インフルエンザ治療薬はどのように作用するのか
インフルエンザ治療薬は、ウイルスの増殖を抑える仕組みによって大きく2つのグループに分類されます。2025年時点で、日本で処方可能な主要な抗インフルエンザ薬は以下の5種類です[1]。
| 薬剤名 | 作用機序分類 | 投与経路 | 投与回数 |
| タミフル(オセルタミビル) | ノイラミニダーゼ阻害薬 | 経口 | 1日2回×5日間 |
| リレンザ(ザナミビル) | 吸入 | ||
| イナビル(ラニナミビル) | 1回のみ | ||
| ラピアクタ(ペラミビル) | 点滴静注 | ||
| ゾフルーザ(バロキサビル) | キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬 | 経口 |
第一のグループは「ノイラミニダーゼ阻害薬」で、タミフル、リレンザ、イナビル、ラピアクタが該当します。これらは感染細胞から新たなウイルス粒子が放出される段階をブロックすることで、ウイルスの拡散を防ぎます。
第二のグループは「キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬」で、ゾフルーザが該当します。こちらはウイルスRNA合成の開始段階を阻害し、ウイルスの増殖そのものを初期段階で抑制する新しい作用機序を持ちます。
作用する段階が異なるため、お薬の選択の際には患者の年齢、基礎疾患、症状の重症度などを考慮する必要があります。その際は、医師が判断してお薬の処方の有無や処方薬を判断することが基本です。
ウイルスの放出を防ぐ「ノイラミニダーゼ阻害薬」
ノイラミニダーゼ阻害薬は、インフルエンザウイルスの表面にある「ノイラミニダーゼ」という酵素の働きを阻害することで効果を発揮します[1]。
<2025年時点で処方されているノイラミニダーゼ阻害薬>
- タミフル(オセルタミビルリン酸塩)
- リレンザ(ザナミビル水和物)
- イナビル(ラニナミビルオクタン酸エステル水和物)
- ラピアクタ(ペラミビル水和物)
インフルエンザウイルスは、人の細胞内で増殖した後、細胞表面から新しいウイルス粒子として放出されますが、このウイルスを放出する過程において、ノイラミニダーゼは細胞とウイルスをつなぐ物質を切断する役割を担います。
ノイラミニダーゼ阻害薬はこの切断を妨げることで、新たなウイルス粒子が感染細胞から放出されることを防ぎ、結果としてウイルスの拡散を抑制します。
インフルエンザA型・B型の両方に対して有効です[1]。ただし、吸入薬や内服薬、点滴などお薬のタイプも投与する回数も異なるため、患者の年齢や服薬能力、重症度に応じて使い分けられます。
ウイルスの増殖そのものを防ぐ「キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬」
ゾフルーザ(バロキサビル マルボキシル)は、2018年に承認された新しい作用機序を持つ抗インフルエンザ薬です。
従来のノイラミニダーゼ阻害薬がウイルスの「放出」段階を阻害するのに対し、ゾフルーザはウイルスの「増殖」そのものを初期段階で抑制します[2]。具体的には、インフルエンザウイルスが人細胞内でRNAを合成する際に必要な「キャップ依存性エンドヌクレアーゼ」という酵素を阻害します。
インフルエンザウイルスは、自身のmRNA合成を開始するために宿主細胞のmRNAから「キャップ構造」を奪い取ります。キャップ依存性エンドヌクレアーゼはこのキャップ構造の切り出しを担う酵素であり、ゾフルーザはこの酵素を阻害することでウイルスmRNA合成を開始段階でブロックする薬です。
そのため、ゾフルーザには以下の特徴があります。
- 1回の服用で治療が完了する
- ウイルスの増殖を早期に抑制させる
- A型・B型インフルエンザに有効
ゾフルーザに対しては、耐性ウイルスの出現が報告されているため、服用に際しては最新のガイドラインを参照する必要があります[2]。
インフルエンザ治療薬のそれぞれの効果と副作用
インフルエンザ治療薬は、剤形、服用回数、対象年齢、副作用、薬剤耐性の面でそれぞれ異なる特徴を持ちます。処方が可能な5つの主要なお薬の基本情報を以下にまとめます。
| 薬剤名 | 剤形 | 服用回数 | 対象年齢 |
| タミフル(オセルタミビルリン酸塩) | 経口カプセル経口ドライシロップ | 1日2回×5日間 | 全年齢 |
