【医師監修】淋病とは?症状・感染経路・治療方法について解説

淋病とは淋菌に感染した場合に発生する性感染症のことです。 性行為により男性の尿道や女性の子宮頚管のほか、咽頭粘膜(喉の粘膜)などに感染します。 感染力が高く、比較的すぐに症状が出るのが特徴です。 この記事では医師監修のもと淋病について解説していきます。

淋病とは?

淋病とは淋菌という細菌に感染することで発症する性感染症の総称です。

医学的には「痳菌感染症」といいます。

淋菌自体は生命力が弱い菌で、人体から離れると数時間で死滅するので性行為以外で感染する機会は滅多にありません。

ただし女性が感染したまま出産すると生まれてくる赤ちゃんに産道を通して感染することがあります。

また感染者の20~50%は症状が出ないこともあるので、感染に気づかないまま感染を広げていることも危惧されています。

世界的に感染者が増えていることが特徴で、近年では薬剤に耐性を持った淋菌も登場してきています。

また最近の研究では淋菌感染によってHIVにも感染しやすくなるとの報告があり、軽視できない性感染症です。

症状

淋菌に感染した場合男性の場合は比較的早く自覚症状が現れ、女性の場合は無症状であることも多くなります。

男性と女性の場合で症状が違うのでそれぞれ解説していきます。

男性の場合

  • 尿道の違和感・排尿痛
  • 黄白色の膿が尿道から出る
  • 精巣上体炎
  • 前立腺炎

尿道炎を引き起こすと尿道の違和感や排尿時の痛み、黄白色の濁った膿が尿道から出ることもあります。

また精巣上体炎を起こすと睾丸が腫れて痛むこともあり、放置すると不妊症になる可能性も否定できません。

また前立腺炎に移行すると尿道内部に瘢痕を形成し、最悪の場合は排尿が困難になります。

女性の場合

  • 症状が軽いまたはないことも多い
  • 膀胱炎や膣炎を起こすことも
  • 進行すると子宮頸管炎(卵管炎)や腹膜炎などを引き起こす
  • 不妊症の原因となることもあるので注意が必要

女性は比較的症状が軽いことが多く、感染しても無症状であることもあります。

症状が出ると膀胱炎や膣炎のように排尿時の痛みを覚えたり、膣から黄色などの分泌物が出たりします。

また感染したまま放置すると子宮頸管炎を引き起こすこともあります。

子宮頸管炎は初期では症状を自覚することは少なく、自覚する頃には腹痛や発熱を引き起こし重症化しているケースが多くなります。

腹膜炎などの骨盤内の炎症疾患に発展したり、卵管に損傷が生じると不妊症や子宮外妊娠の原因にもなるので注意が必要です。

また感染した状態で出産すると参道を通して赤ちゃんに感染することもあり、赤ちゃんの目や関節、血液に炎症を起こし非常に危険な状態になります。

その他の部位の症状

淋菌が肛門に感染すると肛門のかゆみや出血、痛みなどがあり、腹痛が現れることもあります。

喉に感染した場合は症状が出ないことが多くなります。

淋病に感染すると男性は主に尿道炎になり、女性は子宮頸管炎をおこします。

女性は膣炎や膀胱炎、男性は尿道炎を起こして、痛みやかゆみの症状が現れたりしますが、自覚症状がないことも多いです。

症状は個人差がありますが、潜伏期間は男性の場合10日前後、女性の場合は5~14日前後です。

検査方法

淋病の検査は抗原検査が一般的です。

即日実施できる簡易検査キットもありますが、精度があまり高くないのでクリニックフォアでは行っていません。

クリニックフォアでは即日精密検査であるTMA法を採用し、専門の機器で検査を実施しています。

採取は尿、膿、膣分泌液、うがい液、肛門分泌物から行います。

症状が出ていなくても検査できるのが特徴で検査結果も遅くとも翌日には出ます。

感染経路

淋病の感染経路はほとんどが性交渉です。

淋菌はもともと感染力が高い菌ではないので、日常生活の中で感染することは滅多にありません。

淋菌は人の粘膜のように湿った場所を好むので、性交渉といっても挿入を伴わない性行為でも感染します。

キスやフェラチオなどオーラルセックスでも容易に感染します。

潜伏期間

淋病は通常、感染後2~9日前後の潜伏期間を経て発症します。

似たような性感染症であるクラミジアが1~3週間であることと比べると比較的早めに症状が出ます。

ただし感染しても症状が出ない人もいるので、潜伏期間を過ぎて症状が出ないからといって感染していないことにはなりません。

特に女性の場合は症状が出にくいことがあるので注意が必要です。

また症状が出ても淋病の症状は他の感染症でも起こりうるので、誤った診断をされる可能性もあります。

淋病は性交渉以外で移ることは稀なので、思い当たる節がある場合はしっかりと検査を受けることが推奨されます。

治療方法

淋病の治療薬はセフトリアキソンの単回投与が基本となります。

セフトリアキソンという薬剤を30分ほどかけて点滴することで治療が完了します。

かつてはペニシリン系、キノロン系、アジスロマイシンなどの抗菌薬が使用されていましたが、近年ではこれらに耐性を持つ菌が出現しており、利用は推奨されていません。

スペクチノマイシンという薬剤もありますが、咽頭淋病に対しての効果が薄いことから、現在ではセフトリアキソンの単回投与が強く推奨されています。

ただし、このセフトリアキソンに対しても耐性菌の出現が国内で報告されているので、今後の動向は注視する必要があるでしょう。

よくある質問

Q.淋病は自然治癒しますか?

淋病は自然治癒しません。

しっかりと薬剤で治療しないと重症化することもあるので、感染が疑われる場合は早めに検査と治療を受けましょう。

Q.淋病は一度かかったらかかりませんか?

残念ながら淋病に対して自然免疫を獲得することはないので、何度でも感染します。

感染を防ぐには不特定多数との性交渉を避けること、コンドームの使用など予防が有効です。

Q.男性で淋病が無症状のことはありますか?

近年男性が感染した場合でも無症状あるいは症状がごく軽いという例が報告されています。

症状が出ないからといって感染していないというわけではないことに注意しましょう。

まとめ:淋病は感染率の高い性感染症

以上淋病の症状や感染経路などについて解説してきました。

ポイントは

  • 痳菌が原因となる性感染症
  • 症状が出ない場合もある
  • 潜伏期間は2~7日と短い
  • 治療はセフトリアキソン単回投与が基本

となります。

淋病は粘膜の接触があればどこでも感染の可能性があるので、挿入をしないから安心というものではありません。不特定多数との性交渉を避け、コンドームを適切に使用することが予防の第一歩となります。

また自然治癒もしないので、感染した場合は医療機関で適切な治療を受ける必要があります。もし心当たりがあって、疑わしい場合は早急に医療機関を受診しましょう。