小青竜湯とは?基本情報と特徴
小青竜湯の概要
小青竜湯は、約2000年前の中国の医学書「傷寒論(しょうかんろん)」に記載されている歴史のある漢方薬です。
ツムラの添付文書によると、小青竜湯の効能・効果は「気管支炎、気管支喘息、鼻炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、感冒」における水様の痰、水様鼻汁、鼻閉、くしゃみ、喘鳴、咳嗽、流涙とされています[1]。
小青竜湯に含まれる8つの生薬
小青竜湯は、以下の8種類の生薬から構成されています[1]。
半夏(ハンゲ)は、咳や痰を鎮めたり、吐き気を抑えたりする作用があるとされています。
麻黄(マオウ)は、発汗を促し、気管支を拡張する作用があるとされています。
エフェドリン類の成分を含み、鼻づまりの改善に寄与する可能性があると考えられています。
桂皮(ケイヒ)は、体を温め、発汗を促す作用があるとされています。
甘草(カンゾウ)は、他の生薬の作用を調和させたり、急な痛みを和らげたりする作用があるとされています。
細辛(サイシン)は、体を温め、冷えによる症状をやわらげ、鼻づまりの改善に用いられる生薬です。
五味子(ゴミシ)は、咳を鎮め、体内の水分バランスを整える作用があるとされています。
乾姜(カンキョウ)は、体の内側を温め、とくに呼吸器の冷えによる症状をやわらげる作用があるとされています。
小青竜湯の効果・効能|どんな症状に効く?
花粉症・アレルギー性鼻炎
特に、透明でサラサラとした水様性の鼻水が多く出る、くしゃみが続く、鼻のむずがゆさがあるといった症状に適しているとされています[1]。
臨床試験においても、小青竜湯が通年性アレルギー性鼻炎の症状改善に寄与することが報告されています。
全国の耳鼻咽喉科で実施された二重盲検比較試験では、小青竜湯がくしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの症状を改善させることが報告されています[1]。
花粉症の場合、症状が出始める前から服用を開始することで、症状の発現を遅らせたり、程度を軽減したりできる可能性も示唆されています。
気管支炎・気管支喘息
小青竜湯は、気管支炎や気管支喘息に対しても用いられることがあります[1]。
水っぽい痰を伴う咳や、ゼーゼー、ヒューヒューという喘鳴(ぜいめい)がある場合に適しているとされています。
アレルギー性結膜炎
小青竜湯は、花粉症に伴う目のかゆみや涙目といったアレルギー性結膜炎の症状にも用いられることがあります[1]。
目の症状と鼻の症状が同時に現れている場合、小青竜湯によって両方の症状の軽減が期待されることがあります。
小青竜湯は眠くなりにくい?副作用と注意点
眠気が出にくい理由
一方、小青竜湯には抗ヒスタミン薬のように眠気を引き起こしやすい成分は含まれていないとされています。
そのため、仕事中や勉強中など日中の活動時にも服用しやすいとされていますが、体調や体質によっては注意が必要です。
医師・薬剤師に相談のうえ、選択肢の一つとして検討できる場合があります。
小青竜湯の主な副作用
小青竜湯は副作用の報告が比較的少ないとされていますが、副作用が起こる可能性があります。
ツムラの添付文書によると、以下のような副作用が報告されています[1]。
主な副作用として、発疹、発赤、かゆみなどの皮膚症状、不眠、発汗過多、頻脈、動悸、興奮などの精神神経系症状、食欲不振、胃部不快感、悪心、嘔吐、腹痛、下痢などの消化器症状、排尿障害などが報告されています。
重大な副作用
間質性肺炎は、咳嗽、呼吸困難、発熱、肺音の異常などの症状が現れます[1]。
これらの症状がみられ、間質性肺炎が疑われる場合は、直ちに服用を中止し、医療機関を受診してください。服用後にせきの増悪や息苦しさがみられる場合には、間質性肺炎の可能性があります。
偽アルドステロン症は、甘草に含まれるグリチルリチン酸の長期服用や過剰摂取により起こる可能性があります[1]。
とくに高齢者や、他の甘草を含む漢方薬を併用している場合にはリスクが高まるとされており、注意が必要です。
服用を避けるべき人・注意が必要な人
アルドステロン症の方は、症状が悪化するおそれがあるため服用を避けてください。
ミオパチーのある方も、症状が悪化するおそれがあります。
低カリウム血症のある方は、偽アルドステロン症が発現しやすくなります。
高血圧、心臓病、腎臓病のある方は、麻黄に含まれるエフェドリンが血圧上昇や心臓への負担を増大させる可能性があります。
甲状腺機能亢進症の方は、麻黄が症状を悪化させる可能性があります。
排尿困難のある方や前立腺肥大のある方は、症状が悪化するおそれがあります。
妊娠中や授乳中の方は、麻黄などの影響を考慮する必要があるため、自己判断での服用は避け、必ず医師に相談してください。
小青竜湯の正しい飲み方・服用タイミング
基本的な服用方法
小青竜湯は、食前または食間(食事と食事の間、食後約2時間)に服用するのが基本です[1]。
