インフルエンザの初期症状セルフチェックリスト
インフルエンザの初期症状を、以下のチェックリストを使って確認しましょう。
<インフルエンザチェックリスト>[1][2]
| □ 急な38℃以上の高熱と悪寒がある □ 強い頭痛や関節痛・筋肉痛がある □ 全身の強い倦怠感がある □ のどの痛みがある □ 鼻汁の症状がある □ せきの症状がある |
インフルエンザは、発症が急激であることが、普通の風邪との大きな違いです。症状の部位も、風邪は鼻やのどなど局所的であるのに対し、インフルエンザは強い倦怠感など全身症状が特徴です[2]。特にインフルエンザと診断されている人と1週間以内に一緒にいたことがある場合、インフルエンザの可能性は高まります。
ただし、症状だけでインフルエンザにかかったかどうかを正確に見分けることはできません。確実な診断には医療機関での検査が必要です。
急な38℃以上の高熱と悪寒
インフルエンザの特徴的な初期症状のひとつは、急激にあらわれる高熱です[2]。
インフルエンザの発熱の特徴として挙げられるのは、以下の通りです。
- 38℃以上の高熱が急激にあらわれる
- 悪寒(寒気)を伴うことが多い
- 発症のタイミングが明確(「今朝から急に」など特定できる)
- 数時間のうちに体温が急上昇する
インフルエンザが流行している時期に突然の発熱があった場合は、インフルエンザに感染している可能性があります。
ただし、高齢者では高熱にならないこともあるため、注意が必要です。発熱というのはウイルスをやっつけるための防衛機能です。しかし加齢により免疫力や体力が低下してくると、体温を上げられなくなるケースもあります[3]。そのため、他の症状と合わせて総合的に判断することが重要です。
強い頭痛や関節痛・筋肉痛
インフルエンザでは、高熱とともに強い頭痛や関節痛、筋肉痛などの全身症状があらわれます。これらの痛みは普通の風邪より強く、日常生活に支障をきたすほどの強さが特徴です。
全身の痛みの特徴は以下の通りです。
- 頭痛が強く、頭全体が痛むことが多い
- 関節痛(特に手足の関節)が強い
- 筋肉痛で体を動かすのがつらい
- 痛みのために動けないほどになることもある
インフルエンザの症状は、のどの痛み、鼻汁、せきなどの局所的な症状だけでなく、頭痛、関節痛、筋肉痛など全身の症状が強いのが特徴です[2]。
流行時期に強い頭痛や関節痛、筋肉痛があった場合は、インフルエンザを疑ってみましょう。
全身の強い倦怠感(だるさ)
インフルエンザでは、強い倦怠感(だるさ)など全身症状があらわれます[2]。このときに起こる倦怠感は、普通の風邪と比べて強い傾向があり、起き上がることさえつらいと感じる方もいるほどです。
倦怠感の特徴は以下の通りです。
- 体全体がだるく、動くのがつらい
- 起き上がるのも困難なほどの強さ
- だるさの症状が急激にあらわれる
- 安静にしていても改善しにくい
倦怠感が強い場合は、無理をせず安静にして休養をとることが大切です。熱がなくても強い倦怠感がある場合はインフルエンザの可能性が高く、そのまま無理をして仕事や学校へ行くと、急速に感染を広めてしまうことになります。
遅れてあらわれる鼻水やせき
インフルエンザでは、のどの痛み、鼻汁、せきなどの呼吸器症状も見られます[2]。ただし、これらの症状は高熱や全身症状より遅れてあらわれることが多いのが特徴です[4]。
呼吸器症状の特徴は以下の通りです。
- のどの痛みがあらわれる
- 鼻水や鼻づまりが出る
- せきが出る
- 発熱や全身症状のあとにあらわれることが多い
普通の風邪では、のどの痛みや鼻水、鼻づまり、くしゃみ、せきなどの呼吸器症状が最初から主な症状としてあらわれますが[2]、インフルエンザでは全身症状が先行する傾向があります[4]。
インフルエンザと風邪や新型コロナの症状の違い
インフルエンザ、風邪、新型コロナウイルス感染症は、いずれも発熱やせきを起こす感染症で非常に似た症状を示します[5]。しかし、症状のあらわれ方や特徴には違いもみられます。
症状だけで正確に見分けることは困難ですが、以下の比較表を参考に、ご自身の症状を確認してください。
<インフルエンザ・風邪・新型コロナの症状比較>[5][6][7]
| 疾患 | おもな症状 | 発症の仕方 | 潜伏期間 |
| インフルエンザ | ・高熱(通常38℃以上) ・筋肉痛 ・関節痛 ・頭痛 ・全身のだるさ ・せき、鼻水 | 突然 | 1~3日間 |
| 新型コロナ | ・のどの痛み ・せき ・鼻水 ・発熱 ・頭痛 ・だるさ | 徐々に | 1~14日 |
