胃腸炎で嘔吐が起こる仕組み
胃腸炎で嘔吐が起こるのは、体がウイルスや細菌を排除しようとする防御反応の一つです。
病原体が胃腸に侵入すると、脳の嘔吐中枢が刺激され、胃の内容物を体外に出そうとする反応が起こります。
嘔吐はつらい症状ですが、体を守るための重要な働きであることを理解しておくと安心できるでしょう。
ここでは、胃腸炎で嘔吐が起こる仕組みについて詳しく解説します。
嘔吐は体の防御反応
嘔吐は、体内に侵入した有害な物質を素早く排除するための防御反応です。
ウイルスや細菌が胃腸の粘膜に感染すると、体はこれを異物として認識し、脳にある嘔吐中枢が刺激を受け嘔吐が起こります。
具体的には、嘔吐中枢からの信号によって胃や腹部の筋肉が収縮し、胃の内容物が口から排出される仕組みです。
ノロウイルスなどの感染性胃腸炎では、突然の激しい吐き気から始まり繰り返し嘔吐することがあります[1]。
嘔吐によって体力を消耗しますが、無理に止めようとせず、体が病原体と戦っているサインと捉えて安静にしてください。
ウイルス性と細菌性で嘔吐の特徴は異なる
胃腸炎の原因がウイルス性か細菌性かによって、嘔吐のあらわれ方に違いがあります。
| 種類 | 嘔吐の特徴 | 主な症状 |
| ウイルス性(ノロウイルスなど) | 初期症状として突然あらわれ、短時間に何度も吐くことがある[2][1] | 嘔吐が先行し、その後下痢へ移行 |
| 細菌性 | 比較的軽度なことが多いが食中毒では激しく嘔吐することもある | 下痢・腹痛が主体(食中毒の場合は激しい嘔吐を伴うこともある)[3] |
嘔吐の特徴だけで原因を特定することは難しいため、症状が重い場合は医療機関を受診してください。
嘔吐と下痢があらわれる順番
胃腸炎では、嘔吐と下痢があらわれる順番にはある程度のパターンがあります。
| ウイルス | 症状の順番・経過 |
| ノロウイルス | 発症初期に嘔吐が主体 → 嘔吐が落ち着いた頃から下痢が目立つ(嘔吐と下痢が同時にあらわれることもある)[4] |
| ロタウイルス | 嘔吐に続いて水様性の下痢が1週間程度続く傾向。白色便がみられることがある[5][6] |
症状の経過を記録しておくと、医療機関を受診した際に原因の推測に役立ちます。
胃腸炎の嘔吐はいつまで続くか
胃腸炎による嘔吐がいつまで続くのかは、多くの方が気になるポイントです。
一般的には数日程度で落ち着くことが多いですが、原因となる病原体によって異なります[1]。
嘔吐の持続期間と経過を把握しておくことで、回復の見通しが立てやすくなるでしょう。
ここでは、嘔吐の持続期間と経過について詳しく解説します。
嘔吐の持続期間の目安
胃腸炎による嘔吐は、通常数日程度で落ち着くことが多いとされています。
ノロウイルスによる胃腸炎では、吐き気・嘔吐・下痢・腹痛などの症状が1〜2日続いた後に自然に回復していきます[1]。
嘔吐のピークは発症から24時間程度で、その後は徐々に回数が減り、完全に回復するまでには1週間程度かかることもあるでしょう[1]。
嘔吐が治まった後も下痢や腹痛が数日間続くことがあるとされています。
そのため、24時間以上嘔吐が続く場合や症状が悪化していく場合は医療機関への受診を検討してください。
ウイルス別の嘔吐の経過
胃腸炎の原因となるウイルスの種類によって、嘔吐の経過には違いがあります。
| ウイルス | 潜伏期間 | 嘔吐の経過 | その他の症状 |
| ノロウイルス | 24〜48時間[1] | 突然始まり1〜2日で治まることが多い[1] | 下痢・発熱を伴うことがある |
| ロタウイルス | 1〜2日(通常48時間未満)[7] | 数日程度で落ち着くことが多い | 下痢が1週間程度続くことがある[8] |
