子どもの花粉症薬の選び方と治療のポイント|処方薬の特徴と市販薬の注意点を解説

お子さんがくしゃみや鼻づまりで苦しそうにしている姿を見るのは、親としてとても辛いものです。
「お薬を飲ませたいけれど、副作用が心配」「医療機関のお薬と市販薬、どちらが良いのかわからない」といった悩みを抱えていませんか?
花粉症の治療には、内服薬・点鼻薬・点眼薬を組み合わせて症状を抑える対症療法と、スギ花粉の成分を定期的に服用して体を慣らす免疫療法があります。

この記事では、子どもの花粉症薬の種類や選び方、家庭でできる対策について解説します。

※効果・効能・副作用のあらわれ方は個人差がございます。
※医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。

子どもの花粉症薬を選ぶ際に重視すべき3つの基準

子どもの花粉症薬を選ぶ際に重視すべき基準は、以下の3点です。

  • 症状のタイプに合わせた薬効の選択
  • 年齢や好みに応じた剤型の選び方
  • 学校生活への影響を考慮した副作用の確認

花粉症の治療では、くしゃみ・鼻汁が主体の場合と、鼻づまりが主体の場合で適したお薬が異なります[1]。また、小児向けには飲みやすいドライシロップや細粒、水なしで飲めるOD錠(口腔内崩壊錠)など様々な剤型が用意されています。

さらに、お薬によって眠気の出やすさが異なるため、学校生活への影響を考慮した選択が重要です。他のアレルギー疾患でお薬を飲んでいる場合は効果が重複することもあるため、受診時にお薬の名称を伝えてください。

症状のタイプに合わせた薬効の選択

子どもの花粉症は、くしゃみ・鼻水型と鼻づまり型で適したお薬が異なります。

くしゃみ・鼻汁が主体の症状には、第二世代抗ヒスタミン薬や化学伝達物質遊離抑制薬が適しています[1]。一方、鼻づまりが症状の主体である場合には、抗ロイコトリエン薬や鼻噴霧用ステロイド薬がよい適応となります。

症状タイプ適したお薬代表的な薬剤名
くしゃみ
・鼻水型
第二世代抗ヒスタミン薬アレグラ、アレロック、ザイザル、クラリチン
鼻づまり型抗ロイコトリエン薬キプレス(モンテルカスト)
鼻づまり型鼻噴霧用ステロイド薬モメタゾン点鼻液など

お子さんの症状がどちらのタイプかを医師に伝えることで、より適切なお薬が処方されます。

年齢や好みに応じた剤型の選び方

小児向けの花粉症薬には、飲みやすさを考慮した様々な剤型が用意されています。

錠剤が飲めない小さなお子さんには、ドライシロップや細粒が適しています。アレグラ(フェキソフェナジン)には7〜11歳向けの30mg製剤、12歳以上向けの60mg製剤があり、小児の体格に応じた用量設定がされています[2]

水なしで服用できるOD錠(口腔内崩壊錠)は、外出先や学校でも服用しやすい剤型です。クラリチンのレディタブ錠は、水ありでもなしでも服用でき、薬物動態に差がないことが確認されています[3]

剤型特徴適した年齢
・場面
ドライシロップ
・細粒
水に溶かして飲める錠剤が飲めない幼児
OD錠(口腔内崩壊錠)水なしで飲める学校での服用、外出時
通常錠水で服用錠剤が飲める年齢

お子さんの年齢や好み、生活スタイルに合わせて、医師・薬剤師に相談してください。

学校生活への影響を考慮した副作用の確認

抗ヒスタミン薬には眠気の副作用があり、お薬によって出やすさが異なります。学校での授業や体育に影響が出ないよう、眠気の少ないお薬を選ぶことが重要です。

眠気などの副作用により、大人の場合でも自動車運転などを控えるべきお薬があるため、医師や薬剤師の説明をよく聞いてください[4]

アレグラやザイザルは比較的眠気が出にくいとされていますが、個人差があります[2][5]。お子さんの様子を観察し、眠気が強い場合は医師に相談してお薬の変更を検討してください。

※効果・効能・副作用のあらわれ方は個人差がございます。
※医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。