| 風邪 | ・鼻汁 ・せき ・のどの痛み ・微熱 | 徐々に | 1~3日間 |
自己判断せず、発熱やせきなどの症状がある場合は、まず医療機関に相談しましょう。
熱がなくてもインフルエンザの可能性が考えられるケース
インフルエンザの典型的な症状は急激な高熱ですが、すべての感染者に必ずしも高熱の症状があらわれるわけではありません。
以下の条件下では、発熱が軽度である、またはほとんど見られないケースもあります[3]。
- ワクチン接種をしている方や免疫力が高い場合
- 高齢者の場合
- 体温を測る前から解熱剤を服用していた場合
熱がない、または微熱程度であっても、インフルエンザの可能性は否定できません。
熱が低くても、インフルエンザ流行期に強い全身症状がある方は、医療機関への相談を検討してください。
ワクチン接種者や免疫力が高い人の場合
インフルエンザワクチンを接種した場合、感染しても症状が軽症化する可能性があります。ワクチンには発症予防効果とともに重症化防止効果が期待できるため、日本感染症学会でもワクチン接種を推奨しています[8]。
ワクチン接種による症状の変化は、主に次の通りです。
- 高熱が出にくくなる可能性がある
- 全身症状が軽減される傾向がある
- 発症しても重症化しにくい
ただし、ワクチン接種により完全に感染を防げるわけではないことも理解しておく必要があります。
高齢者の場合
高齢者の方々は、インフルエンザを発症した際に典型的な高熱を示さないケースも見られます[9]。
加齢により免疫力や体力が衰えてくると、ウイルスをやっつけるための防御機能がうまく働かなくなり、体温を上げることができなくなることがあるためです。
しかし高熱が出ていなくても、インフルエンザ疑いの段階で早期の抗インフルエンザ薬を投与することもあります。高齢者の方で、熱が高くなくても全身倦怠感や呼吸器症状がある場合は、速やかに医療機関を受診することが重要です。
体温を測る前から解熱剤を服用していた場合
体温測定前に解熱剤を服用していた場合、お薬により発熱が抑えられ、インフルエンザの症状が正確に把握できない可能性があります。
解熱剤は体温を一時的に下げる効果があり、服用後は本来の発熱状況が隠れてしまうため、インフルエンザの診断や重症度を判断することが困難になるケースも少なくありません[3]。また迅速診断検査では、ウイルス量が十分でない場合に偽陰性となるリスクがあり、解熱剤により症状が軽減されると、重症度を見誤るリスクがさらに高まる可能性があります。
解熱剤を服用してから医療機関を受診する場合、以下の情報を必ず医師に伝えてください。
- 服用した解熱剤の名前や種類(アセトアミノフェン、イブプロフェンなど)
- 服用時刻と服用量
- 服用前の最高体温
- 解熱剤服用後の体温変化
- その他の症状(せき、のどの痛み、全身倦怠感など)
これらの情報により、医師は解熱剤の影響を考慮しながら、適切な診断と治療方針を判断できます。
ただし、インフルエンザが疑われる場合は、自己判断で解熱剤を服用する前に医療機関を受診するようにしましょう[3]。
インフルエンザの潜伏期間から発症後の一般的な経過
インフルエンザに感染してから症状があらわれるまでの潜伏期間、そして発症後の経過については以下の通りです。
<インフルエンザの経過>
| 潜伏期間 | 潜伏期間は1~4日といわれており、特に目立った症状はない |
| 初期症状 | 悪寒やだるさを感じはじめる |
| 発症 | 初期症状から発症までは短時間のケースが多く、急激な高熱、頭痛、関節痛、筋肉痛など全身症状が突然あらわれる |
| 回復期 | 全身症状は落ち着き、せきや鼻水などの呼吸器症状が続く |
日本では、例年12~3月がインフルエンザの流行シーズンです[2]。インフルエンザの感染力は強く、感染した人が無理をして仕事や学校等へ行くと、急速に感染を広めてしまうことになります。
発症後の発熱症状が落ち着く時期は抗インフルエンザ薬を服用しているかどうかによっても変わってきます。発熱が落ち着いても数日間は安静にして、できるだけ休養をとることが大切です。特に睡眠を十分にとることが重要です[1]。
インフルエンザの初期対応が重要な理由
インフルエンザの初期対応が大切である理由は以下の通りです。
- 抗ウイルス薬は発症後48時間以内の服用で効果を発揮するため
- 肺炎や脳症などの重篤な合併症を引き起こす可能性があるため
- 高齢者や乳幼児だけでなく基礎疾患のある方は重症化しやすいため