| リレンザ(ザナミビル水和物) | 吸入薬 | 1日2回×5日間 | 5歳以上 |
| イナビル(ラニナミビルオクタン酸エステル水和物) | 吸入薬 | 1回のみ | 全年齢(吸入ができれば可) |
| ラピアクタ(ペラミビル水和物) | 点滴静注 | 1回のみ | 全年齢 |
| ゾフルーザ(バロキサビルマルボキシル) | 経口錠 | 1回のみ | 12歳以上 |
各お薬の選択では、患者の年齢や基礎疾患、重症度、服薬能力を考慮する必要があります。たとえば、子どもや高齢者で内服することが困難な場合は、吸入薬や点滴薬を選択しますが、飲み忘れなどの服薬コンプライアンスを重視する場合は単回投与のお薬が適しています。
副作用については、タミフルで報告された異常行動のリスク、吸入薬における気管支攣縮の可能性、ゾフルーザの耐性株出現など、お薬ごとに注意すべき点が異なります[2][3]。
タミフル(オセルタミビルリン酸塩)|小児から高齢者まで広く使われる内服薬
タミフル(オセルタミビルリン酸塩)は、世界保健機関(WHO)のガイドラインで推奨されている抗インフルエンザ薬であり、小児から高齢者まで幅広い年齢層に服用されています[4]。
カプセル剤とドライシロップの2つの剤形があり、1日2回、5日間の服用が必要です[1]。カプセルが飲めない小児や高齢者にはドライシロップを服用することで、全年齢に対応可能です。
タミフルの一般的な副作用として、悪心、嘔吐、下痢などの消化器症状が挙げられます[5]。これらは通常軽度で、服用継続が可能な場合が多いです。
特に注意が必要なのは、10代での服用における異常行動のリスクです。厚生労働省の資料では、タミフル服用後の異常行動(突然走り出す、飛び降りようとするなど)が報告されており、10代への投与時には特に慎重な観察が求められます[6][7]。ただし、異常行動はインフルエンザ自体によっても起こることが知られており、お薬との因果関係は完全には明らかになっていません。
リレンザ(ザナミビル水和物)|耐性ウイルスが少ないとされる吸入薬
リレンザ(ザナミビル水和物)は、ノイラミニダーゼ阻害薬の一つであり、吸入投与により気道に直接作用するお薬です。最大の特徴は、お薬の耐性株の出現が比較的少ないとされる点です[7]。1日2回、5日間の吸入が必要で、専用の吸入器(ディスクヘラー)を使用します。
ただし、リレンザは吸入薬であるため、正しい吸入方法を理解しておく必要があります。呼吸器疾患(喘息、慢性閉塞性肺疾患など)を持つ患者では、吸入により気管支攣縮を起こす可能性があるため注意が必要です[2]。
また、吸入することが困難な高齢者や、意識レベルが低下した重症患者には使用が難しい場合があります。こうした場合には、内服薬や点滴薬への変更を検討します。
イナビル(ラニナミビルオクタン酸エステル水和物)|1回の投与で治療が完了する吸入薬
イナビル(ラニナミビルオクタン酸エステル水和物)は、単回吸入投与で治療が完了するノイラミニダーゼ阻害薬です[9]。1回の吸入で5日間効果が持続するため、毎日の服薬管理が不要です。これにより、飲み忘れや吸入忘れによる治療中断のリスクがなくなります。特に、吸入はできるが自己管理が難しい子どもや高齢者に適しています。
吸入の際は、成人は2容器(40mg)、10歳未満の子どもは1容器(20mg)を単回吸入します[9]。専用の吸入器を用いて吸入しますが、リレンザと同様に正しい吸入方法の理解が必要です。吸入が不十分だと十分な効果が得られない可能性があるため、医療機関での吸入指導を受けましょう。
リレンザと同様に、呼吸器疾患(喘息、慢性閉塞性肺疾患など)を持つ患者では気管支攣縮のリスクがあります[2]。単回投与で完了するため、投与後に副作用があらわれても中止による調整ができない点も理解しておきましょう。
ラピアクタ(ペラミビル水和物)|内服や吸入が困難な場合の点滴薬
ラピアクタ(ペラミビル水和物)は、点滴静注で投与するノイラミニダーゼ阻害薬です[10]。経口摂取や吸入が困難な患者、重症例において重要な選択肢となります。点滴投与によりお薬を体内に届けることができるため、経口薬や吸入薬が使用できない状況でも治療が可能です。
点滴する際は、通常1日1回10mg/kgを15分以上かけて点滴をおこないますが[2]、症状に応じて連日投与することもあります。点滴投与であるため医療機関での投与が必要であり、外来または入院での治療となります。よくあらわれる副作用は下痢が報告されています[10]。
