ピルの種類を整理する3つの分類軸
低用量ピルの種類を理解するうえで、最初に覚えておきたい分類軸が3つあります。
この3つの分類を知ることで、処方されたお薬がどのような特徴を持っているのかを把握しやすくなるでしょう。
医師に自分の希望を伝える際にも、分類の基本を理解しておくことが役立ちます。
ここでは、それぞれの分類軸について詳しく見ていきましょう。
分類①:OC(経口避妊薬)とLEP(治療薬)の違い
ピルを大きく分ける最も重要な分類が、「OC(Oral Contraceptive・経口避妊薬)」と「LEP(Low dose Estrogen Progestin・低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬)」の違いです[1]。
OCは避妊を主な目的として処方される自由診療(保険適用外)のピルで、トリキュラー・マーベロン・ファボワール・ラベルフィーユ・アンジュなどが代表的です[1]。
LEPは月経困難症や子宮内膜症の治療目的で処方される保険適用のピルで、ルナベル・フリウェル・ヤーズ・ドロエチ・ヤーズフレックス・ジェミーナなどが該当します[2][3]。
どちらもエストロゲンとプロゲスチンを配合したお薬で、成分構成は共通する一方、処方目的・保険適用・費用が異なります[1]。
「避妊目的ならOC・生理痛の治療ならLEP」という大枠を最初に理解しておくことが、ピルの種類を把握するうえで重要な基礎知識といえるでしょう。
分類②:低用量ピルと超低用量ピルの違い
ピルは、エストロゲン(卵胞ホルモン)の含有量によっても分類されます。
エストロゲン含有量が50μg未満のお薬が「低用量ピル」、20μg以下が「超低用量ピル」です[1]。
超低用量ピルはエストロゲン量がより少ないため、乳房の圧痛・吐き気・腹部膨満感などエストロゲンに関連した副作用が軽減される可能性がありますが、一方で不正出血が起きやすい場合もあるとされています。
日本では超低用量ピルは主に月経困難症・子宮内膜症の治療薬(LEP)として処方されており、避妊目的で服用することはできません[1]。
「副作用が心配」「エストロゲンの影響が気になる」という方は、医師に超低用量ピルについて相談してみることも選択肢のひとつとなるでしょう。
分類③:1相性と3相性の違い
低用量ピルは、シート内のホルモン配合量の変化によって「1相性」と「3相性」に分けられます。
1相性ピルは、1シート内の実薬(ホルモンが含まれる錠剤)がすべて同じホルモン量で配合されています。
順番を間違えても効果への影響が比較的少なく、生理日の移動もしやすいのが特徴です。
以前は3相性の方が不正出血が少ないと考えられていましたが、現在では両者に大きな差があるとは言えません[1]。
3相性ピルは、錠剤の色や数字の順番を守って服用する必要があるため、飲み間違いに注意が必要です。
なお、保険適用のLEPは現時点でいずれも1相性ピルであり、3相性ピルはOC(自由診療)の中に位置づけられます。
世代別の特徴と代表的なお薬の名前
低用量ピルは、含まれる黄体ホルモン(プロゲスチン)の種類によって第一世代〜第四世代に分類されます。
世代が新しくなるにつれて副作用の軽減や新たな効果が追加されるよう改良が重ねられてきましたが、「新しい世代が必ずしも優れている」というわけではなく、目的や体質に合った世代を選ぶことが大切です。
ここでは、各世代の黄体ホルモンの種類・主な特徴・代表的なお薬の名前を整理します。
第一世代(ノルエチステロン)の特徴
第一世代のピルは、黄体ホルモンに「ノルエチステロン(NET)」を含む最初期の低用量ピルです。
月経量の減少や月経痛の改善が期待でき、月経困難症や子宮内膜症に伴う疼痛の治療にも用いられています。
第一世代の成分を含むLEP(保険適用)として、以下のお薬が処方されています。
- ルナベルLD/ルナベルULD
- フリウェルLD/フリウェルULD(※ジェネリック医薬品)
LDはエストロゲン含有量35μgの低用量製剤、ULDは20μgの超低用量製剤で、症状や副作用の出方に応じて使い分けられます[2][3]。
第二世代(レボノルゲストレル)の特徴
第二世代のピルは、黄体ホルモンに「レボノルゲストレル(LNG)」を含むピルで、安定した処方実績を持つ世代です。
長年の使用実績があり、周期コントロールに優れているとされています。1相性と3相性の製剤があり、3相性ピルは自然なホルモン分泌の変化に近づけることを目的として設計されています。
代表的なOCは、以下の3つです。
- トリキュラー21・28
- アンジュ21・28
- ラベルフィーユ21・28(※ジェネリック医薬品)