インフルエンザは発症後48時間以内の初期対応が予後を大きく左右する感染症です。「ただの風邪だろう」と自己判断して放置すると、肺炎やインフルエンザ脳症などの重篤な合併症を引き起こすリスクがあります。高齢者や基礎疾患のある方は重症化しやすく、肺炎などの二次感染による死亡例も報告されています。
このため、高熱や関節痛などのインフルエンザのような症状があらわれたら、「様子を見よう」とせず、できるだけ早く医療機関を受診することが重要です。
抗ウイルス薬は発症後48時間以内の服用で効果を発揮するため
抗インフルエンザ薬は、発症後48時間以内に服用すれば効果を得られます。
日本感染症学会の提言によれば、オセルタミビル(タミフル)、ザナミビル(リレンザ)、ラニナミビル(イナビル)などの抗インフルエンザ薬は、ウイルスの増殖を抑制するノイラミニダーゼ阻害薬であり、発症後48時間以内に投与することで有意に症状持続期間を短縮できます[11]。
オセルタミビルをインフルエンザ発症後48時間以内に服用した場合、症状持続期間が通常より約1日短縮され、合併症の発生率も有意に低下するといわれています[1]。一方、発症から48時間以上経過してから投与した場合、ウイルスの増殖ピークを過ぎているため、お薬の効果は著しく減弱します[2]。
高熱や全身倦怠感など、インフルエンザが疑われる症状が12時間続くようであれば「症状が落ち着いたら医療機関に行こう」ではなく、できるだけ早く受診することが重要です。
特に夜間や休日に発症した場合でも、夜間診療やオンライン診療を活用して早期に診断・治療を受けることで、重症化リスクを下げられます。
肺炎や脳症などの重篤な合併症を引き起こす可能性があるため
インフルエンザを放置すると、肺炎やインフルエンザ脳症などの生命にかかわる合併症を引き起こす可能性があります[1]。
日本小児科学会のインフルエンザ脳症ガイドラインによれば、インフルエンザ脳症の発症は1〜5歳の乳幼児であった報告が多く、発熱が急激で進行も早い重篤な合併症です[10]。死亡率は約30%と高く、救命できても約%に後遺症が出ると報告されています。
また、インフルエンザによる基礎疾患の悪化や細菌感染症の合併症なども報告されており、いずれも早期治療を逃すと重症化リスクが高まります[12]。
「熱が下がれば大丈夫」と自己判断せず、高熱が持続する場合や息苦しさ、意識がもうろうとするなどの危険なサインが見られた場合は、直ちに医療機関を受診してください[2]。
高齢者や乳幼児だけでなく基礎疾患のある方は重症化しやすいため
インフルエンザは高齢者や乳幼児だけでなく、基礎疾患を持つ方も重症化リスクが高い感染症です。
日本感染症学会では、以下に挙げられる方たちが健常者と比較して入院率や死亡率が高くなるとしています[9]。
- 65歳以上の高齢の方
- 2歳未満の子ども
- 妊婦(特に妊娠後期)
- 慢性呼吸器疾患(COPD、喘息など)
- 慢性心疾患
- 糖尿病などの代謝性疾患
- 腎機能障害
- 免疫抑制状態(ステロイド治療中、化学療法中など)
該当する方々は、インフルエンザのような症状があらわれたら「様子をみる」という選択肢は取らず、発症後12時間経ったら、すぐに医療機関を受診して抗インフルエンザ薬の投与を受けることが推奨されます。
医療機関を受診するタイミングの目安は「発症後48時間以内」
インフルエンザで医療機関を受診する最適なタイミングは、発症後48時間以内です。
日本感染症学会の提言によれば、抗インフルエンザ薬(オセルタミビル、ザナミビル、ラニナミビルなど)は発症後48時間以内に投与することで最大の効果を発揮し、症状持続期間の短縮や合併症リスクの低減が期待できます[11]。発症とは、発熱や全身倦怠感などインフルエンザ様症状があらわれた時点を指します。
以下のような症状が12時間以上続くようであれば「もう少し様子を見よう」と自己判断せず、できるだけ早く医療機関を受診してください[2]。
- 38℃以上の急な発熱
- 全身倦怠感、関節痛、筋肉痛
- 悪寒、頭痛
- せき、のどの痛み
夜間や休日に発症した場合も、夜間診療やオンライン診療を活用して48時間以内の診断・治療を受けることが重要です。
クリニックフォアでは、インフルエンザの症状について医師に相談することができます。平日7~24時まで対応しており、土日の診療も可能です。お薬は早ければ当日に発送され、最短翌日には到着するため安心です。
※診療時間は、土日祝日をはじめ日によって異なる場合がございます。
