ピルで頭痛が起きる3つの原因
低用量ピルを服用中に頭痛が起きる原因は大きく3つに分けられ、それぞれ頭痛の出るタイミング・痛みの性質・対処法が異なります。
| 原因 | 起きる時期 | 痛みの特徴 | 対処の方向性 |
| 飲み始めのマイナートラブル | 服用開始後1〜2か月 | 軽〜中程度 | 継続服用で自然に改善することが多い |
| 休薬期間のエストロゲン低下 | 休薬期間中 | ズキズキする片頭痛様 | 連続服用や種類変更で改善できる場合あり |
| 血栓症・脳静脈洞血栓症 | 服用開始後4か月以内が多い | これまでに経験したことのない激しい痛み・他症状を伴う | すぐに受診が必要 |
くわしくみていきましょう。
飲み始めのマイナートラブルによる頭痛
低用量ピルを飲み始めた直後に頭痛が起きる場合、ピルに含まれるエストロゲンとプロゲステロンの影響でホルモンバランスが一時的に変化することが原因として考えられます。
この種の頭痛は「マイナートラブル」と呼ばれる軽微な副作用のひとつであり、吐き気やむくみ、不正出血などとあわせて飲み始めの時期に起こりやすい症状です[2]。
トリキュラーの添付文書では頭痛の発生頻度が15.0%(955例中143件)と報告されており、決してまれな症状ではありません[2]。
頭痛を含むマイナートラブルは体がピルに慣れるにつれて自然に改善することが多く、服用継続によって副作用全体の発生率が低下することが報告されています[2]。
| 服用期間 | 副作用全体の発生率 |
| 6周期目 | 12.7% |
| 12周期目 | 8.7% |
休薬期間のエストロゲン低下による頭痛
低用量ピルには通常、1シートのうちに数日間の休薬期間が設けられています。この休薬期間中は体内のエストロゲン濃度が急激に低下するため、頭痛が起きやすくなるとされています[3]。
この頭痛は「エストロゲン離脱片頭痛」または「月経関連片頭痛」と呼ばれ、エストロゲンの変動が片頭痛の病態と関連していると考えられています[3]。ただし、その正確なメカニズムについては依然として議論の余地があるとも指摘されており、明確にはなっていません[3]。
「ピルの服用中は頭痛がないのに、休薬期間になると毎回ズキズキした頭痛が出る」という方は、このエストロゲン低下が関与している可能性があります。
ピルの飲み方を工夫したり(連続服用など)、医師に相談してピルの種類を見直したりすることで改善できる場合があります。
血栓症・脳静脈洞血栓症による頭痛
ピルの服用によって血栓症のリスクがわずかに上がることがあり、この血栓症が激しい頭痛を引き起こすことがあります[2]。
とくに「脳静脈洞血栓症(のうじょうみゃくどうけっせんしょう)」は、脳から心臓へ血液を戻す静脈に血栓ができることで頭蓋内圧が上がり、強い頭痛が起きる重篤な病気です[4]。
マイナートラブルによる頭痛とは痛みの性質・強さ・随伴症状が異なり、突然始まる激しい痛みや視野の異常・手足のしびれ・言語障害などを伴うことがあります[2]。
ピル服用による血栓症のリスク上昇は服用開始から4か月以内に認められるとされており、飲み始めの時期は体の変化に注意を払うことがとくに重要です[1]。血栓症が疑われる頭痛の具体的なサインと受診基準は、後述の「受診すべき頭痛のサインと受診先」で解説します。
ピルによる頭痛はいつまで続くか
ピルによる頭痛が続く期間は、原因によって異なります。飲み始めのホルモン変化による一時的な頭痛であれば、数か月ほど服用を続けるうちにホルモンバランスが安定し、多くの場合は気にならなくなるでしょう[2]。
一方で、休薬期間中に起こる頭痛は、エストロゲンの低下が関係している可能性があります。この場合は、毎回休薬期間に頭痛が出る傾向があり、連続服用やピルの種類変更によって改善できることがあります[3]。
突然の激しい頭痛や、しびれ・視野の異常・呂律が回らないなどの症状を伴う場合は、血栓症など重い副作用の可能性もあるため、時期にかかわらず速やかな受診が必要です。
頭痛が続く場合は、痛みが出るタイミングや強さ、持続時間、吐き気・しびれ・視野の異常などの有無を記録しておくと、医師に相談するときに役立ちます。
服用期間中に毎日出るのか、休薬期間だけに出るのかによって考えられる原因が異なるため、タイミングを把握しておくことが大切です。