ラピアクタは、経口薬や吸入薬が第一選択となる軽症例では通常使用されません。内服・吸入が困難な場合や重症例に限定して使用されるのが一般的です。
ゾフルーザ(バロキサビル マルボキシル)|1回の服用で済む内服薬
ゾフルーザ(バロキサビル マルボキシル)は、2018年に承認された新規作用機序を持つ抗インフルエンザ薬で、1回の経口投与で治療が完了します[11]。年齢と体重に応じた用量を1回服用するだけで治療が完了します。
| 12歳未満の子ども | 20kg以上40kg未満 | 20mg |
| 40kg以上 | 40mg | |
| 成人および12歳以上の子ども | 40kg以上 | 40mg |
| 80kg以上 | 80mg |
複数日にわたる服用管理が不要であることがメリットです。タミフルのように、5日間毎日2回の服用が必要なお薬と比較して、飲み忘れのリスクを大幅に低減します。
ゾフルーザの服用で注意すべき点は、お薬の感受性が低下した耐性株の出現です。臨床試験において、ゾフルーザ投与後にキャップ依存性エンドヌクレアーゼ遺伝子の変異を持つウイルスが検出されたことが報告されています[2]。
特に12歳未満の子どもでは耐性株の出現頻度が高いことが示されており、2025年時点では12歳以上への処方を推奨しています。耐性株が出現した場合、ウイルス排出期間が延長する可能性があるため、投与後の経過観察が重要です。
ガイドラインや提言に基づくインフルエンザ薬の使い分け
インフルエンザ治療薬の選択は、患者の年齢、基礎疾患、重症度、服薬能力などを総合的に考慮して行われます。日本感染症学会からの抗インフルエンザ薬についての提言では、重症化リスクの高い患者群への早期抗ウイルス薬投与が推奨されており[13]、国内でも安心できる使い分けが求められています。
以下は、ワクチンの接種にかかわらず抗ウイルス薬の治療を開始することが推奨されている対象です[13]。
- 入院までの期間にかかわらず、インフルエンザで入院したすべての方
- 罹病期間にかかわらず、重症あるいは症状の進行する外来患者
- 慢性疾患および免疫抑制患者を含む、インフルエンザの合併症のリスクが高い外来患者
- 2歳未満の子どもおよび65歳以上の高齢の方
- 妊婦および産後2週以内の方
では、それぞれについて解説します。
子ども・未成年者の場合の選び方
子ども・未成年者では、年齢による生理学的特性と安全性を考慮したお薬の選択が必要です。
子どもにおいては、ノイラミニダーゼ阻害薬の有効性が確認されており、タミフルの投与は罹病期間を短縮させ、中耳炎発症リスクを低下させることが報告されています[13]。
ただし、低年齢小児のB型インフルエンザではオセルタミビルの効果が減少することが指摘されています。
ゾフルーザについては、12歳未満の小児で投与後に低感受性株の出現頻度が23.4%と高く[13]、インフルエンザにかかっている期間の延長やウイルス排出期間が長くなることが認められました。そのため、ゾフルーザは慎重投与が推奨されています。
10代の患者に対しては、タミフルを服用する際は注意が必要です。厚生労働省に異常行動(突然走り出す、飛び降りようとするなど)が報告されたことによるものです[7]。
ただし、インフルエンザ自体によっても異常行動が起こることが知られており、お薬との直接的な因果関係は完全には証明されていません。それでも安全性を最優先する観点から、10代へのタミフル投与は慎重に判断されます[6]。
成人の場合の選び方
健康な成人では、インフルエンザにかかっても1週間で自然治癒することが多いですが、基本的にインフルエンザを発症後48時間以内は抗インフルエンザ薬(内服薬、吸入薬を含む)を投与することが推奨されています。
ノイラミニダーゼ阻害薬による有症状期間の短縮効果が確認されているためです[13]。ただし、リスクを持たない人でも重症化することがあり、初期の段階での判断は困難です。
そのため、発症早期に重症化するかどうかの予測が難しい点を考慮し、医師の判断により抗ウイルス薬を投与しない場合でも、症状が悪化したときにはすぐに受診するよう指導することが重要だと考えられています。
成人のお薬の選択は、患者の生活パターンや服薬管理能力が判断材料となります。