治療目的のLEPとしては「ジェミーナ」があり、連続投与で月経回数を減らす効果が期待できます[4]。
「不正出血を起こしにくい安定した周期を作りたい」「処方実績の長いお薬を選びたい」という方に向いている世代といえるでしょう。
第三世代(デソゲストレル)の特徴
第三世代のピルは、黄体ホルモンとしてデソゲストレル(DSG)を含むピルです。デソゲストレルは男性ホルモン作用が比較的弱いため、第一世代・第二世代のピルと比べてニキビや脂性肌などの男性ホルモン関連の副作用が出にくいとされています。副次的にニキビや多毛の改善がみられることもありますが、日本ではこれらを治療目的とした効能効果は承認されていません。なお、日本で承認されている第三世代ピルは1相性製剤であり、ホルモン量が一定であるため服用管理や生理日の調整がしやすいとされています[5]。
以下の2つが、代表的なOCです[5][6]。
- マーベロン21・28
- ファボワール21・28(ジェネリック医薬品)
第三世代はLEP(保険適用)の対象となる種類がなく、現時点ではいずれも自由診療扱いです。
「ニキビが気になる」「男性ホルモンの影響を抑えたい」という方に選ばれることが多い世代ですが、気になる症状があれば医師と相談しましょう。
第四世代(ドロスピレノン)の特徴
第四世代のピルは、黄体ホルモンに「ドロスピレノン(DRSP)」を含む超低用量ピルです。
ドロスピレノンは男性ホルモン作用が少なく、さらに抗ミネラルコルチコイド作用を持つため、むくみやニキビの改善が期待されることがあります。日本で使用されているDRSP含有製剤はエストロゲン量が20μgの超低用量ピルであり、吐き気や乳房の張りなどの副作用が比較的少ない可能性があります[7][8]。
ドロスピレノンには抗アンドロゲン作用があり、さらに抗ミネラルコルチコイド作用(利尿作用)によってむくみが起きにくいという特徴があります[1]。
月経困難症・子宮内膜症の治療に用いられるLEP(保険適用)として処方されており、避妊目的では使用できません。代表的なLEPは以下のとおりです。
- ヤーズ
- ドロエチ(ヤーズのジェネリック)
- ヤーズフレックス(連続投与可能)
ヤーズフレックスは国内で初めて連続服用が可能となったLEP製剤で、定期的な休薬期間をなくすことで月経の回数を減らす効果が期待できます[8]。
なお、ドロスピレノン製剤は血栓症リスクに関する注意喚起がなされているため、処方前に血栓症リスクの評価を医師がおこないます[7][8]。
「むくみに悩んでいる」「副作用をできるだけ抑えたい」「月経困難症の治療で保険を適用したい」という方に選ばれることが多い世代といえるでしょう。
低用量ピル以外の種類
ピルには低用量ピル(OC・LEP)以外にも、中用量ピル・ミニピル・アフターピルといった種類があります。
それぞれ用途・ホルモン量・服用タイミングが異なり、低用量ピルとは使い方がまったく異なるため、混同しないよう正確に理解しておくことが大切です。
ここでは、低用量ピル以外の種類について整理しましょう。
中用量ピル(生理日移動・緊急避妊)
中用量ピルは、低用量ピルと比べてエストロゲンの含有量が多い(50μg程度)ピルです[1]。
日本では主に「生理日の移動(月経移動)」を目的として服用するケースが多く、試験・旅行・結婚式など重要な日程に生理が重ならないよう調整する際に処方されます。
以前は性行為後の緊急避妊として服用されることもありましたが、現在はレボノルゲストレルを含む専用のアフターピルが主流となっており、中用量ピルを緊急避妊として服用するケースは減っています。
中用量ピルは、低用量ピルより吐き気などの副作用が出やすい傾向があるため、継続的な服用を前提としたものではなく、あくまで短期間・限定的な目的でのお薬です。
服用を検討する場合は、医師に目的と日程を伝えたうえで処方を受けることが大切でしょう。
ミニピル(エストロゲンを含まない)
ミニピル(POP:Progestin-only Pill)は、エストロゲンを含まず黄体ホルモン(プロゲスチン)のみを配合したピルです。
低用量ピルのリスクのひとつである「血栓症」は、主にエストロゲンに関連して起こる副作用です[9]。
ミニピルは、エストロゲンを含まないことで血栓症のリスクが低いとされています。
血栓症リスクが高い方・エストロゲンによる副作用が強く出た方への選択肢として、海外では広く使用されています。
なお、日本では避妊目的で公的に承認されているPOP製剤は限定的であるため、処方の可否や条件は医療機関にご相談ください。