片頭痛持ちはピルを飲めるのか
片頭痛があるからといってピルが一律で禁忌になるわけではなく、片頭痛の種類によって服用できるかどうかが異なります。
| 片頭痛のタイプ | 特徴 | 低用量ピルの可否 |
| 前兆のある片頭痛 | 閃輝暗点(キラキラ・ギザギザの光・視野欠損)など視覚的前兆あり | 禁忌 |
| 前兆のない片頭痛 | 拍動性のズキズキした頭痛のみ・前兆なし | 慎重投与 |
前兆のある片頭痛は禁忌
頭痛が起きる前に「目の前にキラキラ・ギザギザした光が見える」「視野の一部が欠ける」などの視覚的な前兆(閃輝暗点:せんきあんてん)がある片頭痛をお持ちの方は、低用量ピルを服用できません[2]。
「前兆のある片頭痛」は脳内の血管の収縮と拡張がかかわっており、エストロゲンの血液凝固作用と重なることで脳血栓症・脳梗塞のリスクが高まるためです[2]。
「ピルを飲み始めてから頭痛の前にキラキラした光が見えるようになった」という場合は、前兆のある片頭痛があらわれた可能性があるため、すぐにピルの服用を中止して婦人科を受診してください。
前兆のある片頭痛をお持ちの方で月経困難症や子宮内膜症の治療を希望する場合は、エストロゲンを含まないジエノゲスト(ディナゲスト®)やミニピル(スリンダ®)など、血栓症のリスクがない別の治療法を医師と相談することが選択肢となります[5][6]。
前兆のない片頭痛は慎重投与
頭痛の前に閃輝暗点といった視覚的な前兆がなく、ズキズキとした拍動性の頭痛が起きるタイプの「前兆のない片頭痛」の場合は、条件によって低用量ピルの服用が可能です[1]。
日本産科婦人科学会のガイドラインでは慎重投与の対象とされており、とくに35歳以上では血栓症リスクがさらに高まるため、服用にあたって医師が慎重に判断します[1]。前兆のない片頭痛でピルを服用する場合は、定期的に頭痛の状況を医師に報告し、症状の変化があればすぐに相談することが重要です。
自分の片頭痛タイプが判断できない場合
片頭痛のタイプは自己判断が難しく、閃輝暗点の有無によってピルの処方可否が大きく変わります。
そのため受診の際には「頭痛が起きる状況・痛みの性質・光が見えるなどの前兆の有無・頭痛前の体の変化」を具体的に伝えて、医師に判断を委ねましょう。
「前兆があるかどうかわからない」という場合は、婦人科から他の診療科へ紹介してもらい、正確な診断を受けることも選択肢のひとつです。
ピルの頭痛への対処法
ピルによる頭痛は原因によって対処法が異なりますが、日常生活での工夫や市販薬の活用によって症状を和らげられる場合があります。
無理に我慢するのではなく、状況に応じた対処を取り入れることで、頭痛とうまく付き合うことが大切です。
頭痛のお薬との飲み合わせ
ピル服用中に頭痛が起きた場合、市販の鎮痛薬を服用することは基本的に問題ありません。
ただし、ピル服用中にアセトアミノフェンを服用すると、ピルとの相互作用によりアセトアミノフェンの血中濃度が低下し、効果が弱まる可能性があるとされています[2]。
このため、ピル服用中の頭痛にはイブプロフェンやロキソプロフェンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が用いられるのが一般的です。
お薬の選択に迷う場合は、薬剤師に「低用量ピルを服用している」と相談してみましょう。
鎮痛薬を服用しても症状が改善しない場合や、頻繁に服用しなければならない状況が続く場合は、ピル自体の見直しを含めて婦人科で相談してください。
生活習慣の改善で頭痛を和らげる
日常生活の中でできる改善策を取り入れることも有効です[7][8][9]。
- 水分補給:1日1.5リットル程度を目安にこまめに摂取する
- 同じ姿勢を避ける:1時間に1回程度は体を動かして血流を保つ
- 睡眠時間の確保:不足や不規則は頭痛を悪化させる要因となる
- ストレスのこまめな発散:過度なストレスも頭痛の誘因
- 栄養の摂取:マグネシウム(アーモンド・大豆・海藻類など)やビタミンB2(牛乳・チーズ・卵など)を意識的に摂る
水分不足は脱水を介して血栓症リスクを上げる要因の一つとされ、また頭痛を悪化させる要因にもなるため、ピルの服用期間中はとくに積極的に水を飲む習慣をつけるのが望ましいです[7]。