| アデノウイルス | 3〜10日[9] | 軽度なことが多い | 下痢が長引く傾向がある |
いずれのウイルスでも、嘔吐が治まった後も便中にウイルスが排出されるため、症状が落ち着いてからも手洗いを継続することが重要です[1]。
嘔吐が続いている間は水分補給が難しくなるため、少量ずつこまめに経口補水液などを摂取して脱水を防ぐことが大切です。
とくにロタウイルスは乳幼児に多くみられ、嘔吐と下痢が重なることで脱水が急速に進行するリスクがあるため注意が必要です[7]。
嘔吐が1〜2日以上続く場合や、水分がまったく摂れない状態が続く場合は、早めに医療機関を受診してください。
症状の経過には個人差があるため、自分や家族の体調をよく観察しながら無理せず回復を待ちましょう。
嘔吐が長引く場合に考えられる原因
嘔吐が通常より長く続く場合、いくつかの原因が考えられます。
- 細菌性胃腸炎やウイルス以外の原因による胃腸炎で症状が長引いている
- 脱水が進行して体の回復力が低下している
- 無理に食べたり飲んだりして胃腸に負担がかかっている
- 腸閉塞や虫垂炎など胃腸炎以外の病気が原因となっている(まれ)
数日以上嘔吐が続く場合や症状が悪化していく場合は、他の病気の可能性も考慮して医療機関を受診してください。
嘔吐時の水分補給と自宅での対処法
嘔吐が続いているときは、脱水を防ぐための水分補給が非常に重要です。
ただし、飲み方を間違えると嘔吐を誘発してしまうため、正しい方法を知っておく必要があるでしょう。
嘔吐直後に水分を摂取すると胃が刺激されて再び吐いてしまうことがあるため、嘔吐が落ち着いてから数時間程度様子をみてください。
水分補給を再開する際は以下の手順を参考にしてください。
| ステップ | タイミング | 1回あたりの量 |
| ① 開始 | 嘔吐後、数時間あけてから | スプーン1杯程度 |
| ② 少量飲水できたら | 数十分おきに | 少しずつ量を増やす(ひと口→数口) |
| ③ 吐き気が落ち着いたら | 通常のペースへ | コップ半分〜1杯ずつ |
嘔吐時に避けるべき飲み物・食べ物は以下のとおりです。
| 避けるべきもの | 理由 |
| コーヒー・紅茶(カフェイン含む) | 胃を刺激し嘔吐を誘発する可能性がある |
| 炭酸飲料・アルコール | 胃腸への刺激が強い |
| 酸味の強い飲み物 | 胃を刺激する |
| 牛乳・乳製品 | 消化に負担がかかる |
食事の再開は、嘔吐が止まり水分が問題なく摂れるようになってから、おかゆやうどんなど消化の良いものから少しずつ始め、数日かけて徐々に通常の食事に戻していきましょう。
横になる場合は嘔吐物を誤嚥しないよう体を横向きにして休んでください。
仕事や家事は可能な限り休み、自宅で安静に過ごすことをおすすめします。
嘔吐物の正しい処理方法
感染性胃腸炎の嘔吐物には大量のウイルスが含まれているため、正しい処理が二次感染予防のカギとなります。
処理方法を誤ると嘔吐物に含まれるウイルスが飛び散り、感染が拡大するリスクがあるため、慎重におこなう必要があります[1]。
- 使い捨ての手袋・マスク・エプロン(ガウン)を着用する[1]
- 窓を開けるなどして十分に換気し、周囲の人を遠ざける[1]
- 嘔吐物の上にペーパータオルをかぶせ、外側から内側に向かって静かに拭き取る[1]
- 拭き取った嘔吐物とペーパータオルはビニール袋に入れて密閉する[1]
- 汚れた場所を次亜塩素酸ナトリウム(塩素系漂白剤、塩素濃度約200ppm)で浸すように拭き取り、その後水拭きする[1][11]
- 使用した手袋・マスク・エプロンもビニール袋に入れて密閉し、廃棄する[1]
- 処理が終わったら石けんと流水で丁寧に手を洗う[1]