医療機関で処方される代表的な抗ヒスタミン薬とその特徴

子どもの花粉症治療では、第二世代抗ヒスタミン薬が広く使用されています。

第二世代抗ヒスタミン薬は、第一世代と比較して眠気などの副作用が少ないことが特徴です。ただし、薬剤によって眠気の出やすさや効果の強さが異なるため、お子さんの症状や生活スタイルに合わせた選択が重要です。

薬剤名(一般名)商品名例眠気の頻度服用回数小児適応
フェキソフェナジンアレグラ0.1〜5%未満[S3]1日2回7歳以上[2]
ロラタジンクラリチン1%以上[S6]1日1回3歳以上[3]
オロパタジンアレロック5%以上[S4]1日2回2歳以上[6]
レボセチリジンザイザル0.1〜5%未満[S5]1日1回7歳以上[5]

以下では、眠気の出やすさや効果の強さに応じた薬剤の特徴を解説します。

眠気が少なく集中力を妨げにくい薬

学校での授業や習い事に集中したいお子さんには、眠気が出にくい抗ヒスタミン薬が適しています。

フェキソフェナジン(商品名:アレグラ)は、眠気の発現頻度が0.1〜5%未満と比較的低く、集中力を妨げにくい薬剤です[2]。日本人小児患者を対象とした臨床試験では、7〜11歳に30mg、12〜15歳に60mgを服用した際の薬物動態データが確認されています。

ロラタジン(商品名:クラリチン)も眠気・倦怠感の発現頻度が1%以上とされ、比較的眠気が出にくい薬剤の一つです[3]。1日1回の服用で効果が持続するため、朝に服用すれば日中の学校生活に影響しにくい特徴があります。

効果の持続性や強さが期待される薬

症状が強いお子さんには、効果の持続性や強さが期待される抗ヒスタミン薬が選択されることがあります。

オロパタジン(商品名:アレロック)は、ヒスタミンH1受容体拮抗作用に加え、化学伝達物質遊離抑制作用も併せ持つお薬です[6]。眠気の発現頻度は5%以上とやや高めですが、効果の高さが期待されます。小児では2歳から使用でき、ドライシロップ剤も用意されています。

レボセチリジン(商品名:ザイザル)は、持続性選択的H1受容体拮抗薬として分類され、1日1回の服用で24時間効果が持続します[5]。眠気・倦怠感の発現頻度は0.1〜5%未満ですが、傾眠や疲労などの副作用報告もあるため注意が必要です。

鼻づまりがひどい場合に併用される薬

抗ヒスタミン薬だけでは鼻づまりの改善が不十分な場合、抗ロイコトリエン薬の併用が検討されます。

鼻づまりが症状の主体である場合には、抗ロイコトリエン薬や鼻噴霧用ステロイド薬がよい適応となります[1]。抗ロイコトリエン薬は、アレルギー反応で産生されるロイコトリエンの作用をブロックすることで、鼻づまりを改善します。

モンテルカスト(商品名:キプレス、シングレア)は、ロイコトリエン受容体拮抗剤として、気管支喘息とアレルギー性鼻炎の両方に適応があります[7]。鼻腔通気抵抗を抑制し、鼻づまり・鼻水・くしゃみなどの症状を改善します。

抗ロイコトリエン薬は眠気の副作用がほとんどないため、抗ヒスタミン薬と併用しても学校生活への影響を最小限に抑えられます[1]。鼻づまりで夜眠れない、口呼吸になっているといった症状がある場合は、医師に相談してください。

子どもに市販薬を使用する場合の注意点と受診の目安

子どもに花粉症の市販薬を使用する際は、成分と対象年齢の確認が重要です。特に市販の点鼻薬には注意が必要です。

薬局などで購入できる市販の点鼻薬の多くは、血管を収縮させる成分を含んでいます[S9]。これらの薬は使用するとすぐに鼻づまりがよくなる感じがしますが、長く使い続けると血管を収縮させる成分による「薬剤性鼻炎」を引き起こします[4]。市販薬を使う場合は成分と対象年齢をよく確認し、なんとなく使い続けることがないようにしてください。

※効果・効能・副作用のあらわれ方は個人差がございます。
※医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。

根本的な治癒を目指すアレルゲン免疫療法もおすすめ

花粉症の根本的な体質改善を目指すなら、アレルゲン免疫療法が選択肢となります。

アレルゲン免疫療法とは、アレルギーの原因物質を少量から徐々に増やしながら投与し、身体を慣らしていく治療法です。対症療法のお薬とは異なり、アレルギー疾患の自然経過を修飾する可能性がある唯一の治療法とされています[8]

