舌下免疫療法で根本から体質改善を
多くの人を悩ませる花粉症。従来の花粉症の飲み薬や点鼻・点眼薬による治療は、一時的に花粉症のつらい症状を抑えるだけで、花粉症を治すことはできません。
「花粉症を治したい」「つらい症状から解放されたい」という方には、舌下免疫療法はおすすめの治療法です。
花粉症シーズンに備えて、早めに治療を開始してみてはいかがでしょうか。