ピルの種類変更を検討する
頭痛がひどく生活に支障をきたす場合や、休薬期間のたびに強い頭痛が繰り返される場合は、ピルの種類を変更することで症状が改善する可能性があります[1]。
エストロゲンの含有量が少ないピルに変更することでホルモン変動の幅が小さくなり、頭痛が起きにくくなる可能性が考えられます[10]。休薬期間中に頭痛が毎回起きる場合は、休薬期間を設けない連続服用に切り替えることでエストロゲン低下による頭痛を回避できるかもしれません。
前兆のある片頭痛があってピルを服用できない方や、ピルを変更しても頭痛が改善しない方には、エストロゲンを含まないジエノゲスト(ディナゲスト®)やミニピル(スリンダ®)などが選択肢としてあげられます[2][5]。種類変更を検討する場合も、まず婦人科に今起きている症状をはっきり伝えることが大切です。
ピル服用中の頭痛で受診すべきサインと受診先
ピル服用中の頭痛のすべてが副作用とは限りません。以下を参考に、今すぐ受診が必要な状態か、早めに受診すべき状態かを判断してください。
今すぐ救急受診が必要な頭痛
以下のような頭痛・随伴症状がある場合は血栓症の可能性があるため、時間帯を問わず速やかに医療機関を受診してください[1][2]。
- 今まで経験したことのない激しい頭痛
- 強い腹痛
- 強い胸痛・息苦しさ
- 視野の異常・視力低下
- ふくらはぎの急激な痛み・腫れ
- 呂律が回らない・手足のしびれ・意識障害
夜間や休日で通常の医療機関が開いていない場合は、#7119(救急安心センター)に電話することで対応できる医療機関を案内してもらえます。
早めに受診が必要な頭痛
以下の状況に当てはまる場合は、マイナートラブルとは別の原因が関与している可能性や、現在のピルが体質に合っていない可能性があります。早めに婦人科または脳神経外科・脳神経内科を受診してください。
- ピルを服用し始めてから数か月たっても頭痛が続いている
- 頭痛の頻度や程度が以前より悪化してきている
- 市販の鎮痛薬を飲んでも効かない日が続く
- ピルを飲んでから初めて閃輝暗点(前兆)が出るようになった(この場合はすぐに服用を中止してください)
- 休薬期間のたびに強い頭痛が起きて日常生活に支障が出ている
- 鎮痛薬を月に10〜15日以上服用する状態が続く(薬物乱用頭痛のリスク)
「副作用だから仕方ない」と自己判断して様子を見続けることで、血栓症などの重篤な原因の発見が遅れたり、薬物乱用頭痛へ移行したりするリスクがあります。
ピルの種類変更や服用方法の工夫で改善できるケースも多いため、我慢せずに早めに相談しましょう。
受診先の選び方
頭痛の原因や対処法に迷った場合は、まずピルを処方した医療機関に相談してください。ピルの継続可否・種類変更・服用方法の工夫はいずれも相談することができ、脳疾患や血栓症との鑑別が必要と判断された場合は、脳神経外科や脳神経内科へ紹介してもらうことも可能です。
受診の際には、ピルの種類と服用期間・頭痛が出始めたタイミング・痛みの性質(ズキズキ・締め付けなど)・随伴症状の有無を事前にまとめておくと診察がスムーズです。
クリニックフォアのオンライン診療でピルの頭痛を相談する
ピルによる頭痛の不安があっても、仕事や生活の都合で婦人科への受診を後回しにしてしまったり、頭痛を自覚したのが診療時間外だったりする方もいらっしゃるでしょう。
クリニックフォアでは、スマートフォンやパソコンから受診できるオンライン診療でピルの処方・相談をおこなっています。
「頭痛がつらくてピルを変えたい」「休薬期間のたびに頭痛が出てつらい」という場合も、ピルの種類変更や服用方法の工夫について医師がアドバイスをおこないます。
ただし、突然の激しい頭痛・視野の異常・手足のしびれなど血栓症が疑われる症状がある場合は、オンライン診療ではなく速やかに対面の救急医療機関を受診してください。
早めにピルによる頭痛について相談したい方は、クリニックフォアのオンライン診療をご活用ください。
※医師の判断により、お薬を処方できない場合がございます。
※対面診療をご案内する場合もございます。
※効果・効能・副作用のあらわれ方は個人差がございます。
ピルと頭痛に関するよくある質問
ピルによる頭痛についてよく寄せられる質問をまとめました。
Q1:ピルで頭痛が起きるのはなぜですか?