1回の服用や吸入で完了するお薬は、イナビル、ゾフルーザです。多忙で服薬管理が難しい場合に選択されます。毎日の服薬管理が可能で、複数日の投与が必要なお薬はタミフルやリレンザです。
高齢者や基礎疾患がある場合の選び方
高齢者はインフルエンザ重症化の高リスク群として位置づけられており、続発性の細菌性肺炎による超過死亡が特に問題となっています。65歳以上の高齢者は、インフルエンザが確定または疑われた場合、ワクチン接種の有無にかかわらず、可及的早期に抗ウイルス治療を開始することが重要です。
ノイラミニダーゼ阻害薬の早期投与により、致死率の低下、入院期間の短縮、下気道感染症合併の防止効果が報告されています。
高齢者を含むハイリスク患者では、発症後48時間を超えても有効性が認められることが示されています。バロキサビルの低感受性株出現に関する資料では、65歳以上では出現率が0%と報告されていますが、免疫機能を考慮すると服用する際は慎重にならなければなりません。
高齢者に対しては原則として早期診断、早期治療が推奨されています。吸入薬は気管支攣縮のリスクがあるため、タミフルが優先されることが多い傾向にあります。
インフルエンザ治療薬の異常行動について
インフルエンザ治療薬の内服薬や吸入薬の使用時には、異常行動という副作用に注意が必要です[6]。重要な点は、異常行動はお薬の服用の有無にかかわらず、インフルエンザの発症そのものに伴って発生する可能性があることです[14]。
タミフルをはじめとする抗インフルエンザウイルス薬を服用していない患者においても異常行動が報告されており、インフルエンザ自体に伴って異常行動があらわれることも分かっています。
<報告されている異常行動>
- 突然走り出す
- 飛び降りようとする
- 意味不明な言動
- 幻覚
インフルエンザにかかっているときの異常行動による事故を防ぐため、厚生労働省は以下の注意喚起をおこなっています。
- 抗インフルエンザウイルス薬の処方の有無にかかわらず、インフルエンザと診断され治療が開始された後、少なくとも2日間は子ども・未成年者を一人にしないよう配慮すること
- 玄関や全ての窓の施錠を確実におこなうこと
- ベランダに面していない部屋で療養させること
- 窓に格子のある部屋で療養させること
お薬を服用していない場合でも異常行動が起こりうることを理解しておきましょう。
クリニックフォアではインフルエンザの予防内服薬の処方が可能
クリニックフォアでは、インフルエンザ予防内服薬のオンライン診療を提供しています。予防内服とは、実際の治療に使われる抗インフルエンザ薬を予防目的で服用することです。
- 受験や大事な会議など、どうしても休めない用事があるとき
- 家族や会社の同僚など周囲の方がインフルエンザに感染したとき
抗インフルエンザ薬を服用・吸入することでインフルエンザの感染を予防することが期待できます。
クリニックフォアでは、3種類の予防内服薬を取り扱っています。
| 薬剤名 | 値段 | |
| オセルタミビル(タミフル後発品) | 10日分:8,250円 | |
| イナビル(先発品・2容器) | 2容器で1回分:10,450円 | |
| ゾフルーザ(先発品) | 2錠で1回分 | 80kg未満の方:11,550円 |
| 4錠で1回分 | 80kg以上の方:19,250円 | |
※お薬代とは別途、診察料1,650円 (税込) と配送料550円(税込)がかかります。
もちろん、インフルエンザ予防として重要なのはワクチン接種です。ほかにも、マスク着用や外出後の手洗い・うがい、適度な湿度維持、人混みや繁華街への外出を控えることも重要な予防策です。予防内服薬は、これらの基本的な予防対策に加えて検討する追加的な手段として位置づけられます。
オンライン診療では、カレンダーから診療日時を予約し、スマートフォンやパソコンで医師の診察を受け、最短翌日に自宅のポストへお薬が届きます。
※自由診療となります。
※お薬は処方できない場合もございます。
※診察時間や配送先により届く時期が異なる場合があります。
インフルエンザの予防内服薬をご希望の方はこちらをご覧ください。
【インフルエンザ予防内服】のオンライン診療 | クリニックフォア
インフルエンザのお薬に関するよくある質問
インフルエンザの治療薬について、よく寄せられる疑問にお答えします。お薬を使わない場合の経過や、服用後の症状改善の目安について解説します。
抗インフルエンザ薬を飲まないとどうなりますか?