空腹時に服用することで、生薬の成分が吸収されやすくなるとされています。
また、小青竜湯は体を温める作用をもつとされる漢方薬のため、温かいお湯で服用することが勧められる場合もあります。
用法・用量
医療用医薬品の場合、通常、成人は1日9.0gを2〜3回に分けて服用します[1]。
飲み忘れた場合の対処法
飲み忘れた場合は、気がついたときに飲んでください[1]。
2回分を一度に服用することは副作用のリスクが高まるため、避けてください。
効果が現れるまでの期間
小青竜湯は、漢方薬の中では比較的早期に効果を感じる場合があるとされています。
水っぽい鼻水やくしゃみなどの急性症状に対しては、服用後30分〜数時間程度で効果を感じ始める方もいます。
市販薬の場合、1ヶ月程度(風邪に服用する場合は5〜6日間)服用しても症状が良くならない場合は、服用を中止し、医師や薬剤師に相談してください[4]。
小青竜湯と葛根湯の違い|使い分けのポイント
葛根湯との併用について
小青竜湯と葛根湯は、どちらも麻黄と甘草を含んでいるため、併用には注意が必要です。
そのため、基本的には併用せず、症状に応じてどちらか一方を選んで服用することが一般的に勧められています。
小青竜湯の飲み合わせ|併用に注意が必要な薬
併用に注意が必要な医薬品
ツムラの添付文書によると、以下の医薬品との併用には注意が必要です[1]。
麻黄含有製剤(葛根湯、麻黄湯、麻杏甘石湯等)との併用は、不眠、発汗過多、頻脈、動悸等の副作用が現れる可能性があります。
甘草含有製剤やグリチルリチン酸製剤との併用は、偽アルドステロン症が現れやすくなります。
カテコールアミン製剤(アドレナリン等)との併用は、不整脈、場合によっては心停止を起こすおそれがあります。
抗ヒスタミン薬との併用
アレグラ、ビラノア、クラリチンなどの抗ヒスタミン薬と小青竜湯は、成分の重複がないため、併用されることもあります。
ただし、両方ともアレルギー症状に対する薬であるため、効果が重複する可能性があります。
併用を検討している場合は、医師や薬剤師に相談してください。
カフェインとの飲み合わせ
カフェインは麻黄に含まれるエフェドリンと似た作用があるため、併用すると不眠や血圧上昇などの副作用が現れる可能性があります。
小青竜湯が効かない場合|向いている人・向いていない人
小青竜湯が向いている人
体力が中程度またはやや虚弱な方が基本的な対象とされています。
透明でサラサラした水様性の鼻水が多い方や、くしゃみが続く方に適しているとされています。
胃のあたりを軽くたたくと、ポチャポチャと水の音がする状態(胃内停水)がみられる場合は、小青竜湯が適していると考えられています。
小青竜湯が向いていない人
もともと熱がこもっているタイプの方や、黄色く粘り気のある鼻水・痰が出る方には、体を温める作用のある小青竜湯を用いると、症状が悪化する可能性があります。
著しく体力が低下している方には、麻黄を含む漢方薬は負担が大きい場合があります。
小青竜湯の市販薬|選び方と購入方法
医療用と市販薬の違い
手軽に入手できる市販薬は軽度の症状に適していますが、症状が重い場合や長期間続く場合は、医療機関での診断のうえ処方薬が検討されます。
主なメーカーと製品
ツムラ漢方小青竜湯エキス顆粒は、製品によっては2歳以上から服用可能で、一般的に眠気を引き起こす成分は含まれていないとされています[4]。
小青竜湯に関するよくある質問
Q1. 小青竜湯は即効性がありますか?
市販薬の場合、1ヶ月程度(風邪に服用する場合は5〜6日間)服用しても症状が改善しない場合は、服用を中止し、医師や薬剤師に相談してください[2]。
Q2. 小青竜湯は眠くなりますか?
抗ヒスタミン薬と比べて眠気が出にくいとされていますが、体質や体調によっては異なる場合があります。車の運転をされる方は、念のため服用後の体調にご注意ください。
Q4. 黄色い鼻水にも効きますか?
黄色い鼻水は、炎症や熱が関与している状態と考えられます。
Q5. 小青竜湯はいつ飲むのが効果的ですか?
食前または食間(食後約2時間)に服用するのが基本です[1]。
水またはぬるま湯で服用しますが、お湯に溶かして飲むとより効果的とされています。
Q6. 小青竜湯は子どもでも飲めますか?
小青竜湯は子どもに服用できる場合があります。
市販薬の製品によっては2歳以上から服用可能なものがあります[3]。必ず添付文書を確認してください。
3ヶ月未満の乳児は服用できません。
1歳未満の乳児は、医師の診療を受けさせることを優先し、やむを得ない場合にのみ服用させてください。
Q7. 小青竜湯は妊娠中・授乳中でも飲めますか?
妊娠中や授乳中の方は、自己判断での服用は避け、必ず医師に相談してください。
まとめ
小青竜湯は、水っぽい鼻水、くしゃみ、鼻づまりといった花粉症やアレルギー性鼻炎の症状に用いられる漢方薬です。
高血圧や心臓病などの持病がある方は、服用前に必ず医師に相談してください。
また、葛根湯など他の漢方薬や風邪薬との併用には注意が必要です。
