インフルエンザとは?主な症状と風邪との違い
インフルエンザは毎年冬に流行する感染症ですが、風邪と症状が似ているため区別がつきにくいことがあります。ここでは、インフルエンザの基本的な症状と、風邪との違いについて解説します。
インフルエンザの主な症状
インフルエンザは、インフルエンザウイルスに感染することで発症する急性の呼吸器感染症です。感染すると1〜3日程度の潜伏期間を経て、38℃以上の高熱が突然現れるのが特徴です[1][3]。
発熱に加えて、頭痛や関節痛、筋肉痛、全身倦怠感といった全身症状が比較的急速に現れます。これらの全身症状と併せて、のどの痛みや鼻水、せきといった呼吸器症状も見られます。多くの場合、症状は1週間程度で回復に向かいますが、高齢者や基礎疾患のある方では肺炎などの合併症を起こして重症化する可能性があり、子どもでは急性脳症を発症するリスクもあります(まれではありますが注意が必要です)[1][3]。
感染しても症状がほとんど現れない「不顕性感染」の場合もあり、本人が気づかないうちに周囲にウイルスをうつしてしまう可能性もあるため、流行期には感染対策を徹底することが大切です。
風邪とインフルエンザの違い
風邪とインフルエンザはどちらも呼吸器感染症ですが、原因となるウイルスや症状の特徴が異なります[1]。一般的な風邪は様々なウイルスによって引き起こされ、症状は比較的緩やかに進行します。のどの痛みや鼻水、くしゃみといった局所的な症状が中心で、発熱があっても37℃台の微熱にとどまることが多く、重症化することはあまりありません。
一方、インフルエンザは症状が急激に現れるのが特徴です。38℃以上の高熱とともに、関節痛や筋肉痛、強い倦怠感といった全身症状が現れ、風邪と比較して症状が重くなる傾向があります。また、感染力が非常に強く、一度流行が始まると短期間で多くの方に感染が広がります。
インフルエンザと風邪の症状比較
| 項目 | インフルエンザ | 風邪 |
| 発症 | 急激 | 緩やか |
| 発熱 | 38℃以上の高熱 | 微熱〜37℃台 |
| 全身症状 | 強い(関節痛、筋肉痛、倦怠感) | 軽い |
| 主な症状 | 高熱、頭痛、全身倦怠感 | 鼻水、くしゃみ、のどの痛み |
| 重症化リスク | 高い(肺炎、脳症など) | 低い |
| 感染力 | 非常に強い | 比較的弱い |
今シーズンの流行と年末年始に注意が必要な理由
今シーズンのインフルエンザは例年より早く流行が始まっており、年末年始にかけてさらなる感染拡大が予測されています。ここでは、流行状況の特徴と、この時期に特に注意が必要な理由について解説します。
例年より早い流行開始
今シーズン(2025-2026年)のインフルエンザは、例年と比較して流行の開始が早いことが特徴です。通常、流行は11月下旬から12月にかけて始まりますが、今シーズンは9月の時点で一部の地域で流行期に入り、10月には東京都をはじめとする複数の都道府県で警報レベルに達しました[2]。
流行が早まった背景には、新型コロナウイルス感染症の流行以降、感染対策への意識が緩和されてきたこと、海外との往来が活発になりウイルスが持ち込まれる機会が増えたこと、コロナ禍でインフルエンザの流行が抑えられていた期間が続き、多くの方が免疫を持っていない状態になっていることなどが考えられています。
流行しているウイルスの型
現在、国内で流行しているインフルエンザウイルスは、A(H1N1)亜型、A(H3N2)亜型、B型(ビクトリア系統)の3種類です[1][4]。厚生労働省は「今年も幅広い年齢の方がインフルエンザに注意する必要がある」と呼びかけています[4]。今シーズンはA型が中心となって流行していますが、シーズン後半にはB型が増加する可能性もあるため、シーズンを通じて注意が必要です。
年末年始に感染が拡大しやすい理由
昨シーズン(2024-2025年)のインフルエンザは年末年始に流行のピークを迎えており、今シーズンも同様の傾向が予測されています。年末年始に感染が拡大しやすい理由として、以下の点が挙げられます。
- 帰省や旅行で長距離移動する方が増え、密閉された空間で過ごす時間が長くなる
- 忘年会・新年会・親戚の集まりなど、多くの人が集まる機会が増える
- 多くの医療機関が休診となり、受診が遅れる可能性がある
- 調剤薬局も休業している場合があり、お薬の入手が遅れることがある
特に、抗インフルエンザウイルスのお薬は発症から48時間以内に服用を開始することで、より高い効果が期待できるため[1][5]、受診やお薬の入手が遅れると治療効果にも影響を及ぼす可能性があります。また、受験シーズンと重なることや、高齢のご家族と会う機会が増えることも、この時期の感染対策を重要にしています。
年末年始に備えるインフルエンザ予防対策
インフルエンザの感染を防ぐためには、日常的な予防策の徹底が基本です。ここでは、基本的な感染予防策に加え、ワクチン接種や抗インフルエンザのお薬の予防内服薬について紹介します。