※触診・検査が必要な場合は、対面診療をご案内させていただく場合があります。
※診療、決済完了時間、お届け先エリアにより異なります。
インフルエンザの流行時期にできる予防策
インフルエンザの流行時期は例年12~4月で[2]、この期間に適切な予防策を講じることで感染リスクを大幅に低減できます。この流行パターンは毎年ほぼ同様であるため、12月中旬までに予防対策を完了しておくことが重要です。
厚生労働省および日本感染症学会が推奨する予防策は以下の通りです[1][2][9]。
- 流行前(12月中旬まで)のワクチン接種
- こまめな手洗いとアルコール消毒
- 流行期のマスク着用
- 適度な湿度の保持(50〜60%)
- 定期的な換気
- 十分な休養とバランスの取れた栄養摂取
これらの予防策を組み合わせることで、感染リスクを効果的に低減できます。特にワクチン接種は発症予防および重症化予防に最も有効な手段とされており、流行前の接種が強く推奨されています。
流行前のワクチン接種
インフルエンザワクチンは流行前の12月中旬までに接種することで、発症予防と重症化予防に最も高い効果を発揮します[2]。インフルエンザワクチンは接種後約2週間で抗体が上昇し、効果は約5か月間持続するといわれています[1]。
厚生労働省の報告では、ワクチン接種により65歳以上の高齢の方の発症を34〜55%減少させ、死亡を82%減少させる効果が確認されています[2]。また、乳幼児においても発症予防効果が20〜`程度認められており、重症化予防効果はさらに高いとされています。
ワクチンは感染を完全に防ぐものではありませんが、発症リスクを低減し、発症した場合でも重症化を防ぐ効果があるため、流行前の計画的な接種が重要です。
手洗いやアルコール消毒とマスクの着用
手洗い・アルコール消毒とマスク着用は、インフルエンザの主要な感染経路である飛沫感染と接触感染を効果的に遮断します。厚生労働省の指針によれば、インフルエンザウイルスは感染者のせきやくしゃみによる飛沫、およびウイルスが付着した手指や物品を介して伝播します[2]。石けんを用いた手洗いは、指の間、爪の間、手首まで丁寧に洗うことが重要とされています[13]。
以下のタイミングで手洗い・消毒をおこなうことで、感染リスクを大幅に低減できます。
- 帰宅時
- 食事の前後
- トイレのあと
- せきやくしゃみを手で覆った後
マスク着用は、感染者が周囲にウイルスを拡散することを防ぐ効果(感染源対策)と、未感染者がウイルスを吸い込むリスクを低減する効果(感受性者対策)の両方があります[1]。厚生労働省は、流行期には人混みへの外出を控え、やむを得ず外出する際には不織布マスクを正しく着用することを推奨しています[13]。マスクは鼻と口を完全に覆い、隙間ができないように装着することが重要です。
適度な湿度の保持と定期的な換気
室内の適度な湿度保持と定期的な換気は、インフルエンザウイルスの活性を抑制し、感染しにくい環境を作ります[13]。特に冬季の室内は暖房により湿度が低下しやすく、ウイルスが活動しやすい環境になります。
厚生労働省は、室内湿度を50〜60%に保つことを推奨しています[13]。加湿器を使用する場合は、適切な湿度を維持できるよう湿度計で確認しながら調整することが重要です。過度な加湿(70%以上)はカビやダニの繁殖を促すため、注意しましょう。
また、密閉された室内では空気中のウイルス濃度が高まるため、定期的に換気をおこなうことを推奨しています[13]。
インフルエンザの予防内服薬を処方してもらう
抗インフルエンザ薬を予防対策として服用することを検討しましょう。
- 受験や大事な会議が控えている
- ご自身やご家族のインフルエンザを予防したい
- どうしても休めない用事がある
- ご家族や会社の同僚など周囲の方がインフルエンザに感染された
上記のようなケースでは抗インフルエンザ薬を服用することで、インフルエンザの感染を予防することができます(自費での処方となります)。
クリニックフォアではインフルエンザの予防内服薬を処方してもらうことができるので、まずは気軽にご相談ください。
※医師の判断によりお薬が処方できない場合もございます
インフルエンザの初期症状に関するよくある質問
インフルエンザの初期症状について、患者のみなさんから寄せられることの多い疑問にお答えします。A型とB型の症状の違い、子どもに特有の注意すべきサイン、発熱がない場合の受診判断などを解説します。
インフルエンザA型とB型で初期症状に違いはありますか?