受診が必要な嘔吐の目安
胃腸炎による嘔吐の多くは自宅で療養して回復しますが、中には医療機関の受診が必要なケースがあります。
危険なサインを見逃さず、適切なタイミングで受診することが大切です。
とくに子どもや高齢者は嘔吐による影響を受けやすいため、注意深く観察する必要があります。
嘔吐が長時間続く場合・水分が取れない場合
嘔吐が数日続く場合や、水分がまったく摂れない状態が続く場合は、医療機関への受診を検討してください。
通常の胃腸炎による嘔吐は1〜2日程度で落ち着くため、長時間続く場合は脱水が進行し全身状態が悪化するリスクが高まるためです[1]。
少量の水を口にしてもすぐに吐いてしまう状態が半日以上続くと脱水が急速に進行し、めまい・ふらつき・尿量の減少・口の渇きなどの症状があらわれる場合があります。
このような状態では点滴による水分・電解質の補給が必要になることがあります。
嘔吐の回数が減らない場合や悪化している場合は、我慢しすぎず早めに医療機関を受診してください。
子ども・高齢者の嘔吐でとくに注意すべき点
子どもや高齢者は嘔吐による影響を受けやすいため、とくに注意深く観察する必要があります。
子どもで注意すべき脱水のサイン
- 泣いても涙が出ない
- おむつが長時間濡れない
- 異常に眠くなったり不機嫌になったりする
- ぐったりして反応が乏しい
高齢者で注意すべき点
- 喉の渇きを感じにくく脱水に気づきにくい
- 嘔吐物を誤って気道に詰まらせる「誤嚥」による肺炎リスクが高い[12]
子どもの経口補水液は数分おきにスプーン1杯ずつから始め、高齢者はこまめに水分摂取の状況を確認することが大切です。
子どもや高齢者が嘔吐を繰り返す場合は、早めに医療機関への受診を検討してください。
その他の危険なサインと他の病気との見分け方
嘔吐に加えて以下のような症状がある場合は、早めに医療機関への受診を検討してください。
- 嘔吐物に血液が混じっている(消化管からの出血が疑われる)
- 高熱が続く(細菌性胃腸炎やその他の病気の可能性がある)
- 激しい腹痛が続く(虫垂炎・腸閉塞など外科的な病気の可能性がある)
- 意識がもうろうとしている・ぐったりして反応が乏しい(脱水や感染の重症化を示唆)
- 1週間以上症状が続く
- 一度良くなった後に再び悪化する
判断に迷う場合は無理をせず、医療機関に相談することをおすすめします。
胃腸炎の嘔吐がつらいときはクリニックフォアのオンライン診療へ
胃腸炎の嘔吐がつらいとき、外出して医療機関を受診するのは大きな負担になります。
クリニックフォアのオンライン診療では、自宅からスマートフォンやパソコンで医師の診察を受けられるため、嘔吐がつらいときでも移動の負担なく相談できます。
ビデオ通話で症状を伝え、医師が適切と判断した場合は吐き気止め(制吐剤)や整腸剤などのお薬を処方してもらえる場合があります。
| 項目 | 初診 | 再診 |
| 診察料 | 840円〜1,370円 | 280円〜1,510円 |
| システム利用料 | 1,000円(税込) | 1,000円(税込) |
| 合計目安 | 1,840円〜2,370円(税込) | 1,280円〜2,510円(税込) |
※3割負担の場合の目安です。お薬代は別途、受け取り指定の薬局でお支払いください。
※お薬が届く時間は、診察時間や配送先により異なります。
※お薬の処方がない場合は診察料1,650円(税込)がかかります。
吐き気止めは嘔吐や吐き気の症状を和らげ、水分や食事が摂りやすくなることが期待されます。嘔吐が続いて水分補給ができない場合も、症状を和らげることで脱水予防につながる場合があります。