スギ花粉症の場合は「シダキュア」、ダニアレルギーの場合は「ミティキュア」というお薬を毎日舌の下に置いて服用します。

<クリニックフォアの舌下免疫療法>

クリニックフォアでは、対面診療で血液検査と初回導入を行い、2回目以降はオンライン診療で継続処方を受けることが可能です。

治療薬対象費用(60日分)
シダキュアスギ花粉症2,700円(税込)
ミティキュアダニアレルギー3,600円(税込)

※上記お薬代のほか、診察料・システム利用料2,200円(税込)が必要です。
※配送料は無料です。

\予約時は”アレルギー科”にてご予約ください/

※医師の判断によりお薬を処方できない場合もございます。

なお、スギ花粉症の舌下免疫療法は花粉飛散期には開始できません。毎年GW明け〜年末の間に新規治療を受け付けています。来シーズンに向けて、花粉シーズン終了後に検討してみてください。

子どもの花粉症治療に関するよくある質問

子どもの花粉症治療について、保護者の方からよくいただく質問にお答えします。お薬の安全性や治療の見通しなど、お子さまの治療を進めるうえで気になるポイントを解説いたします。

ステロイド点鼻薬は子どもに使っても安全ですか?

処方薬のステロイド点鼻薬(鼻噴霧用ステロイド薬)は、小児にも使用できます[4]

フルチカゾンフランカルボン酸エステル液やモメタゾンフランカルボン酸エステル水和物点鼻液など、小児に適応のある製剤があります。これらのお薬は鼻粘膜だけに作用し、全身への影響は極めて少なく、安全性が高いとされています。また、刺激感や匂いも少なく、お子さまでも使いやすい剤型です。

一方、薬局などで購入できる市販の点鼻薬には血管収縮成分を含むものが多く、長期使用により「薬剤性鼻炎」を引き起こすおそれがあります[4]。特に2歳未満の幼児では呼吸抑制などの副作用の危険性があるため、血管収縮薬は禁忌です。市販薬を使用する場合は、成分と対象年齢をよく確認してください。

花粉症は大人になると自然に治りますか?

スギ花粉症は自然に改善することが少ない疾患です[8]

そのため、症状を放置せず、適切な治療を継続することが重要となります。対症療法のお薬で症状を抑えながら日常生活を送る方法のほか、根本的な改善を目指すアレルゲン免疫療法という選択肢もあります。

アレルゲン免疫療法には、定期的に注射を行う「皮下免疫療法」と、毎日舌の下にお薬を服用する「舌下免疫療法」の2種類があります[S9]。いずれも年単位の治療期間が必要ですが、3〜5年の治療を適切に行った場合、治療終了後も年余にわたって効果が持続することが期待されています[8]。また、新規アレルゲンへの感作を抑制する可能性や、鼻炎のみのお子さまでは喘息発症を予防する可能性も報告されています。

まとめ

子どもの花粉症治療は、症状や生活スタイルに合わせて「眠気の少なさ」「飲みやすさ」を考慮してお薬を選ぶことが大切です。

市販薬は一時的な対処には便利ですが、自己判断での長期使用は避け、早めに医師の診断を受けることをおすすめします。

また、薬による対症療法だけでなく、アレルゲン免疫療法による体質改善という選択肢もあります。お子さんが快適な春を過ごせるよう、まずは医師に相談してみてください。

※効果・効能・副作用のあらわれ方は個人差がございます。
※医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。

参考文献

  1. 厚生労働省. 的確な花粉症の治療のために. 2011.
  2. KEGG MEDICUS. 医療用医薬品:アレグラ(添付文書).
  3. KEGG MEDICUS. 医療用医薬品:クラリチン(添付文書).
  4. アレルギーポータル. 花粉症(アレルギー性鼻炎、結膜炎)FAQ.
  5. KEGG MEDICUS. 医療用医薬品:ザイザル(添付文書).
  6. KEGG MEDICUS. 医療用医薬品:アレロック(添付文書).
  7. KEGG MEDICUS. 医療用医薬品:キプレス(添付文書).
  8. 日本アレルギー学会. アレルゲン免疫療法の手引き. 2021.
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