インフルエンザA型とB型の初期症状は、臨床的にほとんど区別できません。
厚生労働省によれば、インフルエンザは高熱、全身倦怠感、関節痛、筋肉痛、頭痛などの全身症状を主体としています。A型かB型かの確定診断には、迅速診断キットなどのウイルス検査が必要です。
A型もB型も、症状のあらわれ方は個人差が大きいため、症状の重さや種類だけで型を判断することはできません。また、A型・B型のいずれであっても、重症化リスクや治療方針に本質的な違いはなく、発症後48時間以内に抗インフルエンザ薬を服用することが推奨される点は共通しています。
このため、「症状が重いからA型」「軽症だからB型」といった自己判断は避け、型にかかわらず早期受診を心がけましょう。
子どもに特有の注意すべき初期症状はありますか?
子どもでは、インフルエンザ脳症の初期サインとなる意識障害や異常行動に特に注意が必要です。
日本小児科学会のインフルエンザ脳症ガイドラインによれば、インフルエンザ脳症は1〜5歳の子どもに発症することが多い重篤な合併症です[10]。死亡率は10〜30%と高く、救命できても約%に後遺症が出るため、早期発見が極めて重要です。
以下のような症状が見られた場合は、直ちに医療機関を受診してください。
- 呼びかけに応じない、反応が鈍い
- 意味不明な言動、会話が成立しない
- 視線が合わない、うつろな目つき
- 人や物を正しく認識できない
- 持続する嘔吐、けいれん
- 突然走り出す、徘徊する
- 激しく興奮する、暴れる
また厚生労働省は、抗インフルエンザ薬(特に異常行動が報告されているオセルタミビル)の服用の有無にかかわらず、発熱後少なくとも2日間は子どもを一人にせず、異常行動に対する見守りを徹底するよう注意喚起しています[1]。
以下のような症状も重症化のサインとなります[2][13]。
- 呼吸が速い、苦しそう
- 顔色が悪い、唇が紫色
- 水分が取れない、尿量が少ない
- ぐったりして元気がない
これらの症状が見られる場合も、速やかに医療機関を受診してください。
初期症状に熱がなくても受診した方がよいですか?
発熱がなくても、全身倦怠感や呼吸器症状があり、インフルエンザが疑われる場合は受診を検討してください[9]。特に高齢者や子どもは、典型的な高熱症状があらわれない場合があるため、注意が必要です。
また、インフルエンザ流行期に家族や職場でインフルエンザ患者が出ている場合は、発熱がなくても感染している可能性があるため、少しでも異変を感じたら医療機関への相談を検討してください。
まとめ
この記事では、インフルエンザが疑われる際に役立つ初期症状のセルフチェックリストや、風邪・新型コロナとの違いについて解説しました。
インフルエンザの典型的な初期症状は、38℃以上の急な発熱、強い全身倦怠感、関節痛、筋肉痛です。風邪と比較して全身症状が強く、新型コロナと比較すると発症が急激である点が特徴です。
ただしワクチン接種済みの方や高齢者では、典型的な高熱症状があらわれない場合もあるため、発熱の有無だけで判断することはできません。
重症化を防ぐ最も重要なポイントは「発症後48時間以内の初期対応」です。抗インフルエンザ薬は発症後48時間以内に投与することで症状持続期間を短縮し、合併症リスクを低減できます。インフルエンザが疑われる場合は、「もう少し様子を見よう」と自己判断せず、できるだけ早く医療機関を受診してください。インフルエンザが疑われる症状があらわれたら、早期受診を心がけましょう。
周囲にインフルエンザの方がいる際は、インフルエンザの予防内服薬も有効です。クリニックフォアではインフルエンザの予防内服薬の処方をおこなっています。どうしても感染を予防したい、休めない事情があるなどの場合は、お気軽にご相談ください。
※自費での処方となります
※医師の判断によりお薬が処方できない場合もございます