整腸剤は腸内環境を整え、下痢の症状の改善をサポートします。医師が症状を確認したうえで、状態に合わせたお薬を選択します。
感染性胃腸炎は周囲にうつるリスクがあるため、外出を控えながら受診できる点も大きなメリットのひとつです。
処方されたお薬はお近くの薬局での受け取りまたは自宅への配送からお選びいただけます。ご予約から受け取りまで、スマートフォンひとつで完結します。
ただし、嘔吐物に血液が混じっている場合、激しい腹痛が続く場合、意識がもうろうとしている場合など緊急性の高い症状がある場合は、速やかに対面の消化器内科(または救急医療機関)を受診してください。
胃腸炎の嘔吐でお困りの方は、クリニックフォアのオンライン診療をぜひご活用ください。
※診察の結果、医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。
※対面診療をご案内する場合もございます。
※診療費は診察内容によって異なります。保険診療の自己負担割合(原則3割)に応じた金額となります。
胃腸炎の嘔吐に関するよくある質問
胃腸炎の嘔吐について、よく寄せられる疑問をまとめました。
症状が長引く場合や不安な点がある場合は、自己判断せず医師に相談することをおすすめします。
Q1: 胃腸炎の嘔吐は何日くらいで治りますか?
胃腸炎による嘔吐は、通常1〜2日程度で落ち着くことが多いです[1]。
ノロウイルスによる胃腸炎では嘔吐のピークは発症から24〜48時間程度で、その後徐々に治まっていくでしょう[1]。
48時間以上嘔吐が続く場合は、医療機関への受診を検討してください。
Q2: 嘔吐が続くとき、水分は飲まない方がいいですか?
嘔吐が激しいときは無理に飲まず、嘔吐が落ち着いてから少量ずつ水分を取り始めるのがおすすめです。
嘔吐が治まってから数時間程度様子を見て、スプーン1杯程度から始めましょう。
一度に大量に飲むと嘔吐を誘発するため、数分おきに少しずつ飲むことがポイントです。
Q3: 胃腸炎の嘔吐で救急車を呼ぶべき症状はありますか?
嘔吐物に多量の血液が混じっている、意識がもうろうとしている、けいれんを起こしているなどの症状がある場合は、救急車を呼ぶことを検討してください。
激しい腹痛で動けない場合やぐったりして反応が乏しい場合も緊急性が高い状態です。
Q4: 嘔吐が止まったら食事はいつから再開できますか?
嘔吐が止まり水分が問題なく取れるようになったら、消化の良い食事から少しずつ再開できます。
おかゆやうどんなど胃腸に負担の少ないものから始めて、数日かけて徐々に通常の食事に戻していきましょう。
食欲がない場合は無理に食べず、水分補給を優先してください。
まとめ
胃腸炎による嘔吐は、体がウイルスや細菌を排除しようとする防御反応として起こります。
嘔吐は通常数日程度で落ち着くことが多く、その後は徐々に回復していくでしょう。
嘔吐時の水分補給は、嘔吐が落ち着いてから経口補水液を少量ずつ摂取することがポイントです。
嘔吐物には大量のウイルスが含まれているため、手袋やマスクを着用し塩素系消毒剤で適切に処理してください[1]。
数日以上嘔吐が続く場合、嘔吐物に血が混じる場合、水分がまったく取れない場合は早めに医療機関を受診しましょう。
嘔吐がつらいときは、クリニックフォアのオンライン診療で吐き気止めを処方してもらえる場合があります。
無理をせず体を休め、不安がある場合は医師に相談してみてはいかがでしょうか。
※診察の結果、医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。
※対面診療をご案内する場合もございます。
※診療費は診察内容によって異なります。保険診療の自己負担割合(原則3割)に応じた金額となります。