基本的な感染予防策
インフルエンザを予防するためには、日常的な感染対策を徹底することが基本となります[1][4]。
インフルエンザウイルスは、飛沫だけでなくウイルスが付着した物に触れることでも感染が広がります。流水と石鹸による手洗いは、手についたウイルスを物理的に除去するために有効です。アルコール製剤による手指消毒も効果があるとされています[1]。
インフルエンザの主な感染経路は飛沫感染です。せきやくしゃみの症状がある場合は不織布製マスクを着用し、マスクがない場合はティッシュや腕の内側で口と鼻を覆いましょう[1]。高齢者など重症化リスクの高い方への感染を防ぐため、医療機関や高齢者施設を訪問するときにもマスクの着用が推奨されています[4]。
空気が乾燥すると気道粘膜の防御機能が低下し、インフルエンザにかかりやすくなるため、加湿器などを活用して室内の湿度を50〜60%程度に保ち、こまめな換気を行いましょう。対角線上にある窓やドアを2か所開放すると効果的に換気ができます[1]。
体の抵抗力を高めるために、日頃から十分な睡眠をとり、栄養バランスの良い食事を心がけましょう[1]。流行期には人混みや繁華街への不要な外出を控えることも大切です。
ワクチン接種
インフルエンザワクチンには、感染後に発症する可能性を低減させる効果と、発症した場合の重症化を予防する効果があります[1][4]。国内の研究では、65歳以上の高齢者について、34〜55%の発病を阻止し、82%の死亡を阻止する効果があったと報告されています[1]。
ワクチンの効果が現れるまでには接種後2週間程度かかります。今シーズンは例年より流行の開始が早いため、まだ接種を受けていない方は早めの接種をおすすめします。65歳以上の方や、60〜64歳で特定の基礎疾患のある方は、接種費用の公費負担を受けられる場合があります[1][4]。
抗インフルエンザのお薬の予防内服薬
ワクチン接種に加えて、より確実にインフルエンザを予防したい方には、抗インフルエンザのお薬の予防内服薬という選択肢があります。予防内服薬とは、治療に用いる抗インフルエンザのお薬を感染予防の目的で服用することです[5][6]。
予防内服薬が特におすすめな方
- 受験や大事な会議など、どうしても休めない予定がある方とそのご家族
- ご家族や同僚がインフルエンザに感染した方
- 高齢者や基礎疾患のある方と同居している方
- 年末年始の帰省で高齢のご家族と会う予定がある方
予防内服薬は、インフルエンザ患者との接触後48時間以内に開始することが推奨されています。また、予防目的での服用は保険適用外となり、全額自己負担の自由診療となります。予防内服薬を検討される方は、事前に医師に相談しましょう。
インフルエンザにかかったときの対処法
万が一インフルエンザに感染してしまった場合、適切な対応をとることで回復を早め、周囲への感染拡大を防ぐことができます。ここでは、自宅療養のポイントや外出自粛の目安、お子さんの異常行動への注意点について解説します。
自宅療養のポイント
インフルエンザと診断された場合は、安静にして十分な睡眠をとることが最も大切です[1]。高熱が続くと体から水分が失われやすくなるため、お茶やスープ、スポーツドリンクなどでこまめに水分を補給しましょう。
発熱がつらい場合は解熱剤を服用することも可能ですが、インフルエンザの際に服用できる解熱剤には注意が必要です。一般的にはアセトアミノフェン(カロナールなど)が推奨されています。なお、子どもや未成年者では、ジクロフェナクナトリウム(ボルタレンなど)やメフェナム酸(ポンタールなど)は服用を避けるべきとされています。
周囲への感染を防ぐために、療養中はせきエチケットを徹底しましょう。同居のご家族がいる場合は、できるだけ別の部屋で療養し、接触を最小限にすることで家庭内感染のリスクを減らすことができます。
出席停止・外出自粛の目安
インフルエンザは発症前日から発症後3〜7日間、鼻やのどからウイルスを排出するとされています[1]。学校保健安全法では、出席停止期間について「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児は3日)を経過するまで」と定められています[1]。
日数を数える際は、発症した日(発熱が始まった日)は含まず、翌日を1日目として数えます。排出されるウイルス量は解熱とともに減少しますが、解熱後もウイルスを排出する場合があるため[1]、せきやくしゃみが続く場合はマスクを着用するなどの配慮を続けましょう。
異常行動への注意
インフルエンザに感染した子どもや未成年者では、急に走り出す、部屋から飛び出そうとするなどの異常行動が起こることがあります[1][6]。異常行動は抗インフルエンザのお薬の服用の有無や種類に関係なく起こることが報告されており、少なくとも発熱から2日間は保護者の方がお子さんから目を離さないようにすることが大切です。