低用量ピルに含まれるエストロゲンとプロゲステロンの影響でホルモンバランスが一時的に変化することで、飲み始めの時期に頭痛が起きやすくなります[1]。
また、休薬期間中にエストロゲンが急激に低下することで「エストロゲン離脱片頭痛」が起きるケースや、ピルによって血栓症リスクがわずかに上がることで頭痛が生じるケースもあります[3]。
頭痛の原因によって対処法が異なるため、頭痛が起きたタイミング・痛みの強さ・随伴症状を確認し、必要に応じて医師に相談してください。
Q2:ピルの頭痛はいつまで続きますか?
頭痛を含むマイナートラブルは多くの場合数か月以内に自然と落ち着き、6周期服用で12.7%、12周期目には8.7%に減少すると報告されています[2]。
数か月たっても頭痛が続く場合や程度が強くなっている場合は、マイナートラブル以外の原因がかかわっている可能性があるため、婦人科または脳神経外科への受診を検討してください。
Q3:ピル服用中に頭痛のお薬を飲んでもいいですか?
ピル服用中に市販の鎮痛薬を服用することは基本的に問題ありません。
ただし、アセトアミノフェンはピルとの相互作用により血中濃度が低下し効果が弱まる可能性があるため、ピル服用中の頭痛にはイブプロフェンやロキソプロフェンなどのNSAIDsが一般的に用いられます[2]。
選択に迷う場合は薬剤師に「低用量ピルを服用している」と伝えつつ、服用できるお薬を相談してみましょう。
Q4:休薬期間に頭痛が起きるのはなぜですか?
休薬期間中にエストロゲンが急激に低下することで、脳血管の収縮と拡張のバランスが崩れ片頭痛が誘発される可能性があります[1]。
この頭痛は「エストロゲン離脱片頭痛」と呼ばれ、生理前に頭痛が起きる仕組みと同じメカニズムで起こります。
毎回頭痛がひどくなる場合は、連続服用への切り替えやピルの種類変更によって改善できることがあるため、婦人科で相談してみてください[1]。
まとめ
ピルで頭痛が起きる主な原因は、飲み始めのマイナートラブル・休薬期間のエストロゲン低下・血栓症の3つであり、原因によって頭痛の出るタイミングや対処法が異なります。
飲み始めのマイナートラブルによる頭痛は多くの場合数か月以内に自然と落ち着きます。
一方、突然の激しい頭痛・視野の異常・手足のしびれ・言語障害などを伴う場合は血栓症の可能性があるため、速やかに医療機関を受診してください。
頭痛への対処法としては、NSAIDsの活用・水分補給や生活習慣の改善・ピルの種類変更や連続服用への切り替えという3つのアプローチがあります。
「頭痛がつらくてピルを続けるか迷っている」「休薬期間になると毎回頭痛が出る」という場合も、種類の変更や服用方法の工夫で改善できることがあります。一人で悩まずに、まずはクリニックフォアのオンライン診療で気軽にご相談ください。