ミニピルは低用量ピルよりも不正出血が起きやすい傾向があるとされており、体質や目的に合わせて医師と相談のうえで選ぶことが大切です。
アフターピル(緊急避妊薬)
アフターピル(緊急避妊薬・ECP)は、避妊に失敗した場合や無防備な性行為の後に緊急的に服用する避妊薬で、低用量ピルとは異なる用途・用法のお薬です[10]。
性行為後72時間以内に服用することで妊娠を回避する効果が期待でき、服用が早ければ早いほど効果が高いとされています[10]。
日本で承認されているアフターピルはレボノルゲストレル製剤(性行為後72時間以内)です。海外では性行為後120時間以内に服用するウリプリスタール酢酸エステル製剤も使われていますが、日本では未承認です[10]。
アフターピルは、毎日の服用を前提とした低用量ピルとは根本的に用途が異なり、緊急避妊という限定された目的で服用するお薬である点を正確に理解しておくことが大切でしょう。
ピルの処方はオンライン診療でも受けられる
クリニックフォアでは、ピルのオンライン診療を提供しております。
オンライン診療の特徴は以下のとおりです。
- スマートフォンやパソコンで医師の診察を受けられる
- 低用量ピル(OC)の処方に対応している
- 現在の症状・服用目的・副作用の悩みなどをご相談いただけます
ただし、不正出血が続く場合や子宮内膜症の疑いがある場合など、対面での検査が必要なケースもあります。
「忙しくて通院の時間が取れない」「近くに婦人科がない」「対面での受診に抵抗がある」という方は、まずはオンライン診療をご活用ください。
※診察の結果、医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。
※触診・検査などが必要な場合は、対面での診療をお願いする可能性があります。
※効果・効能・副作用のあらわれ方は個人差がございます。
※医師の診察をうけ、診断された適切な治療方法をお守りください。
※診療費は診察内容によって異なります。保険診療の自己負担割合(原則3割)に応じた金額となります。
ピルの種類に関するよくある質問
Q1:ピルの世代の違いは何ですか?
ピルの世代は、含まれる黄体ホルモンの種類で分類され、以下の4つがあります。
- 第一世代(ノルエチステロン)
- 第二世代(レボノルゲストレル)
- 第三世代(デソゲストレル)
- 第四世代(ドロスピレノン)
世代ごとに期待できる効果や副作用に違いがあるため、目的や体質に合った世代を医師と相談して選びましょう。
Q2:OCとLEPの違いは何ですか?
OCは避妊目的の自由診療のピル、LEPは月経困難症・子宮内膜症の治療目的で処方される保険適用のピルです[1]。
服用の目的によって、どちらが適しているかが決まります。
Q3:1相性と3相性のピルはどう違いますか?
1相性はシート内の実薬のホルモン量が同一で管理しやすく、3相性は3種類のホルモン量で不正出血が起きにくい設計です[1]。
保険適用のLEPは現時点でいずれも1相性となっています。
Q4:自分に合うピルはどうやって選べばよいですか?
目的・体質・症状によって適した種類が異なるため、医師に現在の悩みと希望を具体的に伝えて相談することが基本です[1]。
副作用が続く場合は、躊躇なく種類変更を相談してみてください。
まとめ
ピルの種類はOC(自由診療・避妊目的)とLEP(保険適用・治療目的)の2種類に大別され、さらに黄体ホルモンの種類によって第一〜第四世代に分類されます[1]。
第一世代は月経困難症の治療に効果が期待でき、第二世代は不正出血が起きにくく安定した周期を作りやすいのが特徴です。
第三世代はニキビ改善効果が期待でき、第四世代は副作用が軽減されやすくむくみを起こしにくい特徴があります。
1相性ピルは飲む順番を問わず管理が簡単で、3相性ピルは自然なホルモンリズムに近く不正出血が起きにくいとされています[1]。
またピルには低用量ピル以外にも、中用量ピル・ミニピル・アフターピルがあり、それぞれ用途ごとに使い分けられると認識しておきましょう。
避妊目的には第二・第三世代のOCが、月経困難症の治療には第一・第四世代のLEPが選ばれることが多く、保険適用を希望する場合は婦人科での月経困難症の診断が前提となります。
ピルの種類は体質・目的・症状によって適したものが異なるため、自己判断で決めるのではなく医師に症状と希望を正直に伝えて一緒に選ぶことが大切です。
「種類が多くて迷う」という場合は、まず婦人科やオンライン診療で相談しましょう。
※効果・効能・副作用のあらわれ方は個人差がございます。
※医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。