インフルエンザ薬を服用しなくても、多くの場合は自然に治癒します。健康な成人であれば、発症から1週間以内に自然回復するとされています[15]。ただし、抗インフルエンザ薬を服用しない場合、以下のリスクが高まる可能性があります。
- 症状の回復が遅れるリスク
- 高齢の方や乳幼児、妊婦、基礎疾患のある方は重症化するリスク
- 二次感染が起こるリスク
抗インフルエンザ薬を服用しなかった場合、発熱期間が1〜2日程度長引く可能性があります[6]。また、全身倦怠感やせきなどの症状が長期化するケースも少なくありません[15]。高齢の方のようなハイリスク群に対しては、抗インフルエンザ薬の早期投与を推奨しています。
さらに早期に治療をおこなわないことで、周囲への感染リスクが高まる可能性もあります。
健康な成人では必ずしもお薬が必要とは限りませんが、医師の判断のもと抗インフルエンザ薬の服用を検討してください。
A型インフルエンザにタミフルを飲んだら何日で熱が下がりますか?
タミフル(オセルタミビルリン酸塩)を服用した場合、A型インフルエンザにかかっている期間は約3日(70.0時間)で改善します[5]。当然ですが、解熱のタイミングには個人差があります。
臨床試験では、タミフル75mgを5日間投与した患者122例のインフルエンザ発症期間の平均は70時間でした。一方、プラセボ(偽薬)を投与した130例では、93.3時間と、タミフルを投与した群より約1日長い結果となっています。
タミフル服用後は、おおむね2〜3日程度で症状が改善する傾向にありますが、早い方では2日程度、遅い方では3〜4日かかる場合もあります。
症状が改善しない場合や悪化する場合は、医療機関を受診してください。
治ったあともせきだけ残るのはなぜですか?
インフルエンザが治癒したあともせきだけが残る現象は、珍しいことではありません[15]。通常、インフルエンザウイルスは、発症後5〜7日間は体内から排出されます[7]。しかし、ウイルスが消失した後も、気道の粘膜に炎症が残っている場合があります。
せきの症状が3週間以上続く場合や、呼吸が苦しい場合は、細菌性の二次感染や他の呼吸器疾患の可能性もあるため、医療機関を受診しましょう。
まとめ
この記事では、インフルエンザ治療薬について、5種類のお薬の作用機序や特徴、年齢別の選び方、副作用について解説しました。
インフルエンザ治療の基本は、発症後48時間以内に医師の診断のもとで、ご自身の状態に合った抗インフルエンザ薬の服用を開始することです。
<ノイラミニダーゼ阻害薬>
- タミフル(オセルタミビルリン酸塩)
- リレンザ(ザナミビル水和物)
- イナビル(ラニナミビルオクタン酸エステル水和物)
- ラピアクタ(ペラミビル水和物)
<キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬>
- ゾフルーザ(バロキサビル マルボキシル)
上記に挙げたお薬は、それぞれ投与経路や投与回数、適応年齢が異なります。医師はこれらの特性と患者の年齢、基礎疾患、重症度を総合的に判断して最適なお薬を選択します。
「インフルエンザかもしれない」と感じたら、この記事で得た知識を参考に、自己判断で市販薬に頼ったり様子を見たりせず、速やかに医療機関を受診しましょう。また、インフルエンザにまだ感染していない方は、インフルエンザの予防内服薬を処方してもらうことを検討しましょう。