転落等の事故を予防するために、玄関や窓の施錠を確実に行い、できるだけ1階で寝かせるなどの対策を講じましょう[1]。
年末年始の受診方法とクリニックフォアの対応
年末年始は多くの医療機関が休診となるため、発熱時の受診先に困ることがあります。ここでは、年末年始に受診できる医療機関の探し方と、クリニックフォアのオンライン診療について紹介します。
年末年始に発熱した場合、まずはかかりつけの医療機関の診療スケジュールを確認しましょう。多くの医療機関は12月29日頃から1月3日頃まで休診となりますが、一部では年末年始も診療を行っている場合があります。かかりつけの医療機関が休診の場合は、お住まいの地域の休日夜間急患センターや当番医を受診することになります。各自治体のホームページや厚生労働省の医療情報ネットなどで、年末年始に診療している医療機関を調べることが可能です。
クリニックフォアのオンライン診療は、一部の診療科を除き、年末年始も休まず診療を行っています。スマートフォンやパソコンを使って自宅にいながら医師の診察を受けることができ、院内感染や二次感染のリスクを避けることができます。
対面診療については、年末年始は各院で変則的な診療日時となる場合があるため、予約の際には以下をご確認ください。
また、クリニックフォアではインフルエンザの予防内服薬のお薬をオンライン診療で処方しています。24時間いつでも予約が可能で、診察後に処方されたお薬は、最短で当日発送が可能です。
取り扱っている抗インフルエンザのお薬は以下の3種類です。
| 薬剤名 | 価格(税込) | 服用方法 | 効果持続期間 |
| オセルタミビル(タミフル後発品) | 8,250円 | 1日1錠×10日間内服 | 10日間 |
| イナビル | 10,450円 | 1回吸入(2容器) | 10日間 |
| ゾフルーザ | 11,550円 | 1回内服(2錠) | 10日間 |
| 19,250円 | 1回内服(4錠) | 10日間 |
※上記はお薬代のみの価格です。別途、診察料・送料がかかります。
※予防内服薬は保険適用外の自由診療となります。
※医師の判断によりお薬を処方できない場合もございます。
よくある質問
インフルエンザの予防内服薬やオンライン診療について、よくいただくご質問にお答えします。
Q1:ワクチンを打っていても予防内服薬は必要ですか?
インフルエンザワクチンを接種していても、感染を完全に防ぐことはできません(効果には個人差があります)。ワクチンには発症を一定程度抑える効果と重症化を予防する効果がありますが、接種していてもインフルエンザにかかる可能性はあります[1]。より確実に感染を予防したい場合や、どうしても感染を避けたい大切な予定がある場合は、ワクチン接種に加えて予防内服薬を併用することが選択肢となります。
Q2:予防内服薬の副作用が心配ですが大丈夫ですか?
予防内服薬のお薬の副作用としては、下痢や腹痛、悪心などの消化器症状が報告されています。いずれも軽度なものが大半であり、過度に心配する必要はありませんが、気になる症状があれば医師にご相談ください。
タミフルは一時期、異常行動との関連が疑われ10代への処方が制限されていましたが、その後の調査で因果関係が明確でないことがわかり、現在では制限が解除されています。
予防投与で異常行動が起こる可能性は低いと考えられています。
Q3:子どもでも予防内服薬はできますか?
抗インフルエンザのお薬の予防内服薬は、年齢と体重によって適用となるお薬が異なります。子どもへの予防投与を検討される場合は、必ず医師にご相談ください[6]。
受験生本人だけでなく、ご家族が予防内服薬を行うことで、受験生への感染リスクを下げることも有効な対策です。
Q4:オンライン診療で処方されたお薬はいつ届きますか?
クリニックフォアでは、診察後に処方されたお薬は、最短で当日発送が可能です。
年末年始の期間中は配送業者の休業により、発送や到着に通常より時間がかかる場合があります。お急ぎの場合は、配送スケジュールを十分にご確認の上、早めのご予約をおすすめします。
まとめ
年末年始は、インフルエンザの流行がピークを迎えやすい時期です。今シーズンは例年より早く9月から流行が始まっており、年末年始の感染拡大には特に注意が必要です。
インフルエンザを予防するためには、手洗い・手指消毒、マスクの着用、室内の換気・加湿、十分な休養といった基本的な感染対策を徹底することが大切です[1][4]。また、ワクチン接種には発症予防と重症化予防の効果があるため、まだ接種していない方は早めの接種をおすすめします。
さらに確実に感染を予防したい方には、抗インフルエンザのお薬の予防内服薬という選択肢もあります。クリニックフォアでは、年末年始も休まずオンライン診療を行っており、予防内服薬のお薬の処方が可能です。年末年始を健康に過ごすために、今からできる対策を始めましょう